「好きなことで生きていく」という言葉は、youtubeで自分の趣味や遊びなどを放送して人気になって、コラボや広告料などでお金を稼ぐ、いわゆるユーチューバーのキャッチフレーズですね。
もちろん、ユーチューバーに限らず就活がうまくいkなかった結果ブラック企業に勤めて過労死やうつ状態で苦しむぐらいなら、自分の趣味なり好きなことでお金を稼いで生きていくという道も、昔に比べてやりやすくなっていると言えます。
ネットを使ってホームページを立ち上げる、SNSを使って集客・収益化をすれば、上司からのお小言や煩わしい人間関係から距離を置いて、まさに自分が求めていた束縛されない自由を謳歌した人生を歩むことができる時代になっているとも言えます。
しかし、好きなことで生きていくと夢見ている人の中には、現実逃避や自分で考えず雰囲気に流されやすいなどの、共通している考え方の癖があります。
その癖をこじらせることは長い目でみると、自分の人生を棒に振ることになりかねない、前の職場で働いていた時よりも劣悪な環境で貧困に苦しみながら生きていかざるをえない可能性を感じています。
今回は、好きなことで生きていくと夢見ている人にありがちなことについてご説明いたします。
「好きなことで生きていく」と夢見がちな人の共通点
現実逃避のために好きなことで生きていこうとしている。
今の職場や学校生活で悩んでいる、目の前に現実が辛くてそれからどうしても逃げるために「好きなことで生きていく」という甘い言葉で心を動かされているパターンです。
好きなことで生きていくの他にも、「自由」「独立」「不労所得」などの現実逃避に繋がる綺麗事にも影響されやすい傾向があります。
このパターンの人は、自分がやらなければいけない仕事や義務を最後までやり遂げることができないタイプで、少しでも嫌な事があれば投げ出してしまうメンタルの持ち主でもあります。
いきなりバイトをバックレたり学校をサボるなどの後先考えない衝動的な行動も目立ちますが、本人は「行動力がある」と自分を高く評価しており、勘違いな人だと思われることもあります。
精神的に大人になることを恐れている
日本の場合だと、高校や大学を卒業してどこかの企業に勤める、公務員になるのが一般的ですあり、しっかり自分の稼いだ給料で暮らしている人を大人であるという風潮があります。
しかし、好きなことで生きていく事を夢見ている人の中には、精神的に大人になることを拒否する傾向があります。
どこかに就職するという生き方は自由でない、束縛された不自由な生活であると考え、いつでも自分らしく生きたいという気持ちが強いのも特徴的です。
例えば芸術家のように、自分の作品を発表して自分らしさを売りにして生きていくのは素晴らしいことですが、そのためには地味な勉強をしたり、経済面で他人からの協力を得るべく頭を下げてお願いしたり、税金関連の書類仕事などの面倒な事務作業もこなす必要があります。
自分らしく生きるためには、時には自分を抑える、譲歩することが欠かせません。
しかし、夢見がちな人はいつでも自分をらしさを前に出した自己中心的な考えに陥りやすく、結果として空回りしてしまいがちです。
夢や目標が短期間で達成、且つ常に右肩上がりだと考えている
好きなことで生きていくと決めて実際に行動したものの、常に右肩上がりの成長ばかりをイメージしているという期待ばかりが膨らんでしまっているというパターンです。
好きなことで生きていく前は、まだ実際に行動に移していないために現実味の無い期待ばかりが仮想通貨のチャートのようにみるみる膨らんで上昇していきます。
しかし、いざ実際に好きなことで生きていく…例えば、youtubeで稼ぐということを実践し始めたときに、再生数が全然増えずに時給換算すれば最低賃金に到底届かないという現実を目の当たりにして、膨らんでいた期待がバブルのように弾けてしまい、大きな絶望感を味わってしまいます。
好きなことで生きている人たちは最初から収入に困らないほど稼げる、人気があるのは珍しく、人気が出るまで数年~数十年という時間をかけて徐々にファンが定着するものなのに、いざ自分のこととなると数週間ですぐに結果が出るだろうと楽観視していたことが裏目に出てしまっています。
「好きなことで生きていく」ことそのものが目標となっている
「好きなことで生きていく」ことそのものが目標となってしまい、いざユーチューバーなり漫画家なり、ブロガーなりになったとしても、自分が一体何を作りたかったかよくわかっていないので挫折してしまうパターンです。
ユーチューバーや漫画家のように何か自分の作品を作り出して世に発表することでお金を稼ぐ仕事は、自分が作りたい作品がないと行き詰まってしまいます。
また、パターンでとくに多いのが、結局は自分はユーチューバーや漫画家という肩書きが手に入れたかっただけ、普通の人とは違う才能や能力があるということを世間に認めてほしいという承認欲求で動いていたということも少なくありません。
自分は特別な能力や才能があると思いたいのは自然なことですが、周囲から才能を認められて満足感を得ることが目的となって作品作りが疎かになる、承認欲求が満たされてしまうとやる気がなくなり燃え尽きてしまうことがあります。
参考:「好きなことで生きていく」と「ピーターパンシンドローム」
言葉が心理学の世界では、おとぎばなしの「ピーターパン」から派生した「ピーターパンシンドローム」という言葉があります。
ピーターパンシンドロームは1983年にアメリカの心理学者カイリーによって提唱された言葉です。
ピーターパンは物語の中では、永遠に大人にならない妖精の国の少年。そのピーターパンのように、年齢を重ねても精神的に大人になることを拒み続ける人のことを、ピーターパンシンドロームといいます。
好きなことで生きていくことを夢見ている人の中には、子供のように自由気ままに振る舞うことが大好き。しかし、見方を変えればわがままで他人と譲歩し合うことや協力することが苦手で、会社や学校のように誰かと協力して何か一つの仕事を行うことを嫌うということがあります。
また、ピーターパンシンドロームの大きな特徴は社会人として責任を背負いたくない、社会は汚く醜いものであるという気持ちが強いことです。
会社員なり公務員なり、自営業なり、生きていくために仕事をするのには当然責任が伴いますし。責任を取った結果謝罪することもあれば、しっかり責任を果たして人から感謝される、信用されるという経験もあります。
しかし、責任を負いたくない気持ちが強くなると、責任を負うのが嫌だから面倒な仕事を最後までやり遂げず途中で放棄し、人からの信用を失うことにつながります。
また、社会はお金や欲望渦巻く汚いものだと考えているので、それらが無い綺麗だと思っている「好きな事で生きていく」世界への憧れも強くなるのだと考えることができます。
好きな事で生きていくと意気込んでいる人の中には、自分が精神的に成長して大人になることを拒み続け、社会の荒波に揉まれて成長しなくても純粋な子供のままの気持ちで大金が稼げるような世界に強い憧れを抱いているのかもしれません。
好きなことで生きていけなくても落ち込む必要はない
今の若者世代の人を見ていると、ユーチューバーやインスタグラマーのような、いわゆる「好きなことで生きていく」をキャッチコピーにしている娯楽産業のみならず、どの分野の仕事を見ても、やりがいや自分が興味のあることを仕事にしている人こそ素晴らしい、と考えている人をよく見かけます。
こういう考えかたの若者が出てくる背景には、自分の仕事の将来像や人生設計に関して強い関心を持っている、いわゆる「意識高い系」と呼ばれる人たちがおり、彼らは若い頃から仕事へのやりがいや仕事を通しての自己実現について考えています。
しかし意識が高いゆえに自分は他の人には見られない特別な才能があるんだとリアルやネット(SNS)で主張し、周囲に余計なプレッシャーを与えてしまうことも少なくありません。
もちろん、意識高い系の人が言ってることを「ま~たやかましい自慢が始まったよ…」とスルーできれば苦労しませんが、中には意識高い系の人の意見や生き方に影響されてしまい、誰にでもできるような平凡な仕事をしている自分に劣等感を抱いてしまう、繊細な心の持ち主もいます。
その人は意識高い系の行動に対して、憧れや尊敬の念と同じぐらいに、自分の不甲斐なさや未熟さを痛感してしまい、好きなことで生きていけないことに罪悪感を抱いてしまうということもあります。
また、就職活動で散々やりがいのある仕事が大事、自分がやりたいと思える仕事に合わせるのが正しいと言われた状況では、今もしも好きでない仕事をしていることに罪悪感を感じてることもあろうかと思います。
そんな罪悪感を感じている方に言いたいのは「好きなことで生きていくことも立派ですが、平凡で単調な仕事で生きていくこともまた立派である」ということです。
具体的には以下の場面で、ネガティブな考えにならないようにしていくのが良いでしょう。
- TVやネットでは好きなことをして数千万、数千億を稼いでる人もたくさん見かけても、好きなことをして収益を得ていないからといって落ち込まない。
- 好きなことでエネルギッシュな生活を送っている人に気後れや劣等感を感じない。
- 自分がかつてやっていたスポーツで同年代や年下のプロのスポーツ選手の活躍を見て卑下しない。
決して「好きなことを仕事にするのが正解であり、それ以外の仕事は不正解である」と極端な考え方をせず、好きじゃない仕事でもちゃんとこなせている、ただ出来ることを淡々とやる仕事をこなしているだけでも立派なことであり、自分を卑下しないように心がけましょう。