自分らしく生きたり、仕事やスポーツで積極的になるためには自尊心…つまり、プライドは必要不可欠ですが、中にはプライドが高くなりすぎてストレスを抱えたり、いじめや周囲からの孤立してしまうこともあります。
プライドが高すぎる人は自分のことが大好きなナルシストと呼ばれる人のように、自分で自分のことをカッコイイと思っていることバレバレの行動をしてしまい、自分がどれだけすごい経歴や過去を持っているかを、リアルやネット(SNS)含めしつこく自慢することがあります。
過剰な自己アピールは「なんだか付き合うと疲れる人」「扱いが面倒な人だなぁ…」と思われたり、ツッコミが入ることもしばしばあります。
しかし、本人にとってはツッコミを入れられるのが実は苦手という、ちょっと他人からは想像しにくい面倒なプライドを持っている人もいます。
彼らは「目立つことで賞賛や共感の声は欲しいけど、野次や批判はプライドが傷つくから受けたくない」という、行動の割には繊細で傷つきやすいという側面があります。
今回はそんな、プライドは高いのに繊細で傷つきやす人の心理や特徴についてお話いたします。
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目次
プライドは高いのに繊細で傷つきやすい人の特徴
先に述べたように、いつも自慢話をしている、学生時代の部活での活躍や学歴、偏差値などの過去の武勇伝ばかりを話してて、プライドが高く自己愛が強い人の話を延々と聞かされるのは精神的に疲れてしまうものです。
しかし、「もう退屈やから別の話にせえへん?」「いつまで昔のことを話しとるん?」とツッコミを入れると、いきなり苦虫を噛み潰したように態度が急変する、拗ねた子供のように不機嫌になってしまうことがあります。
会話や普段の行動からプライドが高いように見えて、実は繊細で些細な事で精神的なダメージを受けやすい人が、なぜ些細なことで傷ついてしまうのかというと
- ナルシストのように自己愛が強く、自分が好きすぎて他人にそのことを伝えたがる。
- 自尊心が強く、自己イメージが現実の自分にあわないほど肥大化している。
- その反面、他人からの評価に人一倍敏感である。
という特徴があります。
しかし、ちょっとツッコミを入れられると
- プライドがすぐに揺らいでしまう。
- 「嫉妬しているだけだ」と自己弁護する。
- 傷ついていることがバレないように取り繕う。
などの、行動をとってしまいます。
学歴やスポーツでの活躍のように、数字で表せる偏差値や記録が自分のプライドに大きく影響してしまうと、少しでも誰かと比べて優れていればそれだけ大喜び、少しでも劣っていれば急に不機嫌と、傍から見ても一喜一憂して精神的に疲れてしまうのは明らかです。
ネット上で隙あらば自分語りをしてくる人たちも、年収、年商、友達の数、フォロワー数、いいねの数、体重、身長、スリーサイズなど…よくよく見れば、語っている内容に数字で比べられるもので自分について語っています。
高いプライドのせいで他人に攻撃的な態度をとることも
プライドが高すぎる人には、周囲に対して以下のような行動をとってしまうことがトラブルの原因となってしまいます。
自分より格下の人に失礼な態度を取ってしまう
学歴や立場などで自分よりも格下だと判断した相手に対しては、相手を怒らせるような失礼な態度を取ってしまうことがあります。
本人にとっては相手を怒らせるようなことをしている、失礼になるようなことをしているという自覚は薄く、ごくごく自然なこと当然なことをしている考えていることが多いようです。
学校であればいじめや嫌がらせ、職場ならパワハラやセクハラなどの迷惑行為をする人に共通している行動です。
なお、格下の相手に反撃される、批判や注意をされると頭に血が上ってキレてしまうこともあります。
譲り合いや交渉するコミュニケーションが苦手
自慢話が多いことからもわかるように、どちらが優れているかor劣っているかというマウントをとるコミュニケーションが得意な一方で、交渉のような譲り合いや妥協点を探るコミュニケーションが不得意です。
「譲り合うこと=負け」「自分から折れる=相手のいいなりになる」という極端な考えをしていることがあり、営業の仕事で相手を顔を立てる、接待をするのが苦手です。
自然と周囲を見下すようになる
「自分は周囲の人が妬むような才能や技術を持っている」という強い思い込みのせいで、自分は特別な人であると考える一方で、「周囲の人は平凡な人、才能が無い残念な人」と自然と周囲を見下し、自分を過大評価する一方で他人を過小評価することがあります。
まるで自分が偉い人のように振舞う一方で、「こんなに偉い人に声をかけてもらえるあなたは恵まれている」と高飛車な行動をするので、嫌な人だと思われる傾向があります。
まるで仏様が地獄の住人に手を差し伸べるかのようですが、勝手に相手を地獄に落ちるような格下の人間と見下しています。
他人を利用して自分の欲望を叶えようとする
コーチングやセミナー講師、先生や上司のように立場が上で指示を出す場面が多い時によく見られる特徴です。
「誰かを幸せにしたい、立派な人になるように指導してあげたい」という純粋な気持ちのように見えて、実は他人を利用して自分の評判を高めたい、もっと自分のことを世間にアピールしたいという欲望を感じるので、嫌われるがちな傾向があります。
もちろん、直接「私はあなたのことを見下しています」とぶっちゃけて話すことはなくとも、態度や行動から「この人は周囲のことを見下しているな…」と気づかれてしまい、顰蹙を買うことも少なくありません。
批判に弱くミスを認めようとしない
高すぎるプライドが傷つくようなミスが起きても、反省しようとせずにミスの原因を誰かになすりつけて逃げようとすることがあります。
過去に書いた「謝れない病」のように、自分の非を認めて反省することに大きな苦痛を感じ、その苦痛から逃れようとして
- ごまかす。
- とぼける。
- 忘れたフリをする。
- 他人のせいにする。
- 逆ギレする。
- 話を逸らす
…などの行動をとります。
また、「謝る=自分のプライドが崩れる、自分は大した人間ではないことを自覚する、敗者、敗北者」のように、謝ることに対して強い負のイメージを抱いていることが、ますますミスを認めにくくなっています。
強いプライドは自己愛性パーソナリティ障害の可能性も
ナルシストを通り越し自分を愛する気持ちが強すぎて人間関係や仕事にまで影響が出てしまうと、「自己愛性パーソナリティ障害」(または「自己愛性人格障害」)と診断されることがあります。
「自分が好き」という気持ちは誰にでもある自然な感情ですが、その気持ちが強すぎるせいで、他人をむやみに見下す、常に賞賛や褒め言葉を浴びていないと気持ちが落ち着かない、褒められるために嘘を付き続けるなどの病的なナルシストになると、社会生活を送ることが難しくなります。
自己愛性パーソナリティ障害は、子供の頃の育ち方や周囲の環境が原因と言われています。
幼い頃から勉強やスポーツで競争にさらされたり、結果のみで人を判断する、失敗した時に無視をするような育てられると、いつも周囲の目や他人の評価を気にするような環境にいることが、自己愛性パーソナリティ障害になる土壌を生んでいると考えられています。
高すぎるプライドは地道な努力すらできなくさせてしまう
ちょっとしたツッコミに弱く、批判や指摘を素直に受け入れられない背景には、高いプライドの割には、そのプライドは実にもろくちょっとのことで折れやすいプライドと言えます。
善意のアドバイスですらプライドのみならず自分自身を傷つける暴言と受け取ってしまう裏には、自分の理想像が崩れる事への過度な恐怖感、自分の存在を否定されることへの忌避感があります。
素直に聞けば自分にとってメリットのあるアドバイスすら拒絶するので、周囲から孤立したり同じミスを繰り返したりして、その都度苦しむことになります。
また、プライドが高く自分に不満なんて抱いていなさそうに見えても、内心は自分に対するコンプレックスが強く、そのコンプレックスを解消するために理想の自己イメージを作る原因になっています。
コンプレックスがあるのなら地道に努力をすればいいのに…と思う方もおられますが、地道な努力をするということは、自分は対した才能がない普通の人だと認めることになるので、努力しなければいけない事はわかっていてもプライドが邪魔をしてできなくなってしまいます。
意識高い系の大学生・社会人に見られる「起業します」「独立します」という立派な夢や目標を立てるだけ立てて、結局何もしないのは、起業や独立の華やかなイメージとは逆に、地味な事務作業や泥臭い営業などの日の当たらない仕事をしなければいけない自分を認められないプライドが影響しているとも見ることができます。
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