なんとなく自分を馬鹿にしているように話してくる。どことなく失礼で、気に障る物言いで接してくると、「自分はこの人に見下されている」「なんだか上から目線な人だなぁ…」と感じることがあります。
上から目線な人は、たとえ初対面で緊張するような場面でも自然と相手を見下す癖が身についているので、周囲を威圧しストレスを与える厄介な人です。
また、上から目線で接する人は自分が上から目線で話している自覚がなかったり、「私の振る舞いには何も間違っていない。あなたの思い込みが激しいだけだ!」と、指摘されると反省するのではなく相手を攻撃してしまうことも少なくありません。
今回は、「上から目線な人」についてお話いたします。
上から目線な行動とは?
上から目線とは、自分の年収や学歴、過去の経歴、身長や体重といった外見をもとに相手を見下し優越感に浸る行動のことを言います。上から目線という言葉の他にも「マウントをとる」「マウンティング」と呼ばれることもあります。
なお、誰かと比べて優越感を感じたり満足感を得ること自体は誰にでもある自然な心理です。
スポーツで努力して相手チームに勝利したり、仕事を頑張ったことで昇進したり表彰されるのを喜ぶ事は誰にでもあるので、決した人より優れていることで優越感に浸ってはいけないというわけではありません。
しかし、満足感を得たいがために必要以上に相手を見下し優越感に浸るのは、たとえ自分が満足していても周囲の反感を買い、自分の評価を下げることにつながります。
チームで協力して行動することが求められる仕事やスポーツの場面では、相手を見下す行動がきっかけでチームの雰囲気を悪くして全体のモチベーションの低下させたり、いじめの原因になってしまうことがあります。
上から目線になる人の心理・背景
自分が優れた人間であると証明したい
人は誰しも自分は素晴らしいと周囲から認められたい、いわゆる承認欲求を満たしたいと願い行動をするものです。
しかし、承認欲求が強すぎると周囲からもっと認めて欲しいがために嘘をついたり数字を多少盛ったりして、嘘をつくのが習慣になってしまうことがあります。
当然嘘がバレてしまうと、相手をがっかりさせて評価はガタ落ちになるので、後の行動も嘘がバレないように嘘をつき続けてストレスを抱え込むことにつながります。
子供の頃の万能感が抜けきっていない
子供の頃は、それこそ実際になれるかどうかはさておき「将来はプロスポーツ選手になる」というような大きな夢を持てるほど万能感に満ち溢れていますね。
子供らしい自分を客観的に見ることができないがゆえの微笑ましい夢ですが、中学・高校・大学と進学するにつれて、自分は何にでもなれるという万能感は薄れていき、失敗や挫折を重ねて現実と折り合いをつけたり、現実を見た上で地道な努力をしていくようになります。
しかし、この万能感が抜けきれないまま大人になってしまうと、上から目線な行動を取ってしまう原因になります。
本当は自信が無く他人を見下すことで安心しようとしている
上から目線な人は万能感があり自信満々に話していますが、実は自分に自信がなく不安を払拭するために他人を見下し優越感に浸ろうとしているケースもあります。
さきほど述べた、万能感にはその根拠となるものが存在しないことが多く、内心は不安や「ひょっとしたら自分はそこまで優れている人間ではないかもしれない…」という疑念に駆られ精神的に不安定になりやすい状態です
その不安を払拭すべく、誰かを見下すという行為を通して自分は優れていると思い込むようにする傾向があります。
他人を見下して安心することを続けると、自分が見下した相手の良いところを尊重できなくなるだけでなく、常に誰かと比較して粗探しをして安心することにエネルギーを使い込んでしまいます。
また自分の自信の無さや理想と現実のギャップを付くもっとも意見を受けても、内心は焦っているのに「自分のことを羨ましがっている」「嫉妬しているだけだ」「自分よりも年下だから、こいつの言ってる事は間違っている」と、とにかく相手を見下す、去勢を張ることにもつながります。
根拠のない自信も度がすぎれば自分を客観的に見れなくなる
よく本やネットの情報で「メンタルを強くするには、根拠のない自信を身に付けると効果的」「ポジティブ思考を身につければ、どんなことでもくじけなくなる!」という情報を目にすることがあります。もちろんストレスにうまく対処するためには、根拠のない自信やポジティブ思考を身につけることは効果的です。
しかし、根拠のない自信もポジティブ思考も度が過ぎれば、自分の今の実力を客観的に見れなくなり、理想の自分と現実の自分のギャップをひろげてしまう原因になります。
そうなると、やたらと自分は偉い人間だと主張して周囲を威圧したり、人脈や経歴などを必死にアピールするなど、求められてもいないの自己主張をするので煙たがられてしまうことにつながります。
また、自分のことを客観的に見れていないので、地味で現実的な努力が必要なのに「私はとても能力のある人間だから、そんなつまらない努力は必要ない!」と判断してしまい、いつまでも理想の自分と現実の自分のギャップが埋まらないままになります。
そんな状態で仕事や学業で何か行動をすれば、自分ではとても意義のあることをやっている、社会に貢献する素晴らしいことをやっているのに、傍から見ると「…え、それってそんなにすごいことなの?」「そこまで自信満々に誇れることなの?」と不信感を抱かせるということになります。
このような、自分の評価と周囲の評価に大きな食い違いがあるのは、よくある意識高い系の人に見られる特徴の一つでもありますね。
上から目線にならないためにできること。
現実の自分を客観的に把握して妥当な自信を身に付ける
根拠のない自信が増長して理想と自分のセルフイメージに乖離が生じないためには、自分の今の実力を客観的に見ることが必要になります。
スポーツなら、自己ベストや握力、筋力などの数字に直せるものだと効果的です。勉強や仕事でも、数字という客観的に見ることができるモノサシを使って今の自分を適切に分析していくことで、万能感がエスカレートすることを防ぎます。
大事なのは過大評価でもなく妥当なだと思えるように分析すること。そして、分析が済んだら地道な努力や目標を立てることが重要です。
他人の優れた部分を尊重するようにする
自分が見下した相手も、全ての分野において自分のほうが優れているというわけではありません。
例えば学歴や容姿で自分のほうが優れていると思っても、それ以外の性格、コミュニケーション能力、才能などで相手のほうが優れているということもありますね。
誰に対しても見下し、自分と同じかそれ以下の人しか認められなくなれば、自分には無い能力や才能のある人から何かを学べなくなりなります。
そうならないためには、他人の優れた部分を尊重する態度を身に付け、謙虚に学び努力するようにしましょう。
褒めすぎることに気をつける
子育てやコーチングで「褒める」というテクニックは自信や自己肯定感を育てて、積極性を養うためには効果的です。
しかし、褒めすぎるといつまでたっても万能感が抜けきらず、自分の実力を過大評価したままの状態になってしまいます。
叱るべき所や正すべき場面ですら褒めてしまうというような、褒め一辺倒の接し方を通付けるのではなく、褒めるべきところは褒め、叱るべところは叱るというようにしていく必要があります。
褒めるときはその根拠を伝えるようにする
また、褒めるときはなるべく具体的褒めてるようにするのが効果的です。
スポーツなら「よく頑張ってるね」と漠然と褒めるのではなく「しっかりウェイトトレーニングをして、いい感じに成績が伸びてるね」というように、何を頑張ってその結果どうなったかを伝えることで、褒められた側も自分が成長した理由や根拠を知ることができます。
なぜ成長したのか、どうして結果が出たのか、その理由を褒める側は探るようにしましょう。