体型や容姿に自信がない、勉強ができない、友達がいなくて孤立している、ただなんとなく自分が好きになれない…などの理由で、自分のことが嫌いだと感じる場面は日常生活の中で多くあります。
仕事や学校で誰かと比較されて優劣をつけられる、スキルや年収、学業成績などで常に競争しなければならない状況の真っ只中であれば、自分の不甲斐なさや未熟さから自分で自分が嫌になるという経験をするのも自然なことだと思います。
しかし、ここでひねくれて自分はダメな人間なんだとレッテルを貼ってしまうと自分のやることに自信がもてなくなり、何事にも積極的になれなくなってしまいます。そして、そんな自分を見て更に自己評価が下がり、行動力が失われる…という負のスパイラルに陥ってしまいます。
自分嫌いになっている人は、知らないうちにこの負のスパイラルに落ちって、ますます自分を嫌いになってしまっていることもあります。
また、自分が嫌いという人は自分に対しての不満や改善すべき点が残ったままだから嫌いと考えている事もあり、改善すべき点を改善していけば自分の事を好きになったり自信を持つことにもつなげることができるのです。
今回は、自分嫌いな人に向けて、自己評価を高めるためにできることについてお話しいたします。
自分嫌い・自己評価が低いとはどういう状態なのか?
自己評価が低いというのは、
- 自分の事が嫌い。
- 自分に自信がもてない。何かしらの不満がある。
- 自分は弱い、情けない、能力が低いと感じている。
- 「どうせ自分は何をやっても無理。クズだ。」と自分のことを諦めている。
というように、自尊心が弱くなっている状態をさします。
例えば、ちょっとした会話の中で自分が褒められても「でも、私はそんな褒められる人ではないし…。それに、頭も悪いし…、顔もブスだし…」と続けざまに謙遜を通り越して、ナチュラルに自己卑下をしてしまう人は、自己評価が低いと考えられます。
自己評価が低い人は、「どうせ自分なんて」という諦めや自信のなさ故に、積極的に行動できなくなります。また、ちょっと行動しても繊細で些細な事で傷つき、その度に自信を失いクヨクヨしてしまいがちです。
自己評価が低いまま社会人になったり、部活や勉強などの競争がある状況に進んでいくと、積極性がないために自分から動こうとしない指示待ち人間になったり、これ以上自分が傷つくのを避けるために、あえて手を抜いて自らダメな人間になろうとすることもあります。
もちろん仕事やスポーツでは誰かと比較されることは避けては通れないので、その度に一喜一憂して、喜んだり落ち込んだりする経験を積んだ上で、優劣の結果に乱されないメンタルを養っていく事を少しずつ身につけて行くことが重要になります。
「認知的斉合性理論」…自分嫌いは自分にネガティブな意見を好む。
自己評価が低い人は、褒め言葉に対して苦手意識を抱えており、学業やスポーツでいい成績を出したり、仕事でしっかり成果を出しても、その事実を認めず自分を過小評価してしまう事があります。
また、自己評価が引くため、周囲からの褒められることよりも、悪い評価や指摘のようなネガティブな意見ばかりを好んで聞いてしまうという事があります。
これは「認知的斉合性理論」と呼ばれており、自分の認識と周囲の認識を合わせるために働く心理のこといいます。
自己評価が低く自分嫌いな人だと、「自己評価が低い」という自分のイメージに合わせるべく否定的な意見や悪口などを意図的に聞いて、自分が持つイメージと周囲からのイメージを合わせようとしてしまいます。
逆に、自分のことをしっかり評価する人の意見に対しては、「本当の私はそんな素晴らしい人間ではないのに…やっぱり、私のことを分かっていない」と感じて、距離を取るようになってしまうというわけです。
自分嫌いを克服するためには自分のことを評価してくれる環境よりも、悪く言われる環境の方が安心できるというひねくれた気持ちに気づくこと。そして、その気持ちを直すべく自己評価を高めて行くことが重要です。
少し話は変わりますが、誰かに褒められても「どうせ私なんか大したことありません」とせっかくの褒め言葉を真正面から跳ね除けるような言葉を口にしてしまい、実に後味の悪い空気が漂う、なんて経験をされた方は少なくないと思います。
日本では誰かに褒められても「いやいや、私なんてとてもとても…」と謙遜をするのが、いわばお約束のコミュニケーションとして使われていますが、あまりに謙遜しすぎて褒める言葉を全て叩き落とす勢いで謙遜してしまう事が習慣になると、自分で自分のことを評価できなくなり、自己評価が下がる原因になってしまいます。
自分嫌いな人が自己評価を高めるためにできること
自分が嫌いな自分を克服して自己評価を高めるためには、以下のことを心がけるようにしましょう。
失敗を過度に恐れない。
自己評価が低いので何か新しい仕事や勉強を始めたときに、途中で挫折してしまうことに過度な恐怖や緊張を感じてしまうのであれば、失敗を過度に恐れないように考え直していくようにしましょう。
失敗すれば確かに自尊心が傷ついたり、自分の未熟さ不甲斐なさを感じて辛い現実から逃げたくなるのは自然なことですが、一方で失敗したからこそ得られた教訓や経験も存在します。
例えば、株で大損をこいた人は株で大きな失敗をしたという経験で、大金を失うことへのショックや大損しないために分散投資をするなどのリスクのコントロールの仕方を学ぶことができます。
株に限らず、失敗談や経験談は同じ悩みを持つ人にとっては非常にありがたいものでもあります。
なお、失敗を過度に恐れないと書きましたが、逆にメンタルがやられて二度と復帰できなくなるような無謀な事に挑戦するのは避けましょう。あくまでも、失敗してもちょっと休めばまた復帰できるというレベルのことに挑戦するようにしましょう。
なんで失敗したのか原因を分析し対策を立てる
自己評価が低いに人にありちがちのは、失敗が起きた時に「どうせ自分が悪いんだから…」と落ち込むだけ落ち込んで、どうしたら同じ失敗が繰り返されないかについて全く触れていないというケースです。
また、失敗の原因が100%自分にあると考え込んでしまえば、ひょっとしたら運が悪かった、時間や状況が良くなかった、相手にも問題があったなどの可能性を考慮しなくても済むので、ある意味思考停止しており、落ち込んではいるけどそれ以外に余計なことを考えなくて済むので楽な状態でもあります。
認知的斉合性理論で説明したように、なんでも自分が悪いと思い込む方がそうでない時に比べて安心できてしまうので、全て自分が悪いと思い込んでしまう癖が身についていると言えます。
そうならないためにも、失敗が起きてしまったときは、なんでその失敗が起きてしまったのかについて原因を分析して、どうしたら次に同じミスを繰り返さないかについて対策を考えていくことが大切です。
失敗をしたらショックで頭がいっぱいになる事もありますが、大事なのは失敗を活かせるように、まずは落ち着いて失敗と向き合っていくことです。
失敗したことを引きずらないようにする
失敗の原因を分析して学ぶことが学べたら、次は失敗したショックを引きずらないようにしていくことが大切です。
どんな人であっても過去に起きてしまった事を変えることはできません。変えることのできない過去に囚われるのではなく、その過去から学んだ経験を次に生かせるように、気持ちの切り替えができるようになりましょう。
完璧主義に陥らないようにする
人間は完璧にできてはいません。当然ですが、どんなに対策を綿密な立てて、慎重になっていても失敗をすることあります。
失敗から学ぶ事は大切ですが、同時に失敗を完全に排除しようとしていては、今度は「失敗するような情けない自分」を受け入れられなくなり自分が嫌いになってしまう原因になります。
完璧主義な人が目指す目標は、非常に時間がかかるものや、自分ひとりの力量では到底達成できないような現実離れし、今の自分の実力に見合っていない目標になっているということがよくあります。
そんな現実離れした目標なので、当然達成できない。そして達成できないのがわかると、自分に対して嫌悪感を抱いたり、「失敗するのなら途中で努力するのを辞めてたほうがまだマシ」と考えてしまうことにつながります。
何事も完璧にしたいと高い理想を持つのは良いですが、その理想が今の自分にとってハードルが高すぎる、時間と労力が掛かり過ぎると思うのであれば、その目標について見直し、少し頑張れば達成できるように調整していくようにしましょう。