褒め殺しでコミュニケーションする事のメリット・デメリット

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ちょっとした会話の中や、自分が何かネット上で呟いた事で

  • すごいですね
  • 私も見習わないといけません
  • 尊敬します!
  • 憧れます!
  • 尊い…

などの、褒め言葉をつい言ってしまうことがあるでしょう。

しかし、その褒め言葉を、別にすごいからという真っ当な理由ではなく、

  • 社交辞令として言っている
  • 否定的な意見を出したいけどストレートに言うと角が立つから皮肉や嫌味として褒めている。
  • 「まともにコメントするのが面倒だからとりあえず褒めておこう」という目的で言っている
  • 「とりあえず気に入られるためにもベタ褒めしておこう」という下心から褒めている

などの、とにかく褒めておいたほうが無難だからという理由で相手を褒めたり太鼓持ちやヨイショをすることもまた、社会生活を送っているとどうしても使ってしまうものです。

タイトルにもあるようにこれらの目的で使う褒め言葉は「褒め殺し」であり、相手を表面的に傷つけずいい気にさせるというメリットもある一方で、褒めたことで調子に乗られて余計に面倒な事態に発展することもあります。

人と仲良くなりたい、打ち解けたい「褒める」というテクニックはよく使われますが、そのほめ方次第では褒めることは万能ではありません。

今回はそんな褒め殺しについてお話したいと思います。

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褒め殺しのメリット

関わるのが苦手な人と話す時に役立つ

褒め殺しはなんとなく苦手だなぁ…と感じる人となるべく穏便にトラブルなく話すときに有効な手段です。

苦手だからと言って、悪口混じりに話しては相手から嫌われるだけでなく、自分の立場や評判を下げてしまう原因になってしまいます。

仕事である程度の立場がありその立場を失いたくない、相手の機嫌を損ねるようなことを言ってしまうと会社の信用に傷をつけてしまうという場面において、褒め殺しは有効なのです。

相手を立てることができる

褒め殺しで使う褒め方にも色々ありますが、とくに謙遜を絡めた褒め方は相手の立てるという魅力があります。

例えば

  • 「この仕事は私にはとてもとても…だから是非とも○○さんの力をお借りしたい」
  • 「さすが○○さんとあって自分と比べるとクオリティもスピードは一流ですね」

と、ただ「すごいですね」と褒めるよりも、自分を比較対象にして相手を褒めることで、褒められた人をよりいい気分にさせることができます。

また、謙遜だけでなく

  • 「○○さんほどの実力があるんだから、仕事も引っ張りだこではありませんか?」
  • 「○○さんの仕事のクオリティの高さはどうやって身につけたんですか?」

のように、褒め言葉の後に質問をつなげれば、自然な会話につなげることができるというメリットもあります。

苦手なタイプの人との取引で、なんとか場をつなぎたい、何か話をしなければ…というときに、ただ褒めるだけでなく謙遜や質問を絡めた話題を振ると相手にいい印象を持ってもらい、穏やかなまま取引を終えることができるのです。

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表面的にでも「褒めているポーズ」であいてを引きずり落とせる

褒め殺しの特徴は、表面的には「褒めているポーズ」をとったまま行えるコミュニケーションです。

本音では「なんか気に入らない、面倒な奴だ」と思っていても、建前では「素晴らしくて尊敬しちゃいます~!」と相手を褒めて、あくまでも自分は攻撃ではなく褒めていますよという体裁が取れるのです。

また、もしも相手が自分の本音に気づいて「本当は見下しているんでしょ?」と言われたとしても、「え、そんなことないですよ!私は本当にすごいと思っているからこうして褒めているのに…」と切り返すことができます。

切り返しが成功すれば、褒められて怒っている相手の方が疑い深くて変な人、ひねくれた人だと周囲に知らせる。そして、自分は素直に褒めているだけのいい人、あるいは天然で裏表の無いいいキャラだと周囲にアピールできます。

(もちろん、露骨な褒め方で明らかに馬鹿にしているのがバレバレだと成功しないケースもあるので、褒め殺しが万能というわけではありませんが…)

嫌な相手を直接否定せずとも褒めることで引きずり落とし、相対的に自分の立場を上げるのが褒め殺しの最大の魅力でもあります。

直接相手を否定しないので自分は近づきやすいイメージを持たせままというメリットも大きく、褒め言葉を信じ込みやすい人や騙されやすい人だと褒め殺される対象になりやすいのです。

褒め殺しのデメリット

褒め方が下手だと相手を馬鹿にすることになる

褒めると気分が良くなるものですが

  • 褒め方がワンパターン。
  • 「すごい」「いいね」などの具体性に欠ける褒め言葉ばかり。
  • 何度も頻繁に褒めてきてしつこい。

などの、露骨で下手な褒め方になると、褒められているのではなく馬鹿にされている、見下されていると感じるものです。

最初のうちは褒めてくれる人に対していい気になっていたものの、誰にでも同じように褒めているのが分かったり、褒めるべきではない場面ですら褒めてこられると相手の褒め言葉に疑問を感じるのは自然なことです。

また、あまりにも褒め続けられていると、「ひょっとして褒めたらすぐに喜ぶ単純で幼稚な人だと思われているのではないか?」と侮辱されているような気持ちを感じることもあります。

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皮肉っぽい人だと思われる

教育の場だ「短所を長所に言い換えて、前向きな気持ちになるように育てましょう」という方法で指導することがあります。

もちろん、普段から自己肯定感が育ちにくく、自分の短所を指摘されることが多い人がまず自信をつけるために、ネガティブなことをポジティブに言い換えて接することには一定の効果があると思います。

しかし、ある程度自信のある人や親しい人から、自分の短所を直接指摘せず、長所に言い換えて褒められるのは、どこか回りくどく皮肉っぽい人だと思われる原因になります。

皮肉の例としてよくネタに挙がるのが京都人の話し方。

お隣に住んでいる人のピアノが下手、そしてうるさいことを直接指摘するのは憚られるので「お隣さんはいつもピアノでユニークな曲をよく練習してはりますなぁ…コンクールでええ賞を狙えるんとちゃいますか?」と、暗に指摘するのがいい例です。

相手への気遣いからくる言葉かけなのですが、遠まわしに批判してくる意地の悪さ、直接的な表現を避けて自分の体裁を守ろうとする心理が見え透けて、不快感を与えてしまう原因にもなります。

もちろん、相手と喧嘩や口論をしないためにも「皮肉として褒める」というテクニックは有効ですが、皮肉が多いと自分の評判を下げてしまことにつながります。

褒めた相手が調子に乗り巻き添えを食らう

褒め殺しはもともと褒めて付け上がらせて相手をダメにしてしまうために行われていたもの。ダメにするためには褒めていい気にさせる、調子に乗らせるという課程が必要なのです。

ですが、調子に乗らせる課程で、相手の言動に巻き込まれることもあり、相手がダメになった時に自分も道連れになるというリスクもあります。

例えば、仕事で新規事業を行う場面で、リーダーを褒めていい気にさせたことで勝手に自分の承諾を得ないのに大役を任される、自分のプライベートにまで踏み込んでくるなどの面倒事に巻き込まれてしまうのがいい例です。

ちなみにですが、褒めるという似た言葉として「おだてる」がありますが、漢字で書くと「煽てる(煽てる)」となります。

「煽る(あおる)」という読み方でもわかるように、煽てるのは人を扇動させて調子に乗らせる、ますます調子づかせて煽てたとおりに行動させるように仕向けるという意味でも使われる

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褒める事とアロンソンの不貞の法則

褒める事に関する心理学用語として、社会心理学者アロンソンが提唱した「不貞の法則」があります。

不貞の法則とは、褒め言葉は馴染みのある人よりも馴染みのない人、初対面の人からの方がより効果的であるという法則のことです。

不貞の法則は恋愛の場面で、長年付き合っている恋人よりも、新しく出会ったタイプの人から優しい言葉をかけられている気持ちが揺らいで浮気する…という場面で使われる言葉です。

もちろん、恋愛だけでなくいつも合っている人ではなく初対面の人から褒められると、つい舞い上がってしまうことはよくあるものです。

例えば、クリエイターが個展を開催してファンと交流するときに

  • 作品を見てあなたの作風に惚れました!
  • 初めて見た時から、すごいセンスを感じていました!
  • ネットの印象よりもだいぶ違って驚きました!

などの褒め言葉を言われて、褒められる方は初対面の人からの褒め言葉で喜びが増す。

そして褒める方は自分の第一印象を良くして顔を覚えてもらいやすい、というまさにwin-winの関係はよく起きるものです。

(もちろん、ネットではなくリアルの世界で、それも初対面でいきなり否定的な意見を言うのはさすがにリスクが高いので、大抵の人はやらないものですが…)

ネット上という顔や表情が見えないコミュニケーションとは違い、リアルの人間関係はそれらの情報も複合して褒めてくれるので、褒め言葉の効果も強くなります。

しかし、初対面で褒めてくれたと言って舞い上がっているからこそ、相手の褒め言葉が実は社交辞令にすぎず、自分に都合のいい思い込みを相手に抱いたり、気分をよくして自分の技術を磨かない…という事になってしまうのは避けたいものです。

相手に褒め殺す気がなかったとしても、普段から褒め言葉に敏感に反応しやすい、承認欲求に飢えていて褒められたい、尊敬されたいという気持ちが強い人ほど、相手の褒め言葉を都合よく解釈したり、過度な期待を相手に求めたり、「褒めてくれない人はみんな敵だ」と極端な見方をしないことが大切だと思います。

国立大教育学部卒、専攻は心理学。発達心理学、教育心理学、スポーツ心理学、社会心理学を中心に心理学に関する記事を執筆中。そのほかにも、人間関係やコミュニケーション、性格、スマホ、SNS、ゲームなどのあらゆるテーマを心理学の知識を用いて詳しく、面白い記事を書くことを心がけております。

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