「どうせ自分なんて…」「やっぱり私なんて…」と不安や自信のなさを口にすることを弱音を吐くといいますね。
例えば、受験の時に「私の学力ではきっと落ちてしまう気がする…」と、弱気になってしまうことが弱音を吐くいい例ですね。
一般的に弱音を吐くことはあまりポジティブな行動とは思われませんし、弱音を吐かれることでチームワークを乱したり、周囲のモチベーションを下げてしまう原因にもなります。
しかし、弱音を聞く法は単に弱音で吐いた言葉の表面的な部分しか見ないことが多く、弱音を吐くに至った背景や心理について深く知れば、相手を心から勇気づけたり不安を取り除くことができるようになります。
また、自分が弱音を吐くときに、弱音を吐いてしまう心理を知っておけば、ストレスや不安への上手な対処法を知る手掛かりとなります。
今回は弱音に関する心理と対処法についてお話いたします。
弱音を吐く人の心理と対処法
弱音を吐く人の心理は様々ですが、よく調べるとある程度に共通点があります
ではどんな共通点があるかについて、詳しく説明していきます。
喝を入れて欲しい
口では弱気な事を言っているけど、本当は
- 「もっとしゃきっとしなさい!」
- 「もっと胸を張って堂々とすればいい!」
と喝を入れて欲しいときに弱音を言うことがあります。
弱音というのは精神的にちょっと弱っているときに、出てしまうもの。だから弱っているときに喝を入れて、弱気な自分を叱咤激励して叩き直して欲しいという心理が隠れていることもあります。
本当に困っていて解決策やアドバイスが欲しい
どうしても仕事がうまくいかない、勉強で壁にぶち当たってしまったなどの困った場面が出てきたときに、具体的な解決策やアドバイスを求めるために弱音を吐くことがあります。
この場合は、しっかりと悩みや困っている事を分析して、アドバイスを考えるのが重要で、漠然と「頑張れ!」と励またりや応援するのでは、弱音を吐いた人にとっては物足りなさを感じる原因になります。
例えば、あるスポーツの指導している生徒が、ある練習で壁にぶち当たったときに「自分にはこの練習は無理だ」と弱音を吐いたとします。
その時に励ましのつもりで「そんなことはない!」「あなたならできる!」とアドバイスをしても、生徒はどう反応したらいいのか困ってしまいますよね。
気合やガッツ、根性論でなんでも頑張ってこれたタイプの人が、指導の際に教えて生徒と意思疎通できなくなるのはこのパターンがよく見られます。
そうならないためにも、練習のどの部分(例えば技術面、精神面、体力面、筋力面など)で困っているのかか、そしてどうすればその問題を解決できるのかを具体的に調べて、より効果のあるアドバイスをすることが大事です。
ただ叱咤激励するよりも時間や手間はかかりますが、うまくいけば自信が付いたり、自分の得意・不得意を知って成長できるいい機会となります。
なお、いいアドバイスを心がけたい方は「余計なお世話と思われてしまう言い方になるアドバイスの仕方とは」を読むのがおすすめです。
優しい言葉をかけて欲しい
弱音を吐く理由は叱咤激励や具体的なアドバイスが欲しい…というばかりではありません。
弱音を吐いていたから叱咤激励したのに、どこか不満そうな反応がかえって来た…という経験はないでしょうか。
この場合は叱咤激励ではなく、ただ優しい言葉をかけて欲しい、その言葉で不安な気持ちを少しでも晴らして欲しいと考えている事があります。
とくに、真面目な性格で人に頼るのが苦手な人だと、ストレートに優しくして欲しいと言えず、弱音を吐くという回りくどい方法で優しい言葉をかけて欲しいという気持ちを伝えようとすることがあります。
同情や共感を求めている
弱音を吐くという行動には、自分の辛さや苦しみに対して同情や共感を求めたいという意図が隠れていることもあります。
弱音を吐くときの多くは不安に押しつぶされそうな時であり、人間は不安を感じるほど、誰かと一緒にいたいという親和欲求が強くなるものです。
親和欲求が強まった結果が「弱音を吐く」という行動として現れ、誰かに共感や同情をしてもらうことで不安を紛らわせようとしているのです。
自分の努力や頑張り方に疑問を感じている
仕事や勉強で自分のやり方が本当に正しいのだろうか、この努力の方法で間違っていないのだろうか…という漠然とした疑問を感じた時に、弱音を吐くことがあります。
とくに努力してもなかなか目に見える結果がでず、自分を信じる気持ちがゆらいで精神的に不安定な気持ちに襲われた時ほどよく見られます。
この時は、弱音に対して同調や同意をしてしまうと、その言葉に影響されて「やっぱり自分のやり方は間違っているのでは」という疑念を確信に変えてしまうことがあります。
例えば受験勉強の時に、参考書を使って勉強しているけど、成長の様子がまだ点数や偏差値に反映されないときは、本当にこの勉強法で合っているのか?と疑問をもつことがよくあります。
もちろん、何周も参考書で勉強しているのに成績が横ばいなら改善しなければいけませんが、まだ参考書が1周目を終わったばかり、あるいは1周目の途中ならば、ひとまず疑問を横に置いて、しっかり2、3周やりきる事に集中するようアドバイスをすることが大事です。
弱音を吐くことで仲の良い人への応援を求めている
このケースは男性よりも女性に見られるケースです。
例えば
- 「あ~もう、ホントに全然ダメ」
- 「この仕事絶対に失敗しそうで憂鬱」
と弱音を吐いた後に、
- 「そんな事ないよ、○○ちゃんならできるって!」
- 「私も手伝ってあげるから一緒に頑張ろうよ!」
と、阿吽の呼吸のようにすかさず応援が入る連係プレーは、女性同士の何気ない会話でよく見られます。
この時の弱音は、あくまでも本当にダメだと思って自己卑下しているというよりは、ちょっと助けが欲しい、ちょっと自信がなくて不安だということを周囲にアピールしているものなので、そこまで深刻に捉える必要はあまりありません。
また、ここで重要なのは、仲の良い人への応援であり、不特定多数の人に弱音を吐いているように見せて、実はどうでもいい人からの応援は受け付けていないという点です。
適度に空気を読まねばならず、また空気の読み合いで誰からも応援がこないという、かなしいオチになることもあります。
そうならないためにも、もしも本当に助けが欲しい場合なら、メールやメモなどの感情ではなく文章で訴える方法を助けを求めるようにするのがいいでしょう。
弱音を吐くのは人を不愉快にさせるのか?
弱音を吐くという行為は、吐いている側は弱音を履けてスッキリできる一方で、好きでもない弱音を聞かされている側はストレスを抱える原因になります。
もちろん、直接自分への悪口や不満を言われていない場合でも、弱音を聞くだけでイライラしてくる経験をした人は多いはず。
これは、人間の脳の情報の捉え方の性質によるもので、人間は自分に起きたことと自分に関係のないことの区別ができず、たとえ自分に関係のない弱音や不満といったネガティブな話でも、まるで自分に弱音や不満が向けられいているように感じてイライラするのです。
弱音を聞けば聞くほどイライラして「そんなことで弱音を吐くな!」「もっとメンタルを鍛えろ!」とカッとしまうのは、脳の性質が影響しているのです。
弱音は我慢すればいいというわけではない
しかし、かと言って「弱音は吐くな!自分の中で押さえ込むようにすべき!」とするのが決していいとは言えません。
弱音をずっと我慢し、悩みや不満を一人で抱え込んでメンタルを病まれてしまうのは避けなければいけません。
まじめで責任感の強い人ほど、弱音を出さず淡々と仕事をこなせる能力がある一方で、ある日突然燃え尽き症候群になったように、スウッとやる気が失せてモチベーションが急落してしまうことがよくあります。
「辛い」「疲れた」「だるい」などの弱音を我慢し続けるのはストレスを抱え込むこととなり、抱え込んだストレスに耐えられなくなれば、心身の健康に悪影響がでます。
弱音は確かにあまり聞きたくないものかもしれませんが、弱音を言われてもそのことに対して条件反射で否定せず、弱音が出た背景詳しく聞いたり、どういう言葉や反応が欲しいのかを調べていくのが重要です。
弱音を吐いてくれたことはピンチではなくチャンスとも見れる
また、なかなか言えない弱音を打ち明けてくれたということは、それだけ自分に対して信頼感や親近感を持ってくれたとも見ることができます。
なので、まずは弱音を吐いた相手をストレートに否定せず、どうして弱音を履いたのかを聞いたり、背中を押してサポートする側に回るなどの行動をとる事が大事になります。
とくに仕事や場面で誰かの弱音を聞くことは、普段ならなかなか聞くことができない人間関係や仕事の悩みを知ったり、相手の考え方の癖などの重要な情報を知ることができます。
弱音を吐く状態はまさにピンチのように思えますが、弱音で分かった相手の考えや要求を仕事に活かせば、仕事の質やスキルの向上へとつながります。
もちろん、同情や慰めが欲しいという場合でも、まずは共感をすることで相手に安心感を持ってもらう。その後、気持ちが落ち着いたら優しく背中を押す言葉をかける…という具合に、弱音をうまく利用してチャンスへとつなげましょう。
弱音を吐くのは集団の士気が下がるとしてタブー視されることが多いですが、時々弱音を吐いて休みつつも長い目で見れば着実に右肩上がりに成長できる、という仕事の仕方やコミュニケーションを身につけていくんは、ストレスが多い今のご時世では大事だと感じます。
また、もしも弱音ばかりで困っている人は、ストレスについてうまく処理する能力である、ストレスコーピングを身に付けるのも効果的です。
ストレスコーピングについては「ストレスと上手に付き合う「ストレスコーピング」の種類とやり方」で詳しく解説していますので是非ご覧下さい。