自分ではアドバイスをしているつもりなのに、その意図が相手にしっかり伝わらず、かえって相手を怒らせてしまった、自分のいうことを聞かないという経験をしたことはないでしょうか。
相手が喜ぶために、相手の役に立てるようにと善意からのアドバイスであっても、そのアドバイスの伝え方次第では、しっかりと聞いてもらえないどころか、気分を害して仲が悪くなる原因にもなってしまいます。
アドバイスが好きな人でよくあるのが、アドバイスが余計なお世話、お節介、押し付けがましいと感じられる言葉になっているケースです。
今回はそんな残念なアドバイスになってしまう人が使う言い方について説明していきます。
余計なお世話だと思われる人がよく使うフレーズ
もっと○○したほうがいいのに。
使用例
- 「もっとSNSやブログで使って情報発信をしたほうがいいのに」
- 「筋トレすればいいことがあるから、筋トレしたほうがいいのに」
効率や生産性を重視する、意識が高い人がするアドバイスのフレーズの一つです。
誰かにアドバイスを求めている人にとっては、「もっと○○したほうがいいのに…」と今まさに自分が悩んでいることを復唱するような言葉ではなく、「どうしたら○○できるのか」というヒントを欲しがっていることが多くあります。
筋肉を鍛えたい人に対して「もっと筋トレをすればいいのに」というアドバイスは的外れですね。聞きたいのは「どうしたら筋肉が鍛えられるのか」という筋トレの知識やテクニック、モチベーションなどについて説明する具体的なアドバイスです。
「○○したほうがいいのに」という言葉をよく繰り返す人は、案外その「○○」について詳しい知識がなく人に説明できないので、的外れなアドバイスになっていることが多々あります。
誰かにアドバイスをするためにはしっかり知識を身につけてて熟知しておくことを忘れないようにしましょう。
○○するなんてもったいない。
使用例
- 「ただ漠然と会社員になって働くのなんてもったいない」
- 「大学生活をなんとなくサークルやバイトで過ごすのなんてもったいない」
他人が使っている時間、金、労力などについてアドバイスをしたい人が使うフレーズです。
会社員で漠然と働くことや、サークルやバイトで過ごす大学生活を無駄なものと決めつけて、もっと生産的なものに時間を有効活用するべきだ、という高い理想を他人にも押し付けるので、アドバイスではなく余計なお世話と思われやすくなります。
アドバイスをする人から見れば時間やお金の無駄のように見えても、当の本人にしてみれば非効率的で無駄な生活に価値や充実感を感じていることもあり、何が無駄で何が有益かは人によって違うということを覚えておきましょう。
また、なんでもかんでも無駄をなくしたい、効率的に進めたいという人は完璧主義に陥りやすく、到底達成できそうもない高すぎる目標を立ててストレスを抱え込んでしまう傾向もあります。
○○するぐらいなら■■したほうがいいのに。
使用例
- 「ゲームをするぐらいなら勉強に時間を使ったほうがいいのに。」
- 「恋人も作らず独身でいるぐらいなら、お見合いでもして誰かと結婚したらいいのに」
何かを比較して否定した上で、相手に行動を促すときに使われる言葉です。
何かを下げて何かを持ち上げるというテクニックは、今まさにゲームを楽しんでいる、独身生活を楽しんでいる人にとっては、余計なお世話、お節介と感じる人は少なくありません。
普通に、「勉強・お見合い・結婚したほうがいい」と言うよりも高圧的で、アドバイスを受ける側の視点に立っていない言葉なので、共感も得にくくアドバイスの効果も低くなります。
アドバイスをするのなら、相手の状況や目線に立つ想像力を働かせなければいけません。
「○○するぐらいなら■■したほうがいいのに。」というアドバイスは、相手の目線にたたず、あくまでもアドバイスをする自分の目線や状況から出てきた言葉なので、注意が必要です。
どうして○○しないの?
使用例
- 「どうして筋トレしないの?」
- 「なんで、投資をやってないの?」
高校の古文や漢文で習った記憶もあると思う「反語表現」を用いたセリフです。
「どうして○○しないの?」と、相手に疑問を投げかける言葉を行ったあとに、「○○するべきだ!」と強い肯定の主張が続くお決まりの表現です。
言う側は純粋な疑問や不思議から使っているつもりでも、受け取る側は「○○してない自分はひょっとしておかしい?」「○○していない自分は変なの」と自分を否定されと感じてしまうことがあります。
「○○するべきだ!」のよう、強く主張すると角が立ってしまうのを恐れて、なるべくやんわりと相手の気分を害さない時には有効なフレーズですが、口に出していないだけで強い肯定の意があるフレーズです。
掴みどころのない性格の人や、飄々とした人、自然と相手を見下す人ほど、「どうして○○しないの?」と煽るように言い、やんわりと相手を否定しつつ自分の意見を押し付けるので面倒な人と思われやすくなります。
「本当は○○している自分を認めて欲しい、すごいと言ってほしい」という承認欲求が強い人も、このフレーズをよく使います。
迷ってるなら○○するべきだ!
使用例
- 「独立しようかどうかで迷うぐらいなら、さっさと独立するべきだ!」
- 「うだうだ悩むぐらいなら、とにかく行動しろ!」
就職や進路などのその後の人生を大きく左右する場面で悩んでいる人に対して、つい「○○するべきだ!」と人生の先輩として言ってしまうのは少なくないと思います。
しかし、このアドバイスをした人は悩みについて責任を取れる立場でないのなら使うのは控えたほうがいいでしょう。
「○○するべき」という強い主張で迫られると、周囲からの圧力に弱い人や、雰囲気や勢いに流されやすい人は、急かされたと感じてよく考えもせず大切な人生の決定を早めてしまうことがあります。
もちろん、勢いで決めたこと(独立なり受験なり)がうまく行けばいいのですが、途中で挫折した時に、急かすようなアドバイスをした相手に対して恨みや怒りを抱くようになります。
自分で自分の人生を選択せず、その時の勢いや周囲の圧力に屈してしまった自分を恥じず
もちろん、「迷うよりもまずは行動する」ということは大切ですが、あくまでもそれは自分自身の進路や就職やなどに向けての言葉であり、誰かの人生に対して無責任に外野から言う言葉ではありません。
迷ったり悩んだりすることは決して悪いことではなく、それだけ自分自身と向き合っている証拠でもあります。悩みを通して、自分のコンプレックスを解消したり、同じ悩みをしている人の支えになることもできます。
○○してあげる
使用例
- 「君のことを応援してあげる」
- 「勉強を教えてあげる」
「○○してあげる」というアドバイスの言い方は、相手の能力を過小評価している、自分のほうが立場が上であるというニュアンスを含んでいます。
上にあげた例の場合…
- 「(人気がないから) 君のことを応援してあげる」
- 「(勉強が苦手みたいだから) 勉強を教えてあげる」
という隠れた意味が込められていると考えることができます。
また、目上の人に対して「○○してあげる」と言うのは、どこか小馬鹿にしている、相手を認めていない、タメ口のように聞こえて失礼にあたる言葉になりますよね。
もちろん、普段から仲が良い人同士でなら問題はありませんが、繊細な人だったり男女間の関係だと、「○○してあげる」という言葉を見下しやマウンティングだと感じる、自分のことを軽く見られていると感じることがあります。
プライドが高く人と比べたがる人や、誰かにアドバイスをすることで承認欲求を満たそうとする人ほど、「○○してあげる」というフレーズをよく使う傾向があります。
アドバイスは相手の目線に立たなければ余計なお世話になる
誰かにアドバイスをするためには、まず相手が聞きたいことについて勉強し、知識を身に付けることが肝心です。
その上で、相手の立場や状況を想像して、相手に伝わる、共感が得られるように言葉を吟味していくことが大切です。
よくアドバイスが下手な人にあるのが、普段から上司・先生・コーチという上の立場で考えたり行動しているために、アドバイスを受ける側の部下・先生・部員の目線に立っていないズレたアドバイスをしているというケース。
また、自分からアドバイスを受ける側の立場で考えることを自分のプライドが許さなかったり、歩み寄ることが下手でいつも上から下への一方通行の押し付けがましいアドバイスになっているということもあります。
アドバイスもコミュニケーションの一種であり、キャッチボールのように相手の反応や意見、主張が返ってこないようであればコミュニケーションとは呼べません。それでは講演会やスピーチと同じです。
相手のためを思ってアドバイスをしたいのであれば、会話意外にも手紙や日誌などの文字を使って行うという方法を試してみるのもいいでしょう。