プライドが高い人の特徴として、他人に物事を説明するのが下手というものがあります。
- 聞く側の知識レベルを無視し、自分基準の説明に徹してしまう。
- 難解な専門用語や横文字を多用し、わかりにくい説明をしてしまう。
- 話を脱線させて必要な説明以外の話題につい熱くなってしまう。
- 「こんなことわざわざ言わなくてもわかるよね?」と、やらなくてもいいマウントをすると同時に、説明放棄をする。
- ダラダラと長く説明をする割には、要点が見えない。長ったらしくてぼんやりとした説明になってしまう。
- 説明に対する疑問や質問を受け付けようとしない。ひどく嫌う。
など、説明の仕方そのものから、説明に関するコミュニケーションに至るまで、どれも上手といえない説明をしてしまうことがよく見られます。
今回はどうしてプライドの高い人が、このような説明下手になってしまうのかについてお話しいたします。
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目次
自分に対する特別意識の高さのせいで、説明するときも特別感を出すことに夢中になる
プライドの高い人は「自分は特別である」という特別意識を強く持っていることがよくあります。
ここでいう特別意識とは、例えば
- 学力、記憶力、運動神経などの自分の能力が優れている
- ある特定の分野において深い知識や経験を持っている
- 役職や肩書きなどの社会的な地位を持っている
などからくる、自分を誇りに思う事と同じです。
しかし、特別意識が強すぎるあまりに、他人に対して自分のプライドの源となっている分野の知識を説明する時も「特別な自分」をアピールすることばかりに夢中になってしまい、結果として下手な説明をしてしまうのです。
あえて難しい言葉を使ったり、長ったらしい話をするのも、そうすることで「自分はこの分野の玄人である」と暗にアピールし、尊敬や賞賛の言葉を得ることばかりに夢中になってしまうのです。
相手の知識レベルに立った説明をして理解を促すことよりも、説明を通していかに自分が賢い人間であるか、優れている人間であるかを示すことの方に熱意を注いでしまっているために、なんとも残念な説明になってしまうのです。
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プライドの高さゆえに自分より下の立場の人に合わせる事に苦痛を感じてしまう
プライドの高い人にとって、あえて相手の知識レベルに合わせて説明をすることは、言い換えればお高く止まっている自分を否定すること、ひいては自分の人格や人間性までも否定されているかのように受け止めてしまうことがあります。
わざわざ格下だと見下している相手の目線まで、自分の目線を下げることは、特別な自分を手放すあってはならない状況だと考えてしまうからこそ、何がなんでも自分の視点から一歩も動かない、自分本位な説明の仕方にこだわってしまうのです。
むしろ、自分の説明する技術の拙さを棚に上げて「私の説明を理解しようとするぐらいの熱意を見せなさい」と、傲慢な態度を取り、ますますプライドの高さのみが高くなってしまうのが困りものです。
また、言い方は悪いですが、いわゆるアホな人を相手にして説明する事そのものに対して「自分はアホな人を相手にしなきゃいけない程度の平凡な人間なんだ」と、自分の特別意識を打ち砕かれる気分を味わうからこそ、下の立場の人に対して説明する事を拒むこともあります。
特別意識が高いからこそ、アホな人よりももっと優秀で賢い人を相手に説明する役回りの方が自分のプライドを傷つけずに済む。
ただし、賢い相手ばかりを好む傾向は後述するように、実は「自分の説明する技術が拙い事を隠しておきたい」という思惑が影響しているとも考えられます。
本当は他人に上手に説明する技術が乏しい事を隠しておきたい思惑があることも
そもそも他人に説明する技術がお世辞に優れているとは言えない。そのことをうっすら自覚しつつも、自分の後輩や部下に対して説明をする場面が必要になった時に「言われなくてもわかるでしょ?」というような、説明放棄とも解釈できる言葉で乗り切ろうとします。
しかし、説明放棄をしても、いわゆるアホな人は「なんでですか?」「言ってる意味がわかりません?」と更なる質問を繰り出し説明を要求してくるので、プライドの高い人からすれば非常に困りものです。
説明を求められれば求められるほど、自分の説明する技術の低さを露呈せざるを得なくなり、恥をかきプライドを傷つけてしまうおそれがある…だからこそ、アホな人を避けようとするのです。
一方である程度賢い人は「言われなくてもわかるよね?」と言えば、自身で察してくれたり、自分で調べたり他の人から説明を受けるなどの方法で、自ら理解しようと動いてくれる。説明を要求されてヒヤヒヤしなくても済むからこそ、好都合な相手なのです。
なお、説明下手な人が職場や教育の場で放置され続けるのは、比較的賢くて他人から説明されるのを待たなくとも、自分で調べて解決出来るだけの頭脳を持つ人が集まっているために、説明下手さが問題にならないまま放置されているのです。
もちろん、賢い人ばかりの集団で構成されている限りにおいては、問題が顕在化することは、まずありませんが、いざアホな人が入ってきてしまうと、途端に説明下手さが明らかになり、プライドが傷つけられ大きな苦痛を味わいます。
(もちろん、ここで相手の知識レベルに合わせられれば、苦痛を和らげられるのですが、上述したように相手に合わせることそのものに苦痛を感じる性質があるので、上手くいかないことも多い。)
説明の節々に自慢を挟んで脱線してしまう残念な説明になることも
説明がやたら長い、話が脱線して不必要な自慢や自分語りをしてしまう…という残念な説明も、プライドが高い人にはよくあることです。
何度も言うように、自分への特別視が強いあまりに、相手の視点に立ってわかりやすい説明をする事よりも、いかに自分は優れている人間なのか、尊敬や賞賛を浴びるに値する人間なのかを延々とひけらかすかのような説明に陥ってしまうために、脱線が日常茶飯事な説明になるのです。
また、自慢をするにしても
- 他人を低く評価して、相対的に自分を高く見せる。
- 説明する相手を軽視した失言をしてしまう。
- 「これくらい当然知ってるよね?…え!知らないの?」
- 「私が君の年齢ぐらい時だったら、これぐらい知ってないと恥をかいたよ」…など
と、マウントを同時に行い、相手に不快感を抱かせるようなイラッとする傲慢な説明をしてしまうことから、説明下手という印象が染み付いてしまうのです。
なお、傲慢な態度であっても上司や先輩などの格上の立場である以上、説明を受ける側の部下や後輩の立場にいる人は、その説明に対して指摘しにくく、改善されないまま放置されてしまうのがなんとも厄介でしょう。
ましてや普段の行動からプライドのみの高さを感じ取っていれば、よけいにそのプライドを傷つけるような発言をすれば、単純に相手を怒らすだけでなく、「立場に物を言わせて嫌がらせをしてくるのではないか?」と恐怖を感じることもあるでしょう。
そんな恐怖を味わうぐらいなら、説明下手な相手であっても受け入れことを選ぶ…そんな、迫り来る嫌な状況同士を天秤にかけて、まだマシな方を選ぶことに葛藤を抱いている人は、きっと少なくないと思います。
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