仕事で本音を言わない人が生まれる原因について

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仕事において、相手の本音が見えて来ず、上手くコミュニケーションが取れないことで悩んでいる…という人はきっと多いことかと思います。

報連相でもそうですが、しっかり本音で言ってくれないと伝わらないことも伝わらないし、本音で話してくれないからこそ、こちらも相手に対していい感じのアドバイスや指示がしにくいものです。

そんな本音を言ってくれない人と関わっている人だと、何としてでも本音を引き出そうと躍起になって心理学に関する情報を調べたり、反対に「本音を言わない程度の仕事しかやらない、程度の低い人間だ」と切って捨ててしまうことも、ひょっとしたらあるかもしれません。

しかし、本音を言わない人を見ていく場合、ただその人の性格や気質にのみ着目して、本音を話すように迫るだけでは不十分です。

ただ純粋に、本音を聞きたがる人や組織に信頼感がないからこそ、本音で話す気力すら起きない…という、身も蓋もない理由があるからこそ、本音を語ろうとしない状況があるかもしれなません。

今回は、そんな職場で本音を言わない人が生まれる原因や心理について、お話しいたします。

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本音を言わない人にのみ本当に原因があるのだろうか?

冒頭でも触れていますが、「本音を言ってくれなくて困っている…」と悩んでいる人は、つい本音を言わない人の性格や気質に原因があるとして、考えてしまうケースが目立ちます。

こうした、相手の行動(この場合は本音をいわないこと)の原因が相手にあると捉えてしまうのは、心理学では行為者・観察者バイアスと呼ばれており、人間なら誰でも持つ物の捉え方の偏り(=バイアス)です。

本音を言ってくれない人で頭を悩ませている人は、ます、自分がこのバイアスを持っていないかについて自分を振り返ってみる。

つまり「本音を言わない原因の全ては当の本人にあるに違いない」と決めつけていないかについて、自分で自分を客観的に見ていくことが大事なのです。

また、自分を客観的に見る他にも、相手の立場に立ってみてどうして本音を言わないのかについて想像してみることもまた、自分が無意識のうちに抱いているバイアスに自覚するきっかけとなります。

どちらも、言葉にすれば簡単ですぐできそうに見えますが、意識しないとなかなかできないもの。逆に言えば、意識しないと自分の物の見方の癖に気づけない事こそ、バイアスの怖さとも言えます。

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本音を言わない人が出てくる心理的な原因・背景

ここからは、行為者・観察者バイアスの他にも、本音を言わない人が出てくる原因・背景について、心理学を交えて説明していきます。

「本音を言え」と「建前を使え」と、矛盾する接し方をしている人がいる

本音を言えなくなる原因としてあるのが、普段から「本音を言え」と「建前を使え」という矛盾した言葉や態度を取っていることが考られます。

人間は相反する二つの言葉を言われたり、態度をむけられると、精神的な負担を感じやすくなるとされています。

これは、心理学ではダブルバインド(二重拘束)と呼ばれ、矛盾したメッセージを投げかけられたがために、受け取る側は相手の真意が読み取れずに固まってしまう。つまり、本音を言えなくなるのです。

なお、そもそも仕事という状況そのものが、本音と建前の両方を上手に使うことが求められるために、つい「本音を言え」or「建前を使え」と矛盾した言葉や態度をとってしまうことが多いものであり、決して矛盾した態度を取る人のみに原因があると考えるのは間違いと言えます。

本音を言えないほどに、同調圧力が強い組織である

ワンマン社長のように職場内で強い権力・影響力を持っている人がいると同時に、権力者に対して皆一同に賛成の意見を示している…というように、集団内の同調圧力が強すぎる状況も、本音が言えない人が出てくる原因の一つです。

迂闊に権力者と違う意見を表明して、集団内で自分の居場所を失う不安に怯えたくないからこそ、集団の中で多くの人が従っている主義・主張、その場の雰囲気・流れに乗ったほうが無難…という考えが、同調圧力を生む土壌となるのです。

なお、同調圧力といえば聞こえは悪いですが、ポジティブな言葉に変換すれば「絆」「一体感」「チームワーク」「協調性」とも言い換えられます。

集団としてある程度まとまりを持つことは大事ではありますが、その負の側面として同調圧力が高まり、誰も本音を口にしなくなるほどに集団が凝り固まってしまうのです。

当事者意識が欠如し、傍観者ポジションをとっている人が多い

「誰かが本音を言ってくれなきゃいけないけど、自分ではなく他の誰かがそのうち本音を言ってくれるだろう」と当事者意識のない、傍観者の立場で物事を見れる環境があることもまた、本音を言わない人が出てくる原因と言えます。

これは、傍観者効果と呼ばれ、端的に言えば集団全体が見て見ぬふりをして、当事者意識を持てない傍観者のポジションになってしまう現象を指します。

なお、仕事に対する当事者意識がなくなる原因として考えられるのが、自分の仕事が一体どういう場面で効果を発揮して、どういう人から喜ばれていて、どういう人から需要があって…など、自分のしている仕事がどのように役立っているかわからないことがあります。

自分の仕事が他の人や集団とどうつながっているのがわからないからこそ、仕事はしているけど当事者意識が持てない状態になるのです。

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「本音を言っても無駄」だと感じている

  • 本音を言っても聞き入れてもらえず相手にされなかった。
  • 「本音を正直に言え」と言われたので言ったら怒られた。

など、「本音を言っても無駄」だと学習した結果として、本音を言わなくなっていることもありえます。

この状態は心理学では「学習性無力感」呼ばれ、その名のとおり「○○しても無駄」と学習して、無力になっている状況なのです。

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無理やり本音を聞き出そうとプレッシャーをかけている

本音を知ろうとする側が、妙にプレッシャーをかけてくることもまた、本音が言えなくなる原因になります。

これは「心理的リアクタンス」と呼ばれ、人は自分の持つ自由が脅かされそうになった時に、その自由を取り返すべく反発することを指します。

「興味がないなら絶対に見ないでください!」という広告を見ると、つい見ようとしてしまうように

  • 「○○してはダメ」と言われる→○○したくなる
  • 「○○すべきだ」と言われる→○○する気が失せる

と、天邪鬼な態度をとってしまうことが、心理的リアクタンスです。

これを踏まえると、しつこく「本音を言え」と言われれば、「本音なんか言いたくない」と反発してしまうのも、至って自然な反応と言えます。(余談だが、恋愛においてしつこい性格の人が嫌われるのも、心理的リアクタンスが原因であると考えれば腑に落ちるものがある)

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本音を聞きたいのなら、まずは本音を話しやすい環境を用意してみる

もしも、部下や同僚から本音を言ってもらえるようになりたいのであれば、まずは自分から本音を話しやすい雰囲気を作っていくことが欠かせません。

その時に心がけたいのが、本音を言う側が「この人なら、本音を言っても安心だ」と思われるように自分の態度を改めていくことです。

建前の仮面を外して、本音をしゃべってくれる相手によっては、自分が期待しているような意見ばかりではなく、中には自分が聞きたくなかった、知らなきゃよかった感じる、身に刺さる意見をぶちまけてくる人もいるかもしれません。

が、そこで相手を拒むような態度を取ってしまえば「本音を言ったけど、相手を不愉快にさせてしまった」という、苦い経験が残ってしまい、今後本音を口にしなくなることも起こりえます。

本音を聞きたいと願うのは簡単ですが、あらゆる本音を真正面から受け止めるのは難しいことでしょう。

しかし、「本音を喋ってくれるようになってほしい」と相手に対して強く感じているのであれば、自分の聞きたくない意見を拒まず、しっかりと受け止めることは欠かせません。

本音だけに辛辣な事を言われても「音」を上げないことが、重要と言えます。

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