自分のなりたいものや目標としている夢に突き進んでいる時に、その夢を壊そうとしたり邪魔をしてくる人のことを「ドリームキラー」と呼びます。
「ドリームキラー」を直訳すると、「夢を壊す人」となり、文字通り他人の夢の邪魔をするような人のことをいいます。また、「ドリームクラッシャー」と呼ばれることもありますが、こちらも意味はドリームキラーと同じです。
例えば、子供が「東大に行きたい!」と言い出した時に、「お前は学力がないから東大なんて無理だ」とか、「東大に行くなんて夢をみるよりも、自分の学力に見合った大学を選ぶほうがいい」という親や先生、友達や先輩のように、将来の夢を応援するのではなく、否定する言葉を言うような人は、ドリームキラーに当てはまります。
ドリームキラーによる否定や呪いのような言葉を受け続けると、やる気やモチベーションが下がってしまい、夢や目標が達成する確率が下がってしまいます。
もちろん、「途中で諦めるのはやる気や根性がないだけだ」というごもっともな厳しい言葉を投げかけられることもありますが、そういった言葉を受けることで更にやる気やモチベーションを削られ、ますます状況が悪化してしまうことがあります。
現在ではSNSやインターネットの世界が当たり前になり、今まで出会わないような人に出会えるようになっています。それにより、こういったアンチのような行動を取る迷惑なドリームキラーと呼ばれる人に、運悪く出会ってしまう場面が増え、自分の夢を諦めてしまう人も増えてきています。
今回はそんな人の夢の邪魔をする困った人「ドリームキラー」の心理や特徴、対策などについてお話します。
ドリームキラーの心理・特徴
ドリームキラーと呼ばれる人は誰かの夢や目標の邪魔をして、失敗や挫折させてしまう人です。
しかし、ドリームキラーと呼ばれる人が全員、「あいつの夢をへし折ってやろう」という明確な悪意で、わざと挫折させるような言葉を行っているのではありません。
ドリームキラーと呼ばれる人には、「善意からくるドリームキラー」と「悪意からくるドリームキラー」の2種類あります。
善意からくるドリームキラーの場合
善意からくるドリームキラーは、「夢に向かって挑戦する人が失敗して落ち込まないよう」という善意で接してきます。
上で書いた東大受験の例で言えば、「受験に失敗して浪人にならないように…」という思いから、「東大に行くなんて夢をみるよりも、自分の学力に見合った大学を選ぶほうがいい」とアドバイスをしたということになります。
基本的に善意のドリームキラーは、親や教師、友達や同僚、先輩・後輩や上司・部下のように、身近に付き合いのある人がなりやすいです。
身近な付き合いがあるだけに、「誰かが失敗したり落ち込む姿は見たくない」「誰かがチャレンジして失敗するのを未然に防がなければいけない」という正義感から、つい、夢を壊すような言動をしてしまいます。
また、善意のドリームキラーの人には、今の心地よい人間関係や状態が不安定になったり変化してしまうのを避けたいという気持ちから、夢を壊すような言動をする事もあります。
この心地よい人間関係や状態を「コンフォートゾーン」と呼び、そのコンフォートゾーンが崩れると、居心地の悪さや不安、恐怖を感じます。当然、そのような不快な空間にいるのはストレスになってしまいます。そのためストレスを回避するために、グループ内で誰かがコンフォートゾーンを脅かすような行動をした時は、その人に向かって自然と夢をあきらめさせるような発言をすることになってしまうのです。
ちなみに、少女漫画や恋愛ものアニメで、今までは中の良い友人だったあるグループ内でお互いに惹かれあう二人が出てきた場面で、その2人を阻止しようとする心理も、このコンフォートゾーンを維持したいという気持ちから気持ちからくるものと説明できます。
フィクションの世界に限らず、仲の良いグループであればこそ、変化するのは嫌だ、変わらずに居続けたいという気持ちが芽生え、人間関係の変化に敏感になり互いに空気を読み合い疲れてしまうという事はよくあります。
変化よりも現状維持を重視している人間関係や組織には、自分のコンフォートゾーンを守りたいという気持ちの強い人が多くいるということになります。
悪意からくるドリームキラーの場合
悪意からくるドリームキラーの場合は、夢に向かって挑戦した人が失敗して欲しいと思っている人のことです。
上に書いた東大の例で言えば、東大を目指して受験勉強を頑張ろうとしている人に対して、受験に落ちてほしいがために「お前は学力がないから東大なんて無理だ」と、こころない言葉を送ってしまう人のことです。
悪意のドリームキラーの人は、他人の挑戦する姿を見てを妬ましく思う、羨ましいと思う嫉妬心が強く、嫉妬心から他人の不幸を願ったり、不幸になる姿を見て喜ぶような人です。
善意のドリームキラーと違い、身近な付き合いの無い人に多いです。といっても、実際に身近な付き合いのある人で、そういった悪意を持って接する人と仲良くすることはまずないので、基本的に直接あったことのない人が大半です。
2ちゃんねるやtwitterのように匿名性の高い場所では、ひたすら挑戦する人にちょっかいを出し、挫折させることに満足感や喜びを感じる人が多くいます。他人の不幸で飯がうまいという意味のネットスラングの「メシウマ」という言葉が、ネットでよく使われるのも、悪意のドリームキラーの存在をよくあらわしています。
「他人不幸は蜜の味」という言葉にもあるように、他人の不幸を見る事で自分よりもレベルの低い人がいるという安心感が得られます。こういった自分よりも下の人がいる空間もまた「コンフォートゾーン」の一種で、挑戦を挫折させる言動は、そのコンフォートゾーンを維持させるために発しているということになります。
なお、人を見下すことによって得られる安心感は、自分に自信がない人が一時的に不安を抑えるために多用してしまいやすい安心感です。根本的な自信や自己肯定感が身につけないといけないのに、いつまでたっても自分よりも各下の人間探しに夢中になり、気が付けば時間と労力を無駄にしていた、ということになってしまいます。
また、身近な付き合いがある人でも、悪意のドリームキラーの人がいないわけではありません。
例えばここ数年で知られるようになった「毒親(どくおや)」のように、自分の子供の可能性を信じず、呪詛のように「お前はダメだ」「お前は才能がない」「努力するだけ無駄」「」という言葉を投げかける。兄弟と比較してどちらか一方を頻繁に叱り続けて、やる気や行動力を奪ってしまっているという親もいます。
親子のような切っても切れないほどの身近な関係であるだけに、「自分の子供には将来の伸びしろや可能性が無いということを、親である私はよく理解している」と間違って決めつけた上で子供に接してしまった結果、本当に子供の可能性の芽を摘んでしまっていたケースもあります。
また、友達のように見えて内心は嫉妬から足を引っ張ろうとしてくる、友達のフリをした敵という意味を持つ、フレネミーと呼ばれる存在にも注意しておきましょう。
ドリームキラーと出会ってしまった場合の対策
自分の夢の邪魔をするドリームキラーと出会ってしまった場合は、相手の言葉を真に受けないのが大切になります。
とくに悪意によるドリームキラーの人には要注意。ネットやSNSなら、ドリームキラーとの関わりを絶つ、ブロックやリムーブなどをするのが効果的です。
また、善意によるドリームキラーの場合も言葉を間に受けないこと。しかし、完全に相手の意見を否定しないようにして、適度な距離感をとれるようにしてみるのが効果的です。身近な関係で助けになりたいという気持ちがあるので、互いにコミュニケーションや相談を重ねることで、ドリームキラーから力強い味方になる可能性もあります。
もちろん、話し合った結果お互いに理解できないと感じた場合はなるべく付き合わないようにする。何か否定するようなことを言いそうな人の前では、夢や目標を語らないようにするというテクニックも効果的です。
また、ドリームキラーに運悪く出会ってしまい、やる気やモチベーション、自己肯定感が下がってしまっていると感じたら、それらを自分で回復させることも大切です。
例えば、ドリームキラーのせいで調子が悪い感じたら、一旦目標のハードルを下げて、しっかり達成できるようにして自己肯定感を高めていく、という感じに、目標設定を柔軟に変えてネガティブになりすぎないようにするのも工夫の一つです。
自分がドリームキラーにならないためにできる事
教師や親、コーチや上司のように、誰かの夢や目標をサポートする立場だったり、誰かを評価する立場の多い人は、知らないうちに自分の中で、「この人は、能力が低いから新しいことをさせても無駄」と決めてしまいがちになります。
しかし、新しいことをさせる前に可能性を否定するようなことを言ってしまっては、相手を過度に萎縮させたり自信を喪失させてしまい、本当に可能性の芽を摘んでしまうことになります。
何かに挑戦した結果、成功するか失敗するかは誰にもわかりませんし、決め付けることはできません。
人の上に立って指導や教育をする立場にいる人は、自分の価値観や思い込みで相手の能力を決めつけてしまわないように、常に相手の可能性を引き出せるようなコミュニケーションを取ったり、環境を整えるようにしましょう。