先延ばし癖がなかなか治らない理由、心理について

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やるべき仕事や課題に手をつけず、期限ギリギリまでやらない。あるいは、期限ギリギリにやったものの、結局期限に間に合わず自分の評価を下げてしまう。

このように、先延ばし癖は社会生活を送る上では厄介極まりなく、速やかに改善することが求められる癖の一種と考えられていることでしょう。

しかし、「先延ばしてはダメだ!」と思いつつも、すべき仕事や課題を放置し現実逃避に走ってしまうとことそのものに奇妙な楽しさを感じたり、やたら背徳的で不思議な高揚感を味わえるという魅力もあるからこそ、先延ばしをしてしまうことがつい癖になってしまう…。

そんな、わかっちゃいるけどやめられない的な心理については、読者の皆様もひょっとしたら共感したり、理解をできるものを感じることがあるやもしれません。

今回は、そんな先延ばし癖がクセになる理由、改善しづらい心理、背景などについてお話いたします。

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先延ばし癖が治らないのはメリットもあるから

冒頭でも触れたように、先延ばし癖は社会生活を送る上では支障になり、自分だけでなく他人にも被害が及ぶ。つまり、明確なデメリットがある癖と言えます。

しかし、一方では先延ばしをして、あえて別のことをする時間にそのものに、どこか充実感や安心感のような心穏やかな気持ちを感じるものでもあります。

また、人によっては「任せれらた仕事は、今の自分では難易度が高すぎる」と緊張感を覚えるものの、その一方で「もし今ここで先延ばししてしまえば、この緊張感から開放されて楽になれる」と感じる。その結果、束の間の安息というメリットを得るべく、先延ばし行動をしてしまうこともあります。

更に、人によっては「自分は追い込まれた方が、いいパフォーマンスが出せる確率が高い」とか「自分はラストスパートで結果を出すタイプだから」と自分のメンタル面の傾向を語り、堂々と先延ばしをしてあえて自分を不利な状況に追い込む人もいるものです。

これも、先延ばしによるリスクを高めるという否定的な見方もいれば、一方では追い込まれた方がやる気や熱意が湧き、自分好みの状況になるというメリットを理解している。そして、そのメリットを享受する意味で、先延ばし行動に出ていると言えます。

繰り返すように先延ばし癖にはデメリットがあるのは明白です。

しかし、一方では先延ばしをすることで、安心感や満足感、自分の能力の発揮しやすさなど、当の本人にとってメリットと感じる要素が含まれている。そのメリットを手に入れられる側面もあるからこそ、先延ばしは癖になりやすく、改善しづらいものになるのです。

ただし、韓国のハルラ大学の社会学者のリーによる研究では、先延ばし癖のある人が追い込まれた状況で、高いパフォーマンスを出せる状態(フロー状態)を経験することは少ないという、身も蓋もない結果が明らかに。

なお、これも見方を変えれば、グズグズして作業に取り掛からないことで感じる緊張や不安を「自分は追い込まれた方が頑張れるから」と自己正当化…もとい、言い訳できる材料が手に入るメリットがあるからこそ、先延ばししてしまうのだと考えられます。

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「先延ばししたほうがマシ」という状況が、先延ばし癖を正当化する

たとえば、あまりやる気が起きない面倒くさい仕事を上司から期限までにするよう命じられ、

  1. 命じられた仕事をやることで感じる苦痛や不安。
  2. 命じられた仕事をやらずに叱責されることで感じる苦痛や不安。

の2つの未来をイメージしたとします。

もしも、苦痛や不安の強さが「a>b」と感じられた場合、命じられた仕事をやらないことを選ぶ方がまだマシだと感じる。つまり、先延ばし行動をしたほうが感じる苦痛はマシだと感じてしまうからこそ、先延ばしをしてしまうのです。

なお、冷静に考えればやるべき仕事をしないとなれば、職場内での評価が下がってしまうだけでなく、「この人には仕事は任せられない」とみなされてしまうリスクがあります。

また、取引先など社外の人が関わっている案件ともなれば、会社の信用問題にまで発展してしまい、自分一人だけの苦痛や不安どうこうでは収まらない事態に発展する可能性もあります。

もちろん、そんな一大事になる不安と比較すれば、多少気が進まない仕事をやり遂げる方が感じる苦痛や不安は小さいので、(ちょっと先延ばしすることはあっても)期限内に間に合うように仕事を進めるのが自然でしょう。

しかし、なぜ「b」の方がマシだと考え、先延ばしをしてしまうのかという、それは取り組むべき仕事や課題に対して、過度な恐怖感や苦手意識を抱いている事が原因として考えられます。

つまり、先延ばししてしまうのは、やるべきことを

  • 過剰に怖いもの
  • 過剰に恐れるべきもの
  • 過剰に緊張感を抱かせるもの

と、ネガティブな要素を過大評価してしまう。その結果「過度な恐怖を味わうぐらいなら、先延ばしして痛い目を見るほうがまだマシ」だと感じ、先延ばしすることを選んでしまうのです。

この場合、やる気や気持ちの問題ではなく、物事を過度に悪く見てしまう認知の偏りに気づかない限りは、先延ばし癖を改善するのは難しいと言えます。

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計画的な先延ばしをすることで、癖を直す必要性がなくなることも

一口に先延ばしするといっても、無計画に先延ばしをしてしまっては、それこそ期限オーバーで実害を被る可能性があります。

大抵の人は先延ばし癖に悩んでいるとは言え、本当に取り返しがつかなくなるほどに、無計画且つ破滅に繋がる無謀な先延ばしをすることだけは避けるものでしょう。

むしろ、ある程度の許容範囲内の中で先延ばしをしつつ、それによって作った時間を、有効活用しているのではないかと感じます。

このように計画的かつ上手な先延ばしを行うためには、逆算して物事を考えるスキルが欠かせません。

逆算できれば「どれだけの先延ばしであれば、実害が出ずに済むか」というラインが浮かび上がる。

実害を出さずに済むラインが見えれば、そのラインに超えない範囲で先延ばしし、それによって出来た時間を遊びや趣味の時間に充ててエンジョイしたり、気持ちを休める時間として利用することも可能。

他にも、「自分は無計画に先延ばしをしているわけではない!」という心理になりに、不安や罪悪感を感じにくくなるメリットもあります。

たとえば、夏休みの宿題を全て終わらせるのに「これぐらいの分量なら、1週間本気でやれば無理なくこなせるはず」だと見積もりを立てることができた。

見積もりが立てられれば、夏休みの最後の一週間になるまでは、宿題以外のことに安心して時間を費やすことが可能。また、「とにかく早く宿題を終わらさなければ!」という焦りも、見積もりができているので感じにくい。

そして、実際にそろそろ宿題をやらないと危ない時期に差しかかったときに、問題なく1週間で全て終わらせ、計画的な先延ばし作戦が成功に終わったとすれば、先延ばし行動そのものを「変えるべき悪癖」ではなく「うまく付き合えば効果的な癖」と認識するようになります。

このように先延ばし癖があっても、それをうまくコントロールして他人も自分も困っていない状況であれば、癖そのものは存在しているものの、それを矯正する必要性はありません。

最小限の時間で求められているレベルを満たす成果は一応出しているので、先延ばし癖による悪影響は顕在化しておらず、改善する必要性はない。つまり、先延ばし癖が改善されないまま残り続けてしまうのです。


参考書籍