勉強や仕事で本気を出して頑張る時に、自分を甘やかさないために退路を断って頑張ったり、厳しい環境に身を置き、まさに背水の陣で頑張る人は少なくありません。
もちろん、リアルの世界ではなくスポ根漫画やアイドルなどのお仕事をテーマにしたフィクションの世界でも、お世辞にも恵まれた環境ではないけど努力を重ねて夢や目標を達成するという物語が一つのジャンルとして確立されていますね。
その物語に登場する人物や生き様に自分を重ねて、「自分をあまり恵まれていない状況だけど、あのキャラクターのみたいに頑張ろう」と努力をする人は現実でも応援されやすく、本当に夢を叶えて感動を与えることがよくあります。
退路を断つ、背水の陣で頑張る人が応援されやすい理由は、「厳しい環境だけどめげずに頑張っているからなんとか夢が叶って欲しい」という純粋な善意を刺激しやすいからと考えられています。
また、江戸時代の有名な俳人・小林一茶の「やせ蛙 負けるな一茶 これにあり」という俳句にあるように、日本では立場の弱い人が頑張っている姿を見ると心を動かされて応援したいという気持ちを持っている人が多くいます。
しかし、悪い環境が弱い立場で頑張ることこそが正しいことだと思い込みあえて厳しい環境に飛び込んだ結果、メンタルを病んでしまっては意味がありません。
将来独立してなりたい仕事をするためにあえてブラックで有名な業界に行った結果、過労でうつ病になってしまっては将来への道が閉ざされてしまうことにもつながります。
「厳しい環境に身を置くこと」だけが頑張り方ではありません。「精神的なゆとりがある環境で頑張ること」も頑張り方の一つです。
今回は、自分にあった頑張り方を見つけるヒントについて説明します。
退路を断つと力を発揮できるタイプ
退路を断つ頑張り方について
厳しい環境に飛び込んで自分を鍛えることは、一般的に「退路を断つ」「背水の陣で戦う」という言葉で表現されることがあります。
この頑張り方は
- 退路を断つことで自分を甘やかすことを戒めて、死ぬ気で努力できるようにする。
- 背水の陣を敷くことで、自分の持っている力を余すことなく引き出せるようにする。
という頑張り方と考えれば、わかりやすくなりますね。
実際に甲子園に出場した野球部には「住み慣れた地元を離れて練習に打ち込んだ結果、甲子園まで来ることができました!」という選手も多くいます。
実家にいると油断してついつい甘えが出てしまうので、あえて寮に住んで厳しい環境に身を置くこと気が引き締まり練習の効率を上げるという頑張り方が合っているタイプです。
退路を断つ頑張り方は周囲から応援されやすい
退路を断つことで頑張れるタイプは、余裕があると頑張れるタイプに比べて周囲から「かっこいい」「アイツは頑張っている」という評価を受けやすい頑張り方です。
余裕がある状態で頑張るタイプと比べて、あえて自分を追い込むその姿勢に尊敬の念を抱きやすく、純粋な善意から応援したいという気持ちになりやすい頑張り方です。
とくに体育会系の人間にとっては、このタイプの頑張り方だと先輩や年配者からのウケもよく、可愛がられるタイプであるといえます。
退路を断つ事は余計なストレスを抱え込むことになる
しかし、あえて厳しい環境で追い込む事は余計なストレスを受ける事になり、自分が持っている実力を発揮できなくなるリスクも高まります。また、厳しい環境故に脱落者も出やすい状況と言えます。
とくに部活動の場合、厳しい環境で頑張ったからといって確実に自分の夢が達成される…というわけではない事は、当事者も応援している側もよくわかっていることだと思います。
しかし厳しい環境で耐えて頑張ったからこそ、いざ目標達成されたとなれば、その分感動も大きくなります。
退路を断った状態で頑張る事は、余裕がある状態に比べてある意味ギャンブル要素やドラマティックな面が強い頑張り方と言えます。
無名の弱小校が全国制覇をする。地元の小さな企業が東証一部の有名企業に成長する、といった成り上がりストーリーは、数こそ少ないですが多くの人から愛され憧れの対象となっているストーリーと言えます。
余裕があると力を発揮できるタイプ
余裕を持つ頑張り方について
退路を断って自分を追い込むのではなく、精神的な余裕を重視して安定した状態で努力を重ねて目標を達成する頑張り方で結果を出していく人もいます。
先ほどの野球部の例でいえば、あえて地元を離れるのではなく実家で通える高校で頑張って、甲子園に出場するという事になります。
自分がストレスに弱い、厳しい環境では過度に緊張してしまって本来の力が発揮できないとわかっている場合、本来の実力を発揮するために精神的なゆとりを優先するのは、目標達成に必要な頑張り方の一つといえます。
余裕を持つ頑張り方は理解されにくい
このタイプの頑張り方は、あくまでも追い込むのではなく自分が快適に努力しやすい環境作りを重視するので、退路を断つ頑張り方と比較すると地味なので、あまりかっこよくないと思われやすい頑張り方です。
ギャンブルのようなのるかそるかの勝負に出るのではなく、あくまでも一発退場を避けてコツコツと頑張るという堅実な頑張り方なので、どうしても頑張りが外からわかりにくく、ドラマティックなものでもないので理解されにくい方法といえます。
また、体育会系においてこの頑張り方では「若いのに真面目すぎて面白くないヤツだ」とか「男なのに行動力がない!もっとチャレンジするべきだ!」と、お叱りの声を受ける事も多くあります。
練習面でも精神的な余裕を意識しているために、
- あいつは全力で頑張っていない。
- わざと手を抜いて練習をしている。
- 真面目に練習に取り組んでいない。
- チームのモチベーションを下げるような態度をしている。
と勘違いされて、マイナス評価を受ける事もあります。
やる気がないと思われて、運動部でよく口にする「やる気がないなら帰れ!」というセリフを吐かれる事もあるでしょう。
貴重な時間を費やし退路を断って頑張って来た人から見れば、この頑張り方をしている人を見ると、自分の頑張り方や自分の生き様を否定されたかのように感じて、感情的になってしまうという人も少なくありません。
自分に合った頑張り方を見つけるようにしよう。
頑張り方に正解はないということを理解しよう
退路を断つ頑張り方も余裕を持つ頑張り方も、どちらが優れているor劣っていると決め付ける事はできません。
受け入れやすさの差こそありますが、どちらも自分の目標のために頑張れる場所で頑張る、という点は共通しているのでどちらが正しいor間違っていると決め付ける事はできません。
もしも自分は努力しているという自覚があるのに、その割には思ったように成果が出ていない場合は、ひょっとしたら自分をただ追い詰めるだけで力を発揮できない頑張り方になっているのではないかと考えて、頑張り方を変えて見るようにしてみるのも方法の一つです。
頑張り方で大切なのは、周囲から理解されやすい、応援されやすいという点ではなく、自分の性格や個性に合ったやり方であり継続できる頑張り方なのかという点を忘れないようにしましょう。
また、退路を断つor余裕を持つに関わらず、世間一般で良いとされている考え方が、全世界の人間に当てはまるというわけではありません。
巷にあふれる、ポジティブ思考になれば上手くいく、筋肉が付けば悩みが解決するというマッチョイズム考え方も、実際に効果を感じる人もいればそうでない人もいる。
もしも自分が後者であると自覚しても「みんなと同じようにならないから自分はダメなんだ」と自己否定するのではなく、「みんなとは違うけど自分に合った頑張り方を見つけよう」と考えを切り替えて行くのが大切です。
時には頑張ってもダメな事もある事を理解しよう
筋トレやダイエットのように自分一人で完結できるものとは違い、スポーツやアイドルのように他人と比較や競争をするのが避けられない目標の場合は、自分の努力や頑張り方だけで勝敗が決まる事はありません。
相手の実力や運などの、自分一人の力ではどうやってもコントロールできないもので、結果が左右されてしまうことがあります。
目の前にそういった運の要素で結果が左右される場面に立たされた場合は、「なんとかして勝ちたい!」「絶対にあの人には負けたくない!」と意気込んでしまっては緊張してしまう原因になります。
そのときは、「とりあえずこの試合を楽しむ事に集中しよう!」「今の自分が出来ることを全力でやりきろう」と、自分がコントロールできるところに集中するのが効果的と言われています。
完璧主義になって失敗を認めないのではなく、失敗することもあるけど自分ができる事に集中すれば上手くいく事もある、という事を感じられると、物事にチャレンジする場面で必要な自己肯定感が育っていく事にもつながります。