「やる気がないなら帰れ!」と怒鳴るデメリットと感情的な指導にならないための対策

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部活で「やる気がないなら帰れ!」と言って本当に帰ってしまった生徒を見て、最近の若い子は何を考えているかわからない、と嘆く指導者はまだまだ少なくありません。

厳しいシゴキやスパルタ式のトレーニングを受けて、その経験をそのまま指導に還元しても、目の前にいる生徒皆が皆、自分のようにスパルタ式に耐性があるというわけではありません。

怒鳴り声が苦手だったり、理不尽なトレーンニングは怪我をするだけとわかっている部員がいるのなら、ただ感情的に怒鳴る指導ではなく、しっかりコミュニケーションを取った指導をsいていく必要があります。

今回はスポーツ指導で見かける「やる気がないなら帰れ!」という指導について、説明していきます。

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やる気がないなら帰れと怒鳴る目的

「やる気がないなら帰れ!」と怒鳴ることのデメリットを話す前に、まず「やる気がないなら帰れ」という目的について見ていきましょう。

この言葉が使われるのは、だいたい以下のような場面が想像されます。

  • あえて強い言葉で怒鳴って相手の鼓舞したり、根性を試す。
  • 選手に反省すべき点があったと自覚させる。
  • たるんだ気持ちを引き締めて、気合を入れさせる。
  • もっと緊張感を持って練習に取り組んで欲しい。

このように、「やる気がないなら帰れ!」という言葉が使われる背景には、決して選手を脅したい威圧したいという攻撃的な目的が全てではありません。

練習に対してもっと真面目に取り組んで欲しい、選手のことを本当に考えているからこそ、つい口から出てしまったということもあります。(もちろん、ただイライラを解消したり、コーチの気まぐれで怒鳴っているという残念なケースもありますが…。)

ただし、いくら自分が本当に選手のためにという善意からの言葉であっても、相手にその意図が伝わらない、自分の意図している事が伝わらず「じゃ、帰れと言われたので帰ります」という反応が返って来るようでは効果がありません。

「まさか本当に帰るなんて、ゆとり(さとり)世代の子は何を考えているのか全くわからん!」と匙を投げる前に、自分の言動を振り返って、大人げない点はなかったか、もっと上手に伝わるように工夫できなかったかについて、冷静になって考えることが大切です。

「やる気がないなら帰れ」と怒鳴る事のデメリット

コーチから見放されたと感じて信用を失う

「やる気がないなら帰れ」という言葉は、鼓舞しているように見えて、文字通りの解釈をすれば、コーチが指導を放棄した、選手を見放したと捉えられます。

コーチから見捨てられたと感じた選手は、自分を見捨てた人の指示やアドバイスなんか聞来たくないと感じ、今までの関係が崩れて信用を落としてしまうことにつながります。

もちろん、それで信用がが切れた所詮そこまでだった、と考えて他の選手の指導を続行しておけばいい、と考えて納得するかもしれません。

しかし、チーム内で一人見限ったメンバーが出てくれば、チーム全体の雰囲気が悪化して。コーチへの不信感が高まる事にもつながります。

感情に任せて指導して、夢や目標に向かって大切なチームの団結力を自ら壊すような言動をするのは好ましくありません。

コーチ自身がチームの雰囲気を乱す原因になる

何度も大声で怒鳴って威圧するようなコミュニケーションでは、本当に選手が困っているときに相談しづらい、「相談したら何か怒られてしまうかもしれない」と不安感を抱かせてしまいます。

そんなピリピリとした居心地の悪い雰囲気では、選手がコーチに対して不信感を抱き、隠し事や反抗をする場面も増えてしまいます。

例えば

  • コーチの逆鱗に触れるのが嫌だから故障している事を隠したり、失敗やミスをごまかす。
  • コーチの前ではおとなしくしているけど、コーチがいないところでは練習をサボる。
  • 悪い雰囲気が原因になり、チーム内でいじめや喧嘩が発生する。
  • 悪い雰囲気が原因になり、練習以外で暴力や犯罪などの問題行動を起こす原因になる。

などが挙げられます。

チームがいい雰囲気を作るのは指導者の大きな役目です。いい雰囲気であれば、選手からの素直な気持ちで相談される、その相談が解決されて、チームの雰囲気作りや競技力の向上につながるのを覚えておきましょう

部員がコーチのご機嫌を伺うようになり、自主性が失われる。

「やる気がないなら帰れ!」というような怒りに任せて感情的な言動を繰り返していると、選手はコーチの機嫌を伺って練習し、自主性が損なわれてしまいます。

コーチの気分次第でお説教が始まり練習が中断される。そんな状況では、直接お説教に関係の無い選手からみても、いつ自分の所にコーチの怒りの雷が落ちてこないかハラハラして消極的になってしまいます。

また、気分次第で練習内容や態度がコロコロ変わってしまいと、長期的に見て練習内容に一貫性がなくなり、目標があやふやになってしまいます。

まさに、練習のために練習をやっている、コーチに怒られないため怯えながら練習している、その日その日の練習をただ消化しているという状況になりかねません。

ダブルバインドで選手を精神的に疲弊させる

「やる気がないなら帰れ!」といわれ、売り言葉に買い言葉で「じゃあ帰ります!さよなら」とその場を去ったら「おい、なんで帰るんだよ!」と怒られるのは簡単に想像できると思います。

しかし、かと言って帰らなかったら「お前なんで帰らないんだ!やる気がないんだろ?じゃあさっさと帰れ」と言われて、帰らないという選択肢を選んでも結局怒られてしまうのも簡単に想像できると思います。

このように、「帰るor帰らない」の選択肢を与えているようで、実はどっちを選んでも怒られることになるようなコミュニケーションをダブルバインド(二重拘束)といいます。

ダブルバインドは言葉で縛り付ける相手に「罰の意識」を高めて、自尊心や自主性を奪ってしまうことがわかっています。また、社会人であればパワハラやモラハラの原因になることもあり、穏やかな人間関係を築くのに適したコミュニケーションとは到底呼べません。

ダブルバインドの言葉で選手を縛って、自分の思うように選手をコントロールしたいという指導では、選手自身のメンタルに過度な負担をかけてしまい、緊張過多から体が思うように動かなくなる、怒られないための消極的なプレーをしてしまうことになります。

これは躾だから、指導だからと言って厳しいだけのトレーニングがうまくいかないのは、指導しているように見えて、実はダブルバインドで選手をコントロールしているのが原因だったということも考えられるので、注意しておきましょう。

やる気がないなら帰れと言う前にしておくべきこと

カッとなったら一回深呼吸して冷静になる

感情的になってつい手が出てしまう、怒鳴って萎縮させてしまいそうにだと感じたときは、一度冷静になって踏みとどまるようにするようにしましょう。

感情のままに怒鳴って手を出してしまったら、それこそ体罰問題になり部だけでなく学校や保護者、関係者にも多大な迷惑がかかってしまいます。

また、感情に任せて大声で威圧するような大人げない言動では、自分の本音や本心が伝わりにくくなるのは無理もありません。

大事な話であればこそ、気持ちを落ち着けて「今から話す事は、大事なことだからよく聞いて欲しい」という雰囲気を作って、落ち着いたトーンで話すことを心がけるようにしましょう。

また、売り言葉に買い言葉という言葉にもあるように、感情的になって荒い言動を取れば、相手も気持ちが荒ぶって、汚い言葉を吐いてしまい言い争いになってしまうのも無理はありません。

上下関係があり、一方的に怒りやすい立場にいる人こそ、目下の人に自分の気持ちをしっかり伝えたい時は冷静な気持ちを心がけ、相手が「よし、今から話すことをちゃんと聞こう」と思えるような雰囲気作りをちょっとずつしていけるようにしましょう。

もっと具体的に相手に伝わるような言葉で話してみる

コミュニケーションというのは一方的にするものではなく、話す側、聞く側の両者のキャッチボールと例えらることがよくありますね。

どちらか一方が気まぐれな対応をしたり、受け取れないような暴投をしては、コミュニケーションは成立しません。

「ここをこう直せばもっと成長できる」「ここができていないから頑張ってほしい」という気持ちを相手にしっかり伝えるには、選手側に「俺の発言の裏の意味を読み取って欲しい」とばかり要求するばかりでなく、わかってもらえるような伝え方かをするのが重要になります。

「言葉の裏の意味を読み取って欲しい」という気持ちからくる自分勝手なコミュニケーションは、言い換えれば自分から相手に対して寄り添う姿勢を放棄しているようなものです。

キャッチボールで相手のいない方向にボールを投げて「なんで取りに行かないんだよ!」とプンプン怒っているのと同じで、ちゃんと相手のいるところにボールを投げるような伝える方を考えるようにしましょう。

紙やメールなどの文字に起こして伝える

手紙…と言えば時代を感じるかもしれませんが、言いたいことを書き出して、メモやノート、メールなどで伝えるという事も効果的です。

口頭ではどうしても感情的になりがちなので、一度自分が伝えたいことを書き起こすことで客観的な目で自分の主張を読み直し、要点をまとめておけば、読む方にも伝わらりやすくなります。

普段の練習風景を動画で記録して見直してみるのも効果的

普段の練習風景を動画で記録したりフォームチェックなどに動画を取り入れているチームは多くあります。

最近ではiPhoneのような本格的なビデオカメラでなくと、スマートフォンで大変綺麗な動画の撮影と再生が当たり前のようにできます。

ここで、普段撮っている動画の中で、指導者含め自分たちがどういったコミュニケーションをしているか、どういった声掛けをしているかに注目してみることで、いいチーム作りに役立つヒントが見つかることがあります。

自分自身を客観的に見る。ついカッとなってでた言葉を一旦時間を置いて動画で確認して見直す。

そうして、過去の言動を振り返って「ひょっとしたらあの時はきつく言い過ぎたし、ちょっと言葉足らずなところもあったなぁ」と気づいたとします。

そのあとに、「今度はもっと落ち着いて例や体を使って説明していけばわかりやすくなるはず!」とつなげて指導に活かせば、自分も相手にもいい影響がある、まさにwin-winなコミュニケーションになります。

ついカッとなって出た言葉、感情的に言った言葉は、案外その場を離れれば忘れてしまったり、記憶に残っていてもなかなか言い放った自分自身と向き合おうとせずそのままにされがちです。

しかし、それではまた同じように感情的な言葉で部員や周囲の人を混乱させてしまうことに繋がりかねません。

動画であれ、練習日記であれ、感情的で触ると刺が刺さりそうな自分の過去の行動と向き合うことで、自分も相手も楽しくスポーツが楽しめるようになることを知っておきましょう。

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