連帯責任で指導する事のメリットとデメリットについて

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部活で連帯責任だと言われて外周を走らされたり、ペナルティを受けて理不尽な思いをした人は少なくありません。

集団スポーツだったり、チームワークが必要なスポーツをしている場合は、チームの連帯感を高めるために、誰かがミスをしたら連帯責任を取らせるようにするという指導方をしている監督も多くおられます。

しかし、連帯責任はチーム内でちゃんと頑張っていたり、能力が高い選手にとっては苦痛に感じる事が多く、あまり連帯責任ばかりを課すようになるとチーム全体のモチベーションをさげる原因にもなります。

今回は、体育会系の部活動でよくみかける「連帯責任」について、メリット・デメリットを述べて説明していきます。

「連帯責任」という言葉が出る場面とは

一般的に部活で連帯責任という言葉が出てくる場面と言えば、

  • 遅刻をした部員がいる。
  • やる気が感じられず、練習に集中していない
  • 練習道具がしっかり片付けられていない。
  • 未成年なのにタバコや飲酒をしてしまった。

などの問題行動が起きた時によく使われます。

連帯責任の中身も問題行動を起こした選手だけを叱るのではなく、チーム全体で責任をとってペナルティの練習をしたり、練習を自粛するといった方法で、責任を取るというスタイルです。

甲子園に出場するはずだった野球部が、部員の喫煙や暴行事件が原因で、甲子園出場を辞退するというケースは、連帯責任がよく表れているといえます。

もちろん、部活に限らず会社でも誰かが犯罪などの不祥事を起こした際に、その張本人だけに責任を取らすのではなく、社員一丸となって活動を自粛したり、慈善活動やボランティアを行って、反省させるという形で、連帯責任は日常生活に深く溶け込んでいると言えます。

一人だけではなく所属している集団やチーム全体で責任を取ることで、他人事で終わらせず深く反省させる目的や、周囲に対して「私たちのチームは今回の事件を深く受け止め、チーム全体として反省をしています」というメッセージを発していると見ることもできます。

もちろん連帯責任をとることで、いわゆるネット上での炎上を避けたり、これ以上非難の声が広がらないようにするという目的もあります。

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連帯責任のメリット

チーム全体のレベルが低い場合には効果がある

例えば、自分が所属している運動部の部員が、全員やる気がなく遅刻を繰り返したり、集中力に欠けているような、お世辞にも頑張っていると言えない意識の低いチームであれば、連帯責任によりチーム全体のレベルを底上げする効果は見込めます。

大きな試合が終わって全体的に気が緩んでいる、「なんだかふざけ合って、最近たるんでいるなぁ…」と部員全員が内心抱いているのであれば、そこをしっかり指摘して反省させるために連帯責任を使うのは、効果的な方法といえます。

部内でふざけあったり、手を抜くことが癖になってしまい、それに対して先輩後輩含め部員全員が指摘せず馴れ合ったままである。

そういう状況であれば、コーチや監督からビシッと一喝し連帯責任を課すという方法を取り入れてみるのも指導の一つといえます。

同時に、手抜きを認める馴れ合いの状況を作り出すに至った経緯についてもじっくり調べていくのが効果的でしょう。

チームメイトに迷惑をかけてしまったと自覚させる

連帯責任はたとえ自分が怒られるようなことをしていなくても、他の部員がミスをすれば自分にもとばっちりを食らうという側面があります。

なんのミスもしていないのに、怒られペナルティをくらうのは非常に理不尽であり、好き好んで連帯責任を受けに行こうという人はいません。

このような理不尽な形で責任を取らせる事で、連帯責任の原因を生んだ張本人に「自分のミスから大事な仲間に理不尽な罰を受けさせてしまった…」と自覚させる意図があります。連帯責任を通し、自分の軽率な行動を戒め反省を促したいという意図があるわけです。

しかし、反省のさせ方としては、周囲に迷惑をかけてしまったと感じさせると、今度は同じようなミスをしないようにと強く意識してしまい、積極性や自主性が失われてしまうリスクもあります。

ただネガティブな気持ちにさせやすい反省になりやすい連帯責任では、正しい反省に繋げるのが難しく、ただ落ち込むだけ、深く傷つくだけになる事も珍しくありません。

先輩やコーチ・監督を敵と見なして団結させる

理不尽な連帯責任を課す先輩やコーチ・監督に対して「あんな奴らに負けてなるものか!」という反抗心をメンバー一同に抱かせると同時に、共通の敵を作って一致団結させるという意図から、あえて連帯責任を課すという方法もあります。

ただし、誰かを敵とみなす事で生まれる団結感は、長期的に見ればチームの雰囲気を悪化させ、いじめや仲間割れの原因になってしまう可能性が高くなりおすすめできる方法ではありません。

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連帯責任デメリット

ほかのメンバーのモチベーションを下げる

連帯責任の性質上、直接自分は怒られるようなことをしていない選手にも、ペナルティが課されてしまいモチベーションを下げてしまうリスクがあります。

真面目に練習に取り組んでいたり能力が高くても、足を引っ張る人が出てくる事で理不尽なペナルティを受けては、コーチ・監督に対する不満や不信感が生まれてしまいます。

また、連帯責任が続くうちに「自分はちゃんと頑張っているのに、監督は足を引っ張るあいつばかり見ている」という感じに、ちゃんと頑張っている自分は期待されていない、正しく評価されていないと感じて、モチベーションが下がる事もあります。

どうしても足を引っ張る選手は目につきやすく、悪いところや弱点を叩き直すのが教育だと考えている人は少なくありません。

真面目に練習に取り組み問題を起こしていない選手にも、しっかり目を配るように心がけるのが効果的です。

チーム全体の雰囲気を悪くする

真面目に練習に取り組んでいる人にとっては、連帯責任の原因を足を引っ張る人に対して不満が募り、苛立ちや怒りへと感情が変化していきます。

こうなると、足を引っ張る人に対して厳しい言葉を吐いたり、暴力や無視などのいじめが発生し、チーム全体の雰囲気を悪くすることにつながります。

また、チーム全体の雰囲気が悪くなれば悪口や陰口などを言うようになり、チーム内で派閥ができてしまい、悪い意味で一致団結してしまいます。

共通の敵を作る一致団結は、短期的に見れば団結力を高めます。

しかし、同時に「今度は自分が悪口を言われるかもしれない」「今ある敵意が自分に向いてしまうのでは?」という不安を生み、仲間割れや部活を辞める人が出てしまう事につながります。

学校で起きるいじめが次々とターゲットを変えていくのと同様に、表面的に仲良く見えて水面下では「次は誰がいじめられてしまうのか?」というような、悪い雰囲気がチームに発生してしまうのは避けるべきといえます。

どうせ頑張っても無駄という気持ちが生まれる

連帯責任を生む選手がいるせいでい、せっかく頑張っているのに自分は評価されないと感じると、次第に「足を引っ張る奴がいるから、自分が頑張ってもどうせ無駄になる」という気持ちが生まれていしまいます。

自分の頑張りと無関係な事で今までの努力が水の泡になってしまうと感じれば、それ以上頑張るのではなく、なるべく自分が努力が無駄になるという事実から傷つかないために、練習をサボったり、無気力になってしまいます。

心理学では、この「どうせ頑張っても無駄」という気持ちを学習性無力感(学習性絶望感)と呼びます。

連帯責任を起こす人がいるせいで「どうせ頑張っても無駄である」という事を学習してしまい、無気力になってしまうというわけです。

また、この学習性無力感は足を引っ張られる側に限らず、足を引っ張る側でも起きることがあります。

メンタルに強い負荷をかけるので自己肯定感が失わやすい

連帯責任は自分一人のミスを、ミスに関係の無い仲間や友達を巻き込んで責任を取らせるという、一人で取る責任の取り方よりもメンタルに負荷をかける責任のとらせ方です。

メンタルに大きな負荷がかけるので、深い反省を期待できると考えられています。

しかし、大きすぎる負荷のために、自分を追い詰めるだけになってしまう、どうすればミスを防げるかという改善を考えることがが疎かになる事があります。また、大きな負担を避けるために「自分は絶対に悪くない!」と、現実逃避を招く事もあります。

また、連帯責任によりただ悪い事したと自覚させおとなしくなっているように見えて、心の中では「自分は周囲に迷惑をかけるような最低な人間なんだ」と自分を強く責めるようでは、自己肯定感が失われてしまいます。

自己肯定感が失われた状態では、ミスをしないように消極的なプレーになってしまい、今度はそのこと指摘されますます自己肯定感をなくす、という悪循環に陥ることもあります。

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連帯責任の効果は、連帯責任以外の方法でも手に入る

連帯責任は部活に限らず日常生活でも度々みかけるメジャーな責任の取り方です。

集団の意見や、人間関係の和や空気を大切にする日本ならでは価値観に合っている反面、正しい反省に繋がらず、仲間割れや自己肯定感を失うといったリスクもあります。

加えて、集団にいる無関係な人を巻き込むので、理不尽な苦痛を味わう人や、不満を抱く人も当然出てしまいます。

連帯責任は簡単に行えるように見えて、長期的に見ればリスクが高く、それに見合ったリターンも短期的です。

なお、連帯責任で得られる効果は何も連帯責任でなければならないというわけではなく、ほかの指導方を使ってもできる事があります。

例えば、チーム全体のレベルが低い場合は、連帯責任を貸すのではなく練習の環境を変えてみたり、格上のチームと合同で練習で刺激を受けることで底上げすることもできます。

指導する側としてはいちいち遠征に行ったり、質の高いトレーニングを計画していくよりも、何かあったら「連帯責任」で反省させればいいだろう、という楽な指導に甘えてしまいがちです。

なるべく不満や不信感がでない、いい雰囲気のチームを作るためにも、連帯責任を使わない指導方を見つけて、チーム全体のモチベーションを下げないやりかたに変えていくのが大切といえます。


参考書籍