値段の付け間違えや、商品の入れ忘れなど、仕事で失敗をしてしまい会社に損害を出してしまった、上司の面目をつぶすようなことをしてしまった、という経験は社会人であれば多かれ少なかれあると思います。
ケアレスミスはなるべく防ぐ方が会社の利益という側面に限らず、お客さんや上司・同僚、そして自分自身のためにもなるのは言うまでもありません。
しかし、いくら再発防止策を練ってもミスは0にすることは難しいものですし、ミスが起きてしまうとどうしても気分が落ち込んで、精神的にへこんでしまうものです。
ですが、いつまでもへこんだままでは他の人に迷惑をかけてしまい、仕事の邪魔になってしまいます。
仕事ができるようになるためには、へこんだあとの気分の切り替えの早さが大切ですね。
そこで今回は、仕事で失敗をした時に役立つコツについてお話いたします。
仕事のミスでへこみやすい人の特徴
仕事でミスをしても、そこまで落ち込まずにいられる人もいれば、ひどく落ち込んでしまう人もいます。
些細なミスでも落ち込みやすい人には、以下のような特徴があります。
自分で自分のことをダメだと考えている
漠然と「自分は仕事ができない」「私は何をやってもダメな人間だ」と考えている人ほど、自分がミスしたことや叱られたことに対して前向きに考えることができなくなります。
また、自分のことをダメだと思っている人ほど、怒られると自分に対する悪い思い込みが止まらなくなり、ひたすら自己否定をすることだけに時間を費やしてしまうことがあります。
また、自分で自分のことを悪く思っている人は、自分のことを褒める言葉や評価される言葉よりも、けなしたり悪く言われる言葉を聞いた方が安心してしまう傾向があります。
これは「認知的斉合性理論」と呼ばれるもので、自己評価の高い人ほど自分のことを評価される環境を好み、自己評価が低い人ほど自分のことを悪くいう環境を好むようになります。
ストレス耐性が低い
ストレスにどれだけ耐えられるか、あるいはストレスをうまく処理できるかという能力のことをストレス耐性と言います。
ストレス耐性が弱い人ほど、仕事での失敗で生じたストレスをうまく処理することができずに、強く自分を責めてしまったり、逆ギレして衝動的な行動をとってしまうことがあります。
なお、ストレス耐性がある人でも無限にストレスを溜め続けることはできず、ストレスを溜めすぎると不眠や不安、よくうつ状態を引き起こし健康を損ねてしまうことがあります。
働く上ではストレス耐性の強さは大きな武器になりますが、ストレス耐性が弱いからと言って悲観するのではなく、うまく処理できるように仕事の量や内容を工夫することが大切です。
ミス=自分を全否定されたと感じる
仕事でミスをすることは誰にもあることですが、そのミスをどう受け取るかによってその後の立ち直る早さは異なってきます。
ミスをしても立ち直りが遅い人は、ミスをしたことや、ミスが原因で叱られたことを自分の人格や生き様を含む全てが否定されたと拡大解釈してしまい、大きく傷ついてしまうという特徴があります。
例えば、ある商品の値段の付け間違えしてしまったことを指摘されたときに、自分の人生を否定された…と感じたとしましょう。
冷静に考えて値段の付け間違えをしたことと、自分の人生人格とに何の関係があるのでしょうか。
人生まるまる全否定したら、本当にケアレスミスが防げるようになるのでしょうか?
値段のミスをしたのなら、次からは見直しをしっかりする、誰かにチェックを入れてもらうなどの建設的な再発防止策を行うのが効果的であり、人生を否定するのは前向きな策とは呼べません。
ミスを拡大解釈してしまう人は、ミスを防ぐために改善策を考えることと、自分を全否定することは全く関係がないということに気がつく必要があります。
完璧主義・理想が高い
完璧主義で自分の理想が高い人ほど自分のミスを受け入れたときに大きくへこみがちです。
完璧主義者にとってはミスを受け入れることは、自分は不完全である、未熟者であるということを認めるのと同じです。
「ミスをしてしまうと理想の自分から遠のいてしまう…」「完璧にできるはずの自分がミスなんてありえない…」と大きなショックを受け、自分らしさやアイデンティティを否定されたことで大きくへこんでしまい立ち直りに大きな時間が必要になりがちです。
また、うまく立ち直れずに燃え尽き症候群のようにやる気をなくして消極的になることや、失敗を恐れるあまりあえて自分の実力を抑えた状態でしか仕事をしなくなることもあります。
もちろん、完璧を目指すことや高い理想を持つことは仕事をする上では大切なことではありますが、その反面でミスに弱く精神的に崩れやすいというデメリットがあるということを覚えておきましょう。
仕事で失敗してしまったときに立ち直るためのコツ
「反省する時間は何分まで」と先に決めておく
反省は長時間すればするほど効果があるというわけではありません。
反省する時間が長引くほど、次の仕事に取り掛かるのも必然的に遅れてしまうのは言うまでもありません。
ですので、「反省する時間は1回につき5分までにする」というルールをあらかじめ決めておき、その通りに行動するようにすれば気持ちの切り替えをスムーズに行うことができます。
また、時間を決めて置くのはお説教をするときや叱るときにも効果的です。
時間をあらかじめ決めておくことで叱るときの要点をまとめて、どうすれば効率的に相手に伝えられるかを整理することもできます。
逆に時間制限なく延々と叱り続けると、途中で自分が何を言いたかったのかがぼやけてしまいがちになり、そのため怒られている方も退屈を感じてお説教としては非効率的になってしまう結果、また同じような凡ミスを繰り返してしまうハメになります。
自分で自分を責めすぎないようにする
ミスが起きた時に「自分のせいだ…」「自分の責任だ…」と、全て自分で抱え込んで自分で自分を責めてしまっては、ミスを防ぐための前向きな話し合いができなくなります。
ミスをしたからといって、自分の人格や人生が否定されたと拡大解釈せずに「だったら、次はどうしたらミスを防げるか」に意識を集中するようにしましょう。
また、自分で自分を責めている人が近くにいると、周囲で働いている人に余計な気を使わせることにもなり、職場の雰囲気を悪くする原因にもなってしまいます。
自分で勝手に自己嫌悪に陥って考えこんでいる人には、なかなか助け舟を出しにくく、仮に出したとしても突っぱねられてしまい、助ける方も困り果ててしまうなんてことは少なくありません。
自分で自分を責めすぎないことは、自分の気持ちを前向きにするだけでなく、いい雰囲気の職場で働くためにも効果があることを覚えておきましょう。
ミスを自分のせいだと決めつけないようにする
自分で自分を責めすぎた結果、周囲に協力や助けを求めるのすら萎縮してためらってしまい、そのことで更にミスを起こしてしまう…という負のスパイラルになるのは避けなければいけません。
真面目で責任感が強い人ほどミスが起きた時に、なんでもかんでも「このミスは自分のせい」だと先走ってしまうことがあります。
ですが、本当にそのミスは自分だけに原因があると決め付けることができるのでしょうか。
ひょっとしたら、自分以外の誰かもミスに関わっている可能性もありますし、単に運が悪かったという可能性もあります。
一口にミスといってもその原因を自分だけのものだと早合点して決めつけてしまうのは、それ以上余計なことを考えなくても済むので楽と言えば楽なのですが、焦ってミスの原因を決めてしまうとミスについて精査することが無いという欠点もあります。
ミスについてしっかり精査せずに全部自分が悪いという事にすればいいんだというクセがついてしまうと、同じようなミスを繰り返す原因になりがちで、ミスをするたびに落ち込むことになってしまうので注意しましょう。
愚痴を話せる相手を作る
愚痴を言うことはなるべく避けたほうがいい、周囲をネガティブな気持ちにさせることがあるから控えるべきという意見は最もですが、仕事のミスでへこんだ時に愚痴をいうことでストレスを溜め込むことを防ぎ、結果として楽になれることにもつながります。
もちろん、愚痴を誰かに言うことに抵抗がある場合は、友人や同僚などの親しい人に「相談」という形で話を持ちかけてみるのでもOKです。
また、愚痴が無理なら相談、相談が無理なら紙に書きおこして気持ちの整理を付けることでもOKです。
大事なのは一人で抱え込まず、誰かに悩みを打ち明けてストレスが溜まりすぎるのを防ぐことです。
怒られているのは期待していることだと考える
不器用な人が上司の場合、フレンドリーに「期待しているよ」と言うのが苦手で、代わりに怒ることで「期待しているよ」と相手に伝えることもあります。
不器用な人の場合、期待しない相手には怒りも褒めもせずそっと放置しておく、無視を貫き通すという特徴があります。
もしも自分の上司や先輩が自分の気持ちを素直に伝えるのが苦手であったり、自分の気持ちをストレートに伝えることに恥ずかしさを感じるタイプの場合は、別に自分のことをけなすためであったり、マウンティングのために怒っているのではなく、期待の裏返しとして怒っているのだと、上司や先輩ができないメンタル面のフォローを自分で行うというのもテクニックの一つです。
仕事で失敗した時に役立つ本
世界のエリートがIQ・学歴よりも重視! 「レジリエンス」の鍛え方