上司と部下で共依存関係になることのリスク

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共依存と言えば、DVをしてくる旦那から離れられない妻、と言うような男女間や夫婦関で起きる人間関係への依存を思い浮かべるのが一般的だと思います。

しかし共依存は、夫婦関係だけでなく、上司と部下のような仕事における人間関係でも起きることがあります。

仕事の人間関係で共依存になる事は、一見するとチームワークが良く良好な関係に見えますが、一方で上司と部下の双方の成長を妨げたり、共依存により生まれた悪い雰囲気が他の人に悪影響もたらすことがあります。

今回は、上司と部下の間で起きる共依存関係についてお話しいたします。

そもそも共依存とは

共依存とは、お互いがお互いに精神的に依存しあう関係を指す言葉です。

心理学における依存は

  • 物質依存:アルコール、タバコ(ニコチン)などへの依存
  • プロセス依存:ギャンブル、買い物、ゲーム、仕事などへの依存
  • 人間関係依存:恋人、親子、友達、ネットやSNSの人間関係などへの依存

の3種類あり、共依存は人間関係依存に当てはまります。

共依存の関係は、相手が自分にとって快感を与えてくれる(例えば、精神的な拠り所など)ために、その快感を失いたくない心理が働き相手を束縛したり、あるいは自分から支配されることを受け入れてしまうことがあります。

また、特徴的なのは「自分たちは共依存に陥っている」と認めることを避けてしまい、共依存関係が悪化しやすいと言う点です。

このような依存関係を否定することを「否認」と呼び、共依存を根本的から直すことを退け、重症化へと導くきっかけになります。

また、それとなく共依存であることを指摘しても「自分たちは大丈夫である」「自分たちならいつでもスパッと関係を止められる」と言って聞かず、次第に周囲からも呆れられますます共依存関係を深めてしまうことが多いのが厄介です。

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上司と部下間の共依存の例

主に上司と部下の関係に絞って、どのような共依存の例があるかを説明していきます。

なお、ここであげた例は、上司と部下の関係を入れ替えたり、同僚同士でも成立することもありますので参考にしてください。

夢見がちな上司とそれに夢中になる部下

仕事や仕事を通して成し遂げたいビジョンを熱心に語る上司。そして、その上司に対してまるでアーティストのファンのように夢中になりついていく部下。

仕事に限らず、大きな夢を追いかける人の姿と言うのは心惹かれるものです。

しかし、実際には口先ばかりで都合の良い未来をつぶやいているだけでしかなかう、現実から逃避している上司。そして、その上司の言うことを真に受けて、自分も現実逃避にのめり込んでいる部下と言う関係です。

現実逃避のために夢の世界にのめりこみ続けていては、仕事において大事な現実的な視点に基づいた考えができなくなるリスクがあります。

また、夢を追い続けた結果として、顧客のニーズを無視した独りよがりな商品やサービスを生み出してしまい、ビジネスそのものが危ぶまれてしまうリスクもあります。

夢の世界は実に居心地が良く、現実世界の辛い出来事を忘れさせてくれるものであるだけに、内心はいい加減目覚めて現実的な仕事をすべきだと思っていてもなかなか言い出せないものです。

そのために上司・部下共々指摘しあえず、ズルズルと関係を悪化させてしまうことが多いのです。

過干渉な上司と甘えが抜けきらない部下

部下の言動に対していちいちツッコミを入れる過干渉な上司。そして、その上司におんぶに抱っこになり、いつまでも甘えが抜けきらない部下という関係です。

もちろん、上司の仕事として部下の育成は必要不可欠ですが、つきっきりで指導したことが裏目になり部下の自主性や主体性が育たなくなることも考えられます。

また、誰かに依存したい、甘えて穏やかに暮らしたいと言うして姿勢で仕事に臨んでいる部下だと、いつまでたっても干渉してくる上司に依存してしまい、自分1人で仕事をする気力を失ってしまうこともあります。

仕事の関係に限らず「手間の掛かる相手ほど愛着が湧く」という言葉にあるように、頼りない人というのは、あれこれ指示を出すことで自分の存在意義を確認したいという人にとっては好都合な存在です。

過干渉なほどに接する上司も、見方を変えれば教育熱心な上司に見えますが、内心は自分が抱えている不安や自信のなさを、熱心に指導するという行動により打ち消しているだけであり、いつまでも一人前になりきれない部下を求めているという気持ちを持っていることも考えられます。

自己主張が強くて率先力のある上司と優柔不断な部下

いわゆる体育会系気質で、とにかく自己主張が激しくコミュニケーション能力の高い上司。優柔不断な性格が災いしてアグレッシブな上司に従っていたほうが楽だと感じていいなりになる部下との関係です。

リーダーシップがあるために、部下からすれば非常に頼もしい上司だと判断されますし、職場全体でも見ても利益や業績に貢献することが多く高い評価を得ることがあります。

このようにしっかりと成果をあげられていれば良いのですが、中にはただ自分勝手に部下をパシリのように振り回してばかりで、疲弊させてしまうだけのわがままな上司だったということもあります。

また部下の方も、自分がすべき決断を全て上司に丸投げしてしま癖がついているために、自分が昇進して部下を持つ場面になったときに、決断を下すことができず過去の上司や自分の部下に決断を丸投げてしまうことが考えられます。

自分でやるべきことを決めるのが苦手な人は、何でも決めてくれる人、カリスマ性のある人、立場が上の人を、自分の依存先と見てしまうのです。

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職場における共依存のリスク

どちらか一方に過度な精神的・身体的負担を押し付ける

DV旦那に尽くす端のように、共依存関係にはどちらか一方に過度な精神的、身体的負担をかけてしまうことがあります。

例えば、部下をコントロールすることで自分の欲求を満たしたい上司の部下だと、上司である自分の仕事を部下に押し付けたり、部下の能力を無視したし仕事量を与え部下に大きな負担をかけてしまうことがあります。

また、負担をかける行為が仕事とは全く関係のないものになることもあり、パワハラやセクハラモラハラなどの各種ハラスメントにつながる恐れもあります。

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部下の自立心・主体性が育たなくなる

上司にとって部下の指導は大切ですが、いずれは上司の指示がなくても動けるようになったり、部下自身が後進を育てる立場として仕事を行う場面も必要になります。

しかし、共依存関係に陥ってしまうと部下の自立心や主体性が育たないくなり、いつまでたっても上司がいなくては何もでず頼りなさが残ったままになります。

仕事以外でも束縛しあう

共依存の関係が職場内だけに収まらず、プライベートの場面でもお互いに束縛しあうことがあります。

例えば、仕事終わりの飲み会、プライベートの時間のSNSでのやりとり、後など公私混同してお互いに依存しストレスを抱えることにつながります。

異動により相手と離されると仕事ができなくなる懸念がある

職場によっては、このような上司と部下の共依存関係を防ぐために、適宜人事異動を行い新しい環境の中で社員を育てていく仕組みがとられていることがあります。

しかし、色よりも前に強い共依存関係に陥ってしまうと、上司部下ともども異動後の関係に人間関係にうまく適応できず、仕事ができなくなったり、そのまま仕事を辞めてしまう懸念があります。

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馴れ合いが原因の仕事の質の低下に歯止めがかかりにくい

共依存関係は非常に心地が良い人間関係であるために、馴れ合いの関係を生み出してしまうことがあります。

馴れ合いの関係を崩したくないために、指摘すべきことを指摘せず、改善すべきところも改善しない、と言うような弛みきった状態では仕事のクオリティーが下がり続けてしまうリスクがあります。

共依存からの社内恋愛に発展することも

上司と部下である前に男女関係で共依存が起きた場合は、そのまま社内恋愛言うと発展することもあります。

ただの社内恋愛ではなく、共依存の恋愛関係であるために、仕事プライベートにおいても苦労が多く、また周囲からもあまり歓迎されない関係になりがちです。

また、歓迎されないからこそお互いの結束が強くなってしまうと言う「ロミオとジュリエット効果」が働き、長く辛い関係はお互いに破滅する関係へと陥ることも否定できません。

職場内の雰囲気の悪化

共依存関係は当事者間であれば比較的穏やかな雰囲気が広がっているように見えます。

しかし、その雰囲気が職場全体に蔓延して馴れ合いの関係を生んでしまったり、共依存により下がった仕事の質を他の社員が埋め合わせるという関係が続き、険悪なムードができしまうことがあります。

真面目に仕事をしている社員から見て、共依存関係になっている上司と部下の関係は不公平感を招きやすく、職場内の雰囲気を悪化や人間関係にうんざりして職場を離れる人を生む原因にもなります。

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国立大教育学部卒、専攻は心理学。発達心理学、教育心理学、スポーツ心理学、社会心理学を中心に心理学に関する記事を執筆中。そのほかにも、人間関係やコミュニケーション、性格、スマホ、SNS、ゲームなどのあらゆるテーマを心理学の知識を用いて詳しく、面白い記事を書くことを心がけております。

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