コミュ障な社会人といえば
- 人と話す場面に強い苦手意識を感じている。
- 人前に出て話すことに強い緊張感を覚える人。
- 仕事でチームワークを取ることが苦手で孤立、指示待ち状態になりがち。
などの、問題があり、どちらかといえば即戦力にはなりにくい人材と言えましょう。
しかし、即戦力にならないからといって放置し続けていては、上司である貴方が部下(あるいは新人)の指導を放棄しているとみなされてしまい、自分の評価に響く懸念があります。そのため、面倒な部下であっても、そう簡単に放置し続けるのは難しいものです。
また、人手不足で苦しんでいる企業が多い現代では、(言い方は悪いですが)コミュ障な人であろうとも、人がいないよりはマシな状態と言えます。
コミュ障でもどかしさ、やりづらさを感じる人材であっても、とにかく今いる人材をなんとか育成して、戦力にしていくことは、雇用の流動化により社内で人材を育てる文化が失われつつある昨今だからこそ重要性を増します。
そして、コミュ障の人を戦力にするノウハウやコミュニケーションスキルは、職場内の人材育成のみならず、お客様との取引や取引先との話し合いなどでも活用できるので、身につけて置いて損はありません。
今回は、そんなコミュ障な部下を戦力に変えるためのコツについてまとめました。
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コミュ障部下を即戦力に変えるコツ
しっかり挨拶を行えるように指導する
コミュ障な人によくあるのが、口下手すぎるあまりに挨拶までもできずに、タダ立ち尽くしてしまうという行動。
とくに初対面の相手ともなれば、コミュ障ゆえに緊張感を強く感じてしまうものですが、だからといって挨拶すらまともにできないのであれば「あなたと話す気はありませんよ」と行っているのも同じです。
いくらコミュ障とはいえ、初対面の人がコミュ障のことを察することはまずありませんし、コミュ障だからといって挨拶無しを認められるわけがありません。
本当に初歩的な話になりますが、コミュ障で悩んでいる部下を指導するまず第一歩として、挨拶を徹底して行うことが肝心です。
もちろん、ただ漠然と挨拶をするのではなく
- しっかり相手の顔を見て挨拶をすること。
- はっきりと聞きやすい声で、落ち着いて挨拶を行うこと。
- 挨拶されるのを待つのではなく、自分から挨拶を積極的にすること。
と、挨拶をする相手に声だけでなく、気持ちや熱意がしっかり伝わるように指導していくことが大事です。
とくに、コミュ障の人は普段から受身の姿勢が身についており、「挨拶をされたら返すけど、自分から挨拶はしない」という人が目立ちます。
だからこそ、自ら積極的に挨拶をかけに行けて話題を提供できる人になるよう指導していくことが大事です。
アバウトな指示・質問を出さない
コミュ障の人は、言われた言葉の裏にあるメッセージや意図にまで想像力が働きにくく、文字通りに受け取ってしまう傾向があります。
これは単純にコミュニケーション不足のせいで、言葉の裏に込められた意図を汲み取る経験も不足していることや、発達障害のせいでアバウトで回りくどい指示では、しっかり理解ができなくなることが考えられます。
例えば「すぐに連絡してください」と言われても、「すぐに」という文字をそのまま眺めていても、何分(何秒)なのかが文面からはわからないように、アバウトな指示では受け取る側にとっても多様な解釈ができてしまうために、いつ連絡すればいいのかが理解できず、ずっと連絡を放置してしまうことが起こりがちです。
こういったアバウトな指示は、よく指示を受け取る部下側に落ち度があると片付けられることが多いものですが、アバウトな指示を出している上司の方にも、改善の余地があります。
改善の方法としては「すぐに連絡してください」と伝えるのではなく「15時00分までに連絡してください(加えて、もしも無理なら12時00分まで連絡をください。)」と、時間や期限をきっちり具体的に指定して、伝えることが重要です。
そのほかにも
- 「あれやっといて」→「○○の仕事を△△時までにやっといて」
- 「わからないことがあったら誰かに聞いてね」→「わからないことがあったら、○○さんに聞いてね」
と、指示の内容を具体的にすることで、文字通りに受け取りやすいコミュ障の人でも、何をすべきなのかがわかりやすい指示になり、仕事の戦力としてしっかり働けるようになれます。
部下が自然と話しやすい雰囲気を作ることを心がける
コミュ障で部下が話しかけてこない、うまく意思疎通が取れない原因は、常に部下にあるとは限りません。
例えば、上司である自分が過度に威圧的な態度で接していたり、「今は話しかけてくるな」と顔で言ってそうな険しい表情をしている、ため息が多くでているなどの態度にでているために、部下のコミュ障具合が悪化してコミュニケーションが取れなくなっている可能性もあります。
自分の表情や態度というのは人から指定されたり、鏡で自分の顔を見ない限りはまず見えないものですし、上司に対して「話しかけづらい雰囲気を醸し出していますよ」と部下が指摘するのは立場上難しいものです。
だからこそ、意識して疲れている表情が出ていないかを鏡でチェックしたり、笑顔を心がけたり、威圧するのではなく温和な雰囲気で話かけるようにして、コミュ障の部下でも話しやすい場を作るように心がけましょう。
叱るときは怒鳴るよりも改善策を考えることを徹底していく
コミュ障の部下は、普通にコミュニケーションができる部下とは違って、周囲に迷惑をかけたりケアレスミスが多くて叱ることが増える部下とも言えます。
しかし、その時にただ頭ごなしに怒鳴るのではなく、ミスに対する改善策を考えて指示することが欠かせません。
厳しく怒鳴れば、厳しさが功を奏して反省してくれるだろうと思いがちですが、何を改善するべきかが怒鳴られた怖さのせいで頭に入ってこなかったり、怒鳴られるのを恐れて過度に萎縮し、余計にコミュニケーションが取りづらくなる原因になりがちです。
このように、恐怖を与えるばかりになりがちな怒鳴るという方法ではなく、しっかりミスと向き合って改善策を練っていくことが、コミュ障の部下を育てるためには大事です。
もちろん、ここでも「アバウトな指示・質問を出さない」で触れたように、改善策の内容は具体的且つ明確にすることが大事です。
例えば、「しっかり話すようにしなさい」というアバウトな改善策では「『しっかり』って言うけど、どうやって話せばいいのかわからない」と受け取ってしまい、あまり効果がありません。
ですので、
- 「相手の目を見て、落ち着いて話しなさい」
- 「もしも口で伝えにくいのならメールで伝えたり、メモにまとめて伝えなさい」
と、「しっかり」の内容を深堀して、的確な指示をこちらから出していくことが大事です。
連絡や報告をしてくれたときはしっかり感謝して部下を尊重する
コミュ障の部下は他の部下よりも怒られやすい存在であるため、普段から自信や自己肯定感の低さが目立ちます。
そして、そのことが仕事に対する消極的な姿勢として出たり、距離をとってコミュニケーションを避けたがる、などの行動として出ることがあります。
だからこそ、普段なにげない連絡や報告と言った社会人なら当たり前のことをしただけでも、まずは褒めたり感謝の言葉を述べて、部下の働きっぷりを尊重することが大切です。
「ありがとう」でも「助かりました」などの簡単な一言でもいいので、コミュ障の部下がしっかりコミュニケーションを取ろうとしてくれた時には褒めて自信をつけさせることを徹底しましょう。
コミュ障の何を改善すべきかをよく調べて行く
コミュ障と言っても、その症状や悩みは個々人によって異なり様々です。
人によっては、どもりや赤面で悩んでいる人もいれば、早口、小声、周囲から浮いてしまう、逆にしゃべりすぎて孤立する、などのコミュニケーションがうまくできなくなる行動の総称として「コミュ障」というアバウトな言葉が使われています。
だからこそ、コミュ障の部下を相手にするときは、その部下は単にコミュ障の部下として認識するのではなく、「この部下はどもりで悩んでいる」「あの部下は小声で悩んでいる」と、具体的にコミュ障のどんな症状で困っているのかを突き止めて、改善に向けて指示を出すようにしましょう。
コミュ障な部下を育てることは上司のコミュ力アップにもつながる
コミュ障な部下は、普通にコミュニケーションが取れる部下と違って非常にめんどくさく話がしづらい相手にように感じることが多いものです。
しかし、めんどくさく感じる背景には、自分が話しをしやすい相手とばかりコミュニケーションを取っており、なんとなく自分と合わない相手や文化や風習が異なり共通点が少ない相手と話す機会がないことが原因として考えられます。
例えば、コミュ力があるという印象が強い体育会系の人は、同じく体育会系の文化に慣れ親しんだ人同士であれば円滑にコミュニケーションをできますが、非体育会系の人同士の集まりに入り込むと、途端に話ができなくなり孤立してしまうことがあるものです。
これは、体育会系という文化や風習を理解し合っている相手だからこそ、お互い話がしやすくなる。
しかし、体育会系の文化や風習を知らない人の集団では、当然ながら体育会系のやり方ではコミュニケーションがうまくできなくなり、逆に自分がコミュ障になったかのように孤立してしまうのです。
このようにコミュニケーションができない相手と会話をすることは、知らず知らずのうちに自分は自分と合う相手ばかりコミュニケーションしてきており、自分はコミュ力があると思っていても、実はそれは似た者同士の間でしか通用しない限定的なコミュ力のみを身につけていたのだと、自覚することにもつながります。
コミュ障でめんどくさい相手に対しても通用するコミュ力を磨くことは、こうした自分のコミュ力が偏ったものでしかなかったことを自覚させ、あらゆる背景や文化を持つ人とも話し合えるコミュ力を身に付けることにつながるのです。
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