ひねくれた性格の人といえば
- 他人の感謝や好意を素直に受け取れない
- つい疑心暗鬼な目で物事を見てしまう。
- 相手の行動に対して、つい裏を探ろうとしてしまう。
などの行動が目立つ人がいい例でしょう。
ひねくれていると相手に対して余計な精神的な負担を与えてしまうだけでなく、自分自身のメンタルにもストレスをかけてしまいます。
ひねくれた目で人を見ることが癖になった結果、人間不信になって自分も他人も信用できなくなったり、自分に対する自信がなくなり無力感や空虚感に苦しんでしまう…
しかし、今までひねくれた性格で生きてきたことが災いしてどうやって性格を矯正していけばいいのかわ分からず、自分で自分が嫌になる…
今回は、そんなひねくれた性格の改善に役立つ心理学についてまとめました。
ひねくれた性格に関する心理学用語
まずはじめに、ここで紹介する心理学の知識を知ればすぐにひねくれた性格が綺麗さっぱり直る…という保証をするものではありません。
しかし、自分がどうしてひねくれているのかに関する心理学の用語を知るだけでも、抱いているモヤモヤとした気持ちの原因が分かった結果として、ひねくれた性格による辛さを軽減したり、性格を直すのに繋げることができます。
認知の歪み
何事も悪い方向に考えてしまう、慎重さが災いして自分で自分の首をしめてしまっている…このような悲観的な考え方には「認知の歪みが」が関係していると考えられます。
認知の歪みとは不合理な考え方のことを指し、うつ病などのメンタルヘルスの病気にかかっている人に多く見られる思考のパターンでもあります。
認知の歪みには10種類のパターンがありますが、その中でもひねくれている性格と関係があるのは
- 全か無しで考える : 何事も白か黒かで決めたがる。両極端な考えしかできない。
- 一般化のし効きすぎ : 嫌なことが起きると「いつも嫌なことばかり起きる」と物事を一般化しすぎてしまう。
- 心のフィルターがかかる : 物事にフィルターをかけ悪い側面ばかりを見てしまい。良い側面に注目しないので自信が持てない。
- 誇大視と過小評価 : 自分の短所を大げさに評価する一方で自分の長所を認めずに過小評価する。
が考えられます。
認知の歪みが強すぎると人間関係に自信が持てなくなったり「自分は他人から嫌われているのではないか」と疑心暗鬼になってしまい、日常の生活に支障が出ることがあります。
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自動思考(スキーマ)
ひねくれた性格の人には、ネガティブ思考をエスカレートさせている人が見られます。
- 自分はひねくれている
- →ひねくれているから友達もできない
- →仕事や学校でもうまくいかないし何もできない
- →自分はダメ人間に違いない
と言うような負のスパイラルに陥ることがよく見られます。
このような考えを悪化させることを心理学では自動思考(スキーマ)と呼びます。
自動思考とはある状況になると自然に浮かんでくる考えのことであり、過去の失敗や恥ずかしい記憶と結び付けられて、負のスパイラルが加速します。
しかし自動思考をよく分析していくと、冷静に考えればあまり現実的でない考え方に過ぎなく、自分の思い込みで自分を苦しめているだけだと考えることもできます。
認知的斉合性理論
認知的整合性理論とは、自分の認識と周囲の認識と一致させようとする心の働きを指す言葉です。
ひねくれてる人多い「褒め言葉を素直に受け取らない」と言う行動は、
- 自分の認識 : 自分は褒められるに値しない人間である
- 周囲の認識 : 貴方は褒められて当然のことをした人間である
とお互いの認識が不一致しているので違和感を覚え、褒め言葉を拒絶しているのだと考えることができます。
ひねくれている人をべた褒めしても煙たがられてしまうのは、ひねくれている人自身の認識に合っていない言葉を言っているためで、内心は「やたら褒めてくるけど、この人は自分のことをわかっていないなぁ」と感じて、距離を置こうとするのです。
逆に、ひねくれている人は自分の認識と会う人…すなわち自分のことを過小評価する人や悪く言う人と一緒にいると親近感を覚えて、心を開いてしまうことがります。
劣等コンプレックス
自分に自信がない、卑屈な考え方が染み付いている、などの劣等感から来るコンプレックスを劣等コンプレックスと呼びます。
劣等感は本人が意識している感情ですが、劣等コンプレックスは無意識下に押しやられているため自覚できないことも多くあります。
無意識に押しやられているため、ひねくれすぎて自分に自信がないと感じてしまうと、無意識のうちに人間関係をリセットしたり、人付き合いを避けるようにして、劣等感を刺激するような場面から自分を守ろうとします。
また、劣等感を自覚しているものの素直に認めることができずに、他人に対して上から目線で接して「自分は優れた人間である」と独りよがりな考え方をこじらせてしまう事もあります。
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心理的リアクタンス
周囲と違うことをしようとする、あるいはあまのじゃくな行動を取ろうとする。
このようなひねくれた行動は、心理的リアクタンスで説明することができます。
心理的リアクタンスとは、自分の行動や考えの中が脅かされた時、その自由を取り戻そうとする心の働きのことです。(リアクタンスは「抵抗」の意味)
「勉強しなさい」と言われたら勉強が失せる勉強する気が失せるのが典型例で、周囲に流されて自分の行動を自分で決められないと言う状況に対して無意識のうちに抵抗してしまうのです。
心理的リアクタンスの強さには個人差があり、ひねくれている人は抵抗する心理が強い人だと考えることができます。
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防衛機制の反動形成
防衛機制とは自分の受け入れがたい葛藤や不安に対して、精神的な安定を求めようとする行動を指します。
その中でも反動形成と呼ばれている防衛機制は、ひねくれている性格と深く関係がある考えられます。
反動形成は、自分の気持ちとは反対の行動とることであり、
- 嫌っている相手に対してあえて必要以上に優しく接してしまう
- ショックを受けているのにあえて明るく振る舞おうとする
- 褒められたのにあえて釣れない冷たい対応してしまう。
などの本来の欲求を押さえつけ、正反対の行動することで精神的な安定を保とうとするのです
反動形成が起きるのは、自分の感情や気持ちを素直に出すことに対して抵抗感じていることが原因として考えられます。
なお、反動形成はいわゆる「ツンデレ」のような性格にも関連しています。
防衛的悲観主義
ひねくれている人が自分を変えようと思ってポジティブ思考になろうとしても、逆にポジティブ思考に違和感を覚える。あるいは、ネガティブ思考の方が落ち着くと感じることがあります。
物事をポジティブに捉えてしまうと妙な不安を感じる一方で、メガティブに見た方が比較的不安が少なく感じ取れることを、防衛的悲観主義と呼びます。
「防衛的」と書いてあるように、ただネガティブになるのではなく「最悪の状況にならないためには何をどのような対策をすればいいのか」と慎重な考え方をします。
あえて悲観的な目線で考える事を通し地道に不安材料を打ち消すと言う建設的な考え方であり、ただ憂鬱になるだけどネガティブ思考とは異なります。
ひねくれている人がひねくれたままでい続けるのは、防衛的悲観主義によりネガティブな方が比較的楽と感じていることが影響しているかもしれません
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ひねくれた性格を直すには過去の生育環境についても注目する
ひねくれた性格を直していく時は「ひねくた原因は自分自身にすべての責任がある」と言う極端な自己責任論に偏らないことが肝心です。
人間の性格は自分1人でできる形成されるものではなく、
- 家庭環境・家族構成
- 学校や部活動など子供時代の影響
- 自分にとって近しい大人(親、親戚、近所の人、先生など)
- 社会情勢・世間の潮流
など、多くの人間やその当時の文化などが、性格形成に関わっているという視点を持つことが大事です。
就職活動の自己分析などで、自分の性格について掘り下げようとしても行き詰まってしまうのは、自分以外の人間が自分の人格形成に関わっていると言う自立を見失ってしまうことが原因だと思います。
ひねくれた性格は全て自分のせいであると抱え込まずに、自分を育ててきた人や社会や文化などにも関連があると自覚して、自分の性格と客観的に向き合っていくことが大事です。
もちろん「自分の性格がひねくれているのは全部周囲の人や社会のせい」と開き直ってしまうのは考えものです。
自分自身と自分を取り巻く人・環境の両方をバランスよく見た上で、自分のひねくれた性格がどのようにして形成されたかについてじっくり調べていくように心がけましょう。
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