ひねくれた性格の原因に関する考察

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ひねくれた性格がどうしてできるのか、何が原因となってひねくれた言動をとってしまうのかについて、よく上がるのは遺伝と環境の2つの要因です。

しかし、性格は遺伝と環境の他にも、その人個人の意思、性格を変えるような一度だけの大きな出来事も、性格形成に関わっていると考えられます。

ひねくれた性格の原因が遺伝として見る場合

書籍『難しい性格の人との上手なつきあい方』(著:フランソワ・ルロール&クリストフ・アンドレ,訳 高野優)では、性格と遺伝に関する以下のデータが載っています。

「リヴズリーの研究の結果を元にした性格の特性と遺伝の関係」
性格の特性 遺伝に関係する割合
自己愛的な傾向
(自分が特別な存在であり、他人から注目されることをもとめる)
64%
同一性の問題
(自己イメージが曖昧。虚無感を感じやすい。悲観的である)
59%
冷酷さ
(自己中心的で思いやりに欠ける。他人を軽蔑したり、残酷に扱うこと。)
56%
興奮をもとめる傾向 50%
心配性の傾向 49%
感情的な不安定性 49%
内省的な傾向 47%
社会に対する回避的な傾向 46%
疑い深さ 45%
他人に対して敵意を示す傾向
(支配的な態度で、厳しく接すること)
45%
強迫的な傾向 39%
暗示を受けやすく服従的な傾向 ほとんどない
(この3つは幼い頃の母親への愛着が関係していると考えられる)
愛情に関して不安を感じる傾向
(別れることに不安を覚える。孤独に耐えられずにすぐに親密な関係をもとめる。)
親密な関係を作れない傾向

なお、この表において「遺伝に関係する割合」が45%を超えた場合は、その性格の特性には遺伝が大きな役割を果たしていると言えます。

この表において、いわゆる「ひねくれている性格」に当てはまるものについては、赤文字で目印をつけているものです。

この表から分かることは、「ひねくれている性格」の要素のうち、遺伝の影響を受けていると呼べるものにも差があることがわかります。

たとえば「内省的な傾向」が47%に対して、同一性の問題(とくに「虚無感を感じやすい」「悲観的である」はひねくれている性格の例としてふさわしい)が59%と、ひねくれている性格の要素の中でも、遺伝の影響を受け具合は均一ではないと言えます。

なお、要素の中には「親密な関係を作れない傾向」のように、遺伝の影響ではないという結果が出ているものがあることがわかります。

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ひねくれた性格の原因が環境として見る場合

上の表の中でも、「自己愛的な傾向」「同一性の問題」など、特性の中でもとくに遺伝の役割が大きいものが、必ずしも環境要因が無関係というわけではありません。

たとえば、もともと「自己愛的な傾向」に関する遺伝的な要素を持って生まれてきたとしても、家庭環境や教育環境が自己愛的な傾向を強める後押しをした結果として、自己愛的な性格が形成されている…という考えもできます。

また、ひねくれた性格の要素として目印をつけている「親密な関係を作れない傾向」も、データでは遺伝はなく、子供の頃の母親との愛着が問題であるとされている…つまり、環境が影響となることで、ひねくれた性格が形成されているとも解釈できます。

ひねくれた性格は遺伝と環境の両方双方が原因という見方が妥当

このように、性格は必ずしも「遺伝のみ」「環境のみ」のどちらか一方で作られるものとは言えないのが実情です。

かつて心理学者の間では、「性格は遺伝で決まる(生得説,遺伝説)」と「性格は環境で決まる(k経験説,環境説)」をそれぞれ支持する意見がありました。

現代ではどちらか一方だけの説では支持されにくくなっている…つまり、遺伝も環境もどちらも性格形成に関わっているという見方がされるようになっています。

環境と遺伝以外の要因

自分の意思により性格が形成されている説

なお、心理学では性格が形成される原因として、遺伝、環境の二大要素の他にも「自分の意思」によって、性格が作られているという説もあります。

たとえば、遺伝子的にも同じである一卵性双生児が、お互いに同じ環境で育つ場合、遺伝・環境共に同じだからこそ、両者の性格は同じという結果になるはずです。

しかし、実際に双生児を対象にした研究では、同一環境で育った双子の方が、別の環境で育った双子と比較して、性格が似ていないという結果が出ました。

この理由として考えられるのは、お互いに似たもの同士が身近にいるからこそ、お互いに別の意見や考えを持つことで個性を出したいという心理が働いたり、生まれ順による親や周囲の扱いが性格の差を生み出したのだと考えられます。

以上のことを踏まえると、ひねくれている性格というのは、引き継いできた遺伝子や自分が与えられた環境などの受動的な要因だけでなく、ひねくれた性格を持つ当の本人の意思により、自ら能動的に選択してひねくれている自分らしさ(アイデンティティ)を形成しているとも考えられます。

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一回だけ起きたある出来事により性格が形成されている説

性格形成に関わる「環境」は、単に一回ポッキリの経験ではなく、一定期間持続するものであることが基本です。

一度だけ失恋をした、一度だけ大怪我をしたなど、トラウマになるような一度だけの経験は「環境」とは異なり「一回性」と言われています。

心理学では「環境」という区分には当てはまらないものの、一度だけの出来事でも性格が作られるという説もあり、これを「一回性の要因」と言います

なお、一度だけのショックな経験でも、その後の性格に大きく影響するであろうことは、普段生活を送る中で、経験や知識として知っているものであり馴染み深いものだと思います。

たとえば、ひねくれている人の場合だと

  • 一度他人に騙された経験から、他人に対して疑い深くなってしまった。
  • 仕事や勉強で一度大きな失敗をしたために、心配性な傾向が強くなってしまった。
  • 身近な人の死や自然災害により、ニヒリズムな考えや悲観的な思考が身についてしまった。

など、一度だけのショックな出来事が、ひねくれた性格を形成すしたのだと推察できるケースは多いことでしょう。

もちろん、人によっては騙された経験があってもひねくれることなく性格に変化がない人もおり、ある一回の出来事を経験した人が皆一様に同じ性格に変わるというものでもありません。

こうした、個人差が出るのは、遺伝・環境的な要因、自分の意思など、今まで触れてきた様々な要因が複雑に絡み合っているからだと考えられます。

ひねくれた性格一つ見ても、その性格が形成される原因は様々。あらゆる要素が相互に作用して、今の性格が作られているのです。

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ひねくれた性格は、一般的には好ましいものとして見られることがないことは、社会生活を送る中で多くの人が実感しているものだと思います。


参考書籍

国立大教育学部卒、専攻は心理学。発達心理学、教育心理学、スポーツ心理学、社会心理学を中心に心理学に関する記事を執筆中。そのほかにも、人間関係やコミュニケーション、性格、スマホ、SNS、ゲームなどのあらゆるテーマを心理学の知識を用いて詳しく、面白い記事を書くことを心がけております。

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