承認欲求と自己顕示欲の違いについて

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人から認められたいという欲求を表すときに、よく「承認欲求」と「自己顕示欲」という言葉が使われることがありますが、両者はどちらも似たような意味を持っているためか混同されて使われることか多いものです。

また、心理学という観点関係なく、普段の会話やネット上のコミュニケーションでも「承認欲求=自己顕示欲」とみなされて、それで会話が成立してしまう…ということは少なくないように感じます。

今回は、そんな心理学用語としても言葉としても、その違いが曖昧な承認欲求と自己顕示欲の違いなどについてお話いたします。

承認欲求と自己顕示欲の違い

承認欲求とは

承認欲求と、他者から自分の事を認めて欲しいという欲求です。シンプルにいえば「認められたい」という気持ちがこれにあたります。

なお、認められたい気持ちを具体的に深堀していくと、

  • 尊敬されたい
  • 愛されたい
  • 共感されたい
  • 優れていると思われたい
  • 羨ましいと思われたい

などの感情が根底にあります。そのどれも、他人が自分の事を承認する感情であり、その性質上、他者の存在がまず欠かせない欲求です。

なお、承認欲求は心理学者マズローの欲求段階仮説で登場している概念であり、社会や集団の一員として認められることで芽生える欲求と説明されている、正式な心理学用語の一種です。

自己顕示欲とは

一方で自己顕示欲とは人気や評価を得たい、自分の存在をアピールしたいという欲求のことです。

他人から認められたい、という他人を主体とした承認欲求と通ずるところはありますが、あくまでも自分をアピールしたいことから、自分を主体とした行動を起こすための欲求と言えます。

承認欲求とは異なり、他者が注目してくれさえすれば自己顕示欲は満たされる。承認欲求のように褒め言葉や愛情表現を求めなくても、注目されさえすれば自己顕示欲は満たせると考えられます。

言い方は多少悪くなりますが、承認欲求は他者中心的、他者依存的な欲求であり、自己顕示欲は自己中心的、自己本位な欲求と表現してもいいかもしれません。

自己顕示欲をこじらせている人は「私を見てくれ!」と注目を浴びるだけなので案外すぐ終わる。一方で、承認欲求をこじらせる人は「(見るだけじゃなくても)褒めて欲しい、受け入れて欲しい」と相手にあれもこれも求め続けてしまうため、めんどくさがられるのかもしれません。

なお、自己顕示欲という言葉は正式な心理学の用語ではないとされています。

自分をアピールするというニュアンスだけに絞れば、自己顕示欲に近い意味を持つ心理学用語は「自己開示」が、自分をアピールしたがる行動そのものに関するパーソナリティや特性を表すと用語としては「自己愛性パーソナリティ障害」「ナルシシズム(自己愛)」などが候補として挙げられます。

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承認欲求と自己顕示欲の使われ方について

冒頭でも触れたように、承認欲求と自己顕示欲の言葉としての使われ方は、ほぼ同じ意味合いを持つものとして使われていることが日常的に見られるものです。

例えば、目立ちたがり屋な人を見て「あの人は自己顕示欲が強そう」「あの人は承認欲求が強そう」と表現しても、どちらも人から注目されたい、認められたい願望を強く持っている人という意味ですんなり解釈できることでしょう。

承認欲求・自己顕示欲ともに、共通している要素が多く日常会話の中では、どちらも同じ意味合いを持つものとして問題なく使われていると感じます。

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おまけ:承認欲求と自己顕示欲の検索数の推移

最後に、承認欲求と自己顕示欲の両単語のネット検索数の推移についても触れておきます。

こちらは、過去5年間の「承認欲求」という単語の検索数の推移です。

5年前の検索数推移の数字は25~50程度で推移していますが、現在は50~80程度の倍程度の数値で推移しています。

数値を元に考えると、過去と比べると「承認欲求」という言葉の検索数は2倍程度に増えている…つまり、承認欲求という言葉の使用頻度は増えていると考えられます。(株価的に言えば「承認欲求」は上昇トレンドと判断できる)

なお、承認欲求という言葉の認知度が上がった原因は、

  • スマホを所有率、使用時間の増加。
  • 各種SNSやyoutubeなどの動画投稿サービスの発展で、ネット上で自分を手軽に認めてもらえる場面が増えたこと。
  • 自己啓発本やビジネス誌における、マズローの欲求段階説の頻繁な引用。
    (個人的な観測だが、人材育成、マネジメント、コーチングにおいて、マズローの欲求段階説を用いる記事をよく見かける。人材確保が難しい状況なので、相手を承認することで人材確保&離職減少を狙う採用側の思惑があるのかもしれない。)

などが影響しているのではないかと考えられます。

一方こちらは、過去5年間の「自己顕示欲」という単語の検索数の推移です。

承認欲求と比較して、上昇でも下降でもない平坦な推移ですが、毎年4月頃になると妙に検索数が増える傾向があります。

憶測になりますが、4月は就職や進学で人間関係が変わりやすく、新しい環境で自己顕示欲の強さを発揮し、自分のことアピールしたがる人が増加することが、検索数の増加という形で現れているのかもしれません。

あくまでも検索数の推移だけでの判断になりますが、自己顕示欲は承認欲求ほど頻繁に使われる言葉ではない。むしろ同じ意味を持つ代替可能な「承認欲求」という言葉の方が「認められたい」という気持ちを表現する場面で使われるようになっているのではないかと分析できます。

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参考書籍

国立大教育学部卒、専攻は心理学。発達心理学、教育心理学、スポーツ心理学、社会心理学を中心に心理学に関する記事を執筆中。そのほかにも、人間関係やコミュニケーション、性格、スマホ、SNS、ゲームなどのあらゆるテーマを心理学の知識を用いて詳しく、面白い記事を書くことを心がけております。

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