恋人としての関係を良好するにあたって、彼氏or彼女が持っている「認められたい」という願望、つまり承認欲求といかに上手く付き合うかについては、避けては通れない問題です。
褒め方や承認の言葉がワンパターンでは飽きられてしまう可能性がありますし、そもそも褒め方がワンパターンでは、相手が「本当に自分のことを認めてくれているのだろうか…」という不安を持ってしまい、関係が芳しくない方に進んでしまうこともあります。
では、恋人が持つ承認欲求をどのようにして満たせばいいのか、どのような言葉のかけ方やコミュニケーションを行えばいいのか…今回は、このテーマについてお話しいたします。
相手の承認欲求を満たすには褒め方を意識する
まず、恋人の承認欲求を満たすためには、普段のコミュニケーションの中でも特に褒め方について意識することが重要です。
人は誰しも自分を認められたいという願望、それも自分には価値がある、他人から評価されるに値する人間であるという、是認されたい欲求(=自己是認欲求)を持っている。そして、自己是認欲求を満足す言葉こそ、相手を褒める言葉なのです。
自己是認欲求が満たされると、自分を是認してくれた相手に対して好意を持ちやすく、関係が良好になるのが見込めるからこそ、意識的に相手を肯定したり受容する言葉がけを行うことが肝心です。
なお、自己是認欲求はその性質上、他人から是認される言葉をかけてもらわなければ満たせない欲求であり、自画自賛するなど自分で自分を褒めることではなかなか満たしにくいものであります。
(余談ですが、自己是認欲求を満たすコミュニケーションは、恋人関係以外でも応用できます。家族、友達、職場やご近所の人間関係など、日常生活を送る上でも意識しておくのが良いでしょう)
恋愛関係で承認欲求を満たすための言葉のかけ方
単に相手を褒めて是認すればいいというものではなく、そのほめ方にもいくつか種類があり、それぞれ長所や短所があります。
では具体的にどのような褒め方や言葉がけをすればいいのかについて、以下で詳しく説明していきます。
相対評価:誰かと比較した上で相手を認める言葉がけ
褒める時に
- 「グループの中で一番頭がいいですね」
- 「新人の中では仕事が早い方ですね」
- 「芸能人みたいに綺麗な人ですね」
という具合に、比較対象になる人や集団を出した上で相手を褒めることで、相対評価と呼ばれています。
相手が誰かと比較されて褒められることを望んでいる。あるいは、普段から「○○さんみたいな人に近づきたい」という憧れのような願望を持っている場合は、この褒め方をすることにより、相手のことを強く承認できます。
ただし、褒める内容によっては皮肉や嫌味に聞こえてしまい、逆に相手の自尊心を傷つけてしまうリスクもある点には注意が必要です。
後述するように無闇に比較対象を出さず、絶対評価で褒めてみることも取り入れてバランスをとることが大事です。
絶対評価:誰とも比較せずに相手を認める言葉がけ
褒める時に
- 「頭がいいですね」
- 「仕事が早い方ですね」
- 「綺麗な人ですね」
と、比較対象を出さずに褒めることを絶対評価といいます。
比較対象を出さないために、相手に対して「自分はあなたのことを強く評価していますよ」という意図が、相対評価と比較して伝わりやすいのが特徴的です。
しかし、比較対象を出さないために、漠然とした褒め言葉に終わってしまうことも少なくない。つまり、社交辞令やお世辞の一種とみなされやすいデメリットもあります。
絶対評価を使う時は、後述する「プロセス評価」および「結果評価」と組み合わせて、自分が相手のことを強く評価している根拠となる部分の説明も付け加えておく。つまり、褒め言葉の説得力を補強しておくことが効果的です。
プロセス評価:行動の過程(プロセス)を認める言葉がけ
褒める時に
- 「○年間もよく受験勉強を頑張ったんだね」
- 「○ヶ月のダイエット生活を乗り越えられたんだから、十分立派だ」
と、相手の努力の経過や過程(プロセス)を褒めることを、プロセス評価と呼びます。
後述する結果評価と比較すると、相手が何かしらの目に見える結果が出ていなくても褒められる点が特徴的。絶対評価の根拠としても活用可能です。
また、「自分は結果しか見ない人ではなく、努力の過程もしっかり見ていて評価していますよ」という意図を伝えて、相手を是認することに優れている褒め方です。なお、人間が持つ変化の度合いに対する敏感さ(成績や体重の変動など)に着目した褒め方でもあります。
ただし、デメリットは相手の努力の過程を知らなければ褒めることは不可能で、他の褒め方と比較すると労力を要する点です。
ロクに相手の頑張っている姿を見ずに自分の憶測や思い込みで褒めてしまっては、相手から顰蹙を買ってしまう可能性がある点には注意が必要。
また、努力の過程を褒められることに対して相手が快く思っていない場合もあるので、相手の性格や考え方の癖について把握した上で、後述する結果評価を取り入れてみることも検討に入れておきましょう。
結果評価:行動の結果を認める言葉がけ
褒める時に
- 「○○大学に合格するのはさすがだ!」
- 「○○kgも痩せるなんてすごい!」
と、相手が努力が実った結果について褒めることを結果評価と呼びます。
具体的な結果を褒めるために、褒める方も言葉や態度を選びやすく、簡単に褒められるのが特徴的。また、プロセス評価同様に、絶対評価の根拠としても応用しやすいのが利点です。
なお、デメリットは
- 相手が結果らしい結果を出していない場合には、そもそも結果評価で褒めることは不可能。
- 結果評価しかしていないと「結果でわかる部分しか見ていない人」と見られてしまい、自分のことをよく見ていないと思われてしまう。
- 相手が不満に感じている結果について褒めるなど、相手が望まない褒め方をしてしまえば皮肉や嫌味だと受け取られてしまう。
などにより、関係が悪化してしまう可能性がある点です。
この記事で触れている、他の評価もしつつ結果評価を取り入れてみたり、相手が結果で評価されることを求めていないのであれば控えることも検討に入れておきましょう。
お互いに承認しあえる関係を目指せば関係が良好になりやすい
最後に、褒めて承認しあうコミュニケーションを行う時は、どちらか一方が褒めてばかりor褒められてばかり、という不公平な関係ではなく、お互いがお互いに大体同じぐらい褒め合っている関係を目指すことが重要です。
これは、社会心理学の社会的交換理論の理論で、人間関係において褒め言葉などの心理的な報酬を与え合う場合、その報酬がお互いに等しい状態の時が、関係に対して居心地の良さを強く感じるとされていることの応用です。
相手から認められたいという願望を持っているのなら、自分ばかりが願望を満たしてもらって是認してもらうのではなく、是認してくれた相手もまた是認する…というように、ギブ&テイクの関係を持つことが大事なのです。
なお、心理的な報酬は金銭や物品による報酬とは違い、その量や多さが目に見えてわからないのが弱点です。
それゆえに普段から意識的に、相手を是認するような言葉をかけているか、相手をちゃんと評価しているか…ということを意識的に思い出すことが肝心です。
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