回避性パーソナリティ障害の人の結婚前、結婚後の問題について

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回避性パーソナリティ障害の人やその傾向がある人(以下、まとめて「回避性の人」と呼ぶ)は、人間関係に煩わしさを感じやすく、責任を負う可能性が出てくる場面になると、何かとその状況を回避しようとする特徴があります。

その特徴ゆえに、結婚という人生の一大イベントは、回避性の人にとってはまさに非常に面倒な行事であるかのように感じてしまうのも無理はありません。

今回は、回避性パーソナリティ障害と結婚に関する諸々について、お話しいたします。

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他人や社会と関わることに不安や緊張を覚えやすい。環境や状況の変化を強く恐れる傾向がある回避性パーソナリティ障害の人は、他人と深く関わるだけで

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回避性パーソナリティ障害の人は結婚に至るまでが長い

回避性の人は、他人と関わることに煩わしさを感じてはいるものの、かと言って孤独な生活を好んだり、他人に自分のことを打ち明けることについて全く興味を示さないわけではありません。

煩わしさを感じつつも、自分が気になっている人に対して密かに片思いをしたり、自分のことを拒絶しないと分かった人であれば、積極的に自分の内面を相手に見せようとする。そのため、人間関係は回避するものの、恋愛と無縁の生活を送るわけではありません。(なお、恋愛と無縁の場合は、スキゾイドパーソナリティの傾向を持っていると考えたほうがいいかも)

回避性の人は、運良く恋人関係になれたとしても、そこから更に関係を発展させていく場面になると、持ち前の責任を負うのを避けたがる癖が災いし、どうしても関係が停滞することが目立ちます。

つまり、恋人の関係を脱して夫婦になる…という、お互いの関係性が明確に変化する場面になると、回避性の人は今まで以上に大きな社会的責任を背負うことを意識して不安を感じる。そして不安から逃れるべく、今までのように恋人関係を維持しようとする方を選んでしまうのです。

そのため、回避性の人は結婚が秒読み段階になっても、なかなか結婚には踏み切れず、恋人以上夫婦未満というどっちつかずで微妙な関係を続けてしまう。

もちろん、そんなもどかしい時期を相手が受け入れた結果、晴れて結婚にたどり着けることもありますが、一方であまりのもどかしさに愛想を尽かして相手が離れてしまったり、関係そのものが自然消滅するのも珍しくはありません。

また、実際に結婚するとなれば、単純に婚姻届といった書類上の手続きのみならず、それぞれの両親(場合によっては親族も)へのご挨拶、結婚披露宴を行うための各準備、(女性なら)苗字変更に伴う各手続き、結婚生活後の家事分担とお金の管理に関する取り決め、引越しをするとなれば新居探しや転出・転入届の提出と住所変更に伴う各種手続き…など、やるべき面倒事が山のように出てくるものです。

山のような面倒事を超えた先にある結婚生活に対して、回避性の人は持ち前の煩わしさや面倒事を避けたがる癖が強く出てしまう。これもまた、結婚に踏み切れない原因の一端を担っているように感じます。

なお、昨今では「晩婚化」や「若者の結婚離れ」のように、過去と比較して婚期が遅くなっている傾向や、そもそも結婚にすらたどり着かないまま関係が消滅してしまうことが、社会問題として取り上げられて久しいものです。

こうした結婚に対する消極的な傾向は、経済的な問題(=例:若者の貧困化)で語られることがよくありますが、回避性の傾向を持つ人の増加により、結婚に対する消極的な姿勢が強まっている…という見方もできます。

回避性パーソナリティ障害の人との結婚生活で待ち受けているもの

無事に結婚まで辿りつけたとしても、その後もまた回避性の人が持つ傾向の影響を受ける場面が出てきます。それは、子供を持つ事を考えはじめる場面です。

上でも触れたように回避性の人は、新たな責任を背負うことに消極的であり、「夫婦」から「子を持つ親」へと自分達の関係性が進展する場面を想像すると、関係の進展に後ろ向きになってしまいます。

結婚することと違い、子供を授かることは、言い換えれば自分とは別の人間の命を、しっかり支えて育てるという、重大な責任を背負うことになります。

当然ながら、途中で育児放棄したり虐待をするようなことがあってはならず、親の手を離れるまでは保護者としてしっかり面倒を見なければいけません。

また、子供の将来のために、今以上に収入を増やしたり、小遣いを減らして貯金に回したりなど、お金のやりくりについても考え直すことも必要です。

更に、子供にしっかりと教育を受けさせるのはもちろんのこと、子供を通じた親同士の人間関係や学校の先生との人間関係を構築していく必要性も出てきます。

このように、子供を持つとなれば、それに応じて親としての自分が果たすべき責任はグンと増えてしまう。

そんな将来像を考えると、回避性の人は「子供を持つこと=責任が増えて、慣れないことが出てきて苦しむ」と否定的に捉えてしまいます。

また、結婚に踏み切った時同様に、子供を持つかどうかの決心を付けるまでに時間がかかってしまった結果として、高齢出産になることもあります。高齢出産ともなれば、若かった頃以上に負うべき責任に対する体力的、心理的なハードルは高まるのは明白です。(そもそも結婚に踏み切るまで時間がかかっていれば、ますます高齢出産から回避できなくなる可能性はあるが…)

もちろん、結婚はするけども子供を持つことは望んでいないとお互いに納得しているのであれば、子供を持つことに関する煩わしさを感じる心配は限りなく小さくなります。

しかし、一方は子供を欲しがっているものの、もう一方は子供を求めていないとなれば、夫婦関係はギクシャクしてしまい、冷め切った生活を送ってしまう懸念があります。

回避性パーソナリティ障害の人は浮気をしづらい

何かと先行きの暗さが目立つ回避性の人の結婚生活ですが、新たな人間関係を築くことにめんどくささを感じるという特徴が「浮気の可能性は低い」という良い方向に働くことがあります。

回避性の人にとっては、気になる人と新しく関係を持とうとしても、今以上に面倒事や煩わしさが増えるというストレスの方を強く意識してしまう。そのため、仲良くしたい気持ちこそあるものの、なかなか新たな人間関係を構築できず、現状維持に徹してしまうのが特徴的です。

恋人以前の段階にて、本当は恋心を抱いているのに、それを打ち明けられず「現状維持」となるのは、マイナス視されるものです。

しかし、既に結婚しているとなれば「現状維持」に徹することは、何ら恥ずべきものではありません。むしろ一途であるとして高い評価を得られます。

また、新たな人間関係を築きづらいからこそ、単身赴任のようにお互いが会えなくなる状況になっても、パートナーの視点に立てば、そのことに過剰な不安を感じずに済みます。

「赴任先で自分の知らない相手と知り合い浮気をするほど、コミュ力やフットワークの軽さがある人ではない」という安心感があるからこそ、浮気の不安に過剰に怯えずに済むのです。

なお、回避性の人の視点に立てば、自分がひっそり浮気をしていたとして、それがもしもバレようものなら、それこそ自分の社会的印象の悪化や慰謝料の支払いなど、浮気以上の面倒事になってしまう。

そんな事態になって疲弊するぐらいなら、今のパートナーとの安定且つ平穏な関係を維持したほうが、面倒事は少ない…と考えるので、浮気とは無縁の生活を送りやすいと言えるでしょう。

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