回避性パーソナリティ障害の恋愛傾向について

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他人や社会と関わることに不安や緊張を覚えやすい。環境や状況の変化を強く恐れる傾向がある回避性パーソナリティ障害の人は、他人と深く関わるだけでなく、夫婦となり子供を持つことが将来待ち受けるという環境の変化を強く意識せざるを得ない、恋愛関係のような親密な人間関係を苦手とする傾向が見られます。

しかし、かと言って恋愛関係に全く興味や関心が無いというわけでもありません。「恋愛は面倒くさい」という感情と「でも、恋愛無しのまま人生を終えるのは嫌だ」という相反する感情の板挟みに苦しむことが目立ちます。

また、傍目には恋愛関係を必要としていない人のように思われやすい。しかし、当の本人は恋愛に興味はあるけど、なかなか最初の一歩が踏み出せず、もどかしい気持ちを抱いたまま一人で過ごしている…という、周囲からの無理解と心理的な葛藤に悩まされているのが、特徴的です。

今回は、そんな回避性パーソナリティ障害の人の恋愛傾向について、お話しいたします。

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傍目には恋愛に無関心に見えるが、恋愛感情がないわけではない

回避性パーソナリティ障害の人は、「回避」という名前にもあるように、他人と関わる事に不安や煩わしさを強く感じるために、人間関係を避ける傾向があります。

しかし、人間関係を避けると言っても、他人に対する興味が全く無いというわけではない。むしろ自分を否定する心配が無い人や、自分のことを本当に好いてくれる人であるとわかれば、自分の内面を見せられる相手だと感じて、積極的に関係を持とうとします。

この傾向は恋愛関係でも同様です。自分が恋心を寄せている人から否定的な反応が返ってくる(嫌われる、無視されるなど)のに強い不安を抱えており、なかなか相手に対して好意を打ち明けることができない。

そうこうしているうちに、恋愛関係とは無縁な期間が長引いてしまい、周囲からは「恋愛に興味がない人」という印象がついてしまいやすい。

その印象の影響もあって、「もしも、意中の相手に好意を伝えても『え?貴方は恋愛とは無縁の人だと思ってました…』という困惑のニュアンスが込められた反応が返ってくるはずだ…」とネガティブな未来を想像してしまい、ますます恋愛に奥手になってしまいます。

「他人から嫌われたくない」けど「他人から好かれたい」という二つの気持ちで心が揺らぐ

冒頭でも述べているように、回避性パーソナリティ障害の人は

  • 他人から嫌われたくない
  • 他人から好かれたい

という相反する気持ちを持っているために、非常に心が揺らぎやすいのが特徴的です。

そして、この矛盾した気持ちのせいで、「告白したい」とは思いつつも「告白が失敗したら傷ついてしまう」というもどかしさに苦しむ。

加えて、ここで当たって砕けろの精神で告白できず、むしろ告白する状況から避けてしまうのも特徴的です。

いっそひと思いに告白するとなれば、刺激が多く不慣れな環境に身を置くストレスに耐えなければいけません。

しかし、回避性パーソナリティ障害の人は、新しい環境に身を置く事に強い不安を感じるために、告白を先延ばしにし続け現状維持を選んでしまうとされています。

相手が自分のことを強く否定しないか、とことんまで見極める傾向がある

恋に対して臆病な傾向を見せる回避性パーソナリティ障害の人は、相手が自分に明確な好意を抱いている事が分かり、且つ自分のことをなんでも受け入れてくれるだけの心の広さや、寛容な姿勢を持っている人だと判明すると、ようやく好意を伝える気持ちになるとされてます。

また、自分からではなく、相手の方から(半ばしびれを切らして)好意を伝えて来たときも、同様に好意を受け入れ恋仲に発展するとされています。

しかし、告白に至るまでの時間が長く、また告白よりも現状維持を選んでしまうことから、そもそも意中の相手が自分以外の相手と恋仲になってしまい、片思いに終わってしまうことも少なくない。

また、年齢的な問題も相まって、好意こそあれど世間体や年齢差と言った別の煩わしさが出てきたことで、恋愛が成就できないまま終わってしまうこともあります。

長い時間をかけるといえば純愛のように見えますが、あまりにもスピード感がないので、恋という名の競争においては、どうしても遅れをとりやすいのが(悲しいかな)特徴的です。

ただし、昨今では晩婚化や若者の恋愛離れという恋愛観の変化もあり、回避性パーソナリティ障害の人でも、かつてのようなガツガツとした恋愛を強いられる場面が減っていることは、ある意味追い風が吹いているとも言えます。

両思いに至らず、片思いのままで終えることも少なくない

また、回避性パーソナリティ障害の人は、両思いではなく実らぬ片思いを延々と続けるケースも多いとされています。

回避性パーソナリティ障害の人からすれば、片思いを続けることは両思いになるために自分の内面をさらけ出す緊張を味わう不安もない。

そして、成就する見込みが低いことをあらかじめ理解しているからこそ、片思いは煩わしさとは無縁で、気兼ねなく思う存分エンジョイできるという利点もあり、ある意味回避性パーソナリティ障害の人向きと言えます。

また、片思いの対象は3次元の人間ではなく、2次元(漫画、アニメなど)や妄想の世界の相手になることもあります。

2次元や妄想の世界の相手なら、リアルの人間関係のような煩わしさは、まず感じない。おまけに、自分の理想を反映させたあらゆる魅力にあふれた相手に対して恋愛できたり、リアルではできない魅力(重婚など)があるので、ついハマってしまうと考えられます。

一度相手に心を許すと、自分の内面をやたら見せる積極性を持っている

回避性パーソナリティ障害の人は、一度相手に心を許すと、その後は積極的に自分の内面を語りだし、距離を縮めようとする傾向があります。

恋仲になるまでは非常に時間がかかるものの、一度打ち解けると今までの遅れを取り戻すかのように、恋愛関係を深めていくという二面性を持ち合わせています。

そのあまりの変わりように、「猫を被っている」「ツンデレ」「ギャップ萌え」という、属性がよく似合います。

ただし、関係を深めることはできても、関係が変化することには臆病なことが目立ちます。

普通の恋人から、結婚する、子供を持つ…という、二人を取り巻く環境の変化が浮上する場面になると、急に臆病になってしまう。現状維持を望む回避性パーソナリティ障害の特徴は、恋愛関係になったあとでも見られます。

回避性パーソナリティ障害の人は自分自身の恋心を自覚できなくなることも

非常にめんどくさい自分の性格や物の見方にとらわれてしまい、自分でも相手が好きなのか嫌いなのかがよく分からくなってしまうことがあります。

また、相手に嫌われたくない気持ちの強さゆえに、相手に好意を伝えるチャンスを逃してしまう。「そもそも自分なんて好かれるはずがない」と、端から恋愛そのものを諦めてしまうことも少なくありません。

ひとことで言えば「めんどくさい恋心のせいでめんどくさい恋愛をする」だけでなく、そもそも恋愛にすらこぎつけられない。

しかし、一度恋愛関係になると、今までの臆病さが嘘のように、相手にべったりorデレデレした一面を見せるようになる…という急変っぷりに、本人の心が追いつかなくなることもあります。