真面目な人は恋愛に対してガツガツしない、誠実で、堅実で、恋愛対象としては非常にいいはずなのに、どうしてもモテないということがあるものです。
とくに若い時期だと、「あなたは真面目でいい感じの人」というお褒めの言葉を周囲の大人からかけてもらい一定の評価は得ているものの、こと恋愛となると同世代からの評判は今ひとつ芳しくない。
むしろ、真面目でない不真面目な人(例:チャラい人、垢抜けている人)などの方がモテている状況を目の当たりにして、自分の真面目さに自信が持てなくなったり、「不真面目な人の方がいいなんて人を見る目がないやつだ」と怒りを抱いたことある人も、ひょっとしたらおられることでしょう。
こうした、真面目な人がモテない現象は、心理学のSVR理論を用いて説明することができます。
関連記事
目次
刺激が乏しいために交際に発展しづらい真面目な人
心理学者のマースティンは出会い・交際・結婚の各段階において、どの要素を重視するかを説明するSVR理論を提唱しました。
SVR理論において重視される項目は、外見・価値観・役割の3種類であり、
- 出会い : 刺激>価値観>役割
- 交際 : 初期は価値観>刺激>役割。後期は価値観>役割>刺激に変わる
- 結婚 : 役割>価値観>刺激
の順に、各段階で重視する項目が変化していきます。
恋愛において、真面目という言葉が「特徴らしい特徴がないけど、仮に特徴をつけるとしたら真面目そうな人」という、やや否定的な意味合いで使われることからもわかるように、真面目であることは刺激に乏しく、出会いの段階で惹かれる材料にならないことがあります。
ここでいう刺激とは、容姿、喋り方、仕草、表情などのぱっと見て分かりやすいものが重視されます。とくに突出したものが容姿や行動がないために付けられる「真面目」の場合は、出会いの時点で好印象を獲得できていないために、交際に繋がりにくいのです。
また、真面目であることを誠実さを重視する考えを持っている、努力を大切にしている、などの価値観に関わるもの特徴としてカテゴライズしたとしても、出会いの段階では価値観は刺激よりも重視されないために、その後の関係に繋がりにくくなります。
更に、真面目であることが、しっかり働いて家計を支えてくれる、家事や育児などの「役割」を果たしてくれるものとしてカテゴライズされたとしても、役割が最重視されるのは結婚後であり、どうしても出会いや交際の段階では評価されづらいのです。
真面目な人が大人からの受けはいいのに、若者・同世代受けが今一つな理由
真面目な人によくあるのが、大人からは真面目で評判がいいのに、同世代からはあまり注目されておらず、恋人候補としても認知されていない…というケースです。
まじめでいい子としてバイト先のおばさんしかり、学校の先生しかり、両親・祖父母・親戚・ご近所さんなどの合う大人から高評価を受けているのに、その割には同年代ならあってもおかしくないはずの恋愛の話や縁はまるで無い。
むしろ、恋愛とは無縁の生活で、まじめでいい子と言われている本人すらも、大人からの評価と同年代のからの評価のギャップに違和感を覚えることがあるものです。
現代ならこうした現象は「草食化」「若者の恋愛離れ」などの言葉で説明することもできますが、SVR理論をもとに考えればこの評判の差も説明ができます。
同年代はまだ結婚しておらず、恋愛に対して重視するものも進展していない。つまり、SVR理論で言うところの「出会い」の段階どまりであるために、分かりやすい刺激を重視する時期なのです。
そのため、真面目であることは、刺激に乏しいので恋人候補になりにくく、周囲の大人の評価の割には、同世代からの…とくに恋愛相手としての評価は芳しくないのです。なお、恋愛に限らず、若いうちに刺激を求めた生活をしたがるのも、こうした刺激を重視する考えが影響していると考えることができます。
一方で、大人…それも結婚をし、相手に対して(結婚生活上の)役割を重視するようになっているために、普段から他人を見る時でも、役割と深く関わりのある真面目さを高く評価するようになっているのだと考えることもできます。
恋愛経験や人生経験を重ね、一時の刺激よりも価値観や役割としての真面目さの重視する段階を経たからこそ、たとえ自分の子供や孫にあたるほど年の離れた相手であっても、相手を評価するときに、わかりやすい外見よりも真面目さという内面部分を評価しているのです。
なお、SVR理論では、出会い~結婚にかけて、重視するものが最初と変化しないままでは、出会いなら交際、交際なら結婚という次の段階に進展しづらく、場合によっては関係が破綻してしまうとされています。
現に結婚しててもおかしくない年齢の人が、いつまでも相手に若い時のような刺激的な相手を求めてばかりだと、(遊び相手ならともかく)結婚して家庭を持つことを想像する不安になる。
出会った頃はわからなかったけど、付き合ううちにお互いの価値観がわかってきたが、それがあまりにも違いすぎると、結婚後の生活がギクシャクしたものになろうことが想像出来て、なかなか結婚に踏み切れないように、お互いの関係が進展する際に重視するものも状況に応じて変化できなくなると、それ以上の関係を進めづらくなるのです。
真面目だからといって自己アピールをしないのは、自分を知ってもらうチャンスを減らしている
もちろん、誠実だとか、努力家であるなど、真面目のいい点を持っているのであれば、それらを積極的にアピールしていき、相手に刺激を与えることで、第一印象で損しないようにすることができるでしょう。
ただし、真面目さには「大人しい」とか「控えめである」などの、自己アピールをしづらくなる一面もあるため、ややこしいものです。
真面目な自分を貫く気持ちが強すぎると、自己アピールは真面目な自分らしさ(アイデンティティ)の否定となり、強いストレスを感じる原因となる。そのストレスを避けたい気持ちがあるからこそ、あくまでも真面目であることを自分からアピールせず「私は不器用なのですが、根は真面目でいい人なのでそれを認めて欲しい」という受け身な姿勢を取った結果、刺激を重視する同世代からの評判は微妙になり、モテなくなるのです。
真面目に限ったことではありませんが、自己アピールなり自己紹介が乏しい人は、相手からしても人となりがわかりにくく、好意や興味を抱きにくい。それゆえに、恋愛には発展しづらくなるのも無理はありません。
とくに、出会って間もないころであれば、内面よりもまずは外見や印象で、相手の人となりを判断しなければいけませんが、そこで自己アピールもなく特徴らしい特徴を示せないと、どうしても関心を持ちにくくなります。
真面目だからといって、おとなしくなりすぎず、控え目な自分に徹っすることなく、多少は遠慮せずにアピールしていく姿勢を持つことが大事だということを、SVR理論は伝えているのかもしれません。
関連記事