モラルハラスメントは、殴る、蹴るなどの暴力による嫌がらせではなく、言葉や態度などの、体の傷としては残らない行為により、相手を精神的に痛めつける嫌がらせ行為全般を指します。
たとえば
- 暴言や人格を否定する言葉を彼氏であり自分に向けてしつこく言う。
- 理由もなく無視をしたり、会話をすることを拒否する。
- 気に入らないことがあると「別れる」と脅して、従わせようとする。
- 彼氏の人間関係に干渉したり、コントロールしようとする。
- 彼氏が嫌がっているのに奢らせる、金品を集る(たかる)
などの行為がモラハラに当たります。
こうした行為は、いわゆる「クズでダメな彼氏とそれを支える彼女」というイメージで語られるように、彼氏(男性)が加害者で彼女(女性)が被害者と言うイメージが一般的ですが、当然ながら彼氏(男性)が被害者で彼女(女性)が加害者である、という逆のケースもあります。
この記事では、彼女からモラハラを受けている彼氏が取るべき行動や対策について、お話しいたします。
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モラハラ彼女への対処法
暴力行為で反撃してはいけない
彼女からモラハラを受けている場合、最悪の場合は弁護士に相談して第三者を介入させた上で解決をさせていくことも対処法の一つになります。
しかし、彼女からのモラハラに対して積もり積もった不満が爆発し、こちら側が殴る、蹴るなどの暴力行為に出てしまい、彼女に怪我を負わせてしまうと、自分は被害者ではなく加害者の立場として彼女から訴えられてしまう可能性があります。
モラハラ彼女に対処する上では、不満やストレスを持つことはあっても暴力に訴え出ないことが肝心。単純に怪我をさせたことにより加害者の立場になるのを防ぐだけでなく、「女性に対して暴力を振るった」というイメージがついて、自分の評判を落とさないためにも大事です。
モラハラはその性質上、身体的な怪我を負うわけではなく部外者からは見つかりにくい。しかし、暴力行為は怪我の跡や診断書など、目に見える客観的な形として残りやすく、周囲の人から見つかりやすいものです。
暴力に出た背景に彼女からのモラハラがあったとしても、多くの人は存在に気が付きにくいモラハラに関心を寄せるのではなく、自分の目ではっきり確認できる暴力の傷跡の方に注目し「あの人は自分の彼女に暴力をふるったとんでもない奴だ」と非難しがちです。
こうなると、いくらモラハラがあったと説明しても、周囲からの理解や共感が得られにくいどころか、「言い訳をしている」「言葉でかなわないから手が出てしまう自制がない人」と決めつけられて、立場が不利になるおそれがあります。
自分が受けているモラハラを文字にして記録する
上でも説明しましたが、モラハラ行為はその性質上周囲から見つかりにくいものであり、被害者も加害者もまさか自分がモラハラを受けている(orしている)と、当事者ですらもモラハラの存在に自覚できないことがあります。人によっては「モラハラ(モラルハラスメント)」という言葉そのものを知らないこともあるでしょう。
しかし、受けている行為(暴言・人格否定・無視・脅迫など)については、モラハラという言葉や概念を知らなくとも被害者は比較的認知しやすいものです。
ですので、まずは自分が今彼女からどんなひどい目にあっているのかを、メモ帳でもなんでもいいので書きおこし、まとめるようにしましょう。
一例としては
- 日付
- どんな内容の嫌がらせを受けたか。(例:SNSで長文をしつこく送りつけられた、「男ならおごって当然」と言って、無理やり奢らせれた。)
- 彼女の様子はどうだったか。(例:イライラしていた、不機嫌だった。)
- 自分はどう感じたか。(例:怖かった、不安になった、男として情けなくなった。)
と、その時の状況や自分の気持ちについて、なるべく詳しく書くようにしましょう。
記録にまとめることは、自分が今どんな状況に置かれているのかを客観的に認識したり、自分の気持ちを整理するうことにつながります。
また、場合によっては、誰かに相談するときにこの記録を見せることで、自分が今どんな状況に置かれているのかを素早く具体的に伝えることにも役立ちます。
嫌なことは嫌と断る姿勢を持つ
モラハラの被害者になりやすい人は、他人のお願いにNOと言えない真面目で優しい性格の人が目立ちます。
しかし、優しく真面目であることは、モラハラの加害者からすれば、嫌なことでも引き受けてくれる自分にとって都合のいい存在です。
好意に甘えて調子に乗っても怒られないし、相手も「嫌なことでも受け入れるのが優しさであり自分らしさだ」と納得していれば、その好意に甘え続け自分のわがままな態度を改めずに依存し続けることができます。
しかし、こうした関係は対等な人間関係ではなく、主従や上下関係に基づく関係であり、どちらか一方に身体的・精神的・経済的な負担が掛かり続けるので長続きしません。
対等な関係になって長続きすることを望んでいるのであれば、たとえ彼女であっても、きっぱりと嫌なことは嫌だと断る姿勢を持ち、関係を改善していくことが大事です。
「優しさ」を相手の未熟な部分を見て見ぬふりをして放置したり、自分の臆病さを美化して言い換えるものとして用いることは、自分のためにも相手のためにもなりません。
そして、言葉や態度の暴力を許容するのが優しさなのか。自分を大切にしない相手を増長させて付け上がらせるだけでなく、自分で自分を大切にしない態度を貫くことが、本当に優しさであるのか…について、よく考えるようにしましょう。
信頼できる人・場所・団体に相談する
男性が被害者となるモラハラは、多々でさえ「モラハラは女性が被害者になるもの」という、イメージが強いために、なかなか周囲に相談しづらく、また周囲からの理解が得られにくいことが問題です。
そのため、相談をするときはなるべく信頼できる人・場所・団体に絞って相談をすることが大事です。
家族や親友の他にも、
- 法テラス (日本司法支援センター)
- 警察相談専用電話 (TEl #9110)
- 心理カウンセラー
などの専門機関に相談をして、問題解決を試みましょう。
また、学生の場合なら、学校関係者・保険教諭・スクールカウンセラーに相談して解決してみるのも方法の一つです。
学生同士の恋愛のいざこざとして片付けられないように、しっかり嫌がらせを受けていることを記録と共に相談したり、「デートDVを受けている」としてモラハラ以外の単語も交えて相談してみるのでもいいでしょう。
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最終的には距離を置くことも視野に
モラハラ彼女が改心して、お互いに対等な関係になれれば幸せですが、モラハラ加害者の中には、道徳観(モラル)のズレが激しすぎて自分の行動の落ち度を自認できず、反省も改善もないまま自分勝手な行動を繰り返し続ける困った人もいるものです。
また、彼氏から嫌だと言われたからモラハラを控えたものの、ほとぼりが冷めればまたモラハラを繰り返してしまい、何度言ってもモラハラが完全には止まらないケースもあります。
たとえ、モラハラを振るう彼女であっても「それぐらいで別れるのは流石にありえない」と思うかもしれませんが、モラハラが全然おさまらない場合は、まずは距離を置き自分の身の安全を確保することも対処法の一つです。
純粋に別れを切り出して恋人関係を解消する方法でもいいですが、それでも無理な場合は
- 連絡先を全部変更して彼女との連絡がつかないようにする。
- 進学や就職に伴う引越しをして物理的に距離を置く。
- 弁護士や警察の協力を得て、近づかせないように仕向ける。
などの手段を用いて、彼女と距離を置くことも視野に入れておきましょう。
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