モラルハラスメントは殴る・蹴るといった物理的な暴力ではなく、
- 相手の自尊心を傷つけたり、コンプレックスを刺激する言葉による暴力
- 意図的に無視をすることで相手に罪悪感を抱かせ、マウントを取る
- マウントを取ったあとに脅迫や威圧で相手をコントロールしようとする
などの、目に見えない嫌がらせや暴力の一種であり、気が弱く自己主張がうまくできない性格の人は、嫌がらせを拒否できずモラハラ加害者のいいなりになってしまうことがあります。
これに関して、以前書いた「モラルハラスメントの被害者になりやすい人の特徴・心理状態について」では、モラハラの被害者になりやすい人の性格や特徴、思考の癖についてまとめています。
モラハラの加害者に目をつけられやすい人は、他人に精神的に依存してしまう、なんでも自分が悪いと考えてしまうといった癖があるために、モラハラの加害者の行動をエスカレートさせてしまいがちです。
時間が経つにつれて、お互いがお互いに精神的に依存する「共依存」に陥ることもあり、加害者なしでは精神的に落ち着かない、漠然とした不安に襲われるなどの辛く苦しい生活を余儀なくされることもあります。
そのため、モラハラの加害者に目をつけられやすい人は、自分の思考の癖を自覚して加害者から自分を守るための知恵を身につけることが重要です。
今回はモラハラ加害者から自分を守るための対策について、お話いたします。
目次
嫌がらせを受けたらきっぱりと嫌だと言い続ける
モラルハラスメントをしてくる人は、相手を傷つける言葉や失礼な態度(相手をからかう、見下す)を取って攻撃をしてきます。
その姿は、まるで子供が調子に乗っていじめられっ子をからかう姿や、思春期の学生の悪ノリのように、自分たちが楽しむために相手を小馬鹿にして気持ちよくなっているかの如くです。
お笑い芸人がやる「いじり」のように、相手をいじることで加害者は円滑にコミュニケーションを取っているように見えますが、実際はいじっている加害者だけが満足して、相手はただ不愉快な気持ちになっていることが大半です。
そんな自分の満足のために相手を傷つけるような人に対しては、きっぱりと「嫌だ」「やめてほしい」「不愉快だ」と否定の言葉を言って、自分の意思表示をすることが重要です。
もちろん、一度言っただけでは相手面白がったり「受けてる」と感じて、攻撃が更にエスカレートしてしまうことがありますが、そこで引き下がらず何度も否定の意思を言葉にすることが肝心です。
モラハラ加害者のいいなりになってしまう人の場合、例え嫌がらせであっても何度も相手を否定することは、「自分は相手の行動を何度も否定する、優しくない人間だ」と感じて辛くなることがありますが、ここで止めてしまってはモラハラ加害者に絆されてしまう原因になります。
違和感を覚えたら加害者から距離を取る
モラハラについてある程度知っている人から見れば、モラハラの加害者は、単純にわがままで幼稚な人、自己中心的な人、性格に問題がある人…とストレートにネガティブな印象を感じ取ります。
しかし、モラハラについて全く知らない人の場合、モラハラ加害者は非常に魅力的な人に見えてしまうことがあります。
モラハラをよく知らない人からみると、
- わがままで幼稚 → 子供らしい心を忘れない
- 自己中心的 → 自分の意見や軸を持っている
- 性格に問題がある → 他の人には見られないカリスマ性がある
と、悪印象が好印象に見えてしまい、モラハラ加害者の言動に感化されてしまうことがあります。
しかし、感化されて時間が立つうちに、「やっぱりこの人は魅力的でもなんでもなく、問題がある人なのでは」という事実に薄々気づき始めたら、そっと相手と距離を取って関わらないようにすることも有効な手段です。
職場であれば配属先を変えてもらう、夫婦間であれば別居や離婚、恋人同士なら別れる、SNSならアカウントを削除して連絡が取れないようにするなどを行い、加害者と関わらないようにして自分を守りましょう。
なお、モラハラ加害者は、自分のイメージや体裁を気にする特徴があるために第一印象は良く見られますが、次第に第一印象が見せかけのものであったり、全くの嘘・虚言だったというのはよく見られます。
自己中心的で何事も自分が一番でなければ気がすまないからこそ、自分を大きく見せるための行動をするので、それを間に受けてしまうとモラハラ加害者のターゲットになってしまいます。
モラハラ加害者の攻撃に対して我慢で乗り越えようとしない
モラハラの被害者になりやすい人は、例えばいじめに巻き込まれたときや、兄弟喧嘩になどの自分にとって嫌な出来事が起こった時に、しっかり嫌だと言ったり反論をせずに、自分が我慢する方法でその場が丸く収めることで今まで困難を乗りこえてきた経験をした方がおられます。
そのような自分だけ我慢すればいいという考え方で、嫌なことを耐えてきた人にとっては、モラハラ加害者と運悪く出会ってしまった時も「いつもと同じで自分が我慢すれば収まる…」と考えてしまいモラハラ加害者のいいなりになってしまいます。
「自分だけが我慢すればいい」という考え方は、たしかに物事を丸く収める方法として言い争いをしてお互いに時間と体力を消耗することがないので、効率的な問題への対処法のひとつです。
しかし、モラハラにおいて「自分だけ我慢すればいい」という考え方は、相手の行動をエスカレートさせるリスクや、あの人は何を言われても我慢するから多少強く出ても大丈夫な人だと、自分のこと軽く扱われてしまう原因となります。
日常生活の中で「我慢は美徳」と言われることがありますが、モラハラにおいては理不尽なことを我慢をすることは、加害者に対して「自分は反撃をしてこない人ですよ」だと暗にアピールしているとも見ることができます。
被害者になりやすい思考や行動のくせを直していく
モラハラ加害者からなんとか距離を取れたとしても、また別のモラハラ加害者のターゲットになってしまっては意味がありません。
被害者になりやすい人は、モラハラの加害者のターゲットとなってしまう思考や行動の癖を少しずつ直していき、モラハラに巻き込まれないように自衛していくことも大切になります。
例えば、被害者によく見られる
- 些細なことで自分を責めてしまう
- 何か起きてしまったら自分に原因があると思い込む
- 自己肯定感が低く、加害者の言い分を拒絶できない
- 誰かに精神的に依存してしまう
という思考や行動の癖は、一度モラハラ加害者と別れたあとに直っていなければ、また別の加害者に狙われたり、自ら加害者のもとに近寄ってしまう原因になります。
一度モラハラ加害者のいいなりになっていた期間が長ければ長いほど、被害者になりやすい自分の癖を直していくのは、今までの自分の生き方や相手そのものを否定するように感じて、精神的な苦痛を伴うこともあります。
どうしても自分一人で癖を直せない場合は、モラルハラスメントを専門にしているカウンセラーに相談したり、モラハラ被害の経験にあった人に相談して、一人で抱え込まないようにするのも有効な手段です。
もしも嫌がらせが収まらない場合は、弁護士に相談するという方法も
何度言っても相手からの嫌がらせが収まらない場合は、自分一人で対処するのではなく例えば友達に相談したり、場合によっては弁護士と相談して対処する方法があります。
職場でのモラハラの場合、嫌がらせの内容によってはパワハラやセクハラの問題として扱い対処することもできます。
なお、パワハラやセクハラとして対処する場合は、準備として加害者が攻撃をしていた証拠を集めることが必要になります。
- 加害者の言葉の暴力や発言の内容をICレコーダーやスマホの録音機能で記録する。
- メールやSNSでモラハラを受けていた場合は、そのやり取りをスクリーンショットで保存する。
- いつ、どこで、誰から、どんな被害を受けたか、を日記やメモ帳に記録しておく。
などを行ってモラハラ加害者の行動を記録し、法的な手段で解決することでモラハラから自分を守ることができます。
モラルハラスメントの行動は、侮辱罪、名誉毀損罪、脅迫罪として法で裁くこともできるので、本当に困っているときは泣き寝入りせずまずは弁護士に相談することも手段のひとつとして検討しておきましょう。
モラルハラスメントに関する本・書籍