大学生活は高校生までと比べて自由な時間が多いために、時間割の組み方によっては、平日に大学に通わなくてもいい日を作れたり、学校に行く日よりも休みの方が多いという時間割になることもあります。
また、夏休み、冬休み、春休みと高校よりも長めの長期休暇もあり、バイトもサークルもしていない大学生なら、長期休みの期間はずっと家にひきこもりっぱなしという、(ものぐさな人から見れば)まさに夢のようなキャンパスライフを送ることもできてしまいます。
人と話すことが苦手だけど、一人でゲームをしたりネットやSNSで遊ぶのが好きな人は、大学生になったとたん自己管理ができなくなり、ゲームの隙間時間に大学に通っている…という本末転倒な大学生活を送ってしまうこともあります。
もちろん、ゲームのために引きこもる大学生ばかりではなく、大学生のひきこもりでよく見られる原因は、人間関係や学業、就職や将来への悩みが多くを占めています。
大学は高校と違い自由な時間があるぶん、悩みに時間を費やしてしまい自らふさぎ込んだ結果「ひきこもり」という行動につながってしまいがちなのです。
今回は大学生活で起こりがちな引きこもりになってしまう理由やその対策についてお話いたします。
大学生活で引きこもりが起こる背景・原因
大学の入学で精神的に燃え尽きてしまう
厳しい受験戦争を勝ち抜いて来て、晴れて志望校に合格した大学生が燃え尽きてしまい、5月を過ぎると大学から姿を消してしまう…という光景はどこの大学でよく見られるものです。
大学入学後に燃え尽きてしまい、やる気やモチベーションを喪失してしまう学生の事を「スチューデントアパシー(学生無気力症)」といいます。
スチューデントアパシーになると、大学生活全敗へのモチベーションが下がることで講義やサークルを自主的に休み、人と交流することを避けてしまいます。
講義を休み続けてしまうと単位が取れなくなり留年する可能性だけでなく、そのまま大学から退学してしまう事態に発展することもあります。
実際にはスチューデントアパシーという言葉よりは「五月病」の方がピンとくる人も多いと思います。
なお、スチューデントアパシーは大学に入学したての学生だけでなく、2年生以降の学生でも見られます。
入学したての5月に燃え尽きなかったからといっても決心安心ではなく、例えば2年で本格的に自分が専攻した分野を学び始めたときや、就職活動を意識する時期になって無力感に襲われ、引きこもってしまうことがあります。
一人暮らしを始めることで生活リズムが崩れる
大学入学のために上京して一人暮らしを始める事も、引きこもりを引き起こす原因のひとつとなります。
今まで一人暮らしをしたことがない人にとっては、朝起きられるかが心配、ちゃんと時間割通りに大学に行けるだろうか…といった不安はつきまとうものです。
一人暮らしでは朝に起こしてくれる人が身近にいないので、気が付けば寝坊していて講義に出遅れたという経験はよく起こるものです。
また、寝坊を何度も繰り返すような人は、朝だけでなく夜の過ごし方にも問題があるとも見ることができます
例えば、一人暮らしを始めたことで友達とハメを外しすぎてしまい夜更かしや徹夜をしてしまうことで、朝に寝て夕方に起きるというような昼夜逆転した生活になってしまった結果、大学に通えなくなることもあります。
昼夜逆転が続くと大学に通えなくなるだけでなく、自分の活動時間が主に夜になることから、暗いのでアウトドアな遊びやショッピング、旅行をすることが、必然的にインドアな趣味、自宅でできる引きこもりがちな趣味へと時間を費やしてしまいがちになります。
高校時代と比べて友達が作りが苦手な人は孤立しやすい
大学では高校時代のようなクラスと呼べるものが無く、自分で自分の時間割を決めるのが基本です。
そのため、高校の時と違って毎日顔を合わせる人ができにくいので、友達作りが苦手な人は誰とも顔なじみになれず孤立してしまうことがあります。
友達ができない、いわゆる「ぼっち」の大学生でもサークルや部活、ゼミなどでうまく人間関係を築けていれば問題ないのですが、サークルや部活に所属せず、ただ大学に行って講義を受けて、家に帰るという事を繰り返していくうちに大学に居場所を感じなくなり、次第に家に引きこもってしまうことがよく見られます。
また、大学生活で孤立してしまうと就職活動やゼミの研究などのグループワークが必要な場面で挫折しやすく、そのまま復帰できず引きこもってしまうケースもよく見られます。
適度に人間関係を築いておかないと、学業や仕事などで挫折した時に相談できず、悩みを自分一人で抱えてしまい潰れてしまいかねないのです。
長期休暇で年間を通して学校へ行かない時間が多い
大学生活には毎年夏、冬、春休みと高校よりも期間の長い長期休暇があります。
長期休暇があると、その分休暇明けに学校に通うのが面倒になったり、休暇中に夜ふかしなどで生活リズムが狂ってしまったために大学に通えなくなるという事態を引き起こしてしまいます。
また、長期休暇にバイト、教育実習、サークルなどの予定をひとつも入れずに、一人でこもってしまう生活スタイルが身についてしまうと、いざ休暇が明けた時に人とコミュニケーションをするのに過度な緊張感を覚えてしまい、大学内での孤立や人間関係のトラブルを引き起こす原因にもなってしまいます。
ひきこもり大学生活を脱するためにできること
夜更かしせず生活リズムを整える
引きこもり生活は誰かと会ったり、決まった時間に大学に行かなくてもいいために、昼夜逆転生活になり、生活リズムが崩れてしまうことがよくあります。
昼夜逆転の引きこもり生活になると、進級や就職の時に困るだけでなく
- 日光を浴びれないことで骨が弱くなる
- 慢性的な済ん不足に陥り疲労や倦怠感が抜けなくなる
- 免疫力が低下して病気にかかりやすくなる
- うつ病などのメンタルの病気になるリスクが高まる
- 情緒不安定になりやすくなる
などの自分の健康を損なう可能性があります。
生活リズムを正すことは、大学に復帰するだけでなく、就職し社会人として健康に生きていくためには重要なスキルとも言えます。
大学以外の人間関係を作るようにする
大学で引きこもりになる人は、自分から大学の人間関係から距離を取り、すうっと消えてしまうように引きこもり生活に陥ってしまうことがあります。
大学という華々しい場で、人間関係がうまく築けなかったことに負い目や申し訳のなさといった気持ちを感じて、「自分は大学のような華々しく充実した人が集まる場にふさわしくない人間だ」と自分を追い込んでしまうことから、誰にも気づかれないようにそっと引きこもってしまうのです。
このように引きこもってしまう人は「大学の人間関係がうまくいかない=大学生活の失敗」という、やや極端な考え方をしていることが共通して見られます。
ですが、実際は大学の人間関係だけが大学生活の全ではありません。
大学生にも、例えばアルバイト先や趣味の繋がりで大学以外で人間関係を築いている人もいます。他にも、上京してきた人なら地元の友達であったり、中学高校時代の友達など、同じ大学生でも自分の所属している大学に限らず様々な人間関係の中で生きているのです。
大学生活を楽しみたい人ほど、大学という一つの居場所に半ば精神的に依存するようにのめり込み、それが辛くなると引きこもってしまうことがあります。
大学外の人間関係を適度に持つことは、一つの居場所に何もかも求め過ぎて疲れないためには有効な手段です。
可能なら意識的に人と合って話をする機会を作る
引きこもり生活が続くと、まるで対人恐怖症のように人と合ったり話をすることに過度に緊張してしまったり、恐怖感を覚えてしまうことがあります。
その緊張や恐怖から逃れるために、ますます引きこもり生活が続いてしまい、大学に復帰するのが難しくなってしまいます。
大学に復帰したい、就職してちゃんと卒業したいのであれば、まずは事務的な話でもいいから人と話す場面を意図的に作っていくことが大事です。
例えば、お隣に住んでいる人と会ったら挨拶をしたり、コンビニの定員さんと軽く話をする、行きつけの飲食店で天気の話だったりなんでもいいのでたわいもない話をする、などでも構いません。
引きこもりになると社会との接点がなくなり、そのことが社会復帰をより困難にする原因となります。
事務的な話でも、何気ない挨拶でもいいので社会との接点を少しずつ持ち続けていくことが、引きこもりに陥らないための対策です。
ひきこもりを脱出したいのなら大学のカウンセリングで相談してみることもオススメ
引きこもりに対して一人で対処するのは、非常に勇気がいるものです。
一人で対処するにしても「もしも失敗して引きこもりが悪化したらどうしよう」という不安であったり、「引きこもりを辞めたいけど、まずは何をすればいいのかわからない」という悩みを一人で抱え込むのは精神的にも辛いものです。
もしも、自分一人で引きこもり生活から脱出できない場合は、大学のカウンセラーや心療内科などの専門の知識を持った人に相談するのも方法のひとつです。
引きこもりの人は、他人との接点がないことが多く、そのためなんでもかんでも自分一人で抱え込んでしまい無理をしてしまうことがよくあります。
誰かに頼るのが下手であったり、誰かに助けを求めることを「甘え」や「弱さ」だと考えているために、自分が本当に困っているときでも誰にも悩みを打ち明けられず、知らないうちに人前から姿を消してしまうのです。
カウンセリングを通すことで、自分が引きこもりに陥いってしまう考え方の癖に気づき、適度に人に助けを求める生き方を身に付ければ、引きこもり生活を脱出するきっかけとなることもあります。