「スチューデントアパシー」大学生の燃え尽き症候群について

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大学に無事に合格したものの、やる気をなくしてしまい燃え尽き症候群になってしまう人は毎年どの大学でも多く見られることでしょう。

大学入学後に燃え尽きてしまうことは「スチューデントアパシー」と呼ばれており、日本だけでなく海外の大学でも見られる光景です。

もちろん大学生活で燃え尽きてしまったり、ちょっとやる気が出ないことで焦ることは誰にでも起きることですが、やる気が出ない期間が長引いて単位を落としたり就職活動や大学院への進学に響いてしまうと問題が出てきます。

また、大学で燃え尽きることは多少なりとも誰もが経験することであるために、本人はさほど危機感を抱かないという特徴もあり、ズルズルと堕落した大学生活に溺れてまともな社会生活ができなくなってしまう事があります

今回はそんな大学生の燃え尽き症候である「スチューデントアパシー」についてお話いたします。

スチューデントアパシーとは

スチューデントアパシーは、1961年にアメリカの心理学者ウォルターズが提唱した言葉です。

英語で「アパシー(apathy)」とは、「無気力」「無感動」を意味する単語であり、大学生活…とくに学業に対して無気力になる、燃え尽きてしまうことを指します。

なお、最近ではスチューデントアパシーは学業だけでなく、大学のサークルや部活、アルバイトや学外での活動など、大学生活全般に対して無気力になることだけを指す場合もあります。

スチューデントアパシーは女子よりも男子に多く見られと言われています。これは、女子の場合、大学でも人間関係を作るのが上手く、学業で困ったときでも誰かを頼るの得意である。

一方で男子の場合、人間関係を作るのが女子と比較して苦手な傾向があり学業で困ったときに孤立しやすく、そのまま無気力を強めてしまうことが一因と見られています。

また、男子の方が女子と比較して家族や学校、社会全体から受けるプレッシャーが強いために、無気力になりやすいことも一因と見ることができます。

男女共同参画社会が進んできたとはいえ、政治家や管理職では未だに男社会であり、男性は大学でも社会でも活躍することへの期待を無意識のうちに感じてしまいます。

そして、その期待にこたえるために無理をして頑張った結果、目標が達成されると一気にモチベーションが下がり燃え尽きてしまいやすいのです。

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大学入学後に燃え尽きてしまう理由・原因

大学合格がゴールになってしまいその後のビジョンがなかった

大学受験は10代の中でも特にその後の自分の人生を大きく左右するイベントと言っても過言ではありません。

人によっては中学・高校生活を全て勉強に捧げてきた、遊びたい年頃なのに必死に我慢して机にかじりつき、やっとの思いで志望校に合格したひともいるでしょう。

当然ですが大学に入学すれば、もう受験勉強をする必要はありません。

しかし、今まで受験勉強をするのが当たり前の日常から、受験勉強をとってしまうとどこか心にぽっかり穴があき、なんだか落ち着かない、焦りや不安を感じてしまう事があります。

今までは大学合格という目標のためにひたすら頑張ってきたけど、その目標が達成されたあと「自分は何を目標にして生きていけばいいのか…」と感じてしまうことが燃え尽きてしまう原因とも言えます。

もちろん、大学入学はあくまでも通過点でしかなく、その先にある自分が研究したいこと、学びたいことが明確にある場合は別です。

しかし、多くの大学生は受験で志望校に合格することがゴールになっており、合格してしまうとその先何を目標にして生活していけばいいのかがわからなくなり、焦りや不安、ストレスを感じてしまうのです。

大学の講義についていけなくなった

大学の講義内容について行けず挫折したことが原因で学業に対して無気力になってしまう事があります。

大学の勉強は高校までとは違って内容が難しいだけでなく、自分でテーマを見つけて研究や考察をすると言った、今までの勉強の応用するものが増えるため、ついていけない学生も毎年出てきます。

また、理系の学部や医学部のように、実験や実習などで社会人と同じぐらいに長時間拘束される生活についていけず、落ちこぼれてしまったことで燃え尽きることもあります。

大学の勉強で燃え尽きてしまう人には、真面目で責任感が強い性格、完璧主義な性格の人が多く見られます。

真面目であるがゆえに、大学の勉強についてこれなくなると自分らしさ(アイデンティティ)が崩れてしまい、精神的に不安定になってしまうことが原因だと考えられています。

大学生活が期待はずれだった

小説では大学生活のことを「薔薇色のキャンパスライフ」と例えるほど、大学生活は夢や期待、希望にあふれた魅力的な生活だ考えている人が多くいます。

しかし、期待ばかりが膨らみすぎて、実際の大学生活のイメージとのギャップができてしまうと「なんか期待していた大学生活とは違う」「もっと充実して楽しいものだと思っていたのに…」と、がっかりしてしまう事が大学で燃え尽きる原因と考える事ができます。

もちろん、遊びたい気持ちを我慢して、貴重な青春を費やして望んだ大学生活が、自分の期待していたものと違う、期待していたものとは程遠い…という気持ちは誰でもあることだと思います。

しかしその気持ちが強すぎて「今までの苦労はなんだったのか…」という憂鬱な気分になることで、大学生活へのやる気をなくしてしまい無気力になってしまう人もいるのです。

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燃え尽きてしまうとどうなるのか

講義やゼミを欠席する事が増える

勉強への意欲がなくなること、大学の講義やゼミを欠席することはよく見られます。

いわゆる「自主休講」と呼ばれる、自分でカリキュラムに組んだ講義なのにもかかわらず、休んでしまうことも含まれます。

とくに「五月病」に代表されるように、ゴールデンウィークを過ぎた頃から、だんだん講義を欠席する学生が増え、空席が目立つのはどこの大学でも見られる光景です。

また、夏休みや春休みなどの長期休暇明けに気持ちの切り替えができずに、そのままズルズルと講義をサボってしまうこともよく見かけます。

部活・サークルに行きたくなくなる

人によっては大学生活で大きなウェイトを占めることもある部活動やサークル活動に対しても参加する意欲が失せ、顔を出さなくなってしまう事があります。

部活やサークルに対して高い理想を抱いていたものの、実際はそこまで理想的ではなかったことに時間が経つにつれて気づき始めた結果、顔を出さなくなってしまうというのが理由として考えられます。

サークルや部活は入ってみないことには、具体的な活動内容や人間関係がわからない閉じた空間であり、「入る前は楽しいと思っていたけど、そこまででもなかった…」というギャップが燃え尽きる原因になります。

自分が何がしたかったのかがわからなくなる

大学入学がゴールになってしまい

  • 「自分はこの大学で一体何をしたかったのだろうか?」
  • 「入学して嬉しいはずだけど虚無感を覚える」
  • 「なんのために大学に入ったのだろうか」

などの、どこか生きる意味を失ったような気持ちになってしまうことがあります。

この気持ちが長引くことで精神的に不安定になったり、とにかく必死にその日をなんとか刹那的に、享楽的に楽しむ目的を探すために周囲に流されてしまう事があります。

生活リズムが乱れ昼夜逆転生活になる

大学生活全般へのモチベーションがなくなると、朝起きて大学の講義に出席する意欲もなくなる、かと言って朝起きてやることもないのでそのまま寝過ごして…と生活リズムが崩れてしまい、昼夜逆転生活になってしまうこともあります。

また、大学入学を機に一人暮らしを始めた人の場合、家族が生活リズムが乱れを指摘することがなくなるので、自堕落で怠惰な生活を長引かせ大学への復帰がますます遠のいてしまいます。

単位を落として留年する

勉強へのモチベーションが下がることで

  • 出席日数が不足する
  • レポートの提出が遅れる
  • テストの点数の悪化

などの学業への悪影響が出てきて、単位を落としてしまうことがあります。また落とした単位の数が多くなると、留年してしまいリスクもあります

大学で留年する人はよく見かけますが、留年して何度同じ講義を受けても単位が取れる気配がない人は、勉強へのモチベーションが下がっていると考えられます。

引きこもりから休学・退学することも

大学に出ず引きこもってしまうことが原因で休学を余儀なくされたり、そのまま引きこもり生活から脱出できず退学してしまうこともあります。

また、退学したあとも引きこもり生活が抜けきらず就職できず、そのままニートになるケースもあります。

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燃え尽きて自堕落な生活を送ると、元の生活に戻りにくくなる

また、燃え尽きて自堕落な生活を送ることには一種の依存性があります。

内心は

  • 「なんとかして大学に復帰しなければ」
  • 「ちゃんと出席して単位を取らなきゃいけない」

と焦っていても、心の奥底では

  • 「自堕落な生活がいつまでも続いていけばいいのに」
  • 「どこか怠惰な生活が居心地がよい」

という、妙な安心感や依存を覚えていることもあります。

将来のためにも怠惰な生活を抜け出すことは大事ですが、抜け出せば居心地のよい自堕落な生活を失ってしまう、という恐怖があるために、モヤモヤと葛藤を抱えたまま今の生活を続けてしまいがちなのです。

なんとかするために誰かに相談することは、言い換えれば自分から居心地のいい自堕落な生活を手放してしまうのと同じです。

「本当はこんな生活改なければいけない」と感じつつも「相談することでこの居心地のよい生活がなくなるのは嫌だ」という二つの相反する気持ちに苦しむのが何より厄介なのです。

自堕落な生活は、まさに底なし沼のよう。もがけばもがくほど深くはまってしまい、抜け出すのが困難になってしまうのです。

もしも大学入学後に燃え尽きてしまったら

多かれ少なかれ大学入学で燃え尽きて、授業についていけずサボりたくなることは誰にでもあることですが、その期間が長引いてしまい進級や就職活動に影響が出てしまうのはよくありません。

誰にでもあることだからこそ、燃え尽きている自覚があっても自分の中ではそこまで危機感を覚えず、悩みを放置してしまうこともよく見られます。

燃え尽きた現実から目を背け続ければ、成績の悪化、留年、休学、退学などの大きなトラブルの原因になります。

もしも、大学で燃え尽きてしまったときは、一人で抱え込まずに誰かに悩みを打ち明けてみるのが大事です。

打ち明ける相手も重要で、大学の保健管理センターや大学病院内にあるカウンセラーに相談してるようにしましょう。

国立大教育学部卒、専攻は心理学。発達心理学、教育心理学、スポーツ心理学、社会心理学を中心に心理学に関する記事を執筆中。そのほかにも、人間関係やコミュニケーション、性格、スマホ、SNS、ゲームなどのあらゆるテーマを心理学の知識を用いて詳しく、面白い記事を書くことを心がけております。

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