モラハラの加害者には金銭感覚がおかしさが目立つ事があります。
例えば、普段より「節約をしろ」とか言っているくせに自分はあっちこっち出かけてはとんでもない浪費をしていたりするなど、言行不一致な面がお金の使い方にも出てしまいます。
当然、そのことを指摘しようものなら「これは仕事の付き合いで必要な出費だから、無駄遣いではない!」と、もっともらしい理由をつけて逆上することは明白です。
場合によっては「これは無駄遣いのように見えるかもしれないけど、実は先行投資。そんなこともわからないで人の金の使い方にケチをつけるなんて、マネーリテラシーが低い!だから、俺(私)の言うとおりに節約しとけば損はない!」と真っ当な指摘すらも、自分も持ち上げ被害者を攻撃するための材料にしてしまうことがあります。
モラハラ加害者は被害者の懐事情も支配したがる
モラハラ加害者はモラハラの被害者を自らの価値観を無理やり理解させて支配するために、被害者の交友関係や懐事情までも全てを知ろうとすることがあります。
とくに夫婦間であれば、お金に関わる話もそれなりにしやすいこともあってか、加害者のことを「将来のことを真剣に考えているからこそ、お金に関しても真剣に話している人だ」と受け取ってしまうことがあります。
しかし、モラハラ加害者の多くは「他人をコントロールするため」に金銭や資産に関する情報を求めます。
どれだけの貯金や金融資産と呼べるものがあるかを把握し、それらを自分の手のひらの上で転がせるようになれば、他人の行動を容易くコントロールすることができるので、真剣に聞きたがるのだとも言えるでしょう。
「懐事情の支配=被害者の行動の管理」である
現代社会を生きるためにはお金は重要です。
誰かと遊びに行くにしても、働くための資格や技術を身につけるにしてもお金がかかるのは当たり前です。
また、お金がある程度あれば、その分付き合う人間関係や仕事場所を自由に選べる…つまり、経済的な豊かさが、自分の人生を自由に生きることや、選択肢の豊富さに直結すると言っても過言ではありません。
このことを踏まえると、モラハラ加害者にとって被害者となるターゲットがある程度経済的に豊かだと、コントロールしにくい相手となってしまいので不都合です。
自分の目や手が届かないところで勝手にお金を使って誰かと合いに行ったり、家庭を離れて勝手に働きに出てしまっては、自分の支配下から逃げられてしまうことになります。
当然相手を支配したがるモラハラ加害者にとっては、こうなることは防ぎたいという衝動に駆られます。
しかし、強引にお金を奪おうものならすればそれこそ真性の犯罪者になるので、代わりに相応の理由をつけて被害者の懐事情のチェックして「(被害者の)行動やお金の動きはしっかり監視しているぞ!」と圧力をかけるのです。
懐事情に目を光らし、間接的に被害者の行動の自由を奪い、確実に自分のコントロール下に置けることをなんらかの形で学習しているからこそ、モラハラ加害者は被害者の懐事情に口を挟みたがるのです。
なお、場合によっては被害者の資産を自らの管理下に置くことで「金銭欲を満たしたい」「(相手の資産を使って)自分のやりたいことやってみたい」という金に目がくらんだ邪な計画を目論んでいることも考えられるかもしれませんが、あくまでもそれは派生的なものでしかありません。
なぜなら、その「やりたい事をする」事は、結局は加害者が持つ自身の価値観・世界が正しいことを被害者に示して従わせて支配を強固にするという目的が先にあり、その目的を果たす方法のひとつとして「被害者の資産を横取りして勝手に使う」ことを思いつき実行に至る…となるからです。
金銭感覚に対する歪みの例
モラハラ加害者にとって被害者の懐具合を詳しく知る事は、相手を自らのコントロール下に置く第一歩。
そして、懐事情を知るだけに留まらず、監視や口出しにより懐事情を支配できるようになれば事によって、モラハラ被害者の行動を着々と加害者のコントロール下に置くこととなります。
結果として加害者の金銭感覚は歪み「お前のものは俺のもの、俺のものは俺のもの」というジャイアニズムのような感覚で他人のお金を扱うようになります。
この光景は、夫婦間に限らず
- 「親から子」あるいは「子から親」
- 「兄姉が弟妹」あるいは「弟妹から兄姉」
- 「先輩から後輩」あるいは「後輩から先輩」
- 友人同士で…
などの、人間関係でも同様に起きる可能性があります。
では、具体的に金銭感覚の歪みがどのような行動で現れるのかについて、詳しく見ていきましょう。
他人を支配して財布扱いする
本来、モラハラ加害者の目的は、相手を自らの支配下に置き、自らの価値観への服従&肯定をさせ、常に加害者にとってに都合の良い行動をさせること。
本来ならば相手の財産も、その目的の元に支配しているのですが、同時にこれを自らのものとして認知してしまうと、相手の財産も自らのものとして使うようになります。
つまり、支配した相手を自分の財布やATMのように扱います。
自分が好きなときに好きなだけお金を引き出せる。相手は支配されているから抵抗もしない。その様は、まさに人間キャッシュカードと言ってもいいでしょう。
相手の人権や財産などおかまいなく、人間であるはずなのに人間扱いしない認知の歪みが垣間見えます。
お金の使い方に口を挟んでコントロールしたがる
さらにモラハラ加害者は自らの支配を強固にするため、あるいは自分の価値観を強固にするために、被害者のお金の使い方にも大きく制限をかけます。これもまたモラハラ加害者が自分の価値観や世界に必要のないものを排除するための行動と言えます。
もちろん、相手の資産を自分の好きに使いたいからこそ、相手のお金の使い方に制限をかけるている、という側面もあります。
仮にお金を使われてしまったら「支配した相手のお金を自分の自由に使えない=自分の価値観や支配の否定」となるために、それは避けたいと思うのが加害者の心理と言えます。
しかし自分のお金を自分で管理して自信の利するに使う権利、つまり財産権は、本来、個々人固有の権利です。
お金の使い方に口を挟んでコントロールしたがるのは、財産権という基本的人権の一つに対する侵害行為であり、もっと言えば経済的虐待と呼ばれる虐待行為です。
当然な柄決して許されることではありませんし、認められるものでもありません。
買ったものにケチをつけて被害者に罪悪感を抱かせる
モラハラ加害者は、被害者の価値観や考えを否定し、その上に自らが持つ価値観を「絶対的なもの」として上書きさせます。
それはお金の使い方などの経済的なものも同じです。
モラハラ加害者は、加害者の意に沿わない被害者の買い物やお金に関する行動(パート・内職をする、資産運用をするなど)を否定するだけでなく、
- 「無駄遣いだ」
- 「よけいなものに金を使うな買うな」
- 「もっと安くする努力が出来たはず」
などと、もっともらしい理屈を付けて自らを正当化する事で相手に罪悪感を抱かせ、被害者の価値観を加害者の色に染めていきます。
やたらお金に関するマイルールが多く、その上マイルールに従わない相手に対してケチを入れたがる人も、実はお金にうるさいのではなく相手を支配するためにお金にうるさくならざるを得ないと見ることもできます。
しかし、加害者自身の金銭感覚はアバウトというギャップも
今まで見てきたようにモラハラ加害者は、被害者の買い物などのお金に関わる行動をとにかくツッコミを入れて否定します。
しかし、そのツッコミが節約や将来の生活のためという真っ当な目的から来るものではなく、ただ「モラハラ被害者を支配下に置く」という目的の建前に過ぎません。
だからこそ、案外モラハラ加害者は、
- 口では「節約しろ」としつこく言うのに、自分は無駄な出費が多い。
- うちには無駄なお金はないと言いつつも、自分だけ勝手にへそくりをに貯めて使っている。
- 家計管理は大事と言いつつも、ずさんな家計管理になり使途不明金が増えたりする。そもそも家計簿すらロクにつけておらず、まさに「口だけ」状態ということも。(無論、言うだけならタダではあるが…)
などの、矛盾やアバウトさが目立つ場合があります。
逆に自分がアバウトであるからこそ、その事実を認めたくないので「経済的にしっかりしている自分」という理想の自分を演出し、その理想像を自己正当化のための言い訳などを使って周囲に認めさせている…と考えることもできます。
金銭感覚がおかしくても、たまに優しいからモラハラに気づきにくい
しかし、モラハラ加害者は、被害者の懐事情に対して責めるばかりではありません。
相手を責めて一時的とはいえ葛藤から逃れると冷静になり、自分が「やりすぎた」事に気付き、なんとか相手を自らの元に引き留めようとします。(=DV(ドメスティックバイオレンス)におけるハネムーン期と同じ)
冷静になったために、モラハラ加害者はかつては散々否定していたけど、相手が欲しがった物をプレゼントとして買い与えたり、場合によってはお小遣いなどと称して臨時ボーナスを与えて被害者のご機嫌を取ります。
もちろん、相手にプレゼントや報酬を渡すときは「特別」である事を強調して、マウントの意を込めたアピールする事が大半です。
するとモラハラ被害者は「あんなに厳しい人が自分を曲げてまで私のために」という「特別感」に惑わされる事になります。
その特別感は時に加害者に対する情緒的な繋がり…と言えば聞こえはいいのですが、悪く言えば、精神的な依存を強化させる側面を持ちます。
そうなると、されたモラハラをモラハラとして気付くことも認知することもできずに、ただ依存度だけが増していきます。かくて被害者はモラハラ加害者の手のひらの上で踊らされ、時間も労力も金も、加害者にコントロールされてしまうのです。
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