モラルハラスメントとDV(ドメスティックバイオレンス)の違い

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言葉や態度などの見えない暴力であるモラルハラスメントと関連のある概念としてDV(ドメスティックバイオレンス)があります。

一般的にDVと言えば夫婦間や配偶者間で行われる暴力を指し、日本ではDV防止に関する法律も整備されています。

今回はモラハラとDVの違いや共通点などについてお話いたします。

ドメスティックバイオレンス(DV)について

ドメスティックバイオレンス(Domestic Violence : DV)は、夫婦間で行われる暴力全般を指します。

DVと聞くと男性(夫)から女性(妻)に向けて行われる暴力を想像する方が多いですが、男女逆の場合でもDVに当てはまります。DV被害や相談を訴える人は女性の方が多いですが、男性からの訴えもしっかり統計に含まれています。

日本では2001年に「配偶者からの暴力の防止及び被害者保護に関する法律(DV防止法)」の一部が施工、2002年4月に完全施工されており、家庭内暴力はたとえ家族同士であっても犯罪であると法的に認められました。

なお、「ドメスティック(Domestic)」という単語には「家庭内の」という意味があり「DV=家庭内暴力」だと捉える人もいますが、英語では家庭内暴力のことを「ファミリーバイオレンス(family violence)」と呼んで使い分けらています。

また、DVは実際に結婚をしている夫婦間に限らず、恋人同士や元恋人同士、近親者同士での暴力行為も含まれています。最近では未婚の男女、恋人同士のDVの場合は「デートDV」と表現されることもあります。

DVの分類とモラハラとの類似点

DVはその暴力の種類によって5つに分類することができます

  • 身体的暴力 (殴る、蹴る、叩くなどの暴力を行うなど)
  • 精神的暴力 (侮辱する、脅す、無視をする、)
  • 経済的暴力 (生活費を十分に与えない、過度な節約を強いるなど)
  • 社会的暴力 (人間関係の監視・制限、外出の制限、働くことを認めない)
  • 性的暴力 (性的な嫌がらせ、避妊の拒否、堕胎など)

の5つに分類されています。

かつては、身体的暴力、精神的暴力、性的暴力の3つで分類されていましたが、被害者がより自分の受けている暴力を理解しやすくなるように、新たに経済的暴力と社会的暴力が追加されたという背景があります。

一般的にDVと言えば、殴る、蹴るなどの怪我を負わす身体的暴力や性的暴力を想像される人は未だに多く「DV=傷や怪我など目に見えてわかる暴力」だという認識が未だに強くのこっています。

しかし、DVの分類にもあるように、精神的暴力、経済的暴力、社会的暴力といった、体に傷や怪我が残らない暴力もDVに含まれており、それらの暴力は同じく目に見えない暴力であるモラハラとよく似ています。

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精神的暴力

  • 脅す
  • 侮辱する
  • 悪口をいう
  • 無視する
  • 人前でけなす
  • 相手の人格を否定する言葉をぶつける

などの言葉や態度により相手に精神的な苦痛を与える暴力を指します。

精神的暴力としてあげられる行動はモラハラの加害者にもよく見られます。

また、家庭内という閉じた空間で且つ目に見えない言葉の暴力が行われるために、周囲からもその存在が気づかれにくく、乱暴な言動がエスカレートしやすい暴力とも言えます。

育ってきた環境により、日常から乱暴な言葉や態度で接することが当たり前だと感じていると、自分の行動や態度が相手を傷つけるようなものではなく、自分は精神的な暴力を振るっていると自覚がないという問題もあります。

加害者が多少乱暴な言動でも「この言葉には愛があるから許される」「愛しているからあえて厳しく行っているんだ」と、自分の乱暴な言動を正当化してしまう。

被害者も「私にいたらないところがあるから厳しく叱ってくれているのだ」と、相手の乱暴な言動を許容してしまい、自分が傷つく環境に対して反発せず受け入れてしまうことがあります。

経済的暴力

  • 生活費を渡さない
  • 過度な節約を強いる
  • 無駄遣いをして家計を苦しめる
  • 借金を背負わせる
  • 金品を盗みだす

などの金銭に関わる暴力のことです。

この暴力もモラハラの加害者にもよく見られます。

モラハラの場合は、例えば生活費を渡さないことで相手を自分の意のままでコントロールできるという加害者の思惑があるために、相手から経済的な自由を奪います。

また、経済的な自由を奪うことは、家族以外の人と交友関係を減らし、ずっと家庭に縛りつけるという側面もあります。

経済的な余裕があると、余ったお金で友達と出かけられてしまい、モラハラ加害者にとっては都合の悪い情報を仕入れてくるのではないか、自分がいないところで家庭の話をされているのではないかと不安になるので、それを抑えるべく経済的な自由を奪い、被害者を自分のコントロール下に置こうとするのです。

もちろん、経済的暴力も男性(夫)から女性(妻)ばかりではなく、逆の立場でもあります。

家計の管理を全て妻が握り、夫への小遣いは非常に少なくし節約するように言いつけ、妻は豪遊する…というケースも女性(妻)から男性(夫)への経済的暴力及びモラハラと見ることができます。

社会的暴力

  • 人間関係の監視・制限をする
  • 電話やメールの監視・制限をする
  • 仕事(正社員・パート含む)に出ることを禁止する
  • 外出を制限させる
  • 友達、親戚、両親と合わせないようにする

などの、人間関係を制限させる、隔離させる社会的暴力も、モラハラの行動として見られます。

モラハラの加害者は被害者を意のままにコントロールしたいと想うために、自分以外の人間と出会う場面や状況に不安を感じます。

コントロールしたがる理由は、モラハラ加害者は被害者に精神的に依存しているために、自分の元を離れてしまうと依存する相手がいなくなり強いストレスを感じるからです。

お金を稼ぐために出かけたパート先で新たな人間関係を築かれてしまうと、自分のコントロール下に相手をおけなくなるので、「妻は家庭を守るべきだ」「給料に不満があるのか」と何かと理由をつけて社会手の接点を絶とうとします。

また、被害者がモラハラの違和感にうすうす築いて、そのことを誰かに相談されてしまうと、加害者のコントロール下に置けなくなるので、交友関係に口を出して人付き合いを監視たり、付き合う人や時間を制限させ、被害者だけでなく被害者の人間関係までコントロールしようとすることもあります。

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モラハラとDVの違い

モラハラは言葉や態度による見えない暴力であり、DVの分類でみると肉体的暴力や性的暴力はモラハラに含まれないと見ることができます。

モラハラとDVは完全に別のものではなく、上で説明したようにお互いに共通しているところがあり、混同して使われることが多くあります。

しかし、一般的には「DVは殴る、蹴るなどの暴力行為のみ指す」と考えている人が多く、その人たちにとってDVという言葉でカバーできない言葉の暴力や不快な行動が、モラハラというカテゴリが担っていることもあります。

かつては専門家やマスメディアの間でも「DV=暴力行為」だという認識を持っていた時代もあり、その影響を強く持ったまま、自分が目に見えない精神的な暴力を受けていることに気づいていない人はおられます。

ちなみにですが、モラハラは精神的な苦痛を相手に与えることから「精神的DV」と呼ばれることもあります。

これはモラハラという言葉よりもDVの言葉の方が認知度が高く、そして一般的なDVのイメージである殴る蹴るなどの暴力行為ではカバーできない暴力行為もまたDVであるとして捉える動きと見ることもできます。

肉体的な暴力だけでなく、言葉や態度による暴力は被害者にとってはどちらも恐怖であり、自分を傷つける行為に違いなく、問題を自覚して支援を受けることが望ましいといえます。

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DVが広まったことでモラハラをするという見方も

DV防止法の制定により、夫婦間でも暴力行為は犯罪になるという認識が広まった一方で、殴る蹴るといった、「傷や怪我で証拠が残りやすいDVでは捕まるけど、証拠が残りにくい言葉の暴力なら…」と知恵を働かせた結果、モラハラに走る人が出たのではないかという見方もあります。

もちろん目に見えないモラハラでも、ボイスレコーダーで暴言を録音すれば立派な証拠が残るので完璧な理論とはなりません。

しかし、少なくとも手を出すことよりは周囲にバレにくく、且つ相手をしっかりと自分のコントロール下に置いていれば、告発されずに済むとモラハラ加害者が考えることもできます。

モラハラ加害者は、被害者を攻撃することが癖になりますが、その攻撃方法が時代の移り変わりによって肉体的な暴力から、精神的・経済的・社会的な暴力と、より陰湿で目立ちにくいものへと変化しているとも考えることができます。

目に見えない暴力は、傷やあざが残る暴力とは違い人によって感じ方が異なりやすく、暴力だと思われないこともあるため厄介です。

例えば、いじり、いじられの関係も、相手のコンプレックスを攻撃するような言葉を言っても、見方を変えればただの嫌がらせにもなりますし、二人の仲の良さをアピールすること、周囲を盛り上げるためのパフォーマンスとも見ることができます。

いじられている方も、自分は嫌がらせを受けていると感じることもあれば、逆に「いじられて美味しい思いをしている」「自分をネタにほかの人と喜ばせている」と感じ方の種類が、人によって異なるという特徴があります。

モラハラの加害者は、その感じ方の種類が多様であることを利用して、自分の攻撃を世間から認められる行為であるように説明して自己正当化することが多く、被害者が被害を受けているという自覚をできなくする、被害を訴えようものなら「このぐらいのいじりで嫌がる方が間違っている」と手を変え品を変え相手を攻撃してくるために、実に厄介なのです。

妻に対して厳しく接することも、見方を変えれば妻思いな立派な夫。恐妻家で夫に厳しく接することも、見方を変えれば夫思いの立派な妻…という見方ができてしまうことが、モラハラや見えないDVの根深い問題と言えます。

モラルハラスメントに関する本・書籍

国立大教育学部卒、専攻は心理学。発達心理学、教育心理学、スポーツ心理学、社会心理学を中心に心理学に関する記事を執筆中。そのほかにも、人間関係やコミュニケーション、性格、スマホ、SNS、ゲームなどのあらゆるテーマを心理学の知識を用いて詳しく、面白い記事を書くことを心がけております。

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