モラハラの加害者は、案外身近なところに潜んでいるものですが、暴力や暴言と言ったわかりやすいハラスメントとは異なり気がつきにくいという特徴があります。
例えば
- 日常的に使われる言葉:叱責、指導、教育目的の言葉など
- 態度:不貞腐れる、拗ねる、嫉妬、無視するなど
のようなモラハラとして行われるものもあれば、日常生活の中の感情表現として使われているものもあるため、実際に相手がモラハラをしているかどうかの区別をつけるのは難しいものです。
また、モラハラには「未熟な人格による葛藤の解決方法」という側面がありますが、それは裏を返せば「誰にでも出来てしまう、手っ取り早い葛藤解消の方法」とも言えます。
と、いうことは、何かの拍子であなたの周りの人が葛藤に晒された時や、モヤモヤとした気持ちを処理できなくなった時、モラハラによる葛藤解消は手っ取り早い身近な人物、つまり、あなたに向く可能性があります。
もちろん、モラハラをされないことが一番安心で平和ですが、運悪くモラハラ加害者にとって「こいつは強く押せば言うことうぃ聞くだろう」と格下に見られ始めた段階で、しっかり拒絶や拒否の意を示したり、味方をつけて数で抵抗すればモラハラの被害を抑制することができます。
今回は、そんなモラハラの加害者からターゲットにされない方法や、もしもターゲットになった時に自分を守るための対策についてお話しいたします。
目次
モラハラ加害者の言動に違和感を覚えたらしっかり不快感を示す
まず大事なのは「モラハラ加害者の考えに取り込まれない」事です。
そのためには自身が相手の考えに対して「不快であること」「受け入れられないこと」をしっかりと示さなくてはいけません。
加害者の都合や事情を考える必要はありません。いや、考えたとしても、その上で不快感や受け入れられない事をきちんと示さなくてはいけません。
親しき間柄でも礼儀がなければ、その礼儀に背いたとしてはっきりと「嫌だ」「不愉快です」「やめてください」と不快感を示すことが大事です。
ただし、逆ギレのように感情的になって言い返すのではなく、しっかりと不快感のみを示すイメージを大事にし、毅然とした態度を示すことが大事です。わめき散らすような感情的な態度そのものがモラハラの攻撃材料になりやすいので、あくまでも落ち着きは残しつつ、真剣なトーンや態度を意識して不快感を示すようにしましょう。
もし仮に初期の軽いモラハラを受け入れてしまえば、モラハラの加害者は「この人なら多少強く出ても安全な人間だ」と考えて、付け上がったり踏み込もうとします。
もちろん、親しき仲になったからこそ、多少の調子に乗ったり図々しい態度を取ることもあるでしょうが、その態度の裏にはターゲットのことを自分よりも格下だと認識していることが伺えます。
親しいのではなくただの横柄、わがままであり、その態度を許容することは決してお互いのためにはならないことを熟知しておくことが大事です。
「相手を不機嫌にさせたのは自分のせい」だと決め付けない
モラハラの加害者に対して不快感を示せば、当然不機嫌に様子になって文句を言ったり、被害者ぶって周囲の助けを呼ぶこともあるでしょう。
もちろん、相手から「不愉快です」と言われて怒らない人ばかりというわけではありませんがモラハラ加害者に目立つのが、
- 自分を棚に上げて他人を厳しく責め立てる
- 厳しく責めて抱かせた罪悪感を利用して、相手を更に責め立てる
という、行動です。
不快感を示して不機嫌になった加害者を見て、「やっぱり悪いことをしてしまったなぁ…」という自責や後悔の念、罪悪感を抱いてしまうこともあるかもしれません。
しかし、不機嫌になった原因は加害者自身の日頃の態度、行動、考えにあり、あなたが罪悪感を抱く必要性はありません。しっかり不快感を示した以上「やっぱり撤回します」と折れずに、毅然とした態度を取ることが、ターゲットとして完全に狙われないためにも大事です。
外面だけが妙にいい人には警戒心を持つ
モラハラをする人間というのは、自分が他人からどう見られているかをやたら気にする傾向があります。
他人の目が気になる裏には
- プライドだけが妙に高く、いつも立派な自分でなければ気が済まない。
- 付き合う人間も自分をよく見せるための材料でしかないと認知している。
- 学力や経済力などの自分の社会的な価値に対するコンプレックスがある。
- (恋人・パートナー相手なら)やたら理想化された恋人像・家族像に執着している。
などが考えられます。
コンプレックスがあるからこそ、自分の肥大化した理想やプライドを叶えるべく、周囲の人間をコントロールしたいと考え、他人を巻き込みます。
ですが、これらのコンプレックスによる欲望はすぐに達成されるものではありませんし、周囲の人を巻き込む以上は、衝突や行き違いにより葛藤を覚えることも少なくありません。
しかし、ここで本性を現して攻撃的になろうものなら今まで築いてきた自分の評判が崩れてしまい、(肥大化した)理想が遠のくことになります。
なので表面的な外面は良いままで居続け、自分の醜さや未熟さは徹底的に見せないし見せようとしません。
また、仮に醜さを見せる相手は確実に自分が支配してコントロールできる相手、つまりモラハラの被害者になりやすい相手のみにしておけば、被害者の口から自分の醜態を晒されるリスクが格段に少なくなります。
また、仮に晒されても「そんな乱暴なことをする人には思えない」と周囲を味方に付けることもできます。
妙な外面の良さは、自分の肥大化した理想を叶えることと、もしも自分の醜態を被害者から暴かれても加害者である自分を守り、被害者の思い込みや自意識過剰として片付けられることの2つの利点があるので、要注意すべき点です。
他人に影響されやすい癖があるのなら改善する
モラハラから逃げるにおいて大事なのは「相手に巻き込まれないこと」そして「自分の芯をしっかり持つ事」と言えます。
既に述べたように、モラハラをする人は罪悪感を煽り相手に自分の考えを受け入れさせようとします。そのために普段から外面を良く見せ、時に何も知らない他人(正しくは事情を知らない他者の自身に対する評価)すらも自分の正当化のために利用します。
ゆえに他人に影響されやすい癖がある人は、それゆえにモラハラから逃げるのは困難です。あるいは逃げられたとしても別のモラハラに巻き込まれる可能性も大きいです。
他人に影響されやすい癖があるのなら、改善に務める事が、モラハラから逃げる第一歩といえます。
モラハラ加害者と距離を置くことを恐れない
モラハラ加害者の会話はキャッチボールのような会話ではなく、バッティングマシンのような一方通行な会話になる傾向があります。
一方通行であるがために、「言われっぱなしの被害者」と「言いっぱなし加害者」という明確な立場ができやすいとも言えるでしょう。
そんな一方通行な加害者への最終手段は「距離を置く」に尽きます。
モラハラをする人間は、あなたの話など最初から聞くつもりはないのです。もしも聞く素振りを見せたとしたら、それは、その行動自体を更なるモラハラに利用するため。その一手に尽きているのです。他に選択肢はありません。
「逃げるが勝ち」あるいは「三十六計逃げるにしかず」ということわざもあるように、逃げることは立派な戦略であり、自分を守るためにも立派な手段です。
モラハラへの最も有効な対策は「逃げるのを惜しまないこと」
また、もしも可能なら自分を守ってくれる味方を見つけて逃げることができればより安心です。
逃げるときは自分一人では心細いものですし、理解者がいない状況ではなかなか逃げる気力も起きないものです。
ネット上の匿名の人間関係であったり、カウンセラーなどの専門の知識があり秘密をしっかり守れる相手を味方にして、より自分が安心して逃げられる環境を整えるようにしましょう。
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