仕事でミスをしてしまった、会社に大きな損害を出してしまったという経験から、新しい仕事に取り組むのが怖くなって、何もできなくなってしまうという経験をされた事はないでしょうか。
もちろん、仕事に限らず学生のときに受験で失敗した、部活動でミスをしてしまいそのせいでチームが負けて自分が戦犯のような扱いを受けたことで、失敗に対して大きなトラウマを抱えてしまい、後の生活に大きな影響が出てしまっているケースはよく見かけます。
しかし、失敗してそのショックでいつまでもふさぎ込んでいては自分も辛いですし、周囲にも余計な心配や迷惑をかけてしまうことになります。
失敗をしてもすぐに立ち直ること。そして失敗そのものに対する考え方でもしも苦しむ原因があるのなら、それを少しづつ直して行くことはメンタルを強くするためには欠かせません。
今回は失敗を乗り越えるために効果のある考え方についてお話させていただきます。
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仕事のトラウマや失敗に囚われている人に多い行動・特徴
絶対に失敗をしないために長考して行動できなくなる
失敗を恐れてしまい、次こそは失敗しないようにと意気込むことは誰にでもあります。
しかし、あまりに意気込みが強くなってしまい、失敗しないための対策を考えることに集中してしまい、全く行動ができなくなってしまうことがあります。
もちろん、考えている本人は失敗しないための対策を頭で必死に考えており、「自分は決して怠けていない、むしろ頑張っている!真面目に仕事に取り組んでいるんだ!」と感じていますが、傍から見るとただ突っ立っているだけで仕事をしていないと思われることがあります。
また、長考状態から抜け出すことができずにそのまま仕事を休んだり退職してしまうケースもあります。
人は誰しも失敗をゼロにすることはできないのに、絶対に失敗しないというありもしない方法について長く考えれば考えるほど、精神的に消耗してしまい自分で自分の首を絞めているということに気付けることが大切です。
完璧主義になってしまう。
絶対に失敗しないことに注目しすぎて完璧主義になってしまうパターンです。
失敗して怒られる、恥をかくのを恐るのは自然なことですが、かと言って完璧に物事をこなそうとすると過度なストレスを抱え込んでしまうことになります。
完璧にこなそうとしても、やはりミスは起きてしまうものですが、ミスが起きた度に「自分は完璧に仕事をこなすことができない出来の悪い人間だ」と深く落ち込んだり、自分の実力の無さを痛感して自己肯定感が下がる原因にもなってしまいます。
完璧にこなすのではなく、仕事を続けていく上ではある程度のミスは想定しておく。そしてミスが起きた時の対処法を考えておいたり、必要であれば周囲の助けを求めるなどしてミスが起きてもパニックにならず、しっかりミスを乗り越えることができたという経験を積めるようにしていくのが大切です。
トラウマを恐れて「何もしない」ことを選ぶ。
失敗してひどく落ち込む、怒られるぐらいなら、「あえて何もしない」という選択をすることで、自分のメンタルやプライドを傷つくのを避けるというパターン。
失敗もあるけど、うまく行ければ成功して褒められる、利益を得る、評価される仕事に取り組んでいくのが望ましいですが、何もしないことを選んだ人は自分が傷つくのを避ける代わりに、本当に何もしない人という評価をくだされることがあります。
仕事において自分から進んで失敗するかもしれないことにチャレンジするのならともかく、このタイプの人は上司から言われたことですら何もしないということがあります。
先ほど述べた長考状態に陥っている人の中にも、何もしないことを選んでいる人がいることもあります。
大事なのは失敗は確かに辛いことであり、できれば避けたいという気持ちは尊重しつつも、でも失敗に対して過度にショックを受けず、適切に対処して失敗を乗り越える経験を積み重ねることです。
失敗のショックを減らすためにあえて手を抜く、予防線を張るようになる
今の自分の実力に対して、やるべき仕事の成功率・達成率が低い場合には、あえて自分の実力をセーブしたり、「体調が悪い」などの予防線を貼って取り組んでしまうパターンです。
なぜこのような行動を取るのかというと、全力で取り組んで失敗した時の精神的なショックを和らげるというメリットがあり、失敗したときに「手を抜いていたから失敗しても仕方ないよね…」と言い訳をすることができます。
また、もし仮に成功したら「手を抜いていたけど成功した」という運に恵まれた自分をアピールすることもできます。
よくテスト前に「昨日は全然寝れなかったか」「全然勉強してないからいい点が取れない」と予防線を口にする人がいますよね。これと同じことが仕事でも起きているというわけです。
これはセルフハンデキャッピングと呼ばれるもので、自分に対してハンデをかけることで失敗しても自分のプライドを守ることができ、且つ成功すればハンデがあるのに成功したという結果で自分を評価することができます。
しかし、セルフハンデキャッピングは自分に起きた失敗も成功も運や他人のように自分以外のもののおかげであると思い込むために、なんで自分が失敗or成功したのかという正しい反省ができなくなるというデメリットがあります。
仕事の失敗やトラウマを克服するためにできること
失敗しても大丈夫と思える心理的に落ち着ける環境を作る
大げさのように思われますが、失敗が怖くて怖くて仕方がないという人は、「失敗=死ぬこと、生命の危機、人生の敗北、負け組」のように考えていることがあります。
もちろん、普通の事務仕事や営業などでは1回ミスしたぐらいで死ぬようなことはありませんし、そんな危険を伴う仕事をいきなり新人に行うことはしません。
失敗を過度に恐れている人が少しでも失敗に対して強くなれるには、まずは「失敗しても大丈夫」だと思えるような環境を作っていくことが大切です。
例えば、
- 失敗しても同僚や他の人がいる前で公開処刑のように叱責しない。
- 失敗したらなぜ失敗したのか、どうしたら同じ失敗を繰り返さないかについて一緒に考える。
というようにして、失敗そのものをただの怖い体験として記憶に残さず、失敗を通して学んだり反省点を見つけるようにして、失敗そのものを恐れなくても済むようなコミュニケーションを行っていくのが大切です。
また、失敗した人を指導する側にとっても失敗しても大丈夫という環境は効果的です。
人の上に立つ人ほど失敗を恐れたり、失敗をして自分の立場やプライドが揺らぐことが敏感になり、素直に謝れなくなる、非を認めず誰かに責任をなすりつけてしまうことがありますが、失敗しても大丈夫という環境を作っていれば、自分の失敗をすぐに認めて仕事に前向きに取り掛かりやすくなります
失敗の原因を冷静に分析することをこころがける
失敗するのが怖いのはわかりますが、ただ「失敗=怖いもの」と考えているばかりでは、失敗から得られる教訓や経験値は手に入りません。
失敗をしたあとは、失敗を冷静に分析してなぜ失敗が起きてしまったのか、どうしたら同じような失敗を繰り返さないかについて反省していくことが肝心です。
失敗そのものでただショックを受けて挫折するのではなかく、どれだけ多くの失敗をしても冷静に分析して自分の糧となる知恵を手に入れたかが仕事においては大切になってきます。
また、多くの失敗を分析して乗り越えてきたという経験は誰かが困っている、同じなような悩みを持つ仕事仲間にとっても役に立つ、安心できる、信頼できるものです。
自分一人の失敗で得た教訓が、自分以外の人にも役立ち感謝されるという経験を通すと、失敗そのものはそんなに恐れるものではないということが分かるようになります。
最初から完璧を目指さずトライ&エラーで接していく
仕事にしろ勉強にしろ、自分が思い描く理想の自分になるために、何の挫折もなく失敗もなくなれるということは滅多にありません。
プロで活躍しているスポーツ選手ですら、多くの故障や怪我、不調、エラー、などに悩まされつつも活躍しています。
漫画家やイラストレーターでも、消しゴムも使わない、下書きも一切しない一発で大作を描き上げるということはなく、描いては消して…という工程を繰り返して大作を作り上げていきます。
失敗が怖いという人には最初から完璧を目指すあまり「トライ&エラー」のエラーの部分で躓いてしまう人がいます。
トライ&エラーなのですから、エラーが起きたら挫折するのではなくまたトライして少しずつ完成形に近づけていけばいいのです。
トライ&エラーで仕事を進めるにあたって大事なのは、ひとつのエラーが出たらその度に治していく。直し終えたらまたトライをしていくことです。
自分がやっている仕事が何の修正もミスもなく一発OKをもらうというのは滅多にありません。
適度にトライ&エラーを重ねることはエラーを起こす自分が未熟なのではなく、エラーを重ねることで今の自分ができるより質の高い成果を出すためにやっていることだと考えるようにしましょう。