将来スクールカウンセラーやメンタルヘルスのカウンセラー、メンタルトレーナーやコーチングなどの心理やメンタルに関する仕事に就きたいという時に、資格を取れば仕事に有利だと考えている人は多くいます。
しかし、心理系の資格について調べてみると、実にたくさんの資格が存在しており、一般的に知られていない資格や、本当に仕事や就職に有利になるのか疑問のある資格も少なからず存在しています。
心理学やメンタルに関する資格は、いわゆる「資格商法」と呼ばれる悪徳ビジネスの温床になりやすいという特徴があります。
今回は、メンタルに関する資格を取得するときに気をつけたい資格商法についてお話いたします
メンタルに関する「…おや?」と思う資格について
インターネット・SNSではメンタルや心理学に関連する様々な資格が存在しています。
例えば
- ○○カウンセラー
- ○○コーチング
- メンタル○○協会認定講師
- ○○セラピスト
など、メンタルトレーニングやカウンセリングに関わる仕事に就くには、あたかもその資格を取得するために多額の費用を出して、専門の講座を受講しなければいけないと考えている人もいます。
しかし、心理関係の仕事…例えば、スクールカウンセラーのような専門的な心理職に就くために規定・推奨される資格はほぼ「臨床心理士(民間資格)」のみです。臨床心理士の資格を取るためには、大学院を出ていることが必須となります。
なお、臨床心理士以外には「学校心理士」や「臨床発達心理士」などの資格であれば、スクールカウンセラーの採用に有効であることもありますが、どちらも大学院を修了していることが必須です。
加えて、2017年からは「公認心理師」という日本で初めてとなる心理職の国家資格が施工。公認心理士は心理学系の大学と大学院を修了していることが資格取得に必須となっています。
そのため、現在公認心理士以外の心理系の資格は、全て民間資格というのが実情です。
メンタルに関する資格と資格商法について
「○○カウンセラー」ネットでよく見かける心理系の資格には、心理学系の大学や大学院に通わず、独自の高額セミナーや通信講座を受けることで資格が取れる、就職に有利であると宣伝しているものも多く見かけます。
「○○セラピスト」「○○コーチング」などの民間資格の中には、就職や採用に必ずしも有利になるとは限らない、また資格そのものの実態が知られていないということもあります。
そして心理やメンタルに関する資格は、資格商法の温床としても有名であり、資格取得のために高額な受講費用や登録料を払い続ける、資格を取得しても資格を発行した団体以外からの仕事につながらないなどの損害を受けることがあります。
とくに学校や医療などにおけるメンタルに関する仕事ではなく、企業向けのカウンセラー、復職や転職に関するカウンセラー、スポーツ選手向けのメンタルトレーナー、健康に関するビジネスに関するカウンセラーなどの分野で、歴史が浅く権威が乏しい独自の資格が発行される傾向があります。
資格商法と思われる資格の特徴
専門分野なのをいいことに、教材や受講料を高額に設定して販売させる。
メンタルに関する仕事と言っても、企業向けの仕事なのか、スポーツ選手向けの仕事なのか、年齢層、対象となるターゲットによって求められるスキルは異なってきます。
そのため、普通に書店で売っている心理学やメンタルに関する本には載っていない専門的な知識を学べる、独自のスキルを学べると称して販売価格を高額にする傾向があります。
もちろん、払った価格に見合うだけの内容があれば問題はありませんが、資格商法と呼ばれる資格の多くはネットで調べれば載っていることであったり、ポエムのように掴みどろこのない文章、オカルトや科学的な裏付けが乏しいという特徴があります。
資格取得後の仕事や将来像を過度に強調して表現する
「この資格を取得すれば絶対仕事に役立ちます!」「100%実績をお約束します!」などの、資格取得後の将来がまるで確実であるかのような謳い文句で資格取得を進めるケースです。
この場合で多いのが、資格を無事に取得してもその後の仕事が資格発行者および団体から斡旋された仕事のみというケースが多く見られます。
発行している資格そのものに権威も価値も乏しいので、資格発行者以外からの仕事に繋がらないので、自分達で少ない仕事を回し合っているという状態になります。
「資格を取れなければその仕事に就けない」と不安を煽る
「メンタルに関するこの仕事に就きたいのなら、必ずこの資格を取得しなければいけない」と不安を煽るような言葉で、資格の取得希望者のメンタルを揺さぶり、セミナーや教材の契約を急かすケースです。
その他にも
- 数年後には教材費の値上げをするので資格を取るなら今がお得!
- 資格に必要なセミナーの残席は少ないので、早めに予約しないと資格が取れななくなります。
- メンタルに関する仕事をしている○○さんもこの資格を持っています!
などの謳い文句で受講希望者の気持ちを煽って、今すぐにでも契約しなければいけないという雰囲気を作るのが特徴的です。
権威付けのための活動が多い
資格には仕事や就職に役に立つ、転職の際に必要になるなどの「権威」があります。
歴史が長いものや国家資格のように国から資格としての権威を認められているものほど、権威が強い資格となり、資格取得のために
しかし資格として歴史が浅く、一般的に知られていないものほど、資格として権威を付けるために以下のような活動を行うことがあります。
- 資格発行者が本を出版する。
- 有名人や芸能人も勉強している、セミナーに受講・参加したと宣伝する。
- 「○○協会認定」など公的なものから認められていることを強調する。
- ある資格に関する団体を自ら設立して、広報活動を行う。
- 資格取得者によって、資格そのものの宣伝・広報活動や、資格発行者を褒め称えるよう活動を行う。(例:「○○さんのところで勉強して■■という資格を取ったら、仕事に繋がりました!」など)
とくにメンタルに関する歴史の浅い資格は、発案者が権威付けのために、自らが書いた本を売るというケースは多くなります。
本を出版した場合も「重版がかかりました!」「著名人や有名人の方にも購入していただきました!」などと宣伝して、自分が発行している資格に興味を持つ人や受講者を増やすための宣伝活動が多いのも特徴の一つです。
メンタルに関する民間資格を見抜くためにできること
資格発行者・団体の経歴や活動を調べる
資格を発行している発行者、および団体の詳しい経歴や活動について調べることで、資格そのものがさほど効果がなく資格商法をしているのではないかと判断することができます。
上に述べたように権威付けのための活動が多く見つかれば、その資格は社会的に見て権威に乏しく認知されていないと考えることができます。
また、資格発行者や団体がSNSやブログ、youtubeなどで活動を行っている場合もそれらの情報に目を通すようにしましょう。
SNSの更新が途中で止まっている、逆にいいねやRT、フォロワー数などが過度に多い場合は、フォロワーやいいねを現金で買っている可能性があり、SNS上でも権威付けのための活動に四年がないということで、その資格が意図的に権威を付けなければならないほど毛にが低く価値が乏しいと判断することができます。
資格取得者の経歴や活動を調べる
資格発行者だけなく、資格を取得した人の活動も同時に調べていくという方法です。
資格名や資格発行者・団体の名前で検索して引っかかった人のブログやSNSのアカウント、youtubeなどにアップされた情報を調べていくことが効果的です。
また、資格取得者が現在どのような仕事をしているのかなどの、具体的な仕事に関わることについても深く調べるようにしましょう。
資格を取得しても、実際に仕事に結びつくような情報が全く見られない、また上に述べたように資格発行者からのコネを使った仕事しか成果が見られないのであれば、資格を取得してもあまり就職や採用の好材料としては見られていないと判断するのが妥当です。
資格取得希望者の行動を調べる
資格商法そのものが、自分でよく調べず「この資格を取得すれば仕事にありつける」という甘い考えをしている騙されやすい人、メディアリテラシーの無い人を狙ったビジネスの側面を持つので、資格希望者の声や活動が見られるのであれば、それらに目を通すことが重要です。
資格発行者が自前のSNSやブログなどで情報発信をしている際に、「どうしたら資格が取得できますか?」というように資格取得を希望する人のコメントがついているのを見かければ、その人のアカウントを辿り情報を収集することが大事です。
また、資格取得希望者が
- 不安を煽られ決断を急かされている。
- 自分の将来(主に仕事面)で不安があり冷静な判断ができない状態である
と感じた場合は、その資格を取得することを一度冷静になって考え直すのがいいでしょう。
また、取得希望者のアカウントを調べるとマルチ商法やねずみ講などの悪徳商法にも手を出しているというケースがあります。
マルチ商法も資格商法と同じように、一般では売れないような高額な商品を言葉巧みに騙して売りつけるビジネスであり、資格商法のトリックを見抜けない人が騙されやすい悪徳商法の一種です。
騙されやすい人ほど資格商法やマルチ商法などの不安などで煽った商売に弱い傾向があり、マルチから資格商法…次はスピリチュアル商法と渡り歩く傾向があります。
もちろん、これは資格取得後の人でもよく見かける行動であり、あらゆるビジネスにハマる人を見かけた場合は、資格取得そのものについて考え直す、あるいは距離を取って関わらないようにするのが良いでしょう。