嫉妬は人間なら誰もが持つ感情ですが、中には嫉妬の感情が強まりすぎることで、誰かを攻撃したり、妬みすぎて自己嫌悪に陥る人がいます。
特に、性格や考え方の癖によっては、普通の人よりも強い嫉妬を抱いてしまう人がいるのも事実です。
また、ひょっとしたら自分自身が嫉妬深い人になってしまい、嫉妬に狂って衝動的な行動してしまったり、ネットに不満や口を書き込んだことが原因で炎上に発展することもインターネットが当たり前の昨今だからこそ起きることだと思います。
嫉妬深い人の心理を知る事は、誰かからの嫉妬に対して賢く対応するだけではなく、自分自身を嫉妬の炎から守るためにも大事だと感じています。
今回は嫉妬深い人の心理や特徴、そして嫉妬心が強くなる原因についてお話しいたします。
嫉妬深い人の心理・特徴
自己中心的な考え方がくせになっている
- いつも自分が話題の中心じゃないと気が済まないと考えている。
- 何かにつけて自分の自慢話や武勇伝などを語ると
といった、自分中心で物事を考える癖のある人は、嫉妬心が強くなる傾向があります。
これは、常に自分が集団の中でトップに立っていたい、人よりも優れていたいと言う気持ちの表れであり、自分の優位性が失われるような場面では強い嫉妬心を抱いて苦しみます。
また、人間関係を上下関係で見ているため、自分よりも弱い立場の人に対しては比較的穏やかですが、その弱い立場の人が成り上がって来た場合にはひどく慌てて足を引っ張ったり、挫折させようと妨害してくることがあります。
嫉妬深い人から見て成り上がって来る人は、今現在の自分の方が上であるという立場を脅かす由々しき存在であり、そのまま放置しておけば自分が安心できる立場を失うことになるので恐怖心や怯えなどの感情を抱きます。
そんな由々しき存在だからこそ、辛辣な言葉を吐いて攻撃したり、場合によっては陰口を言う、噂話を流すなどの陰湿且つ姑息な方法で、成り上がってくる人の邪魔をします。
所謂、友達のふりをしている敵と言う意味を持つ「フレネミー」や夢を挫折へと追い込む「ドリームキラー」と共通しているところがあります。
人に対する好き嫌いが激しい
嫉妬深い人は、他人に対する好き嫌いが激しく、極端な物の見方・考え方をすることがあります。
例えば、
- 味方か敵か。
- ファンかアンチか。
- 無害な人か、有害な人か。
と言うような、白黒はっきりした二元論的で両極端な考え方をしており、それに基づいて自分と付き合う人を判断します。(=二極思考)
もしも、自分にとって無害な人だと判断すれば、(馴れ合うように)可愛がったり、あたかも自分の子分にするかのようなベッタリとした接し方をします。
一方で自分にとって有害な人だと判断すれば、情け容赦なく攻撃したり、いろいろ(屁)理屈をつけて悪者扱いしようとします。
また、将来自分に対して楯突いたり歯向かってくる恐れがある人に対しては、早い段階で根回しをして馴れ合いの人間関係にはめ込んだり、孤立させるように嘘を流すなどの陰湿な方法で、危険の芽を事前に摘もうとします。
他人の目が気になりすぎる、他人の行動に対して敏感である。
嫉妬深い人は、自分にとって居心地の良い今の立場を失われないために、常に自分の身の回りの人間関係や周囲の視線に対して敏感になっているという特徴があります。
まるで、肉食の動物からいち早く危険をさして身を守る草食動物のように、常に自分の周囲の人間関係に対して警戒心を持っており、見張るように他人を見ています。
また、見ているのはリアルの人間関係だけでなく、SNSなどのインターネット上の人間関係も含まれています。
警戒心が強すぎるあまりに粘着質な行動を取ったり、ネットストーカーのような悪質且つ迷惑行動をとってしまうこともあります。
他人に対する期待が大きすぎる
嫉妬深い人は、他人に対して過度な期待を抱く傾向があります。
自分が中心だと考えているために、何か話すにしても
- 自分の自慢話に対して、周囲からや尊敬の声が集まるに違いない。
- 自分の話を受け入れてくれるに違いない。
- 自分のことを全肯定してくれるようなコメントが来るはずだ。
などの、自分にとって都合の良い期待を他人に押し付けるものの、所詮は都合の良い自分の中の思い込みに過ぎないので、期待は容易く裏切られ強いショックを受けます。
そして、特徴的なのがショックを受けたときに自分の考え方が間違っていたのだとは考えず、認めてくれない相手の方がおかしい、間違っていると言って自己正当化するという点です。
また、上でも触れたように「期待を裏切った人=アンチ」だと決めつければ、「私にはアンチができるくらいの有名人・人気者なんだ」と理屈をつけること(こじつけが強い気もするが)可能であり、あくまでも私はアンチから嫉妬を含めて注目される自分を演出することができます。
こうすれば、自分の嫉妬深さを周囲に対して隠しつつも、自分の手を汚さず他人(アンチ)を攻撃し足を引っ張ることができるというわけです。
自分の過ちや間違いを認められない人
嫉妬深い人は自分の考え方が間違っていたとか、自分の行動が正しくなかった、と自分に落ち度があるのだと考えず、
- 他人が悪い
- 社会が悪い
- 環境が悪い
など、とにかく自分以外の誰かに責任転嫁をししようとする傾向があります。
例えば、自分と同期の仕事仲間が自分を差し置いて早々と出生したときに、同期のがんばりを認めるのではなく、「ゴマをすった」とか「先輩に媚を売った」などの根拠のない誹謗中傷し、足を引っ張ろうとします。
自分の努力不足や態度の仕事っぷりを反省するのではなく、あくまでも自分には何の責任もないと言う立場で物事を考え、自分の非を認めようとしないのです。
また、「自分は悪くない、間違っているのは周囲や世間の方」という言動にしびれを切らした人から指摘されると「あの人は私のことを嫉妬している」と言って話をそらそうとしたり、指摘する人そのものをアンチと決めつけて悪者扱いにすることもよくあります。
そんなことを続けているため、嫉妬深い人はいつしか自分の中には厳しい指摘を言ってくれる人はいなくなり、とことん自分を甘やかしてくれる人や、自分の言うことなら何でも聞いてくれる都合の良い人ばかりが残り、ますます自分の非を認められない人間になってしまいます。
嫉妬心の強さと自己愛性人格障害
嫉妬深さと関係のある心理学用語として、自己愛性人格障害(自己愛性パーソナリティ障害)が挙げられます。
自己愛とは自分自身に対する愛情…すなわちナルシストのようなうぬぼれや、自分大好き人間のような振る舞いのことですが、この自己愛の強さが嫉妬心と深く関係があります。
アメリカの精神医学会が作成した自己愛性人格障害の診断基準の中には
- 共感の欠如:他人の気持ちを呼び欲求を認識しようとしない、またはそれに気付こうとしない。
- 対人関係で相手を不当に利用する。すなわち自分自身の目的を達成するために他人を利用する。
- 尊大で傲慢な行動または振る舞い
- 過剰な賛美を求める
- しばしば他人に嫉妬する、または他人が自分に嫉妬していると思い込む
といった、自己愛の強さと嫉妬心の強さとの間に深く関連がある記述が見られます。
人間は自己愛が強くなりすぎると、理想の自分と現実の自分とのギャップが大きくなりそのギャップを埋めることができず葛藤を覚え苦しみます。
もちろん、ここで等身大のありのままの自分を受け入れ、いつもの自分に近づくために努力をすることができれば良いのですが、自己愛が強すぎる人は等身大の自分を受け入れようとせず、
- 自分は特別な存在である
- 他の人にはない優れた才能がある人間なんだ
と思い込みを膨らませ、周囲の人間との衝突を起こしてしまうのです。
自己愛性人格障害は嫉妬深い人に見られる性質を持っているだけに、気をつけておいて損はないと思います。
特に、自分の承認欲求を満たすために他人に対して行き過ぎた褒め言葉や賛辞のコメントを要求してきたり、さも「自分にはすごい能力がありますよ」と言う雰囲気をまとって近寄ってくることが多いために、雰囲気に飲み込まれやすい人は少し冷静になって考える癖を身に付けておくことが大事だと思います。
また、心理学ではハロー効果と言う言葉があり、人間はある1つの才能や能力を見ただけで、その人が他の分野や場面でもきっと素晴らしい人に違いないと感じてしまうことがあります。
スポーツで活躍している人が、勉強や仕事、コミュニケーション能力などの人間的な面でも優れているに違いないと感じてしまうように、ある側面を見ただけでその人のことを過大に評価することがないように気をつけておくようにしましょう。
嫉妬心が抑えられなくなるプロセス
嫉妬心が抑えられなくなってしまうプロセスは
- もともと承認欲求が満たされない、愛情や社会的な評価に飢えているなどの思いがある。
- 自分の身近なところにいる満たされている人と、飢えている自分と比較する。
- 比較していく中で相手に対する嫉妬心を抱く。
- 嫉妬心を抑えきれず相手を攻撃したり、足を引っ張るような言動をとる。
と言う、段階をたどります。
もちろん、大抵の人は嫉妬心を持つだけで実際に相手に対する攻撃といった行動に出る事はあまりありませんが、中には他人に攻撃することで自分が抱いている精神的な飢えを解消し、満たされようとします。
しかし、攻撃的な態度をとったからといって、必ず相手を挫折へと追い込める…と言うわけではありません。
人によっては、周囲の言葉を気にせず更に活躍していく人もおり、自分の攻撃が全然効いていないと感じて、嫉妬を強めてしまうことにつながることもあります。
また、自分の交易に対して相手から予想外の反撃を受けたら、それこそ自分の立場が悪くなってしまい、不愉快さや不満、怒りが残ることでしょう。
なお、自分の攻撃が成功し相手が挫折してしまうと、今度は自分の行為そのものが楽しいものだと感じてしまい、他人に嫉妬することそのものより肯定的に感じて嫉妬深さを強めていきます。
この事から分かるのは、皮肉にも自分の嫉妬心を解消するために行っている行動が、かえって自分の嫉妬心を強めていると言うことです。この事実をしっかり受け止めておくことが、嫉妬心を暴走させないためにも大事だと感じています。
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