嫉妬心は人間なら誰もが持つ心理の1つです。しかし、一般的には嫉妬心を持ったり、嫉妬に夢中になる事はあまり良いこととして見られていません。
ですが、世の中を見渡せば嫉妬に狂って相手に罵詈雑言やいやがらせをしたり、ネット上で愚痴や不満などを書き込むアンチの人がよくいるものです。
嫉妬のコメントは閲覧してもあまり気持ちのいいものではありませんし、自分が嫉妬の炎に包まれて嫉妬に狂い続けるのは精神的にも辛く、長く続くことは精神衛生上好ましいものではありません。
そもそもなぜ人間は嫉妬心を持ち、嫉妬の炎大きくさしてしまうのか…今回は、そんな人間の嫉妬が起きるメカニズムや、嫉妬の炎が大きくなってしまうプロセスについてお話しいたします。
嫉妬が生じやすい場面・状況
嫉妬が生じやすい場面に、どれも「人間関係」が共通しています。
仕事、学校、家族、友達、恋人などが原因となり、私たちは誰かのことをねたましく思ったり、他人の足を引っ張ったり、失敗を願ったりしてしまうものです。
自分の立場が脅かされそうな時
嫉妬が起きる代表的な場面として、今の自分が持っている立場や状況が脅かされそうになったとき、私たちは嫉妬を強く感じます。
例えば、部活動を元に考えてみましょう。
よくある体育会系の部活動では、レギュラー争いやポジションの競争が部内でもあり、先輩後輩関係なく競争にさらされることがあります。先輩からすれば、経験の浅い後輩には負けるわけにはいかないという気持ちがありますし、後輩からすれば先輩よりも目立ってしまうと部活内で悪目立ちして嫉妬の対象になる恐れがあるものです。
もし、先輩よりも実力があり優秀な後輩が部活に入ってきた時、当然チームがより良い成績を試合で出せるようになるためには、実力の劣る先輩よりも実力が勝る後輩をレギュラーに抜擢することになります。
この時、本来ならレギュラーになれるはずだった先輩からすれば、後輩に対して「本当なら自分がいるはずだったポジションを後輩に奪われてしまった」と感じて強い嫉妬心を抱くものです。
また、先輩からすれば、後輩は自分が今まで活躍していたポジションでなく、部内での立ち位置、高知監督からの評価までも奪っていった由々しき存在と強い嫉妬からくる不快感や嫌悪感を感じることでしょう。
もちろん、これは部活以外の人間関係でも同様です。
仕事で同期の関係であった仲間が、自分よりも出世したらどうかと言う関係が脅かされることになります。
遊びの関係でお互いに趣味や考え方が似ていた友達同士なのに、収入や暮らしぶりに格差が生じて、話が合わなくなってしまったら、以前のような趣味や考え方が似た友達同士という関係が脅かされます。
こういった関係の変化は、普通に生活していれば必ず起きるものですが、その変化に対して自分が何か奪われると感じている、あるいは今までの関係が崩れてしまうと言う恐怖を意識のうちに感じていると、それが嫉妬心となって自分の心や体考え方に影響してきます。
競争や比較にさらされている時
誰かと競争したり、優劣をつけられる場面でも人間は嫉妬心を開きます。
例えば受験勉強で考えてみましょう。受験では、自分の実力や立ち位置がテストの点数や偏差値、合格出来る可能性(A判定、E判定等)が客観的な数字を用いて表されます。
そして、他の受験生と比較して自分の方が上であれば優越感を感じたり、逆に自分よりもレベルの高い人が多いと感じれば自分に対して劣等感を抱くものです。
また、受験勉強を続けていくうちに、今まで自分よりも偏差値の低かった人がメキメキと実力をつけてきたことで、今までの自分の立場がよくなることから嫉妬を抱くこともあります。
逆に自分の成績が思うように伸びず、今まで同じレベルだった人がどんどん実力をつけていくことで、自分にとって心地の良い関係が崩れて失われること対して嫉妬を抱くこともあるでしょう。
受験の性質上、他人との比較や自分の立ち位置の確認は避けられないものです。比較するそのものが嫉妬を生んでいると言っても良いでしょう。
身近な友達、家族、パートナーに対して
嫉妬抱く対象人は、テレビやインターネットで見かけるようなどこか雲の上のような存在ばかりではありません。
むしろ(あまり認めたくないことかもしれませんが)、自分のすぐ身近な友達、家族、兄弟、恋人に対して私たちは嫉妬心を持ってしまうものです。
これは、身近な関係であるがために相手の事情や状況を詳しくすることができ、よりドロドロとした生々しい嫉妬の気持ちが生まれてしまうのです。
特に兄弟関係であれば、親からの愛情や注目といった家族関係の根幹をなす感情の奪い合いから、より激しい嫉妬心を抱くものです。
嫉妬心が影響して、兄弟の間で愛情の格差が生まれてしまったり、その格差の影響でどちらか一方だけが自立して家庭を持ち社会的に認められるようになった裏で、もう一方は幼い頃に愛されなかったと言うコンプレックスから引きこもりやニートになって社会的に止められない存在として生きづらさをした生活を送ることもあります。
嫉妬しやすい人には、幼い頃に親から十分な愛情を得られなかった、あるいは兄弟姉妹の中で格差のある愛情を受けて育ったと言う経歴を持っている人がよくいるものです。
もちろん、親から十分な愛情得られなかったといって必ずしも引きこもりになるわけではありませんが、親からの愛情が得られなかった経験がきっかけで
- 人一倍嫉妬心を抱いて精神的に疲る。
- 周囲から嫉妬されるような優秀な人間になるべく自分を犠牲にする行動が目立つ。
- 常に周囲の目や世間の評価が気になり気持ちが落ち着かない
などのことで苦しむことがあります。
自分よりも格下の人が頭角を現してきた時
無意識のうちに他人を見下していたり、自分よりも実力が劣る格下の人間を見つけたがる人は、その見下していた人が実力や結果を身に付けてくると強い嫉妬心を感じます。
なお、格下の存在といっても自分とは比較にならないほどできの悪い人や、レベルが低すぎて眼中にも入らない人に対しては嫉妬心は抱きにくいものです。格下の存在であっても誰でもいいというわけではありません。
嫉妬心を抱きやすい、格下の存在とは、自分よりも少しレベルの低い人や、自分とほぼ同じレベルの人が対象となります。
例えば、大企業の社長が入社したての新入社員の活躍に対して個人的な嫉妬を抱いたり、嫉妬から個人的な罰を出すようなことはせず逆に褒めてその活躍をわが身のことのように喜ぶのが普通です。
しかし、社長の身近な存在…例えば、創業期をともにした社員、幹部クラスの社員に対しては「いつ自分の立場が脅かされるか分からない」という不安を強く抱きやすい存在であるため、嫉妬心を持ちやすくなります。
特に、社長ともなれば上昇志向やリーダーシップも強いことから、その上昇志向を脅かすような身近な存在、自分よりも優れている側近に対して強いきっと心を抱きます。
日本の歴史を見ても、戦国時代に活躍した武将が自分の家来を皆殺しにしたり、島流しにして物理的な距離を置いたのは、身近であるがゆえにいつでも謀反を起こされ自分の立場が脅かされるということへの不安や警戒心から来る嫉妬だと考えることができます。
自分と同性の人に対して
男性なら男性に対して、女性なら女性に対して人間は嫉妬心を抱きやすいものです。
これはお互いに同性と言う共通点があるためにライバル視したり、自分が持っている人間関係や立場をより奪われてしまうのではないかと言う危機感が起こりやすく、嫉妬を生むからだと考えることができます。
一般的に学校や職場などの人間関係では、異性間での比較は現代とセクハラ扱いされることもあるかのでしにくいものです。普通は男性は男性と比較され、女性は女性と比較されることの方が多いでしょう。
また、男性と女性とでは、考え方の癖といったメンタル面や見た目・身体能力といったフィジカル面でも大きく異なるため、異性間で比較することこのものが同性間の比較と違ってやりにくいのも理由として考えられます。
嫉妬心が肥大化する理由
嫉妬心はよく「炎」に例えられることがあります。
嫉妬心は、最初は小さなものであっても時間が経つにつれて肥大化しやすく、早めに消火しないと燃え広がって被害が大きくなる…という、まさに炎と似たような性質を持っているのです。
嫉妬心が大きくなる理由の1つとして、自分自身が嫉妬を抱いていると言うことを認めたがらないことがあります。
これはギャンブル依存症の人が自分はギャンブルに依存しているのを認めようとしなかったり、アルコール依存症の人が自分はアル中だと自覚しないのと同じです。
冒頭でも触れましたが、一般的に嫉妬心を持つ事は良いことだと入っている人は少ないものです。
どちらかといえば、嫉妬心を持つ人は、卑しい人、醜い人、器の小さい人、狭量な人だ…と否定的な印象で語られることが多いものです。
そのため、自分が嫉妬心を持っていると自覚することは、言い換えれば自分は他人をねたましく思うような、卑しく醜い人であると認めることにほかなりません。
といえは大抵の人は、自分が卑しく醜い人間であるとすんなり認めることができないものです。また「自分は嫉妬するような底の浅い人間だ」と言うことを大体的にアピールできるものでもありません。
結果として自分が抱いている嫉妬心を認めようとせず、理屈をつけて「これは嫉妬でも何でもない」と自分を正当化したり、「(嫉妬の対象に対して)後ろめたいことをている」と自分の中だけの都合の良い理由をあれこれつけたりして、自分の嫉妬心に正面から向き合うことを徹底的に避けていきます。
しかし、嫉妬心は人間なら誰もが抱く感情であるため、常に向き合うことから避けていれば、そのたびにひどく動揺したり、強い不安や恐怖、危機感を覚えて生きづらさを感じることになります。
自分の嫉妬心を少しでも抑えたいのであれば、できる範囲でいいので「自分が嫉妬心を持っている」ということを認めていくことが大事です。
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