優しい人なのに仕事ができない理由について

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温厚で優しい性格なのに、なぜか仕事でミスが多いとか、人間関係にうまくなじめていないとか、なんとなく職場で孤立している人を見ると「優しいのになんで仕事ができないんだろうか?」と純粋な疑問を持つ方は、きっと多いと思います。

他人を蹴落としてまで成り上がろうとしたり、集団内で波風を立ててズバズバ発言していく…という具合に、性格面での荒っぽさがある故に仕事ができないのなら、まだ納得できるものがあります。

しかし、協調性もあり、他人を気遣える優しさがあるのにもかかわらず仕事の出来は微妙となると「どうして優しいのにダメなんだろう」という疑問は、ますます募ることでしょう。

今回は、そんな優しい性格なのに仕事ができなくなる理由について、お話いたします。

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優しい性格だけど仕事ができない理由

他人を思いやりすぎて仕事の連携が取れなくなる

優しい人が仕事で起こしがちなのが、他人を思いやる気持ちが強すぎて、

  • 「○○さんに仕事を振って不愉快な気持ちをさせてしまわないだろうか」と考えてしまい、自分一人で仕事を抱え込んでしまう。
  • 「○○さん仕事のことで質問したら、迷惑がられるだろうか」と強い不安を感じた結果、質問せず自分一人でなんとかする方法を選んでしまう。

など、他人の気持を悪い方向に先読み&決めつけてしまい、職場内で連携が取れなくなってしまうことです。

当然ながら、すべき仕事の割り振りや質問もせず、何事も自分一人で抱え込んでしまうので、協力して仕事を進める時よりも能率は下がりやすい。

加えて、「自分一人で全ての仕事をやらなければいけない」という、過度な義務感や責任感に駆られることで、普段から精神的負担と消耗が大きくなり、疲れからケアレスミスを起こしてしまいやすいのが特徴的です。

もちろん、他人の気持ちを思いやれること自体は素晴らしいのですが、その思い込みが自分の偏った物の見方(=バイアス)による、決めつけを招き、結果として悩みの種となってしまっては、まさに優しが空回りしていると表現するのがふさわしいでしょう。

低い自己評価に見合った責任が少ない仕事ばかりをしてしまう

責任感が強いことが災いし、自分の責任ではないことまでも自分に責任があると考えてしまう優しさを持つ人に目立つのが、過度に自分を追い詰めるあまりに自己評価が低くなる。

そして、自己評価の低い自分にあった責任や役割ばかりを引き受けてしまったことで、成長の幅が縮まり「仕事ができない人」だと見られてしまうのです。

このように、自己評価の低い人が、低い評価に見合った扱いや役割を求めてしまうことは、心理学の認知的斉合性理論の代表例です。

自己評価が低い人からすれば、自分を過大評価or適正に評価する環境にいることは「自分は評価されるほどの人ではない」という認知と一致しないために、居心地の悪さを感じる。

逆に、自分を過小評価してくれる環境にいることは「自分は評価されるほどの人ではない」という認知と一致するために、居心地の良さを覚えてしまうのです。

自分で自分を低く評価しており、そして周囲から低い評価を受けてしまう状況を無意識のうちに選んでしまうことが、優しい性格なのに仕事ができない人が出てくる原因の一つと考えられます。

なお、自己評価が低い人は、仕事では「他人の顔色を伺い過ぎる」「仕事に対して積極的になれない」という特徴を見せることがあります。

悪く言えば弱気で優柔不断なのですが、こうした行動により自分への評価が下がると「自分は評価されるほどの人ではない」という認知に状況が一致し、安心感を覚える厄介な側面があります。

適正な自己評価を持つことは、言い換えれば自分を社会的にも精神的にも破滅に追い込まないためには大事なことと言えます。

誰にでも優しいために周囲から信用を集めにくく、好かれにくい

協調性があり、他人を傷つけるようなことをしない、まさに優しいという言葉がピッタリなのに、なぜか職場では今ひとつ印象や評価が芳しくない人は、誰にでも優しく振舞うことが仇となり、周囲から信用を集めにくくなっていることがあります。

他人との衝突を回避するために、関わる人全てに肯定的な態度を取るうちに…

  • 「誰にもで優しくて、本当は何を考えているのかわからないので関わりにくい」
  • 「誰にでも同じ対応をしていて、本当は他人に興味がないのでは?」
  • 「いい人に見られたいから、人によって態度を変えていて言動に一貫性がない」

と、関わりづらいイメージを持たれてしまい、信用が集めにくくなるのです。

加えて「荒っぽい性格→信頼ができない」なら、ストレスなく理解しやすいですが、「優しい性格→信用できない」と、ややこしくて理解するのにストレスがかかることから、悪印象を抱いてしまうのです。

なお、ある事柄を理解するとき、その事柄が流暢に理解することを「認知的流暢性」と心理学では呼びます。

  • 「ストレスなく理解できるもの=好ましいもの」←認知的流暢性が高く、好ましいものだと錯覚してしまう。
  • 「理解するのにストレスがかかるもの=好ましくないもの」←認知的流暢性が低く、好ましくないものだと錯覚してしまう。

と、事柄が理解しやすいかどうかで、その事柄を好ましいor好ましくないと錯覚(誤帰属)してしまいます。

「荒っぽい性格→信頼ができない」と「優しい性格→信用できない」を比較した場合、後者の方が前者よりも、すんなりと理解しにくいので、好ましくないものだ捉えてしまう。

つまり、優しいのに信頼できないと感じる人に対して、より一層近寄りがたさや関わりづらさを募らせてしまうのです。

他人と衝突することを避けたがることが災いして仕事の進みが遅くなる

争いや意見の食い違いを避けるためにも、自分が他人と衝突することを避ける。それだけでなく自分と関わりのある人同士がいがみ合うことも回避し、人間関係を穏やかな状態にすることばかりを意識してしまうがあまりに、仕事の進みが遅くなり「仕事ができない人」だとみなされてしまうのです。

仕事をてきぱきと進めることよりも、人間関係を穏やかな状態にすることを優先してしまう、本末店頭な行動にでてしまった結果、仕事の進みは遅くて雑になる。(気が付けば、構築してきた優しい人間関係を自ら壊すという皮肉…)

なお、優しい素振りを見せるものの、仕事の進みが遅い分、誰かが尻拭いをさせられることもあるので、人間関係を穏やかな状態であるとはお世辞にも言えないのが、実に優しくない現実だと感じます。

臆病や優柔不断などの言い換えとしての「優しい」から見る、仕事ができないこと

優しい性格なのに仕事ができない人について調べていく中で感じたのが、ただ「臆病である」「優柔不断である」「自己保身が強い」「自己評価が低い」などのネガティブな特徴を、「優しい」とポジティブな特徴で言い換えているのではないか…という可能性です。

ネガティブな特徴をなるべくポジティブに変換するものの、その過程でネガティブな部分を反省するわけでもなく、改善するわけでもなく、そのまま残した状態にしてしまっている。

改善も反省もしてないので、同じようなミスを繰り返してしまうが、その時に「優しいのに性格なのになんでだろう…」と、ポジティブ変換する以前の自分のネガティブな特徴を省みるまでに至っていないことが、優しいのに仕事ができない人に感じるモヤモヤとした気持ちの一端を担っているように感じます。

もちろん、自分で自分を優柔不断だとか、自己保身が強いだとか、受け入れるのは精神的に辛いことでしょう。

しかし、自分が持っている認めたくない部分を見ようとしないどころか、「私は優しいのになんで仕事ができないんだろう…」と、自分に都合よく解釈してしまうことは、果たして本当に自分のためになるのだろうか…とも感じます。

自分では優しいと思っている割には、周囲からの評価は今ひとつである…こうした認識の食い違いの構図は、なんだか「真面目系クズ」とも関連している気がします。

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