心理学から見るアッパー系コミュ障

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コミュ障に関するネットスラングとして「アッパー系コミュ障」という言葉があります。

一般的にコミュ障と聞いて思い浮かべる、

  • ネガティブ思考が強くて暗い性格である
  • 人見知りが激しい
  • 緊張しすぎて話しかけることすらできない

というダウナーな部分は見られない。しかし、上手く他人と会話ができない、あるいは会話が成り立たない人を指す言葉として、「ダウナー」の対義語である「アッパー」を用いて、アッパー系コミュ障と表現され、主に若者・ネットユーザーの間で使われています。

今回は、この「アッパー系コミュ障」を心理学の知識をもとにして、お話していきたいと思います。

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アッパー系コミュ障の語源・特徴

冒頭でも触れたように、アッパー系コミュ障とは、コミュ障と聞いて思い浮かぶ性格面の暗さ、つまりダウナー系な部分が見られないどころか、むしろ社交的でどちらかといえばアッパー系な人に見えるものの、上手くコミュニケーションができない人を指すネットスラングの一種です。

具体的な特徴はというと…

・自分への自信を過剰に持っている。
・人の言葉を遮ろうとも言いたいことを言い続ける。
・主張が押し付けがましい。
・TPOを弁えずに大声で会話をする。
・空気を読まず、物を貶すことなどにも躊躇がない。
・自分を差し置いて周囲や他人の態度やマナーにはうるさい。
・アッパー系コミュ障同士で群れられるため、コミュ障の自覚がない。

(参考 コミュ障とは (コミュショウとは) ニコニコ大百科より)

と、以前書いた「よく喋るタイプのコミュ障の特徴」に通ずるものが多く見られます。

表面的には、他人と喋ったり、自分から話すなど、コミュニケーションをすることそのものはできるので、多くの人が想像するコミュ障というイメージからは逸れる。

しかし、中身をよく見ていくと、双方向の会話ではなく一方的に主張を押し付けたり、他人への共感や配慮ができておらず、自己中心的な言動が目立ち、上手く他人と関わることが難しい特徴を持っている人であることが読み取れます。

ダウナー系コミュ障と同じく、会話のキャッチボールができていない点はアッパー系コミュ障も同じと言えます。

「アッパー系コミュ障」に関連があると思われる心理学用語・概念

自己愛性パーソナリティ障害

アッパー系コミュ障の特徴である

・自分への自信を過剰に持っている。
・人の言葉を遮ろうとも言いたいことを言い続ける。
・主張が押し付けがましい。
・空気を読まず、物を貶すことなどにも躊躇がない。

を見てまず思い浮かぶのは、自己愛性パーソナリティ障害(自己愛性人格障害)です。

自己愛性パーソナリティ障害は、肥大化した自己愛と自尊心により、傲慢で尊大な自己中心的な言動にでてしまうことで、主として対人関係において衝突を起こしてしまいがちなパーソナリティ障害の一種です。

自己愛性パーソナリティ障害の人は「自分は特別であり、賞賛されて、特別扱いされるべきだ」という信念を軸にしていることが目立ちます。

自分を過信するのも、他人の話を遮ってまで話そうとするのも、一方的な主張をするのも、他人に不当に利用し傷つけることにためらいがないのも、特別な自分に対する信念が起因しているものだと考えると、腑に落ちるものがあります。

なお、自己愛性パーソナリティ障害の特徴で、とくに対人関係でトラブルを招く原因になるのが、他人に共感する能力の低さです。

これは、自己中心的な考え方の強さ故に起きるものだと見れますが、自分の発言や行動で他人がどう感じるかについて想像ができない。

つまり、自分の言動のせいで相手が精神的に負担を感じるとか、「しつこい人だなぁ…」と煙たがられることをイメージできないからこそ、アッパー系コミュ障の特徴のような、押し付けがましい一方的なコミュニケーションができてしまのだと考えられます。

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ADHD(注意欠陥多動性障害)

発達障害の一種であるADHD(注意欠陥多動性障害)もまた、アッパー系コミュ障に通ずるものがあると感じます。

ADHDは普段の生活の中で不注意が多い、衝動的な行動に出てしまう、注意力散漫である、など多動性を特徴とした発達障害の一種です。

アッパー系コミュ障の特徴を見ていて感じる、

  • 全体的に落ち着きがない。(多動性)
  • 思ったことがすぐに口にでてしまう。(衝動性)

といった行動の特徴は、ADHDの主な特徴に通ずるものがあります。

なお、ADHDは子供に多いと思われがちですが、何も子供特有のものではなく、大人のADHDも存在しています。

行為者・観察者バイアスが強い

アッパー系コミュ障の人の特徴である「自分を差し置いて周囲や他人の態度やマナーにはうるさい」に関しては、行為者・観察者バイアスが関連していると考えられます。

行為者・観察者バイアスとは、同じ行動をしていても、

  • 他人の場合はその行動の原因をその人自身にあると考える。
  • 自分の場合はその行動の原因を自分以外の何かにあると考える。

と考える、物の見方の偏り(=バイアス)を指す心理学用語です。

たとえば、仕事で叱られるという場面の場合

  • 他人(Aさんとする)が上司から叱られている状況に対して、「叱られるのはAさんに落ち度があるよね」と、叱られる原因をAさんに見出す。
  • 自分が上司から叱られている状況に対して、「自分は叱られるようなことはしていない。ただ上司の指示が悪かっただけだ」と、叱られる原因を自分以外に見出す。

という考え方をしてしまうのが行為者・観察者バイアスです。

単刀直入に言うと、自分に甘く他人に厳しい人が持つ考えの偏りが行為者・観察者バイアスです。

アッパー系コミュ障の人がやる「自分を棚に上げる」という行動は、まさに行為者・観察者バイアスが強く、他人にはやたら厳しく自分には妙に甘い考え方をしていることが、よく反映されている行動といえます。

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強迫観念の強さ

アッパー系コミュ障の人がやたら話したがる裏には、

  • 「とにかく喋らなければいけない」
  • 「沈黙することはあってはいけない」

という、コミュニケーション関する強迫観念の強さが影響しているとも見れます。

強迫観念とは、本人の意思とは無関係に、絶えず頭に浮かんでくる観念のことで、主に不快・不安を伴う観念のことです。

強迫観念で多いのが「~しなければいけない」「~すべきである」という、義務や命令の意味合いを持つ言葉が何度も繰り返して、頭の中に出て来ることです。

アッパー系コミュ障の人がひっきりなしに話したがるのは、会話に対する「~すべき」という強迫観念の強さに囚われていることも、原因として考えることができます。

セルフハンディキャッピング

アッパー系コミュ障の中でも、話す内容が予防線を張る内容ばかりのときに限れば、その行動はセルフハンディキャッピングだと考えられます。

セルフハンディキャッピングとは、何かに取り掛かる前に、その成功をあえて妨げるようなハンデをアピールして、失敗しても傷つかないようにすることを指す心理学用語です。

「会話で失敗しても傷付かないように…」という心理が働くために、あえて予防線を張るような言葉を空気を読まずに言ってしまうのです。

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自己開示のしすぎ

自己開示とは、自分のプライベートな部分や昔話など、自分の内面をコミュニケーション等で他人に正直に見せることを指します。いわゆる「心を開く」ことが、自己開示のいい例です。

自己開示をすることによって、相手が親近感を持つことで、お互いの関係が進展するとされていますが、一方でいきなり自分の身の上話を求められてもいないのに行う…など、TPOやお互いの関係性を無視した自己開示をしてしまうと、逆効果になります。

会って間もない人から、いきなり過去の暗く重い話題(失恋、家族仲が悪い、いじめなど)をされると「この人、ちょっと距離感がおかしくない?」と身構えてしまうように、自己開示をするときは相手との立場や状況にあった内容にしていくことが重要です。

アッパー系コミュ障の人の場合、この自己開示が相手との今の状況や立場を無視したものになっている。

つまり、あまり親しくもないのに既に親友気分で自分のことをベラベラと喋ってしまうことから、ぎこちない関係になってしまうのだと考えられます。

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