仕事をする上で、上司との関係性は仕事への意欲や取り組む姿勢など様々な点において多大な影響を及ぼします。
仕事への支障を来すばかりか、ストレスなど精神的な負担をもたらし、場合によっては体調を崩すこともあります。
本記事では合わない上司の特徴、また合わない上司に対してどう対処したらよいか紹介していきます。
また上司との関係性が思うように改善できなかった場合に備え、上司との関係性を減らすまたは断つ方法、またそれぞれの注意点にも触れておきます。
合わない上司との関係性の改善や回復にぜひ役立てて下さい。
目次
約70%の社会人が「上司と合わない」という悩みを持っている
はじめに、社会人になって上司と合わないと感じている人たちがどのくらいいるのかを押さえておきましょう。
2017年にマイナビ転職が全国の20~30代の男女113人を対象に「職場に嫌いな上司がいるか(いたか)」調査を行った結果、約7割の人が職場に合わない上司がいる、またはいた経験があると回答しました。
さらに同サイトにおいて、年齢や性別ごとに調査した結果、嫌いな上司がいると回答した30代の男性は65.5%、女性は71.4%となりました。
一方、嫌いな上司がいると回答した20代の男性は82.1%、女性は75.5%という結果となり、30代よりも20代の男女に嫌いな上司がいると回答した人が多く見られました。
また20代の男女間では男性の方が嫌いな上司が多いことが明らかになりました。つまり、20代の男性が上司に対して、最も嫌悪感を抱いているということです。
「合わない」と感じる上司の6つの特徴
まずは、合わない上司の特徴を6つ紹介します。
➁自分の出世ばかり考えている
➂体育会系で精神論ばかり言う
➃傲慢で理不尽な態度をとる
➄人によって態度を変える
➅パワハラやセクハラなどをしてくる
本項では、リクナビNEXTやマイナビ転職のアンケートの調査結果で得られた嫌いな上司の要素を参考にして、主な6つの合わない上司の特徴や原因を取り上げていきます。
特徴➀能力が低く仕事のできない上司
1つ目の特徴は、能力が低く仕事のできない上司です。
能力の低い上司は仕事への指示内容が的確でなかったり、部下や他の社員の話をきちんと聞かず自分勝手な解釈をしてトラブルを招きます。
さらに上司が招いたトラブルでありながらも決して非を認めようとはせず、部下や他の社員に尻拭いをさせることが多く、上司自身では決して解決しようとはしません。
そればかりか、上司としての威厳を保つために仕事のできない自分のことを棚に上げて、部下のミスを執拗に咎めようとします。
結果、部下は上司に対して尊敬や信頼感をもつことができず、何かトラブルがあるごとに苛立ちや反感、また過度なストレスを抱えることとなります。
部下にとって能力の低い上司との仕事は日々体力的にも精神的にも負担がかかり、仕事への意欲を徐々に失っていくことから合わないと感じてしまいます。
特徴➁自分の出世ばかりを考えている上司
2つ目の特徴は、自分の出世ばかりを考えるような上司です。
出世欲の強い上司は部下の成長には関心がありません。
そればかりか面倒な仕事は部下に押し付けて、部下が一所懸命に努力し得られた成果や手柄をさもかし自分でやり遂げたかのように横取りして蹴落とそうともします。
また何かトラブルが生じた場合は部下を擁護するかのような態度を示しつつも、結局は部下に責任を擦り付けようとしたりします。
そもそも上司とは部下のサポートをしながら成長を促し、組織全体の協調性を高めて社員一人一人が能力を発揮しやすい環境を整えていく責任があります。
しかし、自分の出世を重視し、部下の手柄を横取りしたり責任転嫁したりするような人が上司ともなると、部下は怒りや悔しさの感情が沸き、耐え難い状態が続きます。
自分の出世重視の上司だと、部下の不平不満が増すばかりか組織全体の活力を奪うこととなり、上司についていく気にはなれない、合わないという気持ちが強まります。
特徴➂体育会系で精神論ばかり言う上司
3つ目の特徴は、体育会系で精神論や根性論ばかり言う上司が挙げられます。
体育会系の上司とは「根性で乗り切れる」、「努力が足りないから成果がでない」、「気合を入れてノルマを達成しろ」などの精神論を働き方の基本としているような人です。
そのため部下が成果や結果を出せなかった場合には、他に問題視すべき点があったとしても努力や根性が足りないと非難してきます。
そもそも体育会系の上司はこれまで自分が精神論に基づいて成功し出世してきたという経験から、部下にも同じやり方を強制的に押し付けてきます。
体育会系的な考え方に対して苦手意識を持つ部下はもちろん、他の部下にとっても精神論や根性論に基づいた上司の指示は強制的かつ重圧的でただただ苦痛でしかありません。
また体育会系の上司の場合、根拠のない精神論を振りかざして過重労働を強いてくることもあります。
結果的に部下は精神面でも体力面でも追い込まれ、最悪過労死を引き起こすこともあり得ます。
特徴➃傲慢で理不尽な態度をとる上司
4つ目の特徴は、傲慢で理不尽な態度をとる上司です。
傲慢かつ理不尽な上司は、基本的に部下や他の社員を見下して偉そうな態度をとることが多いです。
また自分の仕事を部下に押し付けてくることもあり、部下が断ったり意見すると「口答えするなら辞めてしまえ」と罵声を浴びせるなど、高圧的な態度をとってきます。
加えて、理不尽な上司は指示もなく仕事を丸投げしてくるにもかかわらず、部下が仕上げてきたものに対して難癖をつけてきたり、何か問題があれば責任を負わせようとします。
逆に仕事の出来が良かった場合は、自分の手柄にして成果を横取りすることもあります。
傲慢で身勝手な上司の態度に、部下は怒りの感情や不平不満が募るばかりです。
上司の理不尽な態度が繰り返されることによって部下の心身は疲弊し、仕事へのモチベーションにも悪影響を及ぼします。
特徴➄人によって態度を変える上司
5つ目の特徴は、人によって態度を変える上司です。
人によって話し方や接し方など態度を変える上司はある部下には親切丁寧な態度で接し、ある部下には厳しく横柄な態度をとったりします。
また他にも、部下には会社の悪口や文句ばかり言うわりに、自分の上司には全く異なる態度で媚びへつらいご機嫌をとろうとしたりします。
人に対して露骨に態度を変えるような上司は、職場の雰囲気や人間関係を悪化させ周囲の人間に不快感を与えるため、部下にとって信頼のおけない上司と言えます。
とりわけ、直属の上司に横柄な態度をとられる部下にとっては苦痛でしかなく、過度なストレスにより仕事にも支障を来すこととなります。
特徴➅パワハラやセクハラなどをしてくる上司
6つ目の特徴は、パワハラやセクハラをしてくる上司です。
先にも紹介した「傲慢で理不尽な上司」もパワハラ上司の一種と言えますが、本項では脅迫や暴力的な面を含んだ上司をパワハラとします。
部下に対してパワハラやセクハラをする上司は自分の置かれている立場を利用して部下を怒鳴りつけるなど高圧的な態度や、性的な内容の発言・行動をとります。
しかし、パワハラやセクハラといった振る舞いは犯罪であるにもかかわらず、上司自身は加害者意識がないばかりか、発言や行動がパワハラやセクハラとは自覚していません。
そのため上司はターゲットとなる部下に毎日パワハラやセクハラを繰り返し行い、日に日に内容や度合を増していきます。
被害を受ける部下は常に不快な思いを抱くこととなり、精神的にも追い詰められて仕事にも十分な能力を発揮することができなくなってしまいます。
合わない上司との関わりを改善・対処する6つの方法
それでは、合わない上司との関係性を対処・改善していくにはどうしたら良いかを見ていきます。
本項では、前述した合わない上司のどの特徴にも活用できる対処法を紹介します。
➁仕事だと割り切って聞き流す
➂適度なコミュニケーションをとって一定の距離間を保つ
➃他の上司を味方につける
➄何事も経験・学びと捉え自分の成長の糧にする
➅自分の仕事を完璧にこなして成果を出す
以下では、6つの対処法をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
対処法➀自分自身に非はないかを振り返る
1つ目の対処法は、上司だけでなく自分自身にも非はないか振り返ることです。
上司にも様々なタイプの人間がおり、全ての上司が部下にとって理想的で完璧な訳ではありません。
当然部下にも同じことが言え、上司の気分を害することもあれば迷惑をかけることもあります。
合わないと感じる上司を一方的に非難したり、合わない理由を上司だけに求める行為は控えましょう。
一度冷静になって、「上司に対して、自分はどんな態度をとっているか」、「自分の仕事の仕方に問題はないか」など自分自身の言動を振り返ってみることです。
ただし、振り返ることの目的は「なぜ、上司は自分に対してあのような態度をとるのか」といった上司の問題点を探ることではありません。
あくまでも自分の言動に問題点や原因はないかを探ることに注視してみましょう。
なぜなら、上司との関係性が良くない原因は自分の態度にある場合もあるからです。
自分にも問題や原因があることに気付くことができなければ、上司との関係性はいつまで経っても改善できません。
上司も人間であるため、失礼な態度や問題行動を繰り返すような部下には厳しい態度や感情的な発言をしてしまうこともあります。
まず自分ができることとして、これまでの自分の言動を客観的に振り返り、自分に問題点がある場合は改善していくことから始めましょう。
合わないと感じていた上司の態度にも変化が生じ、互いの関係性を築き直すことができます。
対処法➁仕事だと割り切って聞き流す
2つ目の対処法は、上司の横柄な態度などに対応することも仕事の一環だと割り切って上手に聞き流すということです。
仕事をする上で信頼関係の築けていない合わない上司に反発したところで関係性や状況が良くなることは決してありません。
上司の嫌味や理不尽な態度に対して、感情的になっては相手の思う壺です。また上司の言動を逐一真に受けて、気持ちを搔き乱されていては自分の身がもちません。
上司に理不尽なことを言われたら真に受けるのではなく「これはいつものこと。これも仕事の一つ」などと自分に言い聞かせて受け流します。
受け流すことに慣れてくると、気持ちも楽になり、合わない上司とも上手に付き合えるようになっていきます。
ただし、聞き流す際には開き直った態度でもなければ怯えた様子でもなく、真摯に対応することを心掛けましょう。
というのも、上司は部下の反発的な態度や開き直った態度には苛立ちを感じ、弱気な部下には強気になり、さらに攻撃的な態度をとる可能性が高くなるからです。
上司の前では真摯に受け止めているかのように振る舞い、感情をコントロールして受け流すことがと良いでしょう。
ただし、自分のキャリアや信頼性に傷をつけられそうならばきちんと反論することも大切です。
対処法➂適度なコミュニケーションをとって一定の距離間を保つ
3つ目の対処法は、合わない上司とは適度なコミュニケーションをとるようにして一定の距離間を保つようにすることです。
合わない上司とは極力避けたくなる気持ちが沸くものですが、一切口を利かない、目も合わさないなど上司との関係を断ち切るような態度はとらないように注意しましょう。
また、上司に対して嫌悪感や不快感を抱いているとしても、自分の感情を態度に表すようなことも避けましょう。
むしろ、合わない上司に対しては挨拶や仕事に関する指示など社会人として最低限の節度を守り、礼儀正しく誠実さをもって接することが得策です。
なぜなら、上司を無視するような態度は敵意をむき出しにしていることを表すものであり、上司との関係性をより一層悪化させてしまうことになり兼ねません。
そもそも仕事をする上で上司との関わりを一切なくすことは不可能です。
上司とのコミュニケーションの欠如は仕事にも支障をきたすこととなり、部下である自分の評価を下げることにもなります。
加えて、理不尽で無能な上司たちは自分の威厳を保つために自ら部下に歩み寄ることも、部下への態度を改めることもしません。
そのため上司の態度改善を期待するよりも、部下である自分から謙虚な態度で歩み寄り、適度な距離間を保つことが、合わない上司と良好な関係性を築くための方法と言えます。
ただし、合わない上司との距離間が遠すぎるのも良くありませんが、近づきすぎるのも問題です。
どんな人も合わない人間と必要以上にコミュニケーションを図ることは過度なストレスにもなります。
合わない上司とは仕事をする上で必要最低限のコミュニケーションで済ませ、余計な接触は避け、一定の距離間を保つことも大切です。
対処法➃他の上司を味方につける
4つ目の対処法は、上司よりもさらに上の立場の上司を味方につけることです。
合わないと感じる上司が主任であれば係長と、係長であれば課長と信頼関係を築いて味方につけておくと良いでしょう。
合わない上司と何かしらトラブルが生じたり、関係改善が困難だと感じるようであれば、合わないと感じている上司よりも上の役職に就いている他の上司に相談することです。
なぜなら、無能な上司や人によって態度を変えるような上司などは自分よりも上の立場の人間に媚びへつらい、上手に立ち振る舞っていることが多いからです。
合わない上司にとって部下が自分よりも上の立場の上司を味方につけていることは不都合なことであり、態度を改めざるを得ない状態にもなります。
また上の立場の上司に相談することによって、上司の理不尽な言動や悪態について注意や他の部署へ配置換えをしてくれるなど状況を改善してくれることもあります。
他の上司、とりわけ立場が上の上司を味方につけることは合わない上司への対処に効果的です。
対処法➄何事も経験・学びと捉え自分の成長の糧にする
5つ目の対処法は、辛くて苦しい出来事も人生においての学びや経験と捉えて自分自身を成長させるための糧にすることです。
理不尽な上司や自己中心的な上司の言動に対して感情的になるのではなく、冷静かつ客観的な観察眼を持って上司の振る舞いを捉えるようにしてみましょう。
例えば「どんな言動が部下や他の社員から嫌われるのか」など、合わない上司の振る舞いからも学び得ることはあると、一歩引いたところから分析してみるということです。
上司を反面教師として利用価値を見出すことによって、上司に対する負の感情と折り合いをつけながら自分の成長につなげていくことができます。
対処法➅自分の仕事を完璧にこなして成果を出す
6つ目の対処法は、非の打ちどころがない程に自分の仕事を完璧にこなして結果を出すということです。
いかなるときも上司の指示や命令を積極的に聞き入れ、与えられた仕事を確実に仕上げるようにします。
また上司に適宜判断を仰ぎ、ミスやトラブルを防ぐことができるよう努めるなど、仕事のスキルを磨くことに集中してみましょう。
そもそも会社は仕事をするところであるため、上司の言動に振り回されて仕事に集中することができなければ会社での戦力にもなれません。
それどころか上司からの小言をさらに浴びせられることにもなります。
上司から与えられた仕事を完璧にこなせば、嫌味や文句を言うことはできなくなります。
また与えられた仕事に集中することによって、上司の不快な言動を気に留める暇もなくなり、より仕事に励むことができるようになります。
さらに、仕事のスキルを高めて成果を出していくことによって、周囲からの評価も高まり仕事への意欲ややりがいを得ることができるようにもなります。
合わない上司との関わりを減らす・断つ2つの方法
上司との関係性が上記の対処法では改善できなかった場合も想定し、上司との関りを減らすまたは断つ方法として「異動」と「退職・転職」を取りあげていきます。
本項では「異動」や「転職」についてと、それぞれのメリットとデメリットを紹介します。
関係を減らす・断つ方法➀異動する
合わない上司との関係を減らす・断つ方法の1つ目は、人事に「異動願い」を申し出て希望する部署に異動するということです。
上司との関係性を改善できない状態が続いてはいるけれど、会社は辞めたくないという人もいることでしょう。状況を変えるには「異動」を希望することも1つの手段です。
では、「異動」という手段におけるメリットとメリットについて見ていきます。
異動に関する3つのメリット
異動願いを選択する上でのメリットは、主に3つ挙げられます。
➁ネットワークの広がりに伴い、コミュニケーション能力も高まる
➂新たな知識・スキルを獲得でき、仕事の幅も広がる
1つずつ詳しくみていきましょう。
異動のメリット➀心機一転して仕事に取り組むことができる
1つ目のメリットは、心機一転して仕事に取り組めるということです。合わない上司の下で働き続けることは精神的かつ身体的にも悪影響を及ぼします。
また同じ職場で居続けることはマンネリ化し、モチベーションを維持することも難しくなります。
しかし、異動するこで、環境や人間関係が一度に全てリセットされることになります。そのため気持ちを新たに仕事に励むことができるようになります。
異動のメリット➁ネットワークの広がりに伴い、コミュニケーション能力も高まる
2つ目のメリットは、ネットワークの広がりに伴い、コミュニケーション能力を高めることができるということです。
異動することによって、こまれで関りを持つことのなかった人と一緒に仕事をする機会を得ることになるため視野やネットワークの広がりにつながります。
そして、色々な人との関りを通して対応能力、いわゆるコミュニケーション能力をより一層向上させることができるようになります。
異動のメリット➂新たな知識・スキルを獲得でき、仕事の幅も広がる
3つ目のメリットは、新たな知識・スキルを獲得でき、仕事の幅も広げられることです。
異動に伴い、従来の業務とは異なる経験や新たな領域での仕事にも挑戦する機会を得ることになります。
様々な知識やスキルの向上、また仕事の質を高めて活躍できる場を広げることにもなります。
また以前の職場での経験やスキルを活かすことのできる部署であれば、自分自身の評価にもつながります。
異動に関する4つのデメリット
異動願いを選択することにはメリットだけでなく、次のようなデメリットもあることに注意しましょう。
➁一から再スタートを切らなければならない
➂新たな環境に過度なストレスを感じることもある
➃合わない上司との関係性を完全に断つことは難しい
1つずつ解説します。
異動のデメリット➀希望通りの部署に必ず異動できるとは限らない
1つ目のデメリットは、希望通りの部署に必ず異動できるとは限らないということです。
異動にはこれまでの経歴や業績が評価対象となるため、能力や経験の不足が原因で希望する部署に移動できないこともあります。
また人事などからは勤務態度や姿勢に対して手厳しい言葉を吐かれることもあり得ます。
異動のデメリット➁一から再スタートを切らなければならない
2つ目のデメリットは、一から再スタートを切らなければならないということです。
異動先での仕事内容がこれまでと全く異なる場合、前の職場で積み上げてきた業績やスキルが活かされることはがない場合があります。
また、新たな職場では従来と同じポジションを与えられる保障もなく、ときには新人と同じ扱いを受けることもあり得ます。
異動のデメリット➂新たな環境に過度なストレスを感じることもある
3つ目のデメリットは、新たな環境に過度なストレスを感じることもあるということです。
同じ会社内とはいえ、部署が変わると、これまでと勝手が違うことの方が多くなります。
また一から仕事内容を覚えたり、人間関係を築くことなど憂うつに感じることもあります。そのため新たな環境に慣れるまではストレスを貯めることにもなります。
異動のメリット➃合わない上司との関係を完全に断つことは難しい
4つ目のデメリットは、同じ会社である以上、合わない上司との関係性を完全に断つことはできないということです。
異動によって、以前のように長時間に渡って合わない上司と関わることはなくなりますが、会社内や仕事の内容によってはやむを得ず一緒になることもあり得ます。
そのため異動の際には、今後の働き方に支障が出ないよう留意する必要があります。
異動する上での3つの注意点
合わない上司との関係性を悪化させずに希望する部署に異動するための注意点を、3つ紹介しておきます。
➁異動先の情報収集と根回しを怠らないこと
➂異動を考えていることをむやみやたらに公言しないこと
1つ目の注意点は、人事に相談または異動願いを申し出る際に合わない上司を理由にせず、前向きな姿勢や態度を示すようにしましょう。
異動願いを希望する際、上司との関係など職場における人間関係が理由であることが多いことは確かです。
とはいえ、人間関係を築き上げながら仕事をこなしていくことも社会人として求められるスキルと言えます。
合わない上司を理由にすることは、良好な人付き合いができないという面が悪目立ちして、人事からの評価を下げ兼ねません。
あくまでも、前向きに挑戦的な態度を示すようにしましょう。
2つ目の注意点は、希望する異動先の部署の情報収集と根回しを怠らないようにすることです。
希望する部署に異動できたとしても、前の部署と同じような合わない上司がいないとは限りません。
そのため異動先の職場の雰囲気や直属の上司の人柄などの情報取集を行い、「自分に合いそうか」「一緒に働きたいか」など事前に調べておくと良いでしょう。
また希望する部署の社員や上司と顔見知りになるなど、自分をアピールする機会を設けられるよう根回しも行っておくと心強いでしょう。
3つ目の注意点は、異動を希望している旨をむやみやたらに公言しないようにしましょう。
職場内で「異動したい」または「異動する」話をしてしまうと、周囲から冷ややかな態度をとられるなど関係性を悪化させてしまう場合もあります。
円満かつ円滑に異動を実行するためにも、異動は決まってから報告するようなことが賢明です。また誰かに相談したい場合は人事と信頼できる相手だけにしましょう。
関係を減らす・断つ方法➁転職
合わない上司との関係を減らす・断つ方法の2つ目は、退職して「転職」するということです。
合わない上司との関係が全く改善できず、精神的にも身体的にも限界に至ってしまう前に、自分自身を守るための手段として「転職」という選択肢もあります。
「転職」という手段におけるメリットとデメリットについて見ていきます。
転職に関する3つのメリット
仕事を辞めて転職を選択する上でのメリットは、主に3つ挙げられます。
➁生涯年収が高まる可能性がある
➂自分の商品価値を高めることができる
3つのメリットを1つずつ詳しく解説します。
転職のメリット➀一から新たな人間関係を築くことができる
1つ目のメリットは、一から新たな人間関係を築き上げることができるということです。
今の仕事を続けていく場合、合わない上司を筆頭に馴染みのある顔ぶれと共に毎日同じような仕事に取り組むことになります。
しかし、転職することによって新たな出会いを経験し、気の合う仲間を得ることになるでしょう。
転職先の新たな上司や仲間に刺激を受け、心機一転して仕事に励むことができます。
転職のメリット➁生涯年収が高まる可能性がある
2つ目のメリットは、転職先の待遇によっては生涯年収を高めることができるということです。
今の仕事よりも高収入の職場に転職することができれば、収入および年収を高めることができます。
また若いうちに転職し、長く務めることができれば企業年金も大幅に削減されることはありません。
転職のメリット➂自分の商品価値を高めることができる
3つ目のメリットは、自分の商品価値を高めることができるということです。
転職することによって、前職では経験したことのない仕事を任さられることもあり、新たな知識を習得できる可能性があります。
また同じような仕事であっても、やり方が変われば自身のスキルアップにつながる可能性もあります。
転職に関する3つのデメリット
転職を選択する上でのデメリットは、次の3つが挙げられます。
➁給与が下がる可能性がある
➂転職回数に伴い、信頼性を失うこともある
デメリットも1つずつ見ていきましょう。
転職のデメリット➀退職金や企業年金が減る可能性がある
1つ目のデメリットは、メリットの反対で勤続年数により退職金や年金などが減ることもあるということです。
最近の企業制度に変化は起こりつつも、基本的に勤続年数が長いほど退職金や企業年金は多くなります。
つまり、転職すると勤続年数はゼロからのスタートを切ることになるため、生涯同じ企業で勤め上げた人に比べて退職金や年金は少なくなります。
とりわけ、退職金や企業年金に着目した場合、勤続年数を重ねてからの転職は不利とも言えます。
転職のデメリット➁給与が下がる可能性がある
2つ目のデメリットは、今の仕事よりも給与が下がる可能性があるということです。
転職するにあたって給与が上がる人も少なくありません。
しかし、転職先によっては全てが一からのスタートになる可能性もあり、これまでに築き上げてきた業績やスキルが通用せず、前職よりも給与が大幅に下がることもあります。
言うまでもありませんが、転職先の待遇面に関するリサーチも怠らないようにしましょう。
転職のデメリット➂転職回数に伴い、信頼性を失うこともある
3つ目のデメリットは、転職回数が多くなると信頼性などの評価に影響する場合があるということです。
転職をすることは自身のスキルやキャリアアップにつながる可能性があります。
しかし、短いスパンで転職を繰り返すなど転職回数が多くなると、「またすぐに辞めてしまうのではないか」など信頼を得られず書類審査で落とされることもあります。
転職する上での注意点
合わない上司との関係性を悪化させず、円滑に退職・転職するための注意点を2つ紹介しておきます。
➁希望する転職先の情報収集をしっかりと行う
1つ目の注意点は、転職する際もスキルやキャリアアップなど前向きな理由を用意することです。
転職理由に上司との関係性やトラブルなどネガティブな内容が書かれている場合、採用される可能性が低くなります。
「この会社でも人間関係で揉めるのではないか」「気に入らない上司だとまたすぐ辞めるのではないか」など書いた本人にも良い印象を持たれません。
そのため、転職理由は仕事に対するポジティブな姿勢を示した内容に書くようにしましょう。
2つ目の注意点は、希望する転職先の情報収集を徹底的に行うということです。
せっかく転職できたとしても新たな職場で同じような合わない上司がいないとも限りません。
自分に合った転職先を探す際には、様々な情報収集が必要です。とはいえ、一人で仕事をしながら詳細な情報を集めることには限界があります。
自分が希望する職場を探す際に、有効活用すると良いのが「転職エージェント」です。
公的な機関も決して悪くはありませんが、転職エージェントなら希望する転職先の詳細な情報を得られるだけでなく、充実したサポートを受けることもできます。
おすすめの転職エージェント3選
転職エージェントを利用して、自分に合った転職先を探しましょう。
以下では、どのような転職エージェントが良いか、転職エージェントの中でも上位3つを紹介します。
おすすめの転職エージェント➀リクルートエージェント
最初に紹介するエージェントは、定番の総合転職エージェントと知られる「リクルートエージェント」です。
職種も多種多様で転職エージェントの中でも最大の求人数を誇ります。また面接力を養うためのサポートも充実しており、内定率の高さが人気の理由です。
ただし、担当者であるキャリアアドバイザーの質に差があるため、自分にあったアドバイザーかを見極めることが必要になります。
おすすめの転職エージェント➁dodaト
次に紹介するエージェントは、リクルートエージェントと同様、大手の転職エージェント「doda」です。
求人数も多く、大手の企業だけでなく中小企業も含まれているため選択肢も幅広く用意されています。
また職務経歴書や面接への対策に向けた手厚いサポートも受けられ、転職者の満足度も高いとされています。
しかし、質の低い求人情報が紛れていることもある点には注意を払わなければなりません。
おすすめの転職エージェント➂マイナビエージェント
最後に紹介するエージェントは、「マイナビエージェント」です。
マイナビエージェントは20代向けの求人が多く、キャリア経験が少ない若年層の転職希望者から一定の評価を得ています。
主に中小企業の求人情報を取り扱っているため、先に紹介した2つのエージェントに比べると規模は小さいと言えます。
しかし、熱意のある担当者が多く職務経歴書や履歴書に対して丁寧かつ的確なアドバイスが得られるなど手厚いサポートを受けることができます。
退職・転職を留まった方が良いケース
合わない上司との関りを断つ方法として、退職および転職という手段を紹介しました。しかし、次のような場合は転職は留まった方が良いと言えます。
・今の仕事が好きでやりがいを感じている場合
・今の会社の待遇が他の会社に比べて良い場合
それぞれ理由を解説します。
上司と合わない原因が、自分自身にも非がある場合
まず上司との関係性が悪い原因として、上司だけが問題なのではなく自分自身にも非がある場合は転職を思い留まった方が良いでしょう。
日頃の自分自身の態度を振り返り改めることで、上司との関係性が良好になる可能性があります。
上司との関係性が良くなれば、仕事への意欲も取り戻すことができます。
また自分自身の振る舞いを改めない限り、転職先でも同じような人間関係の問題に悩むことになり兼ねません。
今の仕事が好きでやりがいを感じている場合
次に、今の仕事が好きでやりがいを感じている場合は転職を思い留まった方が良いでしょう。
なぜなら、転職先で必ずしも自分のしたい仕事を任せてもらえるとは限らないからです。
上司との関係に悩んではいても、仕事自体に不満はなく、むしろ好きという気持ちが強い場合は、合わない上司との関係改善に努めた方が無難と言えます。
ただし、上司との関係改善が難しい場合のことも視野に入れ、常に自分の好きな仕事ができる転職先を探しておくと逃げ道も作れて気持ちに余裕を持つことができます。
今の会社の待遇が他の会社に比べて良い場合
最後に、今の会社の待遇が他の会社に比べて良い場合です。
というのも、転職先の待遇が今の会社と同等、もしくは今以上の待遇が得られるとは限らないからです。
そのため、合わない上司一人のために待遇の良い会社を辞めるのは勿体ないとも言えます。
今の会社と引けをとらない満足のいく待遇をしてくれる転職先を探し出せるまでは、上司との関係改善に努めることをお勧めします。
上司と合わないと感じたら、環境を変えるために自分にできることから始めよう!
本記事では、合わない上司の多様な特徴や対処法を紹介してきました。また、異動や転職に関するメリットやデメリットについても取り上げてきました。
どのような人にも合わないと感じる上司はいます。
今の直属の上司と合わないと感じているならば、関係改善にあたって、あなたに合った対処法を見つけて実践してみて下さい。
ただし、心身共に限界が生じるまで頑張る必要はありません。異動や転職活動をするという選択肢も用意されています。
何よりも大切なことは、あなたが心身共に健康な状態で仕事をすることです。本記事での内容を参考に、あなたができることから始めていきましょう。