自分はコミュ障のせいで人と話すのが苦手、うまく話せない…と悩んでいる人の中には、もしかしたらHSP(ハイリーセンシティブパーソン)と呼ばれる先天的な気質が影響していることが考えられます。
HSPとは、話し声、人間関係の雰囲気、他人の感情や表情などのあらゆる刺激に対して敏感に反応する気質を指す言葉です。
上の書籍によれば、およそ5人1人がHSPであるという記述もあるものの、コミュ障と比較するとまだまだ認知度・知名度共に低いのが現状です。
今回はそんなHSPとコミュ障の関連性についてお話いたします。
(なお、コミュ障という言葉自体、もともとがネットスラングや若者言葉の類であり、確固たる定義はなく、言葉が持つ意味合いや症状には漠然とした共通点はあるものの、個別に見ていくと人それぞれなのが現状です。
この記事では、コミュ障の中でも特に会話における特徴に絞ってHSPとの共通点・類似点についてまとめました。)
HSPとコミュ障の共通点・類似点
集団生活が苦手で疲れやすい
HSP・コミュ障ともに、集団生活を送るのが苦手であり、人一倍疲れやすいという特徴があります。
学校、会社などの集団で過ごす場面において、他人に気を遣いすぎる、気にしすぎる、他人の声や態度に対してビクビクと過剰に反応してしまうことで、人疲れを起こすことが見られます。
とくに、学生なら文化祭や体育祭、社会人なら飲み会や祝いの席、主婦ならママ友会議、親戚があつまる場面と言った多くの人がワイワイと楽しむ場面において、人と爽やかに交流することができずに、会話にたいする苦手意識を募らせてしまいがちです。
人の輪にうまく入れず孤立してしまう
自分から積極的に話しかけるのが苦手。既に出来上がっている人間関係に入ろうとするも、どのような言葉や態度で話しかけてうまく溶け込むのかがわからず、結局言葉をかけれないまま孤立してしまうことがあります。
HSP・コミュ障ともに内向的で初対面の人や詳しく知らない人と世間話のような話をすることが苦手なのが目立ちます。
また、集団生活に対する苦手意識から、あえて集団と関わろうとせず一人ぼっちで生活したほうが楽だと考えて、あえて孤独を選ぶこともあります。
ただし、孤独を選んでいるからといって人間関係の煩わしさから完全に開放されているとは限らず、孤独な自分を周囲がどう見ているかが気になったり、周囲から浮いていると感じてコンプレックスを覚えて辛くなることもあります。
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人との適度な距離感をとるのが苦手
物理的な距離感(=パーソナルスペース)だけでなく、精神的な距離感の程よさを測るのが苦手で
- 極端に相手に近づきすぎる。(精神的な依存[共依存も含む]、自分のことをなんでも話したがる、相手が秘密を持つことを許さない…など)
- 極端に相手に離れすぎる。(相手に対する無関心・無干渉、壁を作りたがる、距離を置きたがる、…など)
と言った、両極端な行動に出てしまった結果、お互いに人間関係が辛く感じてしまうことがあります。
HSPは人嫌いな側面もあると同時に、敏感で繊細であるがゆえに、相手の苦しみや悩みに深い共感を覚えてしまい、他人に自分をそっくり重ねて物事を考えてしまうことがあります。
深く共感して距離を近づけられると言えば聞こえはいいですが、見方を変えれば相手が秘密にしておきたいことや話したくないことまで勝手に詮索したり、都合よく妄想をしてズケズケと干渉する無神経さを持っているとも言えます。
また、コミュ障の人も、人との距離感をとるのが苦手なために、
- サバサバ系キャラを自負して言いたい放題言ってしまう。(近づきすぎるパターン)
- 人見知りや口下手から、やたらよそよそしい態度を取る。(離れすぎるパターン)
の両極端な行動が目立ち、ほどよい距離感が取りづらい点がHSPと共通しています。
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会話をするときに挙動不信で突飛な行動をしてしまう
コミュ障に多いのがキョドってしまう…つまり、挙動不信で突飛な行動に出てしまうことが挙げられます。
例えば、人と話す場面で緊張のあまりに、
- 妙に不自然な表情や態度で話してしまう。
- 不意に奇声や声にならない声を上げてしまう。
- 手振りや身振りに落ち着きが見られない。
- 視線が相手に目に定まらず、下を向いたり、あちこちに向いてしまう。
- 今までの話題を大きく逸脱した話題に変えてしまう。
などの、一般的な想像を超えた突飛な行動に出てしまった結果、話の腰を折ってしまい会話ができなくなることが目立ちます。
一方でHSPの人も、話し相手の表情や声のトーンに強く反応してしまい、ついビクビクして萎縮してしまったり、緊張や焦りから冷静さを欠いた行動に出てしまうことが目立ちます。
また、相手の顔(表情)を見ると影響を受けてひどく混乱してしまうのを恐れて、相手の顔を意図的に見ないようにして話すこともHSPに見られることがあります。
会話中の些細なミスで激しく動揺してしまう
HSP・コミュ障ともに、会話中の些細なミス(言い間違い、聞き間違い、[電話を含む]返事のタイミングがうまく取れなかった…など)のせいで、ひどく動揺してしまうことがあります。
両者ともに感受性の強さのせいで、些細なミスを針小棒大に捉えて必要以上に落ち込んでしまう。完璧主義や普段から不安を恐れていることが引き金となって、些細なミスに過剰反応してしまうことが原因として考えられます。
また、激しく動揺したことが更なる会話のしづらさを招いてしまい、余計に会話に対する苦手意識が募ることがあります。
人間関係が苦手なことで生きづらさを感じている
人間関係にたいする苦手意識のせいで、学校に行きたくない、働くのが嫌だ、できれば一人でひっそりと暮らしていきたい…と、生きづらさを感じることがHSP・コミュ障ともに共通しています。
また、人付き合い以外にも、自分の苦しみや悩みを打ち明けても「気のせいじゃないの?」「考えすぎではないの?」と理解されないことや、「気の持ちようでどうにでもなるよ」「もっとポジティブに考えようよI」と、一見すると励まされているように見えて、実は自分の悩みを受け入れてもらえず疎外感を味わっていることが生きづらさへとつながることもあります。
せっかく悩みを打ち明けても、周囲からの理解を得られず孤独や自分が世間や社会から見て劣っていると感じてしまい、人に言っても解決しない悩みを自分の心の中で抱え込んで生きていく辛さは、HSP・コミュ障ともに見られるものです。
HSPを詳しく知ればコミュ障な自分を分析できる可能性もある
自分のことをコミュ障だと自覚していたり、コミュ障な自分をなんとかしたいという希望を持っている人は、HSPについて詳しく調べてみることで、どうして自分が会話が苦手なのか、人とうまく交流することが苦手なのか…という、長年の謎や悩みについてヒントを得られるかもしれません。
もちろん、HSPのことを深く知ったからと言って、ダメダメな自分が見違えるように変わる…ということはまずありえません。
しかし、少なくとも自分が抱いていたモヤモヤとした感情の正体を知ることで、今まで抱いていた不安に対して冷静に対処できるようになったり、自分の気質にあった生き方や働き方を探すヒントとなりえます。
また、モヤモヤしていた感情がなくなることで、精神的にも以前より少し楽になれて、今までの生活で抱いていたストレスを、そこまで深刻なものとして受け止めず、適切に対処出来ることも期待できます。
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