一般的に孤独と言えば、否定的な印象で語られたり、「私はぼっちでして…」と自虐を込めて語られることが多く、あまり良い印象を持つ人は多くないでしょう。
しかし、あらゆる刺激に敏感で繊細な技術を持つHSPの人にとっては、孤独な状態になる事の方が安心感を得られたり、繊細さからくる普段の疲れを癒すためには必要な必要不可欠なものとなることがあります。
今回はそんなHSPと孤独に関してお話しいたします。
HSPにとって孤独が心地よい理由・背景
人間関係の煩わしさに惑わされない
HSPの人にとって、多くの人に囲まれている状態は、「他人」と言う刺激の発生源に囲まれている状況でもあり、過度に緊張してしまったり煩わしさを感じて疲れてしまうことがあります。
一般的には孤独になれば強い不安を招くネガティブなもの、一方で集団になることは孤独が和らげられ不安を得ると言うイメージを持ちますが、HSPにもそれが当てはまるとは限りません。
HSPの人は繊細さゆえに、非HSPの人であれば特に気づかないような人間関係の煩わしさにも敏感に反応し疲れてしまう。非HSPの人から見れば「そんなことで煩わしさを覚えるものなの?」と思ってしまうことでも、強く反応して疲れてしまうので、煩わしさから開放される孤独の方を好むのです。
他人の匂い、話し声になどを気にしなくてもいい
具体的にどういった刺激を他人から感じるかと言うと、わかりやすい所で言えば匂い(嗅覚)、話し声(聴覚)に対して敏感に反応してしまい、煩わしさを感じます。
例えば、HSPの人は飲み会のように多くの人が集まって様々な声が聞こえてくる場所に対して強い苦手意識を持つことがあります。(場面が場面なので料理、食品、タバコやアルコールの臭いも刺激として強く受け取ってしまいがちです。)
ほかの人が話している声のテンポや声の大きさに対して敏感に反応してしまって緊張してしまうだけでなく、自分とは無関係な人の騒ぎ声や酔っ払って調子に乗る声に対してビクビク反応してしまい、気持ちが落ち着かなくなることが多くあります。
しかし、孤独な状態であれば、元より他人の話声も、口臭や香水などの匂いも無縁であるので、煩わしさから解放されます。
自分の気分を害する刺激から解放される孤独な状況は、HSPの人にとっては自分を必要以上に苦しめないための防衛策と言っても良いでしょう。
他人の感情や集団の雰囲気の影響を受けなくても済む
HSPの人は五感で感じる刺激の他にも、他人の感情やその場の雰囲気や空気感など、言葉にはしづらい刺激に対しても強い影響受けてしまいます。
まるで他人の気持ちが自分に乗り移ったかのように感じてしまったり、自分の気持ちなのか他人の気持ちなのか自分でもよくわからないことで混乱してしまい、ストレスを抱えてしまいます。
しかし、孤独な状況であれば、そういった刺激に対して無縁であり心穏やかに過ごすことができます。周囲と過度に同調して自分らしさを失ってしまう状況と比較すれば、孤独な状況の方が自分を保てる安心感があると言ってもいいでしょう。
余計な体力を消耗しなくても済む
HSPの人からすれば、孤独の状態よりも集団でいる方が強いストレスを感じるだけでなく、より体力を消耗します。孤独の不安に苦しむことよりも、多くの人に囲まれてあらゆる刺激を受け続ける環境の方が、HSPにとってはしんどく感じるのです。
HSPの人の視点に立てば、余計な体力を消耗しないためにも孤独を選ぶ事は、理にかなっているといえます。
HSPにとっては孤独な時間こそ心のオアシス
HSPの人は、人間関係において強いストレスを感じやすく、適宜休息をとることが欠かせません。
たくさんの刺激を受けすぎるキャパシティオーバーし、急にぼーっとしてしてしまったり、まるで電池が切れてしまったかのように、何も考えられなくなってしまうことが起こります。
そうならないためにも、HSPの人は刺激から解放される孤独な状況で自分の体と心を休めることが欠かせません。
なお、他人から見れば、人間関係を遮断して自分の空に閉じこもっているように見えて、つい空をこじ開けて引っ張り出したくなるかもしれませんが、HSPからすればありがた迷惑だと感じます。
せっかく1人になって体力を回復しようとしてるのに、無理やり周囲に人がいる状況に連れ戻して、余計に疲れてしまう。
もちろん、相手が好意や善意からやっているのはわかっているけど、善意であるがゆえに断るに断れない気持ちになって辛くになったり「断ったら相手を不快にさせてしまうのでは?」という不安で苦しんでしまいます。
HSPからすれ孤独な時間はまさに心のオアシスと言っても過言ではないでしょう。
HSPの人と関わる場合は、無理に孤独な時間を作らせないようにお節介を焼くのではなく、(相手から要求がない限りは)そっと見守る姿勢を持つことが大事です。
HSPの人と付き合うときは孤独でいることを尊重することを忘れずに
冒頭でも触れましたが世間一般的には「孤独はよくない」ものであり、あらゆる形で人との交流を持つことこそが理想とされています。
しかし、そうした常識はHSPの人にとっては非常に重荷に感じたり、孤独の方が落ち着けると感じる自分を責めてしまうことにもつながります。
社交的で人と交流することに楽しさや喜びを感じている人からすれば、HSPのような内向的な人の生き方を見ていると「そんな生き方良くないから私のように社交的に生きるべきだよ」と言いたくなる衝動に駆られることも、もしかしたらあるかもしれません。
また、「親しくする事は良いこと」と言う一般常識を盾にして無神経に近づこうとしたり、何かと話しかけて心理的にも物理的にも距離を近づけようとして、孤独な情報状況から解放させてあげることこそ、相手のためになると思って善意から行動することもあるかもしれません。
しかし、HSPの人からすれば、孤独な状況はHSPなりに社会生活を送っていくために必要な時間です。食事や睡眠の時間同様にに、健康で文化的な生活を送る上でも、孤独な時間を確保することがHSPには必要となるのです。
また、本人も孤独の方が落ち着けると感じているから孤独を選んでいることがあるので、その意思や意見を尊重する姿勢を持つことが、HSPの人と関わる際には大事です。
他人の考え方を否定し、自分の価値観を押し付けることは、自分が相手を尊重しているとは言えませんし、同時に相手も自分のことを尊重してくれる事は望めません。(相手からすれば、「どうして自分の価値観を否定する人を尊重しなきゃいけないのさ…」という気持ちになるので。)
HSPのように、ぱっと見はわかりにくく、とっつきにくい要素がある人こそ、まずは相手の考えや主張を聞く姿勢を大事にして尊重することが大事なのです。
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