「職場の人間関係に悩んでいる」「働いているとストレスがたまる」などは、多くの人が抱えている悩みだと思います。
悩みながらも、なんとか毎日勤めに出ている人がほとんど。しかし、HSPは、仕事が続けられないほどの辛さを感じ、会社を辞めてしまうこともあります。
「人の感情がわかり過ぎる」「人一倍敏感で、刺激に反応しやすい」というのがHSPの特徴です。
特に男性の場合は繊細な自分を「男らしくない」と責めてしまい、ますます生きづらくなることもあるでしょう。
当記事ではHSPの男性が辛い状況を抜け出すため、HSPの特徴について掘り下げ、仕事をやりやすくする工夫を考察しました。
HSPの人に向いている仕事についても紹介しますので、「もしかしたら自分はHSPかも」と感じている男性は、ぜひチェックしてみてください。
目次
そもそもHSPとは?
HSPとは(Highly Sensitive Person=「繊細な人」)の略です。
アメリカの心理学者によって提唱された概念で、およそ5人に1人はHSPであるとされています。人口の20%ほどなので、全体から見ると少数派です。
HSPという名称を見ると特殊に感じられますが、昔から「神経質な人」「内向的な人」と言われてきた人が持つ気質・特性のことで、病気というわけではありません。
社交的で活発な人が好まれる社会の中で、繊細で傷つきやすいHSPの人は不当な評価を受けることもありがちです。
特に会社などでは辛い思いをしている人もいるでしょう。
ネガティブな面ばかりが強調されるHSPですが、実は人への共感力や深い思考力など、他にはない優れた能力があります。
HSPの特徴
HSPの特徴は、以下のようなものがあります。
- 人一倍繊細で、人の気持ちに敏感
- 外部の刺激に反応しやすいので、疲れやすい
- 想像力豊かで、なんでも深く考える
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
人一倍繊細で、人の気持ちに敏感
HSPは人の表情や些細な態度の変化に敏感で、傷つきやすいのが特徴です。人に共感する能力が強く、感情移入しやすいでしょう。
ですが、共感する能力は見方によっては相手の立場に立って物事を考えられる能力であり、長所とも言えるものです。
しかし日常生活の中ではマイナスとして作用することも多く、ストレスの原因になります。
例えば職場でミスした人がひどく叱責されているとき、HSPは叱られた同僚に強く共感してしまい、自分が叱られているような恐怖を感じます。
似たような状況が日常化していれば、大きなストレスになるでしょう。
外部の刺激に反応しやすいので、疲れやすい
HSPはとても敏感で、外部の刺激に反応しやすく疲れやすいという特性もあります。環境の変化に順応しづらく、引っ越しや転職には大きなストレスを感じます。
五感が敏感なので、匂いや音にも反応しやすくなります。
空調や空気清浄機の音、芳香剤の香りなど他の人が平気なことでもHSPは不快に感じ、誰にもわかってもらえなくて辛い思いをすることもあるでしょう。
人混みなどは特に苦手で、人の発するエネルギーに敏感に反応して疲れてしまいます。
想像力豊かで、なんでも深く考える
HSPは想像力が豊かで、物事を深く多方面から捉えて考えます。ひとつの情報から多くの思考を巡らせ、処理する能力が高いのが特徴です。
さまざまな観点から物事を考えるので偏見がなく、強い倫理観を持っています。
深く考えながら結論を出すので「判断が遅い」「決断力がない」と思われることもありますが、深い思考の末に質の高いアイデアを生み出す能力があります。
自分を責めやすく、自己肯定感が低い
HSPは自分を責めて、罪悪感を抱きやすい傾向があります。物事がうまくいかないことを自分の責任と思い込み、些細なことでも深刻に受け止めてしまうのです。
責任を背負い込んで自分を責めるので自己肯定感が低く、いつも自信がありません。
また、自信がないため「自分はちゃんとできているのか」「嫌われていないか」という不安があり、不安を隠すために頑張り過ぎる傾向があります。
HSPの男性が仕事をするときに注意したいこと
HSPは全体の2割です。自分とは異なる圧倒的多数の人たちに囲まれて働くのは辛いことも多いでしょう。
積極的で社交的なことが評価される価値観の中で、HSPの生きづらさは相当なものになります。
そんな中でも、工夫することで仕事をやりやすくすることはできます。次の2点を心がけてみてください。
- 繊細な自分を受け入れる
- リラックスできる環境を作る
繊細な自分を受け入れる
同じHSPでも、男性の場合はより深刻になります。
社会では「男らしくしなければならない」という風潮があり、HSPの特徴である繊細で内向的な性質はマイナスに捉えられがちです。
偏った価値観に飲まれて、「強くならなければならない」「積極的にならなければならない」と自分に言い聞かせているかもしれません。
さらに自分を追い込む結果にもなっているでしょう。
今の自分を否定する気持ちは捨て、「繊細な自分」を受け入れてあげましょう。HSPはひとつの特性で、決して病気ではありません。
他にはない才能を持っていて、強みとして活かすことで大いに活躍できるのです。
HSPであることを受け入れ、自分を許してあげてください。
リラックスできる環境を作る
HSPは自分を責め、不安を打ち消すために頑張り過ぎる傾向があります。まずは一息つくことを意識しましょう。
また、相手の表情や話し方などで感情を敏感にキャッチしてしまうため、人間関係でもかなりのストレスを感じているはずです。
休憩所、屋上、トイレの個室など、一人になれる場所を見つけ、休む時間を作ることをおすすめします。緊張を少しでも和らげる工夫をしていきましょう。
HSPの男性が自分に合う仕事を見つける方法3つ
HSPの男性が少しでも自分に合った仕事を探すときには、次の3点をポイントにしてみましょう。
- やりたいことを仕事にする
- 自分の強みが活かせる仕事を探す
- 労働条件や職場環境を重視する
やりたいことを仕事にする
HSPは自分の内面に敏感なので、好きではない仕事をすることで違和感を感じてしまいます。
お金のためと割り切ることができず、続けていくことが苦しくなります。
自分が何が好きなのか、向いている仕事はなにかをよく考えるようにしましょう。
少しでも興味が持てて、やりがいのある仕事を選んでください。
自分の強みが活かせる仕事を探す
自分の強みが活かせる仕事を探しましょう。
苦手な作業、得意でない仕事はミスも多くなり、ますます自信がなくなってしまいます。
苦手を克服しようとすることがさらに自分にプレッシャーを与え、生きづらくなってしまうでしょう。
HSPには、他の人にはない才能があります。
ネガティブな側面ばかりが目立つHSPですが、もともと持っている才能を「強み」にすることで、大きなパワーを発揮することができます。
自分の強みを活かせる仕事なら、努力がストレートに自信に結びつき、高い成果を上げることができるでしょう。
労働条件や職場環境を重視する
HSPは環境に敏感なので、ストレスを感じない労働条件や職場環境であることが大切です。
「規則正しい就業体制で残業が少ない」「通勤時間も短い」など、ストレスになる要因をなるべく排除しましょう。
人間関係は働いてみないとわからないものですが、いつも求人を募集しているなど出入りが激しい職場は、なにか問題があるのかもしれません。
職場見学や面接を通して、一緒に働く人や上司について相性を見極めるのがいいでしょう。
HSPの男性が働きがいのある仕事
HSPの男性の強みを活かすには、職種を選ぶ必要があります。ストレスが少なく、働きがいがあると感じられる仕事を紹介しましょう。
塾講師・インストラクター
共感力が高く、人が求めるものを敏感に察することができるHSPは、指導する仕事に向いています。
ただし、大勢を相手にする教師よりも、指導する人数が限られている塾講師、インストラクターが良いでしょう。じっくり向き合い、丁寧に教えることができます。
特にスポーツジムなど、一人もしくは少人数を相手にするインストラクターなら、人と向き合う刺激が少ないので働きやすいでしょう。
塾講師は比較的大勢を相手にしますが、実際に授業をする時間よりも準備や事務的な仕事の割合が多く、ストレスは少なめです。
塾講師もインストラクターも、生徒が進歩していく過程を見ることでやりがいを感じられるはずです。
エンジニア
システムエンジニアやプログラマーなどの仕事もおすすめです。
ほとんどパソコンに向かう作業で人と接する機会がないので、ストレスが少なくて済みます。仕事内容も、情報処理能力が高いHSPには向いているでしょう。
経験やスキルがあれば、職場から離れたときでも在宅で仕事することができます。
これからプログラミングを習いたいという人には、オンラインで学べるサービスもあります。
CodeCamp(コードキャンプ)はオンライン完結型の学習サービス。今の仕事を続けながらプログラミングの技術を習得することができます。
事務員
環境の変化に弱いHSPは、なるべく変化が少ない規則正しい仕事が向いています。
データ入力など、毎日やることが決まっている事務の仕事がおすすめです。
締め切りや繁忙期とは関係なく、作業量はいつも一定である仕事がいいでしょう。残業も少ないのが理想的です。
HSPはコツコツと丁寧に作業をこなす能力があるので、事務作業で活かすことができるはずです。
カウンセラー
カウンセラーはHSPの特性をよく活かせる仕事です。
HSPは共感性が高く人の痛みがわかるので、クライアントの立場に立って相談に乗ることができます。
聞き上手で深い理解を示してくれるので、とても感謝されるはずです。
直接人の役に立つことが実感できる仕事なので、大きなやりがいや幸福感を得ることができるでしょう。
コールセンター
受信専門のコールセンターもおすすめです。コールセンターは人と会話するとはいえ対面ではないので、接客のようなストレスは感じません。
クレーム処理などは刺激が強くストレスになりますが、通販の受付など受信内容が限られているものなら、負担になりません。
問い合わせなどの対応で感謝されることで、仕事のやりがいも感じられるでしょう。
コールセンターは一般的に社員同士の交流が少なめなので、人間関係の煩わしさも避けることができます。
在宅ワーク
どうしても職場の労働環境や人間関係が辛いという人は、在宅ワークという選択もあります。
webサイトを運営して広告収入を得る、クラウドソーシングサービスに登録してライティングやプログラミングなどの仕事を請け負うなど、パソコン1台あればすぐに始めることができます。
クラウドソーシングサービスはいくつかありますが、おすすめは「Bizseek」です。
手数料が業界最安クラスなので、初めての登録で大手のクラウドソーシングサービスは敷居が高いという人にピッタリ。
まずは登録して、どのような仕事があるのか探してみましょう。登録は無料です。
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HSPの男性に向いていない仕事
HSPの男性には向かない仕事もあります。
HSPの強みを活かせず、大きなストレスを抱える可能性があるでしょう。代表的な仕事を紹介します。
営業の仕事
競争が激しくノルマのある営業は、繊細なHSPに向いていません。
HSPは人と競争して勝つことを好まないので、いい成績を上げづらいでしょう。
成績が上がらないことで自分を責めてしまうので、自己肯定感の低下にもつながります。
また、人の感情に敏感なことから、飛び込み営業などで邪険な対応をされることには耐えられないはずです。
接客する仕事
特定の人に対応する仕事はHSPの特性を活かせますが、公共機関の窓口など不特定多数の人と接客する仕事は逆に神経をすり減らすことになります。
無理な要求に応えようとして疲れたり、横柄な態度・失礼な言葉使いに傷つくことも多いでしょう。
時間が不規則な仕事
環境の変化に敏感なHSPは、時間が不規則な仕事は向いていません。シフト制で時間が不規則、残業が多い、夜勤があるなどの職場は避けましょう。
マルチタスク
単純作業だけ行う事務の仕事は向いていますが、一人でさまざまな作業をこなすマルチタスクはNGです。
一つのことを深く考えてしまうHSPは、一度に多くのことをこなすことができません。
電話の受付や接客対応、伝票整理などいくつも違う作業を同時にこなすことは刺激が強過ぎて、許容範囲を超えてしまうでしょう。
自分に向いている仕事が見つけられないときの対処法
「転職を繰り返しているがどうしても職場に馴染めない」「いい仕事が見つからない」という人は、転職のプロに相談するか、自己分析ツールで職業適性を診断してみる方法もあります。
転職エージェントに相談してみる
HSPは5人に1人の割合でいるので、転職エージェントでは同じような人の相談も多く扱っているはずです。
転職サイトに登録して、担当者にHSPに適した仕事について相談してみるのがおすすめ。いいアドバイスがもらえます。
HSPの人でも働きやすい職場を探し、優先して紹介してくれるでしょう。
自己分析ツールを利用してみる
自己分析ツールを利用して、職業の適正を判断してみるのもひとつの方法です。
自分の強みを知ることで、今まで考えたことのなかった職業に適性があることがわかるかもしれません。
診断ツールをいくつか紹介しましょう。
グッドポイント診断
転職サイトの「リクナビNEXT」に登録すると利用できるツールです。登録は無料なので、ぜひ登録して診断してみましょう。
30分程度の診断テストを受けると、18種類の才能(強み)の中から特に自分が強みとする5つの才能が診断されます。
自分の強みを知ることで、的を絞った仕事探しができるでしょう。
「ミイダス」の職務適正診断
他の転職サイトとは違った形態の転職サービス「ミイダス」では、無料登録すると自分の市場価値や職業適正を知ることができます。
他の転職サイトとは異なり、登録するだけで書類選考通過済み(面接確約)のオファーがもらえるサービスで、オファーのあった会社を選んで面接を受けるという仕組みです。
無料の適性診断で、自分の強みや適した仕事を分析してみましょう。
「ストレングスファインダー」で自分の強みを知る
本格的に自分の強みを知りたいという人は、「ストレングスファインダー」という有料の診断ツールがおすすめです。34の資質の中から、上位5つの強みを知ることができます。
強みの分析によって人間関係の構築や仕事の充実に活かすことができ、追加料金を払うことで34の資質すべてを知ることができます。
下位にある自分の弱みを知ることで、深い自己分析が期待できるでしょう。
ストレングスファインダーの受け方は次の3種類あります。
- 書籍を購入して付属のアクセスコードを使用する
- 公式サイトからアクセスコードを購入する
- アプリをダウンロードする
希望する方法を選んで診断してみましょう。
オンラインカウンセリングを利用する
「仕事を辞めずに今の辛さを解消したい」という人は、カウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか?
オンラインカウンセリングのcotree(コトリー)は、電話、ビデオなど自分に合った方法を選んで、いつでも好きな場所でカウンセリングを受けることができます。
最初に「マッチング診断」を行い、自分に合ったカウンセラーが選ばれます。
担当のカウンセラーが親身にあなたの悩みや不安を聞き、的確なアドバイスをしてくれるでしょう。
利用した90%の人が満足しているという統計があるので、どうしても辛い人は一度試してみてください。
今の仕事をやめたい場合は退職代行の利用も
どうしても今の仕事が合わずにやめたいという場合は、退職代行サービスを利用する方法があります。
「退職したいけどなかなか言い出せない」「引きとめられて退職できない」といった悩みは、特にHSPの人ではありがちなこと。
HSPの特性を活かした仕事を見つけよう!
HPSの男性が抱える、仕事の悩みについて紹介しました。HSPの人は、繊細で敏感な性質を鬱陶しく思うこともあるでしょう。
しかしHSPは決して病気や弱点ではなく、ひとつの才能です。長所だということに気づき、自信を持ってください。
あとはHSPの強みを活かした仕事をするだけです。辛さを少しでも減らして、前向きに生きていきましょう。
どうしても今の仕事を辞めたいと悩んでいる人は、退職代行に相談してみてください。より自分に合った仕事を探すためにも、早めに行動することが大切です。