繊細であらゆる刺激に対して敏感な気質であるHSPの人は、他人の感情や表情、気迫などの言葉では説明しにくい刺激までも過剰に反応してしまうことがあります。
もちろん、人間の感情の他にも、
- 音:話し声、笑い声、拍手などのボディーランゲージなど
- 匂い:口臭、体臭、香水など
- 皮膚感覚:握手、ボディタッチ、ハグなど
の、聴覚、嗅覚、触覚といった五感で感じる刺激に対しても敏感に反応してしまって、動揺や緊張を覚えることで、人間関係に疲れてしまう傾向があります。
今回は、HSPの人が苦手と感じる人の特徴について、お話いたします。
HSPにとって苦手な人の特徴
感情的な人、感情表現が激しい人
冒頭的でも触れたように、HSPの人は喜怒哀楽などの感情をよく表現する人や、感情の起伏が激しい人に苦手意識を覚えがちです。
これは、HSPは自分と他人との心理的な境界線が薄く、他人の感情的な言動に影響され、ひどく動揺してしまいます。
具体的な例で言えば…
- 他人が怒られていたり様子を見てしまうと、まるで怒りの感情が自分に向けられているように感じて萎縮してしまう。
- TVのドッキリ企画などで他人が恥を欠かされている場面を見ると、まるで自分も恥ずかしい目にあっているように感じてしんどくなる。
- 周囲にテンションが高く興奮気味な人がいると、釣られて自分も興奮状態になり、冷静でいられなくなる。
など、自分とは無関係の他人の感情に影響を受けやすく、心身ともに疲弊しやすい。
そして、意識的に自他と境界線を意識しないと、他人の感情に左右され自分の感情がコントロールできなくなる不安を味わうことがあります。
なお、怒りや不満のようにネガティブな感情が悪影響なことは、非HSPの人でも理解しやすいものです。
しかし、楽しい、嬉しいなどのポジティブな感情にも影響を受けすぎて、自分の感情をコントロールできなくなる辛さは、ポジティブな感情ゆえになかなか理解されにくいものです。そして、HSPとは別に「ひねくれている人だ」と偏見を持たれてしまう悩みもあります。
他人の強いネガ・ポジの感情は、HSPの人にとっては自分の感情をかき乱す困ったものなのです。
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威圧的、人を見下すような横柄な態度をとる人
HSPは恐怖や不安に影響する神経の扁桃体が活発になりやすいために、普通の人なら怖くも恐ろしくも感じない出来事に対して、過度な恐怖を抱く特徴があります。
とくに、人間関係においては
- 言葉や態度で威圧してくる人。
- 他人を見下して横柄な態度を取る人。
- 大声や大げさな態度をとってマウントを取りたがる人。
- 睨む、ため息をつく、舌打ちをする、八つ当たりをする…などの怒りや不満を行動に出す人。
などの、恐怖を感じやすい言動をする人に対して、強い苦手意識を覚えます。
もちろん、わかりやすい行動なら非HSPの人でも不快感を抱きますので、その場合は周囲からの理解は得られます。
しかし、HSPは非HSPが恐怖を感じないことにも強い恐怖を感じており、その場合はなかなか周囲からの理解が得られにくいことが問題となります。
また、こどもの場合になら過度に怖がる様子を面白がられて、いじめのターゲットにされてしまうことも考えられます。
悪口をよく言う、嫉妬深いなどネガティブな行動が目立つ人
不快感や嫌悪感を顔に出さなくとも、話す言葉やその内容について強く反応することがHSPに見られます。
例えば、悪口が多い、愚痴っぽい、嫉妬・不満・未練がましい言葉が多いなど、聞いているだけで不快感を感じる話題、及びその場の空気や雰囲気に圧倒されてしまい、話を聞き終わると疲労困憊しがちです。
また、話を聞いている最中も「所詮他人事だから…」と軽く受け流せず、「どうしたら相手の気持ちがすっきりするだろうか…」「相手を刺激しないような言い返し方はないだろうか…」と考えすぎて、人知れず疲れを抱えてしまうのがHSPの人の生きづらさでもあります。
もちろん、非HSPの人でも愚痴話はあまり聞いてて気持ちのいいものではありませんが、強い繊細さゆえにHSPの人は愚痴話のストレスを受けやすく、極力ネガティブな人と関わることは避けたがるのです。
他人を煽るような過激な言動が多い人
挑発的な態度で人を試したり煽るような行動をする人、あえて波風が立つように過激な言動を取る人に対しても、強い苦手意識を覚えます。
そもそも、他人を煽ることは、言い換えれば他人をあえて感情的になるように挑発をしているわけであり、HSPのように繊細なメンタルを持つ人には刺激が強すぎます。
また、煽る過程で
- やたら大声になる。(=威圧とマウント)
- 相手を小馬鹿にした態度を取る。 (変顔、嘲笑、指をさして笑うなど)
- 漠然とした不安を刺激して扇動する。 (仕事、学業などの人生に関わる不安など)
- 対立構造を作り口論させるように仕向ける。 (例:ファンとアンチ、敵と味方、陽キャラと陰キャラなどの二者択一で分けてわかりやすい論を展開する。
(ただし、論理の詰めが甘く、ガバガバでわかりやすい…というよりは単純で稚拙なものも多いが…))
などの、人の神経を逆なでするような行動のオンパレードなので、繊細な人は煽りに対して過剰に反応したり、感情を突き動かされてコントロールできなくなって疲弊してしまいます。
とくにSNSやyoutubeなどで炎上によって注目を集めるような人は、HSPの人にとっては自分の感情を不必要に乱す人だと感じて、苦手意識を強く感じます。(…無論、炎上芸人は万人に好かれるものとは到底思えませんが…)
声が大きくて怒鳴るように話す人
話す時の声が大きく、まるで怒鳴ったり喚くかのように話す人に対しても、苦手意識を感じます。
とくに、大きな声はただうるさいだけでなく、怒りや恐怖を声の大きさや言葉の勢いから感じ取ってしまうために、不安や恐怖に関わる神経が強く働くHSPの人はとくに苦手です。
わかりやすく言えば、体育会系の人、テンションが高い人、騒々しい人、オーバーリアクションな話し方をする人が苦手と感じやすいのです。
距離間を詰めたがる人
物理的意味での距離間(=パーソナルスペース)を詰めてくる人に限らず、プライベートに干渉する、心理的に依存したがる、SNSなどで何度も連絡を取ろうとするなど、精神的な意味で距離間を詰めてくる人が苦手です。
これは、内向的なHSPの人にとっては、自分の落ち着ける空間や居場所に土足で上がり込んできて、心身ともに乱して疲れさせる存在のように感じるので、苦手に感じるのです。
もちろん、距離を詰めて来る人の中には、悪意ではくむしろ善意や好意などから仲良くなるために近づきにきているであろうことはHSPの人でも容易に想像できるのですが、かと言ってその好意に対して「NO」と断ろうものなら相手を深く傷つけてしまう不安があるために、相手が自分に近づくのをつい我慢して受け入れてしまうのです。
また、距離を詰めてくる本人は、距離間や雰囲気などのぼんやりとした概念を自覚していない。
一方で、繊細なHSPの人は、距離間や雰囲気などのぼんやりした概念を自覚している…という認識の違いゆえに「距離間が近すぎて困ります」と言っても、相手には何のことかさっぱり理解できなくなる。
距離が近いと打ち明けたことが相手を不愉快にさせてしまい、トラブルになること起きうるからこそ、無駄な衝突で疲弊しないためにも、HSPの人は我慢して受け入れていることも考えられます。
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ボディタッチが多い人
HSPの人は人から触れられること、つまり皮膚への刺激に対しても強く反応してしまい、疲弊することがあります。
握手、肩を叩く、頭をポンポンと叩かれる、ハグなどの、仕事や友人・恋人・親子関係で、何気ないボディタッチが多い人に対して、強い嫌悪感を覚えることがあります。
なお、親密な間柄だとボディタッチが一種の愛情・友情確認の意味合いもあるため、相手の好意を断れず自分の不快感を抑圧することに辛さを覚えることも考えられます。
(男性の場合)女々しい、男らしくないと言う人
些細なことは気にしない、繊細さよりも大胆さや豪快さと言った、いわゆる「男らしさ」はHSP特有の敏感さ、繊細さとは真逆の特徴であり相性はよくありません。
そのため繊細な男性というだけで「女々しい」「男らしくない」という否定的な言葉は、持ち前の繊細さも相まって、強く自分を傷つける言葉として受け取ってしまいます。
今でこそ「草食系男子」に代表される男らしさが薄れた男性像が社会から受け入れらてはいますが、「男子」と呼べなくなるほど年齢を重ねた人だと、男らしくない自分をひどく嫌悪したり、周囲からの男らしくないという声に強く傷ついてしまうことが考えられます。
HSPにとって苦手な人は、非HSPでも苦手と感じる人も多い
ここまでHSPが苦手だと感じる人についてまとめてきましたが、ここで挙げた特徴は非HSPの人…つまり、強い繊細さや敏感さを持っていない人であっても「なんとなく、苦手だなぁ…」と感じるものが多いものです。
- やたらテンションが高い人
- 威圧的な人
- 他人を煽って炎上を仕掛ける人
- 逃げ場を奪うように距離を詰めてくる人
- ボディタッチが多くてやらしい人
- 男らしさを振りかざし当てはめたがる人
…どれも、お世辞にも誰からも好かれるものとは言い切れません。
そうした普通の人でも苦手と感じやすい人に対して、HSPの人が強く苦手意識を感じることは、冷静に考えれば恥ずべきことではなく、むしろ至って自然なことのようにも考えらえます。
HSPで苦手な人が多いと悩んでいる人は、苦手な人が多い自分から少し引いた位置で自分を見て、「自分以外にもうっすらと『苦手だなぁ…』と感じている人はいるんだ」と確認できれば、自己嫌悪から脱出できると思います。
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