HSPで仕事が続かなくなる人の原因・背景にあるもの

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繊細で物音や声、人間関係の雰囲気などのあらゆる刺激に敏感な気質のことをHSP(ハイリーセンシティブパーソン)といいます。

しかし、社会人として生活を営んでいく上では、繊細さが仇となり、必要以上にストレスを抱えて仕事が続けられなくなることがあります。

HSPはおよそ20%の割合で存在しているとされ、世間一般から見れば少数派です。

残りの80%を占めるHSPでない人(=非HSP)が、問題なくこなしている働き方に無事に適応できればいいのですが、うまく適応できずに生きづらさを覚えているHSPの大人が多いのが実情です。

今回はそんな、HSPの社会人が抱える悩みや生きづらさの原因についてお話いたします。

HSPはどうして仕事が続かなくなるのか

仕事のミスに過剰反応しすぎてストレスを抱えがち

HSPの人は不安や恐怖に関して過剰に反応してしまう特徴があります。

これは脳内にあるミラーニューロンシステムが働きすぎることが原因とされています。ミラーニューロンシステムは、扁桃体と呼ばれる不安や恐怖を意味付けする神経から構成されており、HSPの人はこのシステムが活発に反応してしまうことから、人よりも不安や恐怖に反応してしまうのです。

この時の不安や恐怖は、犯罪や自然災害のような命の危機を感じるような場面に限らず、

  • 仕事ミスをした
  • 怒られてしまった
  • 迷惑をかけてしまった

などの、社会人なら誰でもある経験に対しても働きます。まるで、自分の全てが否定されたかのような強いショックのように、HSPの人は受け取ってしまうのです。

新人なら誰でも経験しては克服するような初歩的なミスでさえも、自分の根幹を揺るがすような大失敗のように感じ、仕事を続けていくうちに自信の喪失や自己否定感に苦しめられて、仕事をやめてしまうのです。

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不安や恐怖は何も自分に向けられているものだけでなく、他人に向けられているものに対しても強く感じ取ってしまいます。

例えば、職場内で誰かが人前で怒られている様子を目撃したり、怒っている怒鳴り声、怒られている人の謝罪の声、そしてその様子を見ている人達の間で流れている張り詰めた空気や緊張感も、まるで自分に向けられているかのように感じて、強い不安を覚えます。

HSPには自分と他人との境界線が薄い…つまり、目の前で起きていることに対して「自分は自分、他人は他人」と割り切って受け入れることができず、ついつい深く共感しすぎるという特徴があります。

これは、共感や人の気持ちを思いやれるといった長所になる一方で、無関係のことに足して傷ついたり悩みや苦しみを覚えてしまう短所ともいえます。

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異動・転勤などの環境の変化が苦手

割と平穏に職場に馴染んでいたとしても、異動や転勤などで自分を取り巻く環境が変わってしまった時に、漠然とした不安や緊張感で強いストレスを感じてしまうことがHSPには見られます。

また、ただ働く場所が変わるだけでなく、今までの人間関係もガラッと変わってしまうこともHSPの人にとっては大きな懸念材料となります。

例えば、以前は比較的大人しい人同士で仕事をしていて居心地が良かったのに、異動により感情的に振舞うことが多い人、賑やかでノリの良さを重視したがる人達(要するに体育会系など)と関わるとなったら、HSPの人は強い不安を感じます。

喜怒哀楽の感情をよく出す人に、まるで精神的に飲み込まれて振り回されてしまって疲弊したり、感情的にさせないように気を遣いすぎた結果、仕事の進み具合に支障が出たり、不適応から仕事をやめてしまうのです。

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結果を出そうと頑張りすぎて潰れてしまう

繊細で他人に深く共感することから、つい相手が喜んでもらうことにやりがいを見出したり、「社会貢献こそ自分の使命である」といった自己犠牲の精神を持ってしまった結果、頑張りすぎて心身の不調を訴えてしまうことがあります。

適度に手を抜いたり休息を挟むことですらも、「他の人に迷惑をかけてしまうから…」「しっかり結果を出してないのに、休むなんてできない」と感じてしまい、過労や慢性疲労になるまで働き続けてしまうのです。

こうなる一因として、HSPの人は幼少の頃から親や周囲の大人の期待を敏感に感じとり、それに応えることで褒められたり、受け入れられてきた成功経験が考えられます。

教育の場だと、勉強、スポーツ、芸術全てにおいては「努力すること=無批判に素晴らしいこと」という価値観も強いものです。「努力すべき」という脅迫的な価値観が、社会人になっても抜けきれていないことが、HSPが頑張りすぎる原因のひとつだとも考えることができます。

なにげない世間話や雑談が苦手で職場に居場所を感じにくい

繊細で敏感であるために、あらゆる刺激をもたらす他人という存在に対して苦手意識を覚え、意図的に人付き合いを避けようとしたり、距離を置いて一人でいることを好みます。

とはいえ、一人でいい続ければ職場でかわされる世間話や雑談に加われず孤立してしまう。孤立が原因となって、他の人から変な目で見られたり「変わっている人」という烙印を押されてしまい、職場に居場所を感じにくくなってしまうことがあります。

また、仮に世間話をするにしても、

  • どんな話題をすれば場が和やかになるのか考えすぎて疲弊する。
  • 相手の表情や話の内容にいちいち反応して気が休まらない。
  • プライベートな話をすることに過度な緊張感や恥ずかしさを感じて、表面的なことしか言えず会話に乗れない

…などの、苦手意識を感じており、孤独を味わう辛さが仕事への辛さと結びつき、仕事を辞めることにつながるのです。

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HSPは仕事に好きでも人間関係・仕事以外の場面で生き辛さを感じているこもある

HSPの人には仕事が続けにくいことについて書きましたが、仕事に関わる人間関係や仕事以外の場面(飲み会、社内外の人付き合い)に対してのみ苦手意識が強く、仕事そのものはそこまで辛さを感じていないということもあります。

ただし、接客業やサービス業など、人を相手にした職種やクレーム対応のように自分の感情をコントロールすることが必要な場面では、苦手意識を感じて続けられなくなることがあります。

そのため、HSPでも続けられる仕事の特徴は、あまり人との関わりがないものがメインです。

ただし、人との関わりがあまりない仕事と言っても、大抵の仕事は自分一人で最初から最後まで完結できるものばかりではないのが実情です。

ましてや、会社や役所などの組織に所属している以上は、社内外関係なく他人と関わって行くことが肝心ですし、チームで一つの仕事をこなしたり、誰かに指示をするなどして、連携や協力を行うことは欠かせません。

もちろん、このことは雇用されて働く会社員、公務員に限らず、起業やフリーランスとして生きていく場合でも、フリーターやパートタイマーとして働いていく場合でも同じであることは忘れれはいけません。

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HSPでも長続きする仕事を見つけるためにできること

もちろん、HSPだからといって無理に自分に合わない雰囲気の職場で努力すべきと言っているわけではありません。

しかし、今の仕事に合わないからといって、すぐに職場をやめる決断を下すことをオススメするつもりもありません。

大事なのは、今の職場で自分がどういう場面でHSPからくる辛さやストレスを感じるかを分析して、それを和らげるための対策を立てることです。

例えば、飲み会に対して強いストレスを感じているのなら、飲み会に行く頻度を減らしたり、別の理由をつけて断る訓練を行うことで、今の仕事で着実な収入を得つつも自分が抱いている辛さを軽減でき、うまく折り合いをつけていくことが可能です。

そのほかにも

  • しんどくなったら、一人で休める居場所(トイレの個室、屋上、ネット上など)を見つけて気持ちを落ち着ける。
  • 同じくHSPで悩みを持っている人とネットで知り合ったり、集まりに参加してみる。
  • 接客・営業がない作業を割り当ててもらえるように頼んでみる。

など、今の職場とうまく折り合いをつけつつ、抱いている生き辛さを軽減していくことを心がけることが大事です。

もちろん、それでもダメなら転職や独立を選ぶのも働き方のひとつであることは否定しません。

しかし、転職・独立をしたからといって順風満帆にいくわけでは限りませんし、大きな環境の変化に対してHSPゆえに敏感に反応した結果、心身ともにキャパオーバーしてしまうことも考えられます。

そうならないためにも、ある程度経済的な蓄えを用意しておいたり、今の職場で転職・独立後のスキルを身に付けておくなどして、不安材料をなるべく潰しておくことが望ましいと言えます。

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参考書籍

国立大教育学部卒、専攻は心理学。発達心理学、教育心理学、スポーツ心理学、社会心理学を中心に心理学に関する記事を執筆中。そのほかにも、人間関係やコミュニケーション、性格、スマホ、SNS、ゲームなどのあらゆるテーマを心理学の知識を用いて詳しく、面白い記事を書くことを心がけております。

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