ぼっちアピールをする心理について

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クリスマスのように、友達・恋人・家族と一緒に過ごすのが一般的な時期に、あえて自分は誰とも過ごさず一人でクリスマスを過ごすという内容の言動をすることをぼっちアピールと呼びます。

もちろん、ぼっちアピールはクリスマスに限らず普段から日常的に行えるアピールです。しかし、傍目にはあえてぼっち(孤独)であると自虐を交えてアピールしていると映るために、あまりよい印象を持たれない行動でもあります。

また、普段から友達が多くいるのにもかかわらず、その状況に反するような内容とも取れるぼっちアピールの場合は、なんとなく嫌味ったらしい人、かまってちゃん…などの、悪印象を招きやすい。そして、本当に普段からぼっちな生活を送ることを余儀なくされている人に強い嫌悪感を抱かせることもあります。

今回は、そんな煙たがられがちなぼっちアピールをする人の心理について、お話しいたします。

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ぼっちアピールに隠された心理・意図

周囲からの同情や慰めの言葉を求めている

自虐の意味として「ぼっち」が使われていることを考慮すれば、ぼっちアピールには周囲からの同情を誘おうとする意図や、慰めの言葉を求めているのだと解釈することもできます。

ただし、素直に「同情されたい」「優しい言葉をかけてほしい」と主張するのでは、あまりにも率直且つ露骨すぎて自分のプライドが許さなかったり、同情欲しさのために必死すぎる様子を相手に晒して恥をかくのを恐れている。

また、率直に「同情してください」と言われると、よけいに「同情なんてするもんか」と反発してしまう心理(=心理的リアクタンス)が働いてしまう可能性もあるだけに、素直に同情を求めるのは、方法としては賢明とは言えません。

そんなときに役に立つのがぼっちアピールです。これにより相手に対して暗に同情や慰めの言葉を言うように仕向ける、空気を読んで行動するように働きかけられます。

表面的には「自分はぼっちである」とアピールしているだけに見え、その実態は同情を誘うためにアピールしているという、あまり他人に悟られたくない心理を隠せます。

(ただし、やってることが遠まわしすぎるのと同時に、他人から同情を誘う割には自分から相手を褒めたり、認めたりせず、承認されっぱなしになりがちなのでウザがられるケースも多いですが‥)

本当はぼっちから脱出したい気持ちの裏返し

「本当はぼっちな状態なんて嫌だけど、そのぼっちから脱出する方法がわからない」という気持ちに陥った時に、あえてぼっちアピールをして注目を浴びることで、ぼっちから脱出を図ろうとしているのです。

なお、このことは「ぼっちを楽しんでますよ」というような、(開き直りとも取れる)ぼっちアピールをしている人でも同様です。

正直に「ぼっちは嫌だ」と白状するのは、恥ずかしさを感じていたり、ぼっちに対して

  • 仲間はずれにあっている。
  • 協調性が無いことの証である。
  • 人間として何か大事なもの欠落しているからぼっちになっている。

…など、強い悪印象を抱いている人が、進学や就職などで環境が変わった結果としてぼっち状態に陥ってしまい、葛藤を覚えた場面にて、あえて「ぼっちを楽しんでますよ」と真逆の言動をすることがあります。

こうした自分の感情とは真逆の行動を取ることは、防衛機制の反動形成の一種と考えられます。(反動形成とは、自分の抱いている葛藤した感情を抑圧し、それとは真逆の感情を強調した言動を取ること。例えば、好意を持っている人に対して、あえて嫌がらせをしてしまうことがこれに当たる)

「本当はぼっちなんて嫌だ」という気持ちを抑圧して「ぼっちは楽しいですよ」と、抑圧した感情とは真逆の言動をとることで、精神的な苦痛から逃れようとしているのです。

「ぼっちキャラ」というキャラの獲得を試みている

ぼっちとは単なる孤独な状態を指すものではなく、一つの個性として捉えている…つまり「キャラ」の一種としてみなしている人も、ぼっちアピールを多用することがあります。

いじられキャラや天然キャラのように、ぼっちもキャラの一種と見なせば、孤独という耐え難い状況に対して必要以上に落ち込まなくて済ませられます。(かっこよく「一匹狼」とか「ソロ充」と言い換えるのこともできますし…)

もし仮にぼっちであることが非難やツッコミの対象になっても、それはあくまでも代替可能なキャラであるぼっちが非難の対象になっているだけで、そのキャラを演じている自分は非難の対象外である…と、自分で自分を守ることもできます。

また、キャラとして割り切ることで、本当は孤立して浮いているだけに過ぎなくとも、その状況を直視して悲観視せずに済ませられます。

加えて、なにも個性がなくても印象が薄いキャラと比較すると、ぼっちキャラは一つの個性を獲得したキャラであり、そのことで周囲から顔を覚えてもらえたり、自分に共感を示す人が出てきて孤独を紛らわせられます。

なお、キャラとして演じるぼっちは、その性質ゆえに友人や恋人ができるなど、ぼっちでなくなる状況に直面すると、今まで身につけてきたぼっちというキャラを失うことに葛藤を覚えてしまう難儀なキャラとも言えます。(もちろん、ぼっち脱出のためにキャラを演じているのなら、本望かもしれませんが…)

目立って承認欲求を満たしたい

目立ちたいと思う裏には、孤独であることに強い不安を感じていたり、「交友関係の多い人こそ価値があり、孤独な人間は無価値である」という価値観にとらわれていることがあります。

ぼっちという(自虐)ネタを用いてまで、やたらと周囲にアピールを繰り返す裏には、不安から逃れるために、絶えず周囲の関心や注目を集めることに必死になっていることが考えられます。

…ただし、周囲からすれば、ぼっちアピールをしている人に「貴方はそんな強い不安を感じているでしょ」と、ストレートに言うことは、流石に失礼すぎるからできない。結果として表面的に、それも当たり障りのない言葉で同情や共感を寄せるに留まることが多いものです。

そのため、ぼっちアピールをしている人は、自身の承認欲求が満足に満たせないことでストレスを抱えてしまったり、更なる承認を得ようとしてぼっちアピールをエスカレートさせることで、ウザがられてしまうことが多いのです。

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他人からぼっちだと思われるぐらいなら、自分でぼっちと言い張ることも

周囲から求められてもいないのに、自分から進んでぼっちアピールをする人には、「他人からぼっちと認定されるよりも前に、自分からぼっちを名乗った方が自尊心が傷つかなくても済む」と考えていることがあります。

恋愛にて振られる前に振る人のように、他人からどう思われているのか言われるよりも前に、あえて自分からぼっちであることを切り出しておくことで、相手に発言させる隙を与えずに済むと同時に、自分のプライドを守ることができます。

  • 自分でぼっちであると言う
  • 他人からぼっちだと言われる

の二つでは、後者の方が自尊心が強く傷つきます。

自分で「ぼっち」と自虐するのとは違い、後者は他人という(自分よりはまだ)客観的な評価を下される分、その評価の重みは増します。また、「他人からぼっちだと思われている」事実と向き合わざるを得ない分、感じる苦痛も強くなります。

そうした苦痛を避けるための予防線として、ぼっちアピールが機能しているとも見れますが、予防線を張ることばかりに集中して、相手に対する配慮や気配りが届いていない。

どこか自己中心的で、ぼっちになってしまうのもなんとなく納得できてしまうがゆえに、ぼっちアピールを多用する人は残念な人とみなされ、煙たがられているのではないかと考えられます。

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