繊細で敏感な気質である「HSP(ハイリーセンシティブパーソン)」に関する書籍やネット上の情報の普及から、HSPだと自覚している人のためのHSP専門のカウンセリングや、HSP専門のカウンセラーの資格(民間資格)やセミナーなどが、主にネット上を主として登場しています
しかし、私見になりますが、それらの多くがどうも胡散臭いというか、自己啓発セミナーやスピリチュアルビジネスと似ている点が目立つ。資格商法のように、試験もなく金を出せば簡単に資格が手に入るだけで、そもそも資格として信用できるものなのか疑わしい。
つまり、HSPに関するカウンセリング関連のサービスが、胡散臭いビジネスの温床になっているのではないかという疑念があります。
今回は、今まさに
- 「HSP専門のカウンセラーのカウンセリングを受けたい!」
- 「HSPに関する資格を取りたい」
と、精神的な余裕がない人に対して、「少し冷静になって欲しい!」ということをお話し致します。
目次
資格商法の気配を感じるHSP
前回書いた「HSPの資格・カウンセラーに感じる資格商法の影」でも触れていますが、「HSP 資格」で検索して登場するウェブサイトの中には、どうもお金さえ払って短期間のセミナーを受講すれば、試験なしで簡単に資格が手に入りますよ…という、手軽さを売りにしている資格取得のページが見つかります。
臨床心理士(民間資格)や公認心理士(国家資格)など、いわゆるまともな心理職(病院・公的機関等)に就くために必要となる心理系の資格が、どれも大学及び大学院にて必要科目を履修し修了していなければ取得できない事と比較すると、数時間か数日程で取れるHSPの資格の信ぴょう性や有用性については疑問が残ります。
また、臨床心理士・公認心理士ともに、資格取得のためには試験をパスしなければいけませんが、HSPの資格に至っては試験は一度もありません。
資格取得のために勉強する時間も限りなく短く、勉強の進歩を確かめる試験も無い。そんな資格を取得したところで、果たして何に役にたつのか、どのような実力を示す材料になるのか、どれほどの信頼を得るのかについては、大きな謎が残ります。
なお、こうした短期間で取れる資格の多くは、資格商法と呼ばれるビジネス。つまり、知名度が低く信ぴょう性があやふな資格という商品を売ることをメインにした、グレーなビジネスである可能性が濃厚です。
現にHSPに限らず、心理系の資格の中には「○○認定カウンセラー(○○は無名の個人&団体名が入ることが多い)」などのように、胡散臭い資格商法の温床になっている側面もあります。同じく心理に関わるテーマで、且つ歴史が浅くて新規参入者が少ない「HSP」が、資格を売りつける方々の新たな飯の種になっているように感じてなりません。
スピリチュアルビジネスの気配も感じるHSP
HSPに関わるカウンセリング全般をおすすめできない理由としては、占いや霊的なものを売りにしているスピリチュアルビジネスをメインにしている人も、HSPという新たな飯の種に注目して参入しているように感じるからです。
これも以前書いた「HSPの人がスピリチュアル系ビジネスの餌食になってしまう理由について」にて触れていますが、HSPの主たる特徴である「繊細であるために普通の人が気が付けないことに気づく」ことが、スピリチュアルビジネスが持つ霊的の能力や、テレパシーなど科学では説明できない概念と、非常に相性がいいという点です。
誤解を恐れずに言えば、スピリチュアルビジネスで食っていけなくなった人が、(こじつけでもいいので)「HSPとスピリチュアルは似ているところがありますよ!」と言えば、それで商売として成り立ってしまうだけの説得力がある。
HSPについて調べていくうちに、気が付けばスピリチュアルにも興味が出てしまい、多額の時間と金銭を浪費する泥沼状態にはまってもおかしくないぐらいに、HSPとスピリチュアルは相性の良さが目立ちます。
HSPを金儲けのネタとしてのみ捉えている人がいると考えたほうがいい
もちろん、支払った内容に見合うサービスや知見が必ずしも得られない…ということはないでしょうが、中には
- かつて胡散臭いスピリチュアルビジネスに手を出していた人
- 自己啓発セミナーを主催していた人
- キラキラ起業&副業系ビジネスに深い関わりがある人
など、この人達や団体に貴重な時間と労力を差し出して本当に問題ないのだろうか…と、いう疑念の拭えない要素が目立ちます。
妙に自身の経歴をドラマティック(大体は「挫折からの復活劇」である)に説明し、さも私のやるカウンセリングには効果がありますよという宣伝文句が多い。まるで、大体的な宣伝をしなければいけないほどに、カウンセリングや資格には知名度も信ぴょう性も取るに対して無いことを、意図せず示しているようにすら見えます。
そのほかにも自身がいかに権威ある人や団体との交流があり、グレーではなくクリーンな人間であることを露骨にアピールしている。
そして、契約を急かすような文言(空席数や締切についてやたら振れる等)、契約後のキャンセルに関する説明が不足している…など、購入者に不要な誤解や錯覚を意図的に起こさせたり、不利益な契約をナチュラルに結ばせるようなテクニックが垣間見えて、商売として見た場合に誠実さや公正さに著しく欠けている点が目立ちます。
つまり、「今はHSPがトレンドだから、とにかくHSPに関する商売をすれば一儲けできる」とHSPは金儲けのネタとしてのみ見ている人が少なからず存在している。
そして、金儲けのネタのみとしてしか見てないからこそ、HSPについて深く勉強することもなく、むしろ自己啓発やスピリチュアルのときの教材を流用し、余計にHSPに関するトンデモな知識を流布する動きが出ているのではないかと危惧しています。
HSP関連で金銭が絡むことは様子見してみることも視野に
そもそも心理カウンセラーは「自称」で勝手に名乗れてしまうもので、かつ値段設定も簡単に決められる。つまり、その気になればとりあえず勝手に名乗って、短時間で高収入を得られるグレーなビジネスとして行うことも容易にできてしまいます。
副業解禁が叫ばれている昨今であれば、手軽に(自称)心理カウンセラーの肩書きを名乗って、ネット上でカウンセリングで副収入ゲット…ってなことを考えている人も、そう少なくないと感じます。(仮にそうなるとしたら、仕事の形態としては、電話での占いに近いかもしれないが、それを心理カウンセリングと呼んでいいのかは疑問が残る。)
そんな胡散臭く不透明なビジネスをしている人たちが、新たな顧客としてHSPのカウンセリングを受けたい、あるいはカウンセラーになりたいという人達を狙っている動きが出ているのでないか…と、ネットや書籍でHSPに関する情報を調べている昨今、強く感じる次第です。
こんな風に、HSPに対する玉石混交な情報やサービスが出てきている状況に対してできる事は「様子を見る」ことがシンプル且つ効果的です。
HSPに関するカウンセリングや資格を考えている人の中には、冒頭でも触れたように、まさに溺れる者藁をも掴むかのごとく、冷静さを欠いて目の前の商品に藁にもすがる気持ちで期待や希望を持っているかもしれません。
しかし、そもそもが藁程度の軽さや薄っぺらさしかないものに、多額の時間と労力をつぎ込もう物なら、それこそ藁を売る側の思うツボであり、いいカモお客様でしょう。
そんなお客様にならないためにも、まずは一旦契約や購入を先送りし、頭を冷やして冷静になるまで様子を見てみること。これこそが、時間と労力をドブに捨てないためには大事だと感じます。
それはそうと余談ですが、HSPの持つ繊細さが、なぜ胡散臭いものを見分けるときに発揮されないのかについては、今後勉強していく必要がありそうです。
関連記事