心理学に関する知識や資格、セミナーなどに触れたことがある人なら「スピリチュアル系」と聞けば、
- 波動
- オーラ
- 子宮系
- チャクラ
- 直感、第六感
- 霊感、霊視
- マインドフルネス、瞑想
- パワーストーン、パワースポット
- やたらポジティブ思考(というかお花畑思考)でポエムを呟く人たち
- そしてそれらの内容を無料ブログに書き込んで他の人に広めようとする
のような、根拠が乏しくつかみどころがないもの、エスパーか超能力のような目に見えない不思議な力的な何かを材料にして、自分の頭でよく考えようとしない人を相手にして商売をしている人たちの事を想像するかと思います。
「○○カウンセラー」「△△セラピスト」「□□認定ヒーラー」という名前なんてこれっぽっちも聞いたことがない肩書きを名乗るのも特徴的です。
肩書きを名乗ることで、なんとなく権威があり、さも説得力がありそうな雰囲気を漂わしながら、「悩みが晴れますよ」と近寄ってきては高額なカウセリングの契約を迫ったり、「将来絶対役に立ちますよ」と宣伝して聞いたこともない資格受講を勧めてくるのが、スピリチュアル系ビジネスに感じる怪しさの根源と言えます。
そのスピリチュアル系がこのブログでも何度か取り上げている「HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の気質を持つ人を対象にし、スピリチュアルビジネスをしている光景を、まだ数こそ少ないですが発見しています。
今回は、HSPとスピリチュアル系の関連についてお話いたします。
関連記事
HSPとスピリチュアルとの関連性
言語化しにくい現象を取り扱っている
あらゆる刺激に敏感で繊細な気質であるHSPに関する本やウェブサイトを読んでいると、「チャクラ」「陰陽」「天と地のエネルギー」「瞑想がうんたらかんたら」などの、スピリチュアル系でよく見かけるオカルトチックな内容の記述を見かけます。
また、ものによってはそれらのオカルト的な能力をHSPの個性だと記述し、その個性を活かして好きなことを仕事にしよう、と言って暗にHSPの人をすスピ系に巻き込もうとしている書き方で説明されているものもあります。
もちろん、オカルト的なものでなくてもHSPは「人間関係の雰囲気や空気感」というような言葉に表しにくいものに対して敏感であり、ひょっとしたらオカルト的なものに対しても敏感という可能性は完全には否定できない側面があります。
しかし、そのようなオカルト的なものい敏感だからと言って、高額な契約を結んだり、周囲の人にセミナーを進めるのには慎重になったほうが良いと感じます。
生きづらさを抱えている人が多くいる
スピリチュアル系にハマるのは、大抵は悩みや生きづらさを抱えている人です。
心の隙間を埋めるかのように妙に優しく近づいてきては信者にしていく手法は、マルチ商法やカルト宗教、自己啓発セミナーでも見られるものです。
同様に、HSPの人も自分の繊細さや敏感さを周囲に訴えても「気のせいじゃないの?」「考えすぎだよ」と受け入れてもらえず、生きづらさを抱えている経験をしている人が多くいます。
そんな生きづらさを抱えている中で、スピリチュアル系のやたら肯定的な態度で接してきたり、妙に親近感を抱かせる優しさで近づいて来られたことで、HSPの人がスピリチュル系にのめり込んでしまうのだと分析しています。
心理学との相性
HSPもスピリチュアルも、その性質上心理学と非常に相性がいい特徴があります。
HSPもスピリチュアルは人間の内面や精神、メンタル面などの目では捉えることが難しい部分に注目して研究されています。
図書館や書店では、HSPとスピリチュアルに関する書籍がどちらも心理学に関する本棚に陳列されており「HSPもスピリチュアルも心理学と関連があるんだ」という認識があるように感じます。
また、余談になりますが心理学そのものが「人の心を操る催眠術的な何かを学ぶ学問」や「エスパーのような見えない能力を使って謎を解決する」というオカルト的な目で見られていることも関連していると思います。
「心理学を使って他人の思考をコントロールする」という芸風やシナリオで一世を風靡するタレントも度々テレビなどに登場しており、心理学について詳しくないとスピリチュアル系と区別がつきにくいと感じる人も少なくないと思います。
HSPにスピリチュアル系は効果があるのか?
スピリチュアル系の資格やセミナーが、HSPの人たちの生きづらさを解決するか否かで言えば「効果があるときもあれば、効果がない時もある」だという答えになります
「効果がない」というのは文字通り生きづらさが解決されずモヤモヤした気持ちが残ったままの状態です。
一方で「効果がある」というのは、今まで抱いてきた生きづらさが解消されて、心穏やかな状態になるということです。
こうして書くと、「だったらHSPに限らず悩みがある人はスピリチュアル系を受ければいいのでは?」と感じるかもしれません。
しかし、スピリチュアル系の問題点は上でも触れているように「より効果を得たければ高額な契約を結んでください」と、金銭的な負担が大きい事。
そして、その契約を迫る方法がマルチ商法や胡散臭い自己啓発セミナーの手法と類似している点です。
確かに、スピリチュアル系の商品やサービスを使って何かしらの効果が手に入る事はあるでしょう。
しかしその効果はプラシーボ効果のようなものであったり、実際はただの無駄遣いをしているのにもかかわらずその現実を直視することを避けて、自分で自分に効果があったと信じ込ませている、という認知の歪みが影響している可能性があります。
HSPはスピリチュアル系の存在には慎重に
スピリチュアルにハマる人は、最初は悩みや生きづらさをどうにかしたいという気持ちを抱いて、スピリチュアルというある種の異色な世界に足を踏み入れていったという人が少なくありません。
そんな異色な世界は、自分が想像していたよりも実は皆優しくて、同じような悩みを持つ人で溢れており、主催者も非常に優しく接してくれたり、お金や名誉のような汚い浴とは縁遠い人ということで、親近感を覚えて今までの生きづらさが解消されたように感じるのです。
しかし、スピリチュアル系の付き合いにどっぷり浸かれば浸かるほど、もともと生きづらさを感じていた人間関係に対して戻るのが怖く感じてのめり込んだり、主催者が不安を煽るような言動をして利用者をふるいにかけ一致団結を迫ってきます。
また、煽ったその不安を解消すべくさらにお布施…もとい、スピリチュアルへの出費を断れず、多くの時間とお金を費やしている人も少なくありません。
スピリチュアルに参加した当初は生きづらさこそ解消されますが、また別の生きづらさ…それも経済的な困窮や以前の生活よりも更に人間関係に束縛される、という深刻な生きづらさに苦しみつつも、その現実から逃げるようにさらにスピリチュアルという底なし沼にはまっていく人が後を耐えません。
確かに生きづらさで胸がいっぱいのHSPの人にとっては、難しい理屈や理論はさておき、無条件に自分のことを肯定してくれたり、優しく受け入れてくれるスピリチュアル系の人に出会うと、つい心を開いてしまい、半ば精神的に依存するかのようにのめり込んで行くのも無理はないかと思います。
しかし、スピリチュアルは精神的な拠り所になる可能性を秘めている一方で、優しく受け入れてくれるしてくれる環境を失いたくない、二度と生きづらい世界に戻りたくないという心理を逆手に取り、多額の出費や束縛を強いてくるリスクもあります。
まるでDVやモラハラの加害者が最初は優しい素振りを見せて「無害な人ですよ」とアピールするかのように、スピリチュアル系の優しさの裏には、隠された残酷さがあるのです。
このことについてはスピリチュアル系を検討しているHSPの人であれば熟知し、慎重になるのが大切だと感じます。
参考書籍