繊細で何事にも動揺しやすい気質であるHSPの人に取って、恋愛をすることは一言でいえば疲れるものだと言えます。
そもそも人間関係に対して苦手意識が強く、雰囲気に飲み込まれてヘトヘトになったり、人付き合いに煩わしさを感じるからこそ、進んでひとりになって孤独を楽しむ生活の方が向いていることもあり、HSPの人は無理に恋愛をしない方が気楽であるとも言えます。
しかし、HSP特有の繊細さは、例えば自分が好意を持った相手に対して熱烈な恋心を持ったり、小さなことでも楽しさや喜びを見つけられるなど、しんどさのみならず充実感や安心感を増すものとしても効果を発揮します。
今回はそんなHSP気質を持つ人同士の恋愛のメリット・デメリットについて、お話いたします。
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HSP同士の恋愛のメリット
HSPへの理解があるので打ち解けやすい
HSPに関する知識を書籍やネット上で入手している。あるいは、自分の繊細さ、内向的な側面、些細なことですぐに感情が動かされやすい…など、HSPの名称こそ知らなくとも、なんとなく自分は他の人とは違って、おとなしくて物静かな環境の方が落ち着くことを今までの経験で理解している者同士であれば、お互いの性格・気質に関する理解が容易であり、簡単に打ち解けやすいと言えます。
とくに、HSPの男性だと、繊細な一面があって、些細なことに動揺しやすくて、内向的で…と、ぱっと見て男性らしい精神的なたくましさを持っていないことが特徴的です。
そのため、異性だけでなく同性の人からも「男らしくない」と理解されずに苦しくことが多い中、自分の気質を「男らしくない」と言って切って捨てずに受け入れてくれる相手というのは、性別関係なく安心できる相手であり、信頼関係を結びやすいと言えます。
(もちろん、男性・女性らしい関係なく、その人の内面を見ることは大切なことではありますが…)
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特徴が合えば話しやすく居心地のいい関係になれる
HSPという共通点を持っていても、何に対して繊細であるのか、どういう刺激(音、匂い、雰囲気など)に対して強く反応する傾向を持っているかには個人差があるものです。
もしも、お互いにHSPで且つお互いの繊細さの傾向が合っているor似通っている場合であれば、お互いの好き・嫌いが一致しているため居心地がよく、安心できる関係を構築することができると言えます。
もちろん、多少傾向が噛み合わないからと言って、決して関係が続かないというわけではありません。
同じHSPだからと言って相手をわかった気になってふんぞり返ることなく、お互いにコミュニケーションを重ねて、繊細の傾向や特徴を知ること。そして、相手を尊重して対等で居心地のよい関係を構築していくことが欠かせないのです。
繊細なので、小さなことでも幸せを感じやすい関係になる
冒頭でも触れたように、繊細さは日常生活におけるしんどさを増す側面がある一方で、些細なことに楽しさや喜びを見出すなど、繊細だからこそ多くの人が気づかないような小さなことでも幸せを感じると同時に、それを共有しあえることにつながるとも言えます。
HSPの同士の恋愛関係は、その繊細さゆえにどこかに遊びや旅行に行ったり、高いもの買ったり…など、多くの人がしているデートの定番的イベントでより強い充実感を味わえると言えます。(もちろん、騒々しいのがNGなのでそれらのイベントを楽しめない可能性もありうるが…)
また、その他にも日常の些細な出来事の中に楽しさや喜びを見つけて共有しあえる…と、前述したイベントのような派手さこそ無いにしても、慎ましくも楽しい恋愛が送れるかもしれません。
HSP同士の恋愛のデメリット
お互いに気を遣いすぎて疲弊してしまう
ふだんから人間関係において必要以上の気遣い、忖度、空気の読み合いなどで疲れを感じやすいHSPの人にとって、恋愛関係というお互いの内面を出して心を通わす関係は、強い緊張感をもたらすだけで、ただただ疲弊してしまいかねないものであります。それも、HSP同士となればお互いがお互いに持ち前の繊細さを発揮してしまい、緊張が更なる緊張を呼ぶ…という、悪循環を呼びかねません。
また、お互いに気を使いすぎて、どうも噛み合わずぎこちない関係になってしまう。でも、そんな関係になっても、お互いがお互いに今の関係に対して疑問をぶつけたり、ぶっちゃけた話をすれば相手を傷つけてしまうおそれがあるから我慢する。
お互いに抑圧し続けて、どちらかが音を上げるまで気遣いするもどかしさに苦しみ、居心地の悪い関係を切りたくても切れない辛さに悩まされる可能性があります。
相手の些細な感情に左右されてお互いに疲弊してしまう
HSPの人は、他人が持つ喜怒哀楽などのあらゆる感情に影響されて、自分も相手の感情に影響されるという特徴があります。これは、相手が恋人関係であっても同様です。
他人の感情に左右されることに辛さを感じてしまうHSPの人にとって、ビジネスライクではなく感情を出すことが基本の恋愛関係は、喜びや楽しさのようなポジティブな感情であっても負担になり、相手の感情に左右されて心身ともに疲れてしまう原因になりえます。
「楽しい感情を共有したいけど、共有したことで相手の感情を左右させてしまい、疲れさせてしまう…」というジレンマが、HSP同士の恋愛では起こるのです。(もちろん立場が逆でもジレンマは同じく起こりえます。)
HSP以外の人との関わりが減り共依存に陥るリスクがある
お互いの繊細さの傾向や特徴に共通点が多く居心地の良さを感じている場合、恋人(HSP)以外の関係がどれも居心地が悪く感じてしまい、恋人以外の人間関係が築けなくなってしまう。
つまり、恋人関係だけに執着してしまい、お互いが精神的に依存する共依存関係に陥るリスクがあります。
普段から生きづらさを感じているHSPという気質を理解しあえる関係といえば聞こえはいいですが、感受性の強さゆえにお互いに生きづらさの根幹まで深く知ってしまい、それに深い共感を覚える。
それと同時に、相手の苦しみに寄り添うことこそ自分の使命だと感じて、お互いに尽くしてしまうことで共依存に陥りやすい危うさがあるとも言えます。
恋人関係としての適度な距離感を築けず、お互いに同調するかのような関係になり離れたくても離れられない辛さを抱えるのがHSP同士の恋愛の危さであり、脆さでもあります。
無理にHSP同士で恋愛しないのも考慮にいれておく
HSPの人だからこそ分かりあえることもあるかもしれませんが、逆に知らなきゃよかったことまで知ってしまい、返って居心地の悪さを感じてしまう可能性もあるために、無理にHSPの同士で恋愛をしなくてもいいのではないか…と感じます。
HSPの人ではなく、些細なことを気にしないだけのおおらかさを持っている人の方が、(自分の繊細さが理解されない可能性はあるものの)HSPの自分から見て「この人には必要以上の気遣いや気配りをしなくてもいい」と安心感を得られる分、気楽な関係を築ける可能性があると言えます。
もちろん、HSP・非HSPに限らず、恋愛に対して義務感や焦燥を感じて繊細な心に辛さを感じているのであれば、無理に恋愛関係を持とうとせず、自分ひとりで落ち着いた生活を楽しんで見ることもまた大事でしょう。
…なお、余談になりますが、昨今の恋愛や結婚に対する義務感が薄れている風潮は、人間関係で疲れやすいHSPの人にとっては追い風となっているとも見て取れます
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