自己愛性人格障害の怒り方の特徴について

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自己愛性人格障害(あるいは自己愛性パーソナリティ障害)の人の怒り方は「自己愛憤怒」と呼ばれています。

憤怒という言葉を見てもわかるように、怒る時は感情を爆発させるかのように非常に激しいものになり、「この人を怒らせると危険!」「あまり関わらない方が身の為だ…」と感じさせるような穏やかでない怒り方をします。

なお、感情を爆発させる他にも

  • 他人の自尊心や人格を平気で傷つけるような話し方で怒る。
  • 拗ねたり、ごねたりしてまるで子供のように駄々をこねる。
  • 「自分を怒らすような貴方に非がある」と、罪悪感を抱かせるように怒る。

など、相手を精神的に追い込み情け容赦しない、手加減を知らない怒り方をします。

今回は、そんな自己愛性人格障害の人の怒り方について、お話いたします。

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自己愛性人格障害者の怒り方の特徴

感情を爆発させ激しく怒る

自己愛の強い人の怒り方は、とにかく激しく感情を爆発させて自分でもコントロールができず、怒り狂うような怒り方になるのが特徴的です。

  • 大声で相手を萎縮させるように怒鳴る。
  • バカ、クズ、能無し、など口汚い言葉を用いて相手の人格を痛めつけるように怒る。
  • 相手に喋る隙を与えないように間髪をいれず怒る。
  • 過去の出来事を掘り起こして怒る。
  • 質問攻め。
  • 激しさのあまり暴力を振るう、物を投げるなど手が出てしまう。

など、冷静さを欠いた激しい怒り方をします。(まさに、逆鱗に触れると表現してもいい)

これが親子関係なら虐待として見られたり「毒親」と称される可能性が、職場の人間関係ならパワハラ、モラハラとして問題になる可能性になります。

なお、上でも触れているように、情け容赦なく手加減しない怒り方であるため、怒られる方はただ恐怖を味わうだけでなんで自分が怒られているのかが分からず、ただ嫌な記憶だけが残る。

そして、「ミスを起こさないために」自分の行動を律するのではなく「怒られないために」自分の行動を律することになって、自主性が失われてしまいます。

逆ギレする

自己愛の強い人が怒るのは、何も他人を怒るだけの正当な理由がある場面に限らず、自分が怒られるようなことをしでかした場面において「なんで自分が怒られなければいけないの?」と、開き直るかのように怒ることも特徴的です。

いわゆる「逆ギレ」のことであり、怒っている人を自己愛の強い人の怒りの感情で圧倒して飲み込むかのように、感情を爆発させて怒り倒す。気が付けば立場が逆転して、自己愛の強い人が自分の非を相手に擦り付けるような状況になることが目立ちます。

当然ながら、自己愛の強い人は反省や改善をすることは無いままであると同時に「自分に対して怒りを向けようものなら、それ以上の怒りで叩きのめすぞ」とプレッシャーをかけてくるので、まともに関係を持ちたがる人はいなくなってしまいます。

なお、こういう人が親や上司など、そう簡単には切る切れない間柄の場合、関わる人の苦悩は計り知れないものになり、精神的に参る原因になります。

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他人を恥ずかしいものとみなす、笑いものにする

大声、汚い言葉、暴力…など、攻撃的な怒り方とはまた別で、他人を笑いものにしたり「恥ずかしくて哀れな人」と揶揄するような怒り方で相手の自尊心を痛めつけようとすることも特徴的です。

例えば…

  • 相手にレッテル貼りをして、醜く汚い人間だという印象を植え付ける。(例「あいつはアンチ」「嫉妬しているだけの醜い人間だ」と言いふらす。)
  • 怒る対象の人が何かしらのコンプレックスを持っていると強調し、恥をかかせるように仕向ける。
  • 相手を小馬鹿にした挑発的な態度で煽り、相手が怒り狂ってヘマをやらかすのを誘う。

など、暴言・暴力ほどの派手さはないにしても、相手の自尊心を傷つける失礼な行動で怒りを表すことがあります。

怒る対象を醜く恥ずべき存在だと貶めすことで、自己愛の強い人の方が立場が上であると自然にアピールできるので、肥大化した自尊心を抱える自己愛の強い人向きの怒り方とも解釈できます。

また、どうしてこのような周りくどい怒り方になるのかというと、怒鳴ったり暴力に出るのでは流石に幼稚すぎるので、自分の方が恥ずかしい人として見られて評判を落とすリスクがある。

しかし、冷静さを保ちつつ、相手にレッテル張りをして恥ずかしい存在という印象を植えつけたり、挑発的な相手の方が怒りに駆られてカッとなるように仕向けることに成功すれば、相手が勝手にキレて自滅したと理解し「カッとなってない自分の方が格上だ」とマウントをとれるからこそ、相手の自滅を誘うかのようにしつこくネチネチとした怒り方になるのです。

他人に罪悪感を抱かせるように怒る

何度も言うように、自己愛の強い人は情け容赦ない怒り方で相手を威圧するものの、内心はそれに対して後ろめたさを感じていることもあります。

しかし、その後ろめたさを受け入れるのではなく、むしろ「自分をこんなに怒らせるようなことをお前はしているんだぞ!」と相手に罪悪感を植え付けて、後ろめたさから逃れようとします。

  • 「あなたのためを思ってあえて厳しくしている」
  • 「怒りたくて怒っているのではないんだけどね」
  • 「あなたのせいで自分は困っているんだ」(それとなく「達」を付け、集団の圧力を用いて罪悪感を抱かせるのも特徴的。)

など、怒られている側の情に訴えかけるように怒って「怒られている私に落ち度があるんだ」と罪の意識を自覚させる。罪悪感を抱かせることに成功すれば、それに漬け込み自分が容赦ない怒りをぶつけることを正当化できるからこそ、やたら罪悪感を抱かせようとするのです。

拗ねる、話し合いを拒むようにいじける

自己愛の強い人の怒り方の中でも、とくに唖然とするのが

  • 拗ねる
  • ふてくされる
  • いじける
  • 話し合いを拒む
  • 無視をする

…と、たいへん幼稚な行動で自分の怒りを表現することです。

年端のいかない子供ならまだしも、成人済みの大人やそれなりの立場や肩書きのある中高年の方が、ダダをこねる子供のような方法で怒りを表す姿は、まさに「言葉を失う」の一言に尽きます。

なお、この起こり方は一種の現実逃避としても解釈可能です。

自己愛の強い人は普段から理想の自分像であったり、他人が自分の思い通りに完璧に動くことを期待している。しかし、あくまでもそれは個人の理想であり思い込みにすぎず、現実はその通りにならないことで、自分が否定されたと辛さを感じる場面が多々あります。

その辛さに対する解決方として、子供のように拗ねる方法で乗り切ることを選んでおり、これは後述するように防衛機制の「退行」であるという解釈もできます。

防衛機制の退行から見る自己愛性人格障害の怒り方

防衛機制とは、人間が受け入れ難いことに直面したときに、心理的な安定を保つためにとる行動のことで、その一種に「退行」と呼ばれるものがあります。

その内容は「幼児退行」という言葉でもわかるように、耐え難い状況に直面した時により幼い発達段階に戻ることで、状況を乗り切るというものです。

いい年をした大人が、拗ねる、ふてくされる、いじける…のような、子供じみた行動を取って、自分が受け入れがたい状況に対処するのは、まさに「退行」の一種と言えます。

一般的に退行といえば、赤ちゃん返りのように未就学児~小学生の子供に見られるものだと思われがちですが、当然ながら大人でも起こりえます。

なお、子供じみた言動で自分が直面している状況に対処するという点では、地に足がついておらず行き過ぎた万能感(=幼児的万能感)と通ずるものを感じます。

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