言葉や態度による嫌がらせ行為(ハラスメント)のことをモラルハラスメント(モラハラ)と呼びます。
家庭内暴力(=DV)同様、その被害者の多くは女性であり、とくにその中でも交友関係が少ない、懐事情に問題がある、などの環境面での要因。自己肯定感が低い、他人にたいする依存心が強いなどの精神面での要因が、モラハラの被害者のなりやすさに繋がります。
今回は、モラハラの被害者になりやすい女性の特徴についてお話いたします。
(※なお、この記事では、恋人・配偶者からモラハラを受けやすいという状況を想定していますが、職場、親子、友人からモラハラを受ける場合でも応用できます。また、男性がモラハラ被害者となる場合も同様に応用できます。)
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モラハラになりやすい女性の特徴【環境面】
交友関係が少ない、孤立しがちである
モラハラの加害者にとって、普段から交友関係が少ない…つまり、友達が少ない、異性とつるむことが無い、集団から孤立している人は非常に好都合です。
モラハラという傲慢で由々しき行為に出ても、交友関係の少なさゆえにモラハラのことを相談できる友人・知人がおらず、結果として一人で抱え込むことを選んでしまいがちです。
普段の交友関係の少なさゆえに、モラハラを行う人の素性や特徴を友達などから詳しく知る機会も乏しい。そして目の前で起きているモラハラ行為をモラハラであると気づけず、割と簡単に受け入れてくれやすいのも、加害者からすれば好都合でしょう。
語弊があるかもしれませんが、交友関係が少ない人ほど、安心してモラハラ行為を行える相手と表現できます。
モラハラという攻撃をしても、協力者や支援者を集めて反撃される確率が低い。そもそも協力者や支援者から、モラハラがどういうものなのかを教えてもらう機会にすらないからこそ、安心してモラハラを行えると言えます。
病弱で働けない…など、誰かに生活の援助を受けなければいけない状態にある
生まれつき体が弱い、虚弱体質のせいで一人で生活できず、誰かからの援助を受けなければ行けない生活を余儀なくされている女性も、モラハラ加害者にとっては好都合です。
同棲をしたり、結婚をして被害者に経済的な援助を行うと同時に、モラハラ被害者の生活を支えていることを口実に、自分が行うモラハラ行為そのものを正当化することができます。
もしも、モラハラ行為に対して疑問を示したり、否定的な態度を取ろうものなら、一昔前の(ギスギスとした)ドラマによくあった「誰のおかげで飯が食えていると思っているんだ!」と一喝して、黙らせることも可能です。
また、モラハラの被害者の方も、自分の生活がパートナーの金銭的な支えによって成り立っている状況を自覚する。
そして、自分の体の弱さゆえにモラハラ加害者の言うことを聞かないと、生活が立ち行かなくなる恐怖を理解しているからこそ、加害者に対して金銭的にも精神的に依存せざるをえない状況に自分で自分を追い込んでしまうのです。
家庭内暴力(DV)・虐待の被害者、あるいはその様子を見てきて育ってきた過去がある
被害者がDVや虐待の被害の経験者である。あるいは家族、親戚、親しい友人が被害者になってきた様子を見て育ってきた経験がある人も、モラハラ加害者から見れば好都合と見られる時があります。
もちろん、DVや虐待の経験を通して、それらの知識を自分で身につけたり、関連する事柄としてモラハラの知識を身につけている人は、モラハラ加害者から自分を守るので、加害者からすれば不都合です。
加害者にとって好都合なのは、DVや虐待を間近に見て育った経験があって且つ、DVや虐待そのものを問題行為として認識していない、あるいはDVや虐待をごく自然な光景として認識している女性です。
問題視しないことは、言い換えればモラハラの存在は容認されているのと同じです。
暴言や攻撃的な態度で他人を脅したり自分の命令に従わせることがあっても、そもそも問題視していないので、第三者や公的機関に通報・相談せず「こういうのは恋人or夫婦関係ならよくあること」として片付けてしまい、モラハラが外部に漏れないので、加害者からすれば好都合なのです。
また、余談ですがモラハラ加害者の方も、被害者同様にDVや虐待が身近な関係で育ってきた過去があるために、自身がモラハラを行うことを問題視できない…と、考えることもできます。
虐待の連鎖同様に、モラハラがある環境においても、モラハラ行為を学習し、受容していると考えることができます。
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モラハラになりやすい女性の特徴【精神面】
パートナーへの依存心が強い
経済的な面でパートナーに依存する他にも、精神的な面でパートナーに依存しやすい女性も、モラハラの被害者になりやすいと言えます。
なお、精神的な依存心の強さの例を挙げるとすれば
- パートナーの言う事ならなんでも信じてしまう。
- パートナーに対して逆らえない。正当な意見の主張すらできない。
- パートナーから見捨てられたくない気持ちが強い。
- パートナーがいないと、孤独に押しつぶされてしまう。漠然とした不安に襲われる。
- パートナーを支えることに生きがいや充実感を見出している。
- どんなことがあっても、パートナーと生涯を共にするつもりである。
などの、感情・心理があります。
なお、依存心の強さをソフトに言い換えれば、パートナーのために身を粉にして尽くす、忠誠心や貢献意欲が高い、自己犠牲を厭わない…ともポジティブに言い換えることも可能です。
そのため被害者自身が「自分はパートナーに精神的に依存しているのではなく、尽くしているだけ」と、自分の依存心の強さ、及びそれによって生じている生きづらさや問題を自覚できない状態に陥るリスクもあります。
自己肯定感の低さ故に自分を大事にしない人の方が居心地よく感じてしまう
自己肯定感が低い女性は、自己肯定感の低さゆえに自分のことを一人の人間として尊重し、対等な関係を築こうとしてくれる相手に対して、違和感や居心地の悪さを感じてしまいます。
もちろん、相手からすれば大事な人だからこそ尊重して接しているのですが、その行為は自己肯定感の低さゆえに
- 「この人は自分のことを過大評価している」
- 「私はそんなに優しくされるほど、立派で優れている人間ではない」
- 「優しく接するのは、何か裏の目的があるのでは?」
と、息苦しさを抱かせてしまい、次第に、関係を続けにくくなります。
一方で、モラハラ加害者のように、自分のことを一人の人間として尊重せず、上下関係(もちろん被害者である自分の立場は下)で接してくる人の方が「自己肯定感が低くて惨めな自分のことをしっかり見てくれている」と感じて、違和感なく関係を受け入れてしまうのです。
たとえ相手が嘘を言ったとして信じ込んでしまう人の良さがある
モラハラ加害者もDV加害者同様に行動パターンに波があります。
一般的に、「不満を抱く(緊張期)→攻撃的な態度を取る(爆発期)→被害者に謝罪する、被害者を労わる(開放期)→不満を抱く…」というサイクルを繰り返します。
モラハラ被害者は、開放期に反省する加害者の姿を知っているからこそ、たとえ自分が被害を受けていたとしても関係を切るに切れずにいるのです。
…ただし、反省するとは言え、これがサイクルとして繰り返されている状況を踏まえると、加害者の反省はあくまでもその場しのぎの演技や言い逃れでしかないのは明白です。被害者に対する反省の言葉は嘘でしかありません。
しかし、被害者の方はというと、たとえ嘘の反省の言葉であっても、その言葉を信じてしまう人の良さがあり、「(嘘であっても)謝ってくれたのだから許さなければいけない」と感じて、その場しのぎの反省でも見過ごしてしまうのです。
なお、実際に自分が選んだパートナーであり、且つ精神的に依存している状況を踏まえれば、「パートナーの反省(嘘)を拒絶する→パートナーを信じている自分自身の否定」と結びつけてしまう恐怖があります。
そんな辛い事態を避ける意味もあってか、モラハラ加害者に対して強く追求できない、断罪できないまま関係が続いてしまうのだと考えることもできます。
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