自分のことを認めて欲しい、受け入れて欲しい、愛してほしい…という気持ちは、心理学では承認欲求という言葉で説明できます。
もちろん、精神的に受け入れてくれる相手というのは、自分にとっては安心できてありがたい相手ではありますが、一方で受け入れている側に対して一方的な負担をかけてしまい、精神的に疲れさせてしまうこともあります。
いわゆる、「愛が重い」「独占欲が強い」タイプの人との恋愛は、まさに承認欲求をこじらせて、常に恋人としての関係や状態をいちいち確認するかのような窮屈な恋愛と言えるでしょう。
加えて、彼氏が承認欲求の強すぎるタイプだと、体格の差に訴えて暴力や暴言に訴えて自分を受け入れるように迫ってくる…と、モラハラやDV(恋人間なので「デートDV」と言ったほうが相応しい)に発展することもあり、非常に厄介です。
今回は、そんな承認欲求の辛すぎる彼氏の辛さや問題点についてお話いたします。
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承認欲求の強い彼氏が辛い理由
「俺を認めろ」と押し付けがましい
承認欲求の強さは
- 自分の生き様や働きっぷりを肯定して欲しい。
- 自分の趣味や興味のあることについて受け入れて欲しい。
- 自分がどれだけ愛しているのかを知って肯定してほしい。
- 自分の内面部分…思想や価値観、恋愛観などを認めて欲しい
と、まるで「俺のことを全て認めて全肯定してくれ」と、迫りくるような言動になって現れます。認めてくれアピールが濁流のようになって自分を追いかけてきて、逃げることすらできず巻き込まれてしまうかのようです。
普通に話している時だけに限らず、SNSやメールでの会話に至るまで、とにかく自分のことを受け入れて欲しいために、聞いてもいないのに自分語りや自慢話を始めては、それに対して肯定的な態度を示すように要求してくるので困りものです。
もちろん、最初のうちはこれらの行動が自分に対して興味や好意を持っているからだと感じてはいたものの、聞いていくうちに「話を聞いて受け入れてくれる相手なら誰でもいいのでは?」と感じてしまって、妙な違和感を思えてしまうものです。
それがわかるのが、話を一方的にしているのに、話を聞く側(=この場合は彼女)に対して話を聞こうとする態度がない。ひどければ、彼女にまるで会話をさせないかのように、話の主導権を握りっぱなしで、その場を支配し続ける。そして「承認してくれるよね?」と、同意ばかりを求めてくる。
話を聞いていても「自分が自分が」と自己主張が激しいし、同意を求める態度の裏には「俺のこと好きなんだから同意するよな?」とプレッシャーをかけられているように思えてきて、まるで会話が楽しくない。
いつしか会話は相手が何を言えば嬉しがるのか想像し、そのとおりに動くようなおままごとのようにすら思えてくる。気が付けば、恋愛に対する作業感や義務感のような気持ちが沸いてきて辛くなるのです。
褒めたり機嫌を取るのに忙しい
褒められたい、チヤホヤされたい…という気持ちも承認欲求の一種です。
もちろん、適度に褒めることは、(恋人関係以外でも)お互いの絆を深めるのには効果があります。しかし、その一方で、いつも褒められることばかりを要求して、その通りにならなければ不機嫌になって不貞腐れてしまっては、対応する側も困り果てるものでしょう。
加えて、恋人関係だと「不機嫌になる=不仲になって別れる」という思考に結びつきやすいので、今の恋人と別れたくない気持ちが強い人は、本当は褒めることに疲れやめんどくささを感じていても、別れないためにも無理して褒めてしまいがちです。
自分の本心を抑圧して、思っている事とは逆の行動をしているために精神的な負担は大きくなります。
かと言って、本心を出せば別れてしまう確率が上がってしまうので、無理して褒める。
こうした「褒めてもしんどい、褒めなくてもしんどい」と、どっちに転んでもしんどい状況が、彼氏と付き合うことの辛さを増すのです。
モラハラやDVの被害者にされそうで怖い
なお、褒めずにスルーしたり、はぐらかしたりしたときに、彼氏が不機嫌を通り越して暴力的になることがあると「相手を褒めて機嫌を取らなければ、自分の身の安全が脅かされる」という不安を感じてしまいます。
わかりやすく言えば、「彼からモラハラ(モラルハラスメント)やDV(ドメスティックバイオレンス)を受けそうで怖い」という不安を感じているのです。
例えば、褒めなかったときに
- 殴る、蹴る、物に八つ当たりをする。
- 「なんで無視するんだよ?」と一方的に威圧するように問い詰めてくる。
- 睨みつける、舌打ちなど、不快感を示す行動・態度を見せつけてくる。
と、いう彼が見せた暴力的で攻撃的な側面は、非常に恐ろしく感じるのと同時に、彼がその気になれば自分は支配されて、彼が持つ暴力的な一面にビクビクと怯えながら生活しなければいけない…という、不安を感じることでしょう。
なお、実際に殴られたとか怪我を負ったわけではなくとも、暴言や態度のような物理的な傷が見えない行為は、肉体ではなく精神に大きな傷を残します。
もちろん、モラハラやDVを振るう相手だからこそ、すぐに別れればいいのは、まさにおっしゃるとおりでございます。
しかし、心に傷は付けられても、内心は「彼と別れるのは嫌だ」という、自分が信じたい純粋な気持ちがあったり「彼の良い部分も知っているから、ここで別れたら自分が薄情な人間のように思える」と自分の良心が傷つくのを恐れて、別れたくても別れられない状況が続いてしまうのです。
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恋人なのにまるで親のように振舞うことを要求してくる
恋人である自分に対して「(恋人として)自分のことを認めて欲しい」のではなく、「(親として)自分のことを認めて欲しい」と、自分を親代わりのように感じて、褒めたり、受け入れてくれることを期待しているのが特徴的です。
親のように、どんなことがあっても味方でいてくれる安心感を求めている。たとえどんな悪さやクズな言動をしても最後には許して受け入れてくれる…という、ダメな自分を受け入れてくれることを、親でも家族でもない恋人に求めているのです。
エスカレートすれば、自分の親であるかのような振る舞いや行動を要求し、恋人ではなく親子(それも子供が一方的にわがままをしている)を彷彿とさせるような関係になる。彼氏が恋人に理想の母像や母性を見出して、それに一方的に甘えて依存しているかのようにすら見えます。
しかし、あくまでも今の関係は恋人でしかなく、母親らしく受け入れて欲しいという要求は行き過ぎといえますし、それに彼女が全部受け入れてくれなくても仕方はありません。
「恋人≠親」なのは自明であり、それを求める自分の考え方が、恋人を苦しめていることを自覚すべきでしょう。
散々尽くしているのに、その見返りがなくてつらい
そして、一番辛いのが、これだけ彼のお願いを聞いて受け入れているのに、彼から受け入れられるわけでもないし、場合によっては「受け入れてもらえるのが当然」という態度で開きなおることです。
自分が散々尽くしているのに、それに対する見返りがまったく無い。いくら頑張っても、ありがとうの一言もなければ、感謝の気持ちや態度としてのお返しをすることもしないし、彼女である自分の立場にたって考えることもせず、いつも自分基準で行動していて自己中心的。
だけど、恋人である自分には一方的に「俺のことを認めてくれ!」と言い出して、満たされなかったら不機嫌になったり、凶暴になってかき乱す。認めてもらって満足感でいっぱいになれば、そのあとは普段通り何もしない。
確かに彼とは恋人の関係ではあるものの、どこか都合よく利用されている、労力が搾取されているようにに感じて、辛くなるのです。
恋人は自分の「認められたい」を満たすための都合のいい存在ではない
承認欲求は誰でも持っているものですが、その性質上「(誰かから)認められたい」と、他人の存在が必須です。
もちろん相手は、友達や先輩・後輩でもいいですが、一方的に「認めてくれ」と強く出ると、煙たがられて距離を置かれる恐れがあります。
しかし、恋人の場合は付き合っているために「別れたくない」という気持ちがあり、これが半ば脅迫材料のように利用されてしまう側面があります。
多少強く出ても「別れたくない」がゆえに我慢をしたり、辛くても相手を認めることこそが愛情だと都合よく解釈してしまいます。
一度我慢して受け入れてしまうと、相手も増長して更に要求を増やしてきて「俺を認めろ!認めろ!!」と強く出てしまうのです。
もちろん、こうした事例は男女を逆にした場合でも起こりえます。
ですが、男女を逆にしても、どちらも自分の「認められたい」を満たすために、相手の気持ちや立場を尊重せず、一方的に自分が自分がと、自分の気持ちを押し付けていることには変わりはありません。
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